公立小学校の運動場の芝生化推進事業について有識者からのコメント

更新日:平成28年11月9日

 

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大阪府公立小学校の運動場の芝生化推進事業について有識者からのコメント(2013年2月)

 

大阪府が平成21年度から実施しました公立小学校の運動場の芝生化推進事業について、有識者の方からいただいたコメントを紹介します。(五十音順)

<事業概要>
■事業名:大阪府公立小学校の運動場の芝生化推進事業
■事業目的:市街地の緑化を進め、みどりの風を感じる街大阪の実現を図り、地域住民が中心となる芝生化を通じて学校を支える地域づくりの実現を目指す。
■事業内容:公立小学校の運動場の芝生づくりを実施する地域の実行委員会に整備費を補助
■実施校数:平成21年度59校、平成22年度59校、平成23年度47校、平成24年度17校

学校のイラスト

 

校庭の芝生化が子ども達の心身に与える影響
同志社大学心理学部長  教授・医学博士  鈴木 直人 氏

 

 校庭を土のグランドから芝生のグランドに変えること(以下、芝生化)は、身体的健康の増進、温暖化防止、美観効果などの効果をもたらすことが報告されている。しかし芝生化が、そこで生活する子ども達にいかなる影響を与えるかについてはほとんど研究されていない。そこで、芝生化が子ども達の心身に与える影響について検討した。

 その結果、芝生化前にストレス反応(多愁訴、睡眠障害、抑うつ、怒り反応等)が高かったストレス高群は、芝生化後、ストレス反応が低減し、この効果は1年後も維持された。一方、ストレス低群は期間を通じてほとんど変化しなかった。こうした芝生化によるストレス反応の低減は、芝生化によってもたらされる運動量の増加及び運動能力の増進が、原因となっている可能性が高いことを実証した。

 芝生化はまた、子どもの遊びにも影響を及ぼし、季節によらない外遊びの促進、遊びの種類の増加、遊びの集団が大きくなること、男女混合の遊びが増加することなどをもたらした。また、芝生化後、子ども達はリラックスした気分、ポジティブな気分を感じることが多くなり、ネガティブな気分に変化はなかった。その他、芝生化によって、子どもの心身の発達だけでなく、運動能力や体力の向上、子ども達が早く学校に来るようになるなど生活リズムの改善が認められ、強いては登校拒否がいなくなったという報告も散見される。

 また、芝生化による地域づくりは、老人の活性化をもたらす一つの有効な方策とも考えられる。

 

校庭芝生化への期待
日本大学生物資源科学部 専任講師/日本芝草学会校庭芝生部会長 藤崎健一郎 氏

 現在、日本の公立学校で校庭に芝生のある学校の数の割合はようやく5%を超えたところである。
大阪府が校庭芝生化に本格的に取り組み始めたのは平成21年頃からであるが、その後の動きはめざましく、府内小学校千余校の内、平成24年度中には2割に達しようとしている。校庭面積に対する児童数が多く、芝生化が難しいと思われる大阪府がこのような成果を上げていることは他の自治体に対しても良い刺激になっている。

 1970年代頃に芝生化された学校では、その後の維持管理がうまくできないために芝生が消失した学校が少なくなかった。
芝生管理が学校の教職員のみに過剰な負担となったことが問題であったと思われる。大阪府では「農と緑の総合事務所」や「土木事務所」に所属する植物管理に専門の知識を持った職員が「芝生サポート隊」を結成して校庭芝生の維持管理を支援していることが大きな特徴で、成果をあげている。

 また、各種業種の企業や様々な団体が「芝生サポート地域貢献団体」として認定され、支援活動を行ってくれていることも芝生の維持におおいに役立っている。

 芝生の維持に管理の手間を要することは、これまでは芝生化の問題点の一つと考えられてきたが、地域ぐるみでの支援活動が盛んになるにしたがい、芝生管理の活動がきっかけとなって学校と地域の繋がりが強化され、地域の人達が集まったことが元になって各種のイベントなどの活動が活発になるなどの効果も見られるようになった。芝生の管理に手間を要することは、地域活動の誘発に役立つという意味で、問題点というより、むしろ効用の一つと考えることもできる。

 大阪府の校庭芝生化事業が、他の地域にも波及し、学校の環境がさらに良くなり、地域活動も一層活発になっていくことを期待している。

 

芝生化推進事業の評価
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科 教授・農学博士  増田 昇 氏

 平成21年度より取り組まれてきた本事業では、平成24年11月末までの間で、府内の175校の公立小学校で校庭の芝生化が実現している。

 本事業の特徴は大阪方式と呼ばれ、地域のコミュニティづくりのきっかけとなるとともに継続した維持管理を実現するために、地域と学校が一体となって芝生づくりから維持管理を行っていく点にある。

 平成24年6月から7月にかけて実施されたアンケート調査結果(平成21年から23年芝生化実施校165校)でも見られるように、ほぼ100%の学校が芝生の校庭を肯定的に捉えており、児童の擦り傷の減少やストレス・問題行動の減少、虫や植物への興味の増加など芝生化による積極的な効果を認めている。また、体育の授業に加え、運動会の準備や理科の授業などの学内利用とともに地域のお祭りや縁日、近隣の幼稚園・保育園児との交流など、地域のコミュニティづくりにも大きく貢献している。一方、保護者やPTA、
地域の住民組織との協働による維持管理が実施されてはいるものの、一部に教職員や用務員・管理作業員などに頼っているところも否めない。
また、過度な利用や維持管理への知識不足等により健全な芝生の維持に苦労しているところも認められる。

 以上のようにほぼ府内均等に校庭の芝生化が実施され、その効果も高く評価されることから、芝生化の初期整備に関する大阪府としての先導的役割は十分に果たしたものと考える。一方、芝生化実施校においては、学校と地域が一体となった維持管理体制の確立や芝生を健全に育成するための維持管理技術の習得に課題が認められる。また、児童や地域に対して大きな効果をもたらす校庭の芝生化は有意義であり、これらを考え合わせると、本年度実施されている「おおさか芝生化教室」を継続、充実させ、実施校における芝生の維持管理や活用を充実させるとともに、未実施の小学校が校庭の芝生化に取り組みやすくなるような環境づくりが求められる。

きつねのイラスト

このページの作成所属
環境農林水産部 みどり推進室みどり企画課 都市緑化グループ

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