「依存症」って聞いたことはあるけれど、よく知らないな…という方に、ぜひ知っていただきたい内容をまとめました。
人が「依存」する対象は様々ですが、代表的なものに、アルコール・薬物・ギャンブル等があります。このような特定の物質や行為・過程に対して、「やめたくても、やめられない」「ほどほどにできない」状態を、いわゆる「依存症」と言います。
依存症の診断には専門的な知識が必要ですが、特に大切なのは、本人や家族が苦痛を感じていないか、生活に困りごとが生じていないか、という点です。
(※ギャンブル等とは、結果が偶然に左右されるゲームや競技に対して金銭を賭ける行為のことです。ギャンブル等依存症対策基本法では、「法律の定めるところにより行われる公営競技、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為」と定めており、遊技であるパチンコやスロットも「ギャンブル等」に含まれます。)
アルコールや違法薬物(覚せい剤、有機溶剤、危険ドラッグ、大麻など)、処方薬(睡眠薬、抗不安薬、咳止めなど)といった「物質への依存」と、ギャンブル等、インターネット、買い物、万引きなど、行為や過程にのめりこんでしまう「プロセスへの依存」などがあります。
アルコールや薬物などの依存対象物質を摂取すると、私たちの脳内にはドパミンという快楽物質が分泌されます。この快楽物質が脳内に放出されると、中枢神経系が興奮し、それが「快感・喜び」につながります。この感覚を脳が報酬(ごほうび)というふうに認識すると、その報酬(ごほうび)を求める回路が脳内にできあがります。ギャンブル等で味わうスリルや興奮といった行動でも、同じように脳の中で報酬を求める回路が働いているのではないかと言われています。
脳内に報酬を求める回路ができあがると、快楽物質が強制的に分泌されることが繰り返されます。次第に喜びを感じる中枢神経の機能が低下していきます。「快感・喜び」を感じにくくなるにつれ、以前のような強い快感や喜びを得るために、アルコールや薬物の量や頻度が増えていきます。そうすると、ますます「快感・喜び」を感じにくくなり、焦燥感や不安、物足りなさばかりが増していく・・・という悪循環に陥っていきます。
一旦このような状態に陥ると、自分の意志でコントロールすることは困難になります。脳が報酬(ごほうび)を求めてエスカレートしているため、本人が「やめたい」と思ってもどうにもならないのです。意志の弱さや性格の問題ではなく、条件さえ揃えば誰でも依存症になる可能性があり、特別な人がなるわけではありません。
飲酒や薬物使用、ギャンブル等の行為を繰り返すことによって脳の状態が変化し、自分で自分の欲求をコントロールできなくなってしまいます。
だんだんと飲酒や薬物使用、ギャンブルなどの行為を第一に考えるようになってしまい、他のことがおろそかになり、社会生活をしていく上で優先しなければならない色々な活動を選択することができなくなっていくのです。
例えば、睡眠や食事がおろそかになり本人の健康を害す、嘘をついて家族との関係を悪化させる、仕事や学校を休みがちになり、続かなくなる等の悪影響が考えられます。
様々な助けを借りながら、やめ続けることで「飲酒や薬物使用、ギャンブル等に頼らない生き方」をしていくことは可能です。やめ続けるためには、正直に自分の気持ちを言える場所があることや、孤立しないことが大切です。本人や家族だけで抱え込まないで、早めに専門の機関に相談しましょう。
依存症は欲求をコントロールできなくなる「病気」です。
周囲がいくら根性論で本人を責めても、問題は解決しません。「叱責」や「処罰」だけでは、むしろ状況を悪化させてしまいます。
本人が回復の必要性を自覚するまでには時間がかかることも多いため、まずは、周囲の方が専門の機関に相談して、「適切なサポート」の仕方を知ることから始めましょう。
依存症の相談先の一覧はこちら
まずは、主治医や医療機関のスタッフと安心できる関係をつくります。それから、依存症から回復していくことについて前向きになれるように、話し合っていきます。
幻覚・妄想や渇望につながる不安・焦燥感、抑うつ気分、睡眠障害などがある場合には、精神科薬物療法を行うこともあります。
また、薬物の連続使用や幻覚・妄想などが活発になった時には、精神科入院治療が必要になることもあります。
また、近年、認知行動療法のプログラムが効果的であるということがわかってきており、医療機関によっては個人や集団でプログラムを受けることができます。
このページの作成所属
健康医療部 こころの健康総合センター 相談支援・依存症対策課
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