令和元年(2019年)11月13日 知事記者会見内容

更新日:2019年11月15日

記者会見項目  ※この会見で使用した資料についてはこちら

    ・府大・市大の授業料等の無償化について
    ・「ZEH」普及促進の取組みについて
    ・質疑応答


 職員

 ただいまから知事の記者会見を始めさせていただきます。
 最初に知事からお願いいたします。

府大・市大の授業料等の無償化について

知事

 僕からは2件です。
 まず1点目です。府大・市大の無償化、教育の無償化についてです。
 この間、府大・市大の教育の無償化については、僕も方針を表明してきたところでありますし、議会においても議論もされてきました。本日、戦略本部会議で組織として意思決定をするということをやりました。今後、これは当然予算措置ですので、さらに議会との議論も踏まえて、予算措置されないと実行できないわけですけど、大阪府として、市大・府大、大学の無償化、公立大学の無償化というのを来年4月から実行していきたいと思います。
 まず、その中身についてです。
 まず大きな、そもそもの目的ですけども、それぞれ親の経済事情であったり、あるいは、その家庭においては経済事情以外の個別事情がある場合も多くありますが、そういったさまざまな事情によって大学で学ぶということを諦めることがないように、大阪の子どもたちはそういうことがないようにしていきたいと思います。その中で、子どもたちが、大阪の子どもたちが自分の可能性を追求できる社会というのをぜひ目指していきたいと思います。また、当然、子育て世帯への支援という要素もあります。
 本来、僕は、大学、高等教育は無償であるべきだというのが基本的な考え方ですが、大阪府として整理し、施策として大阪府が設置者である公立大学についての実質無償化というのを実現したいと思います。
 制度としては、来年度の入学生からです。国において大学の無償化というのが来年4月から行われますが、極めてその範囲が限定的です。そこで、今回、実質910万円世帯までについて、590万円までは実質無償ですけども、590万円から910万円までは子どもの数によって少し差が出ますが、910万円までの世帯について、大学の入学そして授業料についての無償措置というのを図っていきたいと思います。
 ちょっと手前に戻ってもらっていいですか。
 まず、要件ですけども、学生等の要件、これは府大・市大の学部・学域生、そして大学院生です。そして、府大高専の本科生の4年、5年、そして専攻科、府大高専は、今、府大にぶら下がっています学校です。
 在住要件として、3年以上前から大阪府に在住している方ということが対象です。
 そして、入学時の要件はありませんが、入学試験がありますから入学時の要件はありませんが、入学後、いわゆる警告とか廃止という制度を設けています。これは国の大学無償化と同じ仕組みです。それを準用しています。例えば平均成績が下位の4分の1に属するということがあれば、警告することがありますし、それが2回連続で続けば、それは支援の廃止ということにつながってきたりする。これは国の制度でありますけど、留年とかになると、支援を廃止するとか。大学に入ってから、勉学に一生懸命取り組んでいないと、あるいは、それが不十分だとみなされる場合は、一定この無償化の制度から外していくということです。これは大学の制度と一緒です。
 もう一つは家計、いわゆる子どもが所属している家計の所得の世帯の目安ですが、ここにあるとおり、年収目安910万円未満というのを一つの支援の対象とする。これは、高校の私立の無償化を今大阪府ではずっと率先してやってきましたが、そことほぼ年収要件は一緒というようにしています。
 実施時期ですけども、2020年4月、来年の4月の入学生からです。学年進行で実施していきます。国の無償化は、いきなり全部に適用しますが、大阪の場合は学年進行で、入学者から順に適用していきたいと思います。その心ですけども、これは、やっぱり、この制度があるということで、入学者自身が、そのチャンスが平等に与えられているということが重要だろうと思っています。その制度を知った上で、この大学を選んで、そして挑戦するということで、その機会が平等に与えられていると。もちろん、合格者は限られますから、希望した人全員にはならないんですけど、この制度を知った上で、これにチャレンジする機会が平等だという、機会の平等を重視しました。そういったことで、来年の新入生からその次の新入生ということで、順を追って進行していくということになります。
 府の所要財源ですけども、約4年たてば、ほぼ全学生にこの制度が浸透することになりますが、それが大体約30億円です。初年度は11億円、そして、4年全部にいけば約30億円というふうに見込んでいます。これは概算です。今後入学した割合だとか、さまざま変わってくることがあるかもしれませんが、概算としては、粗い試算として約30億円程度というのを見込んでいます。もちろん、これ以外に国がもともと無償化にするという部分、これは国制度に準ずる、国制度そのものでもあるんですけど、これについては8億円別途必要になります。これは国の制度なので、財政措置はされることになりますが、国の制度とは違うところでやることについては、これは府の単費事業ということになると思います。
 引き続いて、その支援の中身の具体的なイメージですけども、まず、この灰色の部分が国の支援部分、今回、国が今年の4月から適用する大学の無償化です。基本的に、国の無償化は入学料、授業料ともにですけども、その対象がいわゆる住民税非課税世帯です。だから、世帯収入が270万円以下の場合、270万円未満ですね。これはあくまでもモデル世帯なので、両親がいて、家族が4人というモデル世帯ですけど、それで、4人家族で270万円の収入世帯については、国の支援があって、大学無償化になると。それが300万円になると3分の2になり、380万円になると3分の1になる。
 これは国の制度ですけども、大阪府の場合は、それをぐっと上乗せしていこうというのが基本的な考え方です。この270万円以上の部分について、府が支援をしていきます。380万円以上も府が支援をしていく。380万円から590万円の部分については、子どもの数にかかわらず、入学金、授業料ともに実質無償ということでやっていきます。
 この590万円から800万円の世帯については、子どもがお一人の場合は3分の1を支援する、子ども2人の場合は3分の2を支援すると。こちらは3分の1、3分の2になっていますけども、これに準ずる形で、子どもの数に応じて、1人、2人、3人、3人以上になれば全額、800万円世帯でも全額支援をしていきます。2人の世帯であれば3分の2を支援するということになります。
 800万から910万世帯については、子ども2人について3分の1を支援していきます。1人の場合は支援はなしと。3人以上になれば、3分の2を支援すると。それを除くこの白い部分が、本人に負担してもらう部分という形での制度設計になっています。
 あわせて大学院生、これは、そもそも国では大学院は制度としてありませんけども、工学部なんかもそうですが、大学院に進学して、そこで高度な知識を習得して社会に出るという学生も非常に多い。法科大学院なんかもそうですし、医学部なんかも6年制になっています。その中で、大学院生についても同様の所得基準で大阪府が支援していくという制度設計です。
 大きな方針として、本来であれば僕は、これは府大・市大にかかわらず、大学の無償化というのは全てやるべきだという考え方ですが、やはりそれは国においてやるべきことだろうと思っています。国の制度があまりにも不十分だし、僕は国において大学の無償化というのはぜひやってもらいたいと思っています。
 もちろん大学の質の向上、大学間の切磋琢磨というのが必要だと思います。思いますが、やはり教育の部分にかける予算であったり、国の方針として、あまりにも今の日本は手薄いんじゃないかというのが僕の基本的な考え方です。
 大学について、大阪がどこまでできるのと考えたときに、もちろんこれは財源論も踏まえた上で、そして中身も踏まえた上で考えたときに、大阪府がいわゆる設置している、実質、所有している公立大学、市大・府大を対象にして、まずは進めていきたいと思います。
 アメリカにおいても、ニューヨーク州知事がニューヨーク州立大学とニューヨーク市立大学という公立大学を無償にしたということが少し前にスタートしました。今、アメリカ全土に広がってきているようです。もちろんアメリカと日本は、全然、背景が違うし仕組みも違う、それから奨学金制度も違うし、違う面は多々あると思いますが、やはり日本の大きな方向性として、子どもたちが生まれたときから、頑張れば大学まで学べるんだという環境はぜひ整えていきたいと思います。
 なので、大阪においても、これは今の高校3年生が対象になりますが、今の大阪に住んでいる小学生や中学生、家庭の事情で自分は大学まで行くのは厳しいのかなと薄々思っている子どもたちも結構いるとは思いますが、そういった子どもたちも、大阪にはもう一つの選択肢があるんだ、頑張れば府大・市大というのは無償なんだな、頑張っていこうと思ってくれる子どもが一人でも増えれば、僕は大きな意味があるんじゃないかなと思っています。
 あわせて、国においても、やはりここについて、ぜひ重点的に措置をとってもらいたいと思っていますし、今の270万円世帯ではあまりにも少な過ぎると思います。奨学金制度で借り入れしている対象を見ても、やっぱり400万円収入以上の世帯が大体7割を占めていると。奨学金の借り入れをしている7割の世帯は400万円以上の世帯です。だから、4人家族で270万世帯とか、そのあたりにだけしか適用がないというのはあまりにも手薄いんじゃないかと思います。
 そういった意味で、この大学の無償化については国に対しても要望をしていきたいと思います。大阪府は大阪府としてできる今回の大学の無償化を実施しますが、国に対して、やはり国民が等しくそういった大学の無償化の施策を受けることができるような仕組みというのをぜひつくってもらいたいというのを大阪府として国に要望していきたいと思います。
 まず1点目が大学の無償化。

「ZEH」普及促進の取組みについて

 2点目ですけども、府のエネルギー施策についてです。ZEH普及の取り組みについてです。
 まず、大阪府においては、大阪市と共同でエネルギーの地産地消推進プランというのを策定しています。自分たちのところでつくって自分たちのところで消費していこうというプランの取組みです。
 その中で、再生可能エネルギーは増やしていきましょうと。太陽光パネルの実績がある事業者を紹介したり、あるいは初期費用の負担軽減のための措置で低利なソーラーローンを提供するとか、再生可能エネルギーの普及の拡大をしています。あわせて、エネルギー消費の抑制ということで、省エネのセミナーとかそういったことのノウハウの施策も打っています。もう一つ、電力需要の平準化と電力供給の安定化。この3本柱でやっていますが、今日はこの二つ目の中のZEHの普及についての取組みです。
 まず、再生可能エネルギーの普及拡大に向けてですけども、再生可能エネルギー、特に太陽光発電ですが、2020年度までに目標90万キロワットを目標値にしていますが、2018年度段階で約72万キロワットと。達成率は80%の状況です。ですので、この目標達成に向けてさらに取組みが必要だろうと。じゃ、取組みが必要な分野ってどこなの、伸びていない分野ってどこなのと見たときに、事業用太陽光発電は比較的伸びていますが、いわゆる住宅用が伸び悩んでいるという状況です。ですので、住宅用の太陽光発電の普及に向けたさらなる取組みを進めていきたいと思います。
 そこで、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及促進に努めていきたいと思います。
 まず、ZEHって何なのということですけど、住宅の高断熱化をやって、住宅そのものの熱効率をよくして、壁であったり床であったり空調であったりさまざま、住宅自体の熱効率をよくしていく、省エネ機能を高めていく。そして、そこに太陽光発電をつけるということで、おおむね年間のエネルギーが地産地消、自分たちで完結できると。この家で自分たちが使うエネルギーは完結できる、エネルギー収支がおおむねゼロとなる住宅のことをZEHといいますが、このZEHは環境に優しいだけじゃなくて、当然、光熱費が削減できる、快適な暮らし、そういったよさがありますので、これを広めていきたい。
 ここにありますが、ZEHのよさとして、地球環境、温暖化対策にもなる。環境に優しい。光熱費が節減できる。売電の収入を得られる。高断熱化ですので冬は暖かくて夏は涼しい。快適に暮らしていく。それから、高断熱化で結露とかカビの発生を抑制する。そして、太陽光発電ですから、いざ災害等に停電が起きたときにも、自分のところで発電していますので電力が使用できると。そういったZEHのよさがあります。
 じゃ、費用はどうなっているのということですけど、エネルギーの購入は年間大体13万6,000円ぐらい。ZEHをすることで太陽光の売電が大体18万円ぐらい。プラス4万円ぐらいのエネルギーコスト、これは初期投資を抜いていますけれども、エネルギーコストを見ればそういった収支になる。財布にも優しくて環境にも優しい、このZEHを広げていきたいということです。
 実際、これは国でも取組みを進めているんですが、なかなか進んでいません。府域で1万戸の住宅が新規に建設されましたが、国の補助金もあるんですけど、結局、国の補助金の交付件数は380件、3.5%と。
 なので、それを普及拡大していこうということで、本日、協力業者として、ヤマト住建とWELLNEST HOMEと連携協定を締結いたします。協力事業者については引き続き募集中ですが、今日はこの事業者と締結をする。
 何をするかというと、ZEHの宿泊体験の希望者を募って、実際に宿泊してもらう。そこでアンケートをしてもらって、その普及促進をしていきたいと思います。
 吹田、枚方、和泉の3市でモデルハウスを設置して、そして、11月13日から再来年の3末まで、1泊宿泊体験をしてZEHのよさを知っていただきたいと思います。そういったことも通じて情報発信を強化しながら、これを広めていきたいと思います。
 僕からは以上です。

質疑応答

 職員

 それでは、ご質問をお受けいたします。
 最初に、幹事社の共同通信さんからお願いいたします。

ZEH普及促進の取組み関連について

記者

 幹事社から1問、ZEHについてお伺いします。
 ZEHの普及を図る上で課題となっている太陽光発電の導入の初期費用について、導入促進の施策を府でたくさんやられていますが、こうした施策の実施状況を教えてください。
 また、これらの支援を活用した場合、1件当たり導入費用が大体幾らぐらいになるのか、モデルケースがあれば教えてください。

知事

 まず、太陽光発電の普及促進についてですけども、先ほどちょっと紹介にもありましたけど、ちょっと戻してもらっていいですか。
 まず、太陽光パネル設置の実績がある事業者、優良な販売店なんかを登録してもらって府民に紹介するという太陽光パネルの普及啓発事業を実施しています。それから、初期コストを下げるために、初期費用の負担軽減ですね。そこでいわゆる信販会社と連携をしまして、低利のソーラーローンというのを提供しています。このおおさか低利ソーラークレジット事業においては、固定金利は2.03%。まあ、2%と。一般的な金利は大体2.5%ぐらいですから、支払い期間は最長で15年、利用金額は最大1,000万円まで利用できると。金利が低く、比較的長く、金額も最大で1,000万円まで利用できるという、そういったソーラークレジット事業というのをまず実施しています。あわせて、太陽光の発電導入の補助金について、これは15市町で実際実施していまして、補助金額は大体1キロワット当たり1万円から3万円ぐらい。太陽光発電の初期費用に必要なのは、経産省の統計データでは1キロワット当たり大体34万円ぐらいです。太陽光パネルの設置の内容というのは3.7キロワットですから、平たく言えば、太陽光パネル一つ設置するのに大体必要な設置費用は120万円ぐらいということになります。
 このZEHについては、1件当たり300万円の追加費用を要するというふうにもされています。ZEHの場合は、太陽光パネルだけじゃなくて、熱の遮断壁であったり、省エネ換気であったり、家全体が省エネ、そういったものがZEHですので、大体300万円ぐらいの追加費用が必要になるというふうにも言われています。これは初期コストとして。それに対して、国の補助金は大体1件当たり70万円ということになります。つまり、ZEHの場合は230万円が初期コストになるし、単純に太陽光パネルの設置の場合は120万円程度。じゃあ、その太陽光パネルも含んだZEHの230万円をどう計算するかということになりますが、ちょっとここも出ていますけど、まず、エネルギーの購入額が13万円となっていますが、これは、自分ところで発電した分で、売電以外に自分ところで使うというのも入っていますので、大体通常は19万円ぐらいがエネルギー購入額とされています。ですので、この19万円と13万円の差額で6万円ぐらいが、まずZEHにしたときに差が生まれてくると。あわせて、発電収入の18万円がありますので24万円。なので、1年間24万円ですから、約10年間でさっきの230万円は回収できるというような大きな計算になると思います。
 何か僕がZEHの販売員になったみたいですけど、別にZEHと僕は何の関係もありませんけど、府の職員も、いろいろ一般的なものとして説明するときは、そういうふうにZEHについてはわかりやすく説明して、だから、一言でまとめると、ZEHをしようとしたときに、大体国の補助金を受けたら残り230万円ぐらいが自前で出す必要があるよねと、でも、それは大体10年で回収できるよね、それ以降は収入になってくるというのが大きな収支の計算なのかなというふうにも思います。導入費用としてはそういうもので、そして、その数字はモデル事例として府の職員も説明しているというふうに聞いていますから、将来にわたることですから保証ということではないとは思いますが、そういったものが大体の収支のシミュレーションになると思います。

府大・市大の授業料等の無償化関連について

記者

 朝日新聞の吉川です。
 大学無償化についてお伺いしたくて、今日の戦略本部会議でも出ていましたが、国への要望については、今の段階でどういう点についてどういうことを求めていきたいとか、もしくは、ある程度概念のような要望なのかというのが1点と、あと、ちょっと知事の最終的なお考えを聞きたくて、将来的に、例えば私立大だとか、今回、社会人は対象外になっていますけど、社会人とか所得制限だとか、どのあたりまで大学無償化について広げるのが最終的なゴールだと思われますか。

知事

 まず、国に対しては、やはり範囲がものすごく狭過ぎるので、国は大学の対象もすごく広くとっていますが、それを受け入れる範囲が、いわゆる経済的に厳しいと言われている人たちを受け入れるようにという説明になっていますが、あまりにも極めて厳しいような状況に限っていて、じゃ、普通に大学に進学しようよという世帯は、さっき言ったように、奨学金の借り入れを見ると、やっぱり現実にはもっと範囲が広いと思います。大阪府のこの制度で捕捉できるのが大体7割ぐらいでしたかね。7割から8割が大体大阪府民の所得で捕捉できることになりますけど。だから、僕は実質無償化という言い方をしていますが、国の制度はあまりにも、270万円世帯をベースにって、270万円世帯でなかなか大学に、じゃあ、270万円世帯を超えたらどうなのというところで非常に限定的だから、まずはその範囲を広げてもらいたいということです。所得の範囲を広げてもらって、これは大阪府と同レベルにしてもらいたいという要望になってくると思います。
 そうすると、当然財源も必要になってくるわけですけど、財源の優先順位という意味で、やっぱり大学で学ぶということに、そこは大きな財源を僕は割くべきだと思うし、それが将来への投資として逆に僕ははね返ってくるというふうにも思っています。これから先の世代でも、大学まで無償で学べるんだというのを安心して、これから結婚する世代とか将来世代に思ってもらえるというのがやっぱり僕は重要なんじゃないのかなというふうにも思っています。だから、国の範囲は、そもそも学校で仕切る範囲が極めて狭いので、いわゆる年収世帯の範囲を広げてくださいということを言っていくことになると思います。
 将来的には、やっぱり僕は、社会人のやり直しというか、そういうのも本来大学の無償化に入れるべきだというふうにも思います。今回、府でいろいろ内部でも議論しまして、それも議題にもなりましたけども、一定の整理の中で、やはりここは子育て支援という要素と、社会人はいろんな、さまざまな事情もあるということも踏まえて、その対象は外すという判断をしましたが、僕は広い目で見たら、やっぱりそこは年齢にかかわらず、若い時代は勉強しなかったけども、振り返ってやっぱりもう1回大学で学び直そうとか、昔みたいにどこかの会社に入ったらずっと死ぬまでそこの会社という時代じゃなくなってきていますから、そうある必要もないと思いますし、どこか会社に入った後に、若い、僕らのような世代の人間であっても、一旦やっぱりここは学び直しをしたいと思ったら大学で学べて、そのときは無償で行けて、また次のキャリアに挑戦するとか、そういうのが本来あるべき姿じゃないのかなというふうに思っています。
 だから、社会人も含めた再チャレンジ。再チャレンジというのは、一つの僕が政治をやっていけている中の思想の一つでもあるので、皆に確実な保障はできないけども、失敗した人が再チャレンジできるというのが、僕は一つの政治思想として持っているんですけど、そういう意味で、社会人で、もう1回再チャレンジしたいと思える人は、こういう対象にしていくべきというのがやっぱり本来あるべき姿なんじゃないのかなと思っています。今回はさまざまな、やっぱり実務方とも議論する中で、最終的には社会人というのは一旦は外しましたけども、国において大学無償化を広げていく、あるいはこれから大学無償化を広げていくという意味では、やっぱりそういった社会人とか、もう1回やり直そうと、勉強し直そうという人たちも再チャレンジできる、そしてそこで新たな知見を得て次のキャリアに挑戦できるというような仕組みがあるべき姿じゃないのかなと思っています。
 国に対して要望することはこれから、そういう思想を持っていますけど、国に対して要望することはちょっとまた詰めていきたいと思います。社会人の再チャレンジの分は、僕自身も今回、府大・市大でできていないですから、それを国に要望するかどうかというのは内部で議論はしたいと思いますけども。いずれにしても、大阪でやっているこのぐらいのことは国でもやってくれということは国に対して要望をしていきたいと思います。
 それから、大学間、これから少子高齢化で学生数も減ってくる中で、大学自身が切磋琢磨する仕組みというのはやっぱり要るんじゃないのかなと思っています。大学の質の向上というとこですね。決して大学の生き残り策にあってはならないわけで、大学自身もやっぱり努力して、海外の大学なんかも非常にレベルが高い大学が増えてきている中で、日本の大学はやっぱり旧態依然としたところがあるんじゃないかと思います。その中で、それを突破するとすれば、やっぱり切磋琢磨という仕組みが要るんじゃないのかなというふうにも思います。大学についてはそういう考え方です。

記者

 続けて、お話変わるんですけど。

知事

 ただ、ここは、だから、無償化というのは切磋琢磨というとこにやっぱり入っていけていないんだろうと思いますが。大学の課題としては、そういうふうには認識はしています。
 特に公立大学は、僕は思うのはやっぱり「何で大阪府と大阪市が大学を持ってんの」というのは常に大阪市長時代から自問しているところでもあって、これは少子高齢化でどんどん学生数も減ってくると、公立大学も国立大学もあるし、私立大学も充実していると。その中で「何で自治体が大学を持ってんの」ということに対する答えが、僕は本来明確であるべきだと思っています。つまり、大阪の公立大学であれば、やっぱり大阪の成長であったり大阪の生活を豊かにする、そこに資する大学なんだ。都市を成長させていくとか、単に偏差値教育の中で組み込まれて、この有名国立大の次とか、そんなので選ばれるんじゃなくて、大阪を成長させる能力が高い都市型の大学というのをやっぱり新大学でも目指していくべきだと思うし、だからこそ自治体が持つべき価値はあるんだろうと思います。
 だから、公立大学のまねごとでもだめだし、私立大学の二番煎じでもだめだし、国公立大学としての存在意義というのは、やっぱり新大学でも目指していくべきだと。大学の無償化は始めますけど、それが大学の本来の役割、特に公立大学の役割なんじゃないのかなと思います。今まではどうしても全部似たような大学ばっかり集まってやってきましたけど、これからの大学のあり方というのは、やっぱりそういうふうに変わってこないとだめなんじゃないかなと。大学の中で学問の自治とかいうのが何かあって、一つのなかなか改革しにくい分野ではありますけど、大阪府市では結構そこは切り込んでやっていっているので、新大学にはそういうとこもやはり大学無償化だけじゃなくて、大学自身もそういうとこを目指して、新大学の質というのを高めていってもらいたいなと思います。

IR関連について

記者

 質問変わりまして、IRの件なんですけども、国のほうでカジノ管理委員会の人事の発表がありまして、元福岡高検検事長の北村さんという方がなられると。一応スケジュール的な面も含めて受け止めというか、感想というか、聞かせてください。

知事

 スケジュールは順調に進んでるというふうに思います。少しIR推進法ができてから実施方針案も含めて、なかなか政局があって進まない部分がありましたけども、ここは大阪からどんどん具体的に要望していって、政府にも要望して、大阪の要望に応えていただけるような形のギリギリのスケジュール案であったり内容というのを示していただいていると、僕はそういうふうに評価をしています。カジノ管理委員会の人事案件だって、何ちゃら追及チームとか、今また野党が一生懸命やっていますけど、「カジの反対」とか言って、とにかく引き延ばそうと思ったら幾らでも引き延ばせる中で、やっぱりきちんとそこは政府において案を示していただいたということだと思います。IRについては、今のスケジュールにのっとって、遅滞することなく進めていってもらいたいと思いますし、その大阪の要望に対しては、政府には応えていただいているというふうに思っています。
 だから、その点は感謝しています、政府に対しても。多分大阪府がここまで言っていなかったらこうなっていなかったと思いますから、そういった意味では政府には、手続の進め方としては感謝をしているところです。実際、来月から公募を開始しますけど、実施基本方針案、基本方針案か、国の基本方針案の中でもそれが固まる前に公募してよしというような内容にしてくれていますから、基本方針案を最終策定する以前であっても公募するのもよしというふうにも認めてもらっていますし、国においては、大阪のこの進捗を踏まえて、やっぱりそこをちゃんと踏まえた進め方をしていただいていると認識をしています。

孤独死関連について

記者

 毎日新聞の津久井です。よろしくお願いします。
 大阪府の監察医事務所が大阪府の孤独死について初めて調査をまとめまして、2017年で1,100人。それで、8割がひとり暮らしの男性だったという結果がまとまったんですけれども、大阪は以前から言われているように高齢化が全国の平均よりも速いと言われている中で、行政としての今後の対応ですとか、知事の一政治家としての方針などがあればお聞かせ願いたいんですけれども。

知事

 大阪は大阪市を中心として、やはり高齢化率というのは高い。特に顕著なのが単身の高齢化率が高いということです。その中でも孤独死という意味であれば男性が非常に割合が高いという状況になっています。男性の高齢者の方はついついやっぱり、単身ですから、ひとり暮らしをして、社会となかなか接触を持たないというような傾向にある。多分女性の高齢者のほうがそこは社会に出ていろんな地域と結びついたりするけども、男性の単身高齢者は比較的その傾向が少ないというのが今の状況であり、その結果数値にもなってきているんだというふうにも思います。
 だから、やはり、これは基礎自治と連携してやっていかなきゃだめですけども、単身の高齢者の方が家に引きこもるんじゃなくて、社会に出て、地域に出て、いろんな地域活動とか地域のお祭りとか、いろんなことがありますから、あるいは地域のいろんな福祉施策もたくさんありますので、そういった社会とつながりを持ちやすくするような仕組みづくりということを、やっぱり基礎自治体とも連携しながらやっていきたいと思います。基本的にはやっぱりここは、基礎自治体がまずは一生懸命やるべきことだと思いますけど、全体の傾向としてそういう傾向が出ていますので、単身高齢者の方もどんどん外に出やすくなって、地域と関係を持ちやすかったり、あるいは行政がやっているような支援策とかを受けやすくするような仕組みがやっぱり重要なんじゃないかなと思います。なかなか難しい問題ですけどね。だからといって、すぐに広がっていくわけじゃないと思いますけど。ただ、今、大阪ではそういう傾向にありますが、やっぱりこれは全国的に、大阪が先行しているだけであって、全国的にそういうことが都市部で広がってくると思うので、これは全国的に抱える課題の一つなんじゃないかなと思っています。

記者

 調べてみると、国の全体的な統計というのが孤独死についてはなくて、都道府県についても大阪以外には北海道、鹿児島ぐらいしか調査がこれまでされていないということで、専門家から言わせると、やっぱり対策をとるには数字をとることから始めるべきではないかとおっしゃる方もいまして、そういう統計の大切さ等については、知事、いかがでしょう。

知事

 統計は客観的な事実ですから、客観的な事実があって、それで初めてそれを分析して対策をとれるということになると思います。なので、そういった統計はぜひこれはきちんとやっぱりまとめていくべきだろうと思います。大阪府と鹿児島と北海道ですか。やっぱりエリア性も全然違うし、「都市部でどうなってるの?」ということはこれからもっと統計もとっていかなきゃいけないことなんじゃないかなと思います。
 これからは単純な高齢化じゃなくて高齢化の高齢化がどんどん進んでいきますし、それから、都市部においては、特に単身とか核家族が住んでいるのは都市部ですから、そういったひとり身の方がどうやって最後幸せに暮らしていけるかということの課題は、これはあると思います。そういう時代に突入していると思いますので、これは大阪、一部の都道府県だけじゃなくていろんな都道府県でもきちんと統計をとって、大きな方向性というか、対策というのをとっていくべきじゃないのかなとは思いますけどね。

記者

 ありがとうございます。

大阪地方検察庁に対する緊急要望について

記者

 毎日放送です。
 東大阪で被告が逃走された件で、昨日要望書を出されていると思うんですけれども、改善策、再発防止策について、府として書面なのか口頭なのか、どういった形で回答を求めていきたいと思われますでしょうか。

知事

 まず、昨日、大阪府から大阪地検に対して、今回の件について、やっぱりゆゆしき事態だということと、大問題だということと、あわせて検察として再発防止策をきちんと構築してもらいたいという要望を昨日行いました。検察側からは総務部の副部長が対応されたと、副部長の検事が対応されたと聞いていますが、その大阪地検の言葉としても、今回府民の皆さんには多大な心配をおかけしたということに対しておわびしたいというそのおわびと、もう一つは、この要望事項について、大阪府からの要望事項について真摯に受けとめて、そして、この再発防止策を検討しますというふうに明言もされました。だから、これは大阪地検が今後、大阪府の要望を受けて組織としてきちんとした再発防止策を構築するものだというふうに認識をしています。
 それを書面でくれとか別に言うつもりはないですけども、そういうふうにきちんと副部長が口頭で回答していますから、やりますと言っているんですから、やっぱり地検としてはやるということになるんでしょう。こういった件が二度と起こらないように、やっぱり地検にはきちんと対応してもらいたいなと思います。現に地検もそこまで、大阪府から書面で要望もしていて、やりますと言っている以上、きちんとやると思います。もしこれでもう1回同じようなことがあったら、これは、それ自体の想像は地検もしていると思いますから、さすがに地検としたらものすごい縦の組織でもありますので、きっちりと対応してもらえると僕は考えています。

記者

 大阪の場合、2度も逃げられているということもあると思うんですけれども、例えば横浜地検の場合は検事正が自治体のトップに謝罪をされていますけれども、地検側からそういったお話というのは今のところどうでしょうか。

知事

 いや、今のところそれは特にないですね。

記者

  そういうことを求めることというのはありますか。

知事

 いや、別にそこは、うーん、地検として、組織として対応したらそれでいいんじゃないのかなと思います。副部長の検事が出てきて、総務の副部長の検事が出てきて、それは副部長の個人の意見じゃなくて組織としての当然答えだと思いますから、それは大阪地検として適切に対応するんだと思います。僕からは「おい、検事正、出てこい」みたいなことを言うつもりは特にないです。

記者

 わかりました。

知事

 それやったら、僕もしょっちゅう言われてますから。「知事、出てこい」って多分いろんなところで言われてるでしょう。職員が対応してるんです。でも、それは組織として受けて組織として回答したことは組織としてやっていくというのが当たり前だし、特に地検のような組織はやっぱり府民、市民の信頼が大事ですから、こうやって知事から書面で要望するということも、これは非常に大きなことだし、普通なかなかこんなことはないですからね。捜査機関に対する要望をやって、捜査機関、検察もそれを受けてちゃんとやりますというふうに言ってる以上、僕はそこは検察を信用しています。

記者

 ありがとうございます。

茨木市消防における暴行事案について

記者

 産経新聞の井上です。
 茨木市のほうで、消防署内での後輩職員への暴行事案のようなものがあって、消防司令補らが処分されていますけれども、受けとめをお願いしたいんですが。

知事

 まず、これは刑事事件じゃないですかね。暴行傷害事件だと思います。
 懲戒免職ということで、茨木市の消防本部で、茨木市が対応したというふうにも聞いています。基本的に消防は今、市町村事務で、市町村が本来適切に対応すべきということにはなるかと思いますが、大阪府としてできること、これは指導、助言、勧告というのが大阪府の権限として今の制度において認められている制度でありますから、これに基づいて、茨木市の消防だけじゃなくて大阪府下消防全体に対して、いま一度、パワハラの指針がありますから、それを再徹底するようにという通知を出したいと思います。
 要は消防庁が出しているパワハラ指針というのが新たにありまして、出まして、それは本来、それぞれの消防署で守るべき事項なわけですけど、今回そういうのが当然守られていなかったわけですし、ああいう事件が起きているわけですので、これは茨木市の消防に対しては当然ですけど、いま一度、大阪府下全域の消防に対してパワハラ防止の指針についての徹底ということを通知します。今、その準備をしていますけど、今回の件を受けて、そこはそれぞれの市町村が第一義的にやることですけど、しっかりやってもらいたいという指導をしたいと思います。

記者

 関連してなんですけれども、その指針の徹底を通知するというのは、めどとしてはどれぐらいで。

知事

 いや、一両日中ですよ。この1日、2日でやります。

 職員

 消防保安課。すいません、先ほどのパワハラ指針の徹底につきましては、本日午後1時過ぎに各消防本部宛てに通知を出しております。

知事

 ああ、そうですか。すいません。間違い。既に通知済みです。通知は指示はしていたんですけど、通知済みということなので。
 それは徹底して守ってもらいたいと思いますね。さっきの検察、警察の話じゃないですけど、消防も似ていて、やっぱり府民、市民の信頼が重要な仕事だと思います。消防とか警察とか、命を守る仕事ですから、そこでの不祥事というのは組織全体に対して、あるいは消防全体に対しての不信を招くことになりますので、やっぱり消防とか検察とか警察という特に市民、府民からの信頼を大切にする組織機関は、そういった不祥事についてはより一層規律を徹底してもらいたいなと思います。
 だって、警察とか検察とか消防が信用できなくなったら終わりですからね。政治家は大体信用されてないですけどね。いろんな賛否両論あって、僕なんか、わあわあ文句を言われることが多いですけど、でも、政治家の場合は首にできますので。でも、そういったいわゆるものすごい強力な権限を持っているところというのは首にもできないし、やっぱり信頼というのがあると思うんですよ。みんな子どものころから、僕も子どものころから、お巡りさんはやっぱり自分たちを守ってくれるとか、そういうのって実は非常に大事だと思っています。ただ、ええっというような不祥事が起きるとその信頼が揺らいできますから、そういったことはいま一度消防においても徹底してもらいたいなと思います。

 職員

 ご質問はよろしいでしょうか。
 それでは、これで終了させていただきます。ありがとうございました。
 

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府民文化部 府政情報室広報広聴課 広報グループ

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