一般財団法人大阪府視覚障害者福祉協会 要望書

更新日:2022年7月21日

要望受理日令和4年6月22日(水曜日)
団体名一般財団法人大阪府視覚障害者福祉協会
取りまとめ担当課府政情報室 広報広聴課
表題要望書

要望書

令和4年6月22日

大阪府知事 吉村 洋文 様
                                                                                                                                                  

一般財団法人大阪府視覚障害者福祉協会
会長

要望書

 大阪府におかれましては、平素より視覚障害者福祉に対しまして格別なご理解とご協力を賜り厚く御礼申しあげます。
 さて、本会は、昭和39年に視覚障害者が結集して結成し、ひたすら視覚障害者の自立と社会参加をめざし活発に活動してきました。
 その間、私たちの要望に応え、大阪府も種々の施策を実施してくださり、最近では、大阪府立福祉情報コミュニケーションセンターの開設など大きな成果につながっております。
 しかし、それら障害者施策の充実や、全国の仲間とともに取り組んできた長年の運動、「障害者差別解消法」など近年急速に進んだ障害者を取り巻く法整備をもってしても、今日なお、解決を見ない視覚障害者を取り巻く多くの課題に、大きな不安と危機感を覚えずにはいられず、現在においても、私たち視覚障害者にとって、これらの困難が解決された実感はありません。
 さらには、コロナ禍を経験したことによる様々なシステムの変容や情報化の進展をはじめとする社会・生活環境の急速な変化により、新たな課題も発生しています。
 私たち視覚障害者の人権が守られ、自立・社会参加が完全に実現し、働く権利と生活の安定を確保するために、「第5次大阪府障がい者計画」の早期・完全な実施、大阪府立福祉情報コミュニケーションセンターにおける視覚障害者福祉のための事業の円滑、継続的かつ十分な実施をはじめ、視覚障害者の移動の自由の確保など、次に掲げる事項を速やかに実現してくださいますよう、強く要望する次第です。
 吉村知事様をはじめ大阪府関係機関の職員の皆様に十分なご理解を賜り、より確かな視覚障害者福祉施策の積極的な推進を心から期待いたします。

大阪府への要望項目

1 大阪府は、これまで積み重ねてきた視覚障害者福祉の制度、施策を発展・充実してください。

2 「第5次大阪府障がい者計画」を早期に完全実施してください。

3 大阪府立福祉情報コミュニケーションセンターにおいて、視覚障害者福祉のための事業が、円滑、継続的かつ十分に実施できるように予算の確保等に努めてください。

4 すべての府民(公務員・警察官・教員・児童生徒を含む。)を対象に、視覚障害者を正しく理解するための啓発活動を充実してください。

5 障害者差別解消法の趣旨を徹底するため、府が制定したガイドラインが実効性を発揮するよう努めてください。
(1)市町村とも連携してより一層積極的かつ効果的に、合理的配慮の必要性について府民(事業者を含む。)啓発を行ってください。
(2)大阪府や市町村の職員対応等の運用に当たっては、職員による代読、代筆をはじめ、視覚障害者が不自由しない窓口対応に努めてください。
(3)小売店舗、飲食店、医療機関を始めすべての事業所で、視覚障害者に対する誘導や情報提供を行うよう働きかけてください。
また、スーパーのセルフレジや飲食店のタッチパネルなどで視覚障害者が困っていることを啓発し、有人レジの設置や使用の手助けなど視覚障害者が困らないよう配慮するよう働きかけてください。
(4)府立高校の入学試験や大阪公立大学の2次試験でスクリーンリーダーが導入されているパソコンを使用しての受験もできるようにしてください。

6 盲導犬を普及するために、府民の理解を深めるための啓発をしてください。

7 家電製品をはじめあらゆる商品について、視覚障害者にも使いやすいユニバ―サルデザインの推進を事業者に働きかけてください。特に、視覚障害者にも利用しやすいスマートフォン、ワンタイムパスワードやタッチパネルの開発を事業者に働きかけてください。併せて、非接触型操作パネルの開発や無人化の取り組みの中で、視覚障害者が取り残されることのないよう、事業者に働きかけてください。

8 視覚障害者を対象としたスマートフォンの講習会を各市町村あるいはブロック単位で開催するよう市町村に働きかけてください。その際、府で講師を派遣するなど支援してください。

9 同行援護事業について
(1)ガイドヘルパーが、不足しています。同行援護従事者の報酬改善を引き続き国に要望するとともに、ガイドヘルパーが充足されるよう努めてください。
(2)視覚障害者が居住地で不自由なくサービスが受けられるよう、事業所の実態を十分に調査し、必要な指導・監督を実施してください。
(3)通勤、通学にも利用できるよう国に要望してください。また、通院に利用できること等、制度の趣旨を市町村に周知、働きかけてください。
(4)「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」について、市町村に十分周知するとともに、実施を強く働きかけてください。また、同行援護事業者に対しても、積極的に情報提供してください。
(5)同行援護従事者養成研修を実施している事業所に対し、カリキュラムを忠実に実施するよう必要な指導、監督をしてください。

10 補装具、日常生活用具の支給基準額を実態に合わせて引き上げるよう国に要望してください。また、対象品目や支給条件について、当事者のニーズに対応するよう市町村に働きかけてください。 

11 地域生活支援事業の代読・代筆サービスの普及について市町村に働きかけてください。

12 障害者手帳のカード化について、府として積極的に進めるとともに、市町村にも働きかけてください。

13 ホームヘルパー養成課程やケアマネージャー養成研修のプログラムにおける視覚障害者の理解や、移動支援、代筆、代読等の技術習得科目を充実してください。

14 読書バリアフリー法について
(1)同法の目的を実現するため、視覚障害者の読書環境の整備を積極的に推進してください。
(2)同法に基づく市町村計画の策定を積極的に働きかけてください。また、市町村の公立図書館における「サピエ」への登録、端末操作指導員の設置、購入した図書等のデータの出版社等からの提供協力、ICT機器の使い方の講習会の開催を進めるよう市町村に働きかけてください。

15 視覚支援学校に点字指導のできる教員を中長期的に確保してください。

16 視覚障害高齢者が、住みなれた地域で生きがいを持って生活できる施策を充実してください。

17 視覚障害者の職業自立を支援してください。
(1)大阪府や民間企業において、視覚障害者がより多く雇用されるようにしてください。
(2)介護保険施設等で視覚障害者機能訓練指導員がより多く雇用されるよう支援してください。
(3)ICTなどを活用した在宅勤務なども含め、視覚障害者の職業拡大・開拓を積極的に進めてください。また、その職で自立できる職業訓練を充実してください。
(4)職業に必要なスキルを得るための教育・ICTなどの訓練をより受けやすくするとともに、求職中の者だけでなく、在職者や学生も受けやすいものとなるよう配慮してください。

18 視覚障害者の職業自立を図るため、視覚障害者の三療業を守る支援をしてください。
(1)三療業者(鍼・灸・マッサージ)の無免許営業、無資格類似業者の取締りを強化してください。
(2)柔道整復に係る不正な保険請求を取り締まってください。
(3)あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師養成校の新設を無制限に認可しないよう、国に働きかけてください。

19  新型コロナウイルス感染症について
(1)新型コロナウイルスやワクチン接種に関する情報、支援策等を視覚障害者にわかりやすく伝えてください。
(2)視覚障害者の必要最低限度の買い物や通院などが支障なく行えるとともに、視覚障害者が感染した場合でも通院や入院、ホテル療養が安心してできるよう配慮してください。
(3)コロナ禍で、密を避ける対策が執られていますが、飲食店やスーパーなどでの買い物時の情報提供や案内については、視覚障害者に合理的配慮を行い、以前と同様の対応がされるよう事業者を指導してください。

20 近年、自然災害が頻発していますが、大阪府と市町村が連携を密にし、市町村に対して、災害時において視覚障害者の生命と暮らしが守られる実効的な取り組みが図られるよう指導してください。また、ハザードマップの点字版や音声版を作成するよう市町村を指導してください。

21 既存施設についても、バリアフリー新法の基準に基づき、必要な改善をしてください。 また、公共施設や庁舎の出入り口は利用しやすくし、音声案内を設置してください。

22 鉄道駅構内等において安全な移動を確保するために
(1)鉄道各駅にホームドア、ホーム柵、内方線ブロックを危険度の高い駅から優先して早期に設置するよう鉄道事業者に働きかけてください。また、踏切での事故を防止するため、踏切内へのエスコートゾーンの早急な設置を各鉄道事業者に働きかけてください。
(2)大阪府立福祉情報コミュニケーションセンター最寄りの、地下鉄森ノ宮駅、JR森ノ宮駅にホームドアを早期に設置するよう鉄道事業者に働きかけてください。
(3)JR新今宮駅にホームドアと(西口から乗り場まで)エレベーター、エスカレーターを早期に設置するようJRに働きかけてください。
(4)エレベーターの設置を進めるととともに、各鉄道事業者のエレベーターの音声案内を適切な内容、タイミングに統一するよう働きかけてください。また、3機以上あるエレベーターでは、音声での到着案内のタイミングを早めるよう働きかけてください。
(5)乗降客の少ない駅であっても常時駅員を配置するよう鉄道事業者に働きかけてください。また、みどりの窓口が廃止された駅でも視覚障害者が単独で長距離切符や特急券、定期券が買えるよう鉄道事業者に働きかけてください。
(6)今後の視覚障害者の安全対策や介助方法などを踏まえた駅の管理体制について、各鉄道事業者と駅所在市町村、視覚障害者団体で早急に対策を議論するよう働きかけてください。
(7)ホームで歩きスマートホンをしないよう啓発してください。
(8)電車内、駅構内では、的確でわかりやすいアナウンスをするよう鉄道事業者に働きかけてください。

23 エスカレーターの昇降位置まで、誘導用点字ブロックを敷設するよう、また昇り下りを音声で案内するよう、さらに踏み板の色彩を判別しやすくするよう、関係機関に働きかけてください。また、エスカレーターでは歩かない、走らないようにし、その旨分かりやすく表示するよう、鉄道事業者や商業施設を指導してください。

24 道路上における歩道、点字ブロックの敷設等について
(1)すべての道路に、歩道、点字ブロックを設置してください。
(2)破損した歩道や、不適切な設置や劣化した点字ブロックは早急に改善してください。
(3)歩道と車道の段差を、白杖で容易に判断できるようにしてください。
(4)弱視者が安心して一人歩きできるよう、点字ブロック・段鼻を鮮明な色にしてください。

25 音響式信号機及びエスコートゾーンの設置について 
(1)すべての交差点に音響式信号機及びエスコートゾーンを設置してください。また、ラウンドアバウト交差点については、視覚障害者が安心して安全に横断できる方策を講じてください。
(2)歩車分離式の信号機には、必ず音響式信号機を併設してください。
(3)音響式信号機、エスコートゾーンの設置に当たっては、設置する交差点や位置、構造、音量等について地域の視覚障害者の意見を聞いてください。
(4)押しボタン式の信号機にあっては、操作ボタンの位置がわかるように音を鳴らすなどしてください。

26 路上での歩きスマートフォンをやめるよう啓発を強化してください。

27 自転車(電動自転車、キックボードを含む。)の歩道上の乱暴な運転、無灯火やスマートフォン、携帯電話使用中の運転など、より一層厳しく取り締まってください。また、すべての府民に対して車道通行原則の交通ルールの徹底と自転車使用のマナーを啓発してください。併せて、学校での児童、生徒、学生等に対する自転車等の使用のマナーの指導強化に努めてください。

28 自転車の歩道通行を抑制するため、自転車専用道や誘導マーク(青矢印)の整備を促進してください。

29 道路上に放置されている自転車や自動車、商品や荷物を厳しく取り締まってください。また、各鉄道事業者や駅周辺の土地所有者に対して、放置自転車等の防止や安全対策を講じるよう指導してください。

30 高速道路の通行料金の割引を、車の指定なしに視覚障害者が乗車している場合に適用されるよう、また、障害者団体が観光バスを利用している場合にも適用されるよう事業者に働きかけてください。

31 JRに私鉄各社と共通で使えるICカード式福祉割引乗車券の導入及び特急料金の割引について働きかけてください。

32 大阪府が発行する刊行物のすべてを、点字・音声・拡大文字化してください。府政だよりについては、施策やイベントをできるだけ詳しく掲載してください。

33 大阪府及び大阪府の外郭団体が、不特定多数の視覚障害者を対象に発行する点字文書は、「日本点字委員会」が編集・発行する「日本点字表記法」の定めを遵守して発行してください。

34  府及び府の外郭団体のホームページ上のpdf形式の文書には、それと同様のhtml形式の文書も必ず掲載してください。また、すべてのホームページを視覚障害者が容易に閲覧できるようにしてください。

35 テレビの災害時の緊急情報(地震の発生場所・震度など)は、緊急アラートとテロップだけでなく、一日も早く音声化していただくよう、放送局へ働きかけてください。また、NHK等テレビ局に副音声テレビ番組をさらに増やすよう、外国語は、日本語の音声による同時通訳もするよう働きかけてください。

36 義務教育において、視覚障害者も一緒に学べる統合教育を推進してください。

                                                                                                                                                                                                    

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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