事業主 大阪市ゆとりとみどり振興局
設計者 (株)現代ランドスケープ
● 講評
中之島公園は明治24年に開設された大阪市営の最も古い都市公園であるが、「水の都大阪の再生」に向けた
取り組みの一環として再整備され、平成21年の竣工後、毎年「水都大阪」のメイン会場ともなっている。「中央公
会堂」と「大阪城」を結ぶケヤキ並木による中之島景観軸の形成や剣先の場所性の再生、公園上空に掛かる橋
梁景観の活用、バラ園や巨樹の継承など、大大阪の歴史の厚みを継承しつつ風格の向上に取り組まれている。
また、中州という立地特性を活かして、水辺への連続性や開放感を高め、水上公園としての景観づくりとともに
船上からのシーン展開もうまく意識されている。開放的な芝生広場を提供することによって都市イベントの会場と
しての利用とともに水際での夕涼みや散策、おしゃれなランチやディナーの場など、新たな都市の生活スタルが
実現できる場づくりにも取り組まれており、ランドスケープデザイン部門の知事賞に値するものと評価された。
(審査委員長 増田 昇)
事業主 NTT都市開発(株)、近鉄不動産(株)
設計者 鳳コンサルタンツ(株)環境デザイン研究所
施工者 清水建設(株)
事業主 独立行政法人都市再生機構西日本支社
設計者 (株)ヘッズ
● 講評
団地立替に伴い、バス道路に接した外周整備が行われ、団地入口正面階段を中心に既存樹木のメタセコイア、
斜面地を活かし、地域の石積をヒントに御影切石による土留め風ロックガーデンが作られていました。
自身の現地現地審査選考基準は、1)その場を活かしたデザインが行われ美しく魅力的な空間になっているか。
2)素材の選定が適切か。3)多くの人々に親しまれているか。の三点でした。大阪府都市緑化フェアー実行委員会
委員長賞の選考主旨は、人々の都市緑化に関する意識の高揚や普及を図り、花と緑あふれる街づくりの推進に
寄与しているもの。そして、審査のポイントは、公開性に特に優れた案件で、コンセプトにされた「生活空間の開
放性と道路空間の連続性」「多彩な緑の育成」等の内容が評価されました。
大変残念なのは、団地内部整備との整合性、石の選定、組方に違和感を感じた事です。今後の維持管理によ
りさらに魅力ある団地になることを期待しています。 (審査委員 福原 成雄)
事業主 三洋ホームズ(株)、東急不動産(株)
設計者 (株)竹中工務店
● 講評
幹線道路交差点と地下鉄駅前という都市の要衝にあった工場跡地の複合再開発における府下でも有数の
大規模マンション開発によって生み出されたランドスケープである。かつて工場であった広大な土地を一変させ、
開放感ある風景をつくりだした点が評価される。総合設計制度によって生み出された公開空地の配置は、多く
の人が来訪する都市核としての拠点性を考慮し、積極的にまちに開き、まちとの関係をつくろうとする姿勢が感
じられる。また、駅前拠点の高容積の開発でありながら、広がりある空間を生み出すことに成功し、提供公園や
屋上緑化などと相乗的に空間のうるおいや広がりを創出し、周辺環境の向上にも気を配っている点も評価される。
今後、継続的かつ熱心に維持管理に取り組み、みどりが成長すれば、時間の経過とともにより質の高い空間
へと成長するとともに、このまちで暮らす人々の記憶に刻み込まれるような大切な風景となっていくことが期待
される。 (審査委員 嘉名 光市)
事業主 からほり倶楽部・山根エンタープライズ(株)
設計者 (有)和惣
● 講評
長い都市居住の歴史を有する大阪を代表する都市景観の一つが、長屋で構成された街並みである。都心部に
ありながら戦災や開発を免れ、今日まで生き残ってきた長屋を、貴重な地域資源として再評価し、活用する動きが
近年活発化している。空堀商店街界隈に立地する「からほり倶楽部 惣」は、長屋再生の可能性を示した先導的な
プロジェクトだが、その象徴性を高めているのが、ユニークな「長屋草屋根」の存在である。
新旧の文化の融合と地域の持続的発展を志向する長屋再生の物語に、ランドスケープデザイナーが参画していく
ことによって、人と建物と地域のコミュニケーションの幅を広げ、新たな命を吹き込んでいる点が評価できる。
秋には彼岸花が咲くなど、季節ごとに移り変わっていく植物相は、高密度な市街地の中で、ほっと心を和ませるこ
とのできる緑の景観を生み出し、地域のストック活用と一体で展開する緑化の新しい姿と可能性を物語っている。
(審査委員 弘本 由香里)
活動者 新川姫蛍と花を守る会
所在地 高槻市南庄所町
● 講評
本活動は、大阪府内のJR高槻駅より南へ徒歩15分、一級河川芥川に沿って南北に流れる新川沿いの
遊歩道約600メートルの区間において、平成18年6月から陸生のヒメボタルの保護と花づくりに取り組ま
れている活動である。30年前に地元自治会によって植えられた150本のソメイヨシノの足元に、シバザクラ
を中心に色とりどりの草花が植えられており、春の芥川の土手からの風景は道行く人々に感動を与えている。
また、5月中旬にはヒメボタルの鑑賞会も催されるとともにヒメボタルの時期が過ぎるとビオトープにはハスが
咲くなど一年を通じて人々の目を楽しませている。今では、高槻市内で最も美しいお花見の名所となるなど、
美しい景観づくりとともにヒメボタルの生息調査や保全活動にも積極的に取り組まれており、自然の保護と美
しいまちづくりを兼ね備えた活動であり、ランドスケープマネジメント部門の知事賞に値するものと評価された。
(審査委員長 増田 昇)
活動者 中之町フラワーウェーブ
所在地 堺市堺区中之町西
● 講評
地域の人々の「もてなしの花作りの心」で、年を重ね人々が憩い楽しめる公園にした好事例です。
自身の現地審査選考基準は、1)日常的に維持管理が行われているか。2)多くの人々に愛され利用され
ているか。3)季節毎の多様な花の植え替えが行われ美しいか。の三点でした。中之町フラワーウエーブの
メンバーの方々が水撒き、花柄摘み、除草をされ、多くのお年寄りがパーゴラの下で楽しそうに談笑され、
近くの保育園児が公園に遊びに来たのに出会いました。維持管理は日常の管理から一年間を通しての管
理成果で、年毎に違います。選考主旨は、緑豊かで快適な地域の景観づくりに特に寄与しているもの。そし
て、ランドスケープマネジメント部門の審査のポイントは、空間の美しさに特に優れた案件で、中之町フラワ
ーウエーブの活動はこれらの主旨に合致し高く評価されました。
「もてなしの花作りの心」を是非とも子供達に受けついで頂きたい と願っています。
(審査委員 福原 成雄)
活動者 千里竹の会
所在地 豊中市新千里東町他
● 講評
千里竹の会は千里東町公園内の竹林と桃山台周辺の公園や緑地における竹林の整備を主として
活動されているボランティア団体です。
薄日が差し込む竹林になるよう間伐等を行い、切った竹を周囲の垣根や竹林内で土塁止めにて整
理整頓し、ごみ清掃もおこなわれています。竹林整備の他、タケノコ堀りや竹細工づくりなど市のイベ
ント協力や、竹炭焼きや門松づくりなど地域のコミュニティへも積極的に関わられています。
各エリア毎週1から2回と活動を頻繁に行われており、合計面積約66,000平方メートルという広範囲を、全体的に
美しく管理されているのには敬服いたします。千里ニュータウンの竹林は千里の原風景である竹林と
都市との共存を考えて残されたものであり、それを里山的に保全する本活動は「人と自然との共生」
という花博の理念に合致したものといえます。
(審査委員 當内 匡)
活動者 島本町緑と花いっぱいの会
所在地 三島郡島本町
● 講評
緑と花いっぱいの会による取り組みは昭和56年から始まり30年にわたる。その取り組みは継続してきた時間
の長さだけでなく、参加者の広がりと行政、企業との連携、そして育苗、子どもたちとの交流、花看板づくり、
広報、環境保護など多様な活動への展開へとつながっている点が特徴的だといえる。特に、駅前、バス停など
まちの公共空間にうるおいをもたらすとともに、放置自転車問題などまちの課題解決にも積極的に取り組んで
いる点が高く評価される。
30年におよぶ活動の継続と発展は、個々人のやる気や努力とともに、組織としてのマネジメントが機能していな
ければなし得ないものであり、府内で活動している数多くのみどりのまちづくりの模範であり、参考となる点を数
多く有しており、授賞に値する。今後も50年、100年と活動が継続し、広がり、発展していくことを大いに期待したい。
(審査委員 嘉名 光市)
このページの作成所属
都市整備部 公園課 企画推進グループ
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