平成22年度第22回大阪府戦略本部会議 議事概要【議題1】

更新日:2015年8月5日

議題1 中学校給食の導入促進

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資料1-1 中学校給食導入促進に向けた基本的な考え方

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資料1-2 学力、体力等に関する状況

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※教育委員会から資料をもとに説明。

【知事】
・学力調査テストでは中学生が朝食を食べているかどうかの調査はしているか。朝食を食べているかどうかが低いと点数に影響しているというところはあるのか。

【教育委員会事務局】
・資料1−2の2ページ目。中学生で朝食を毎日食べているかの設問に対して食べていない率は大阪は全国より高い。

【知事】
・全国では食べていますかという設問で「はい」が83.5%。給食との相関関係のデータはないか。

【教育長】
・昼食・給食に関してはない。

【知事】
・秋田県、福井県では給食はあるか。神奈川県、高知県はどうか。

【教育委員会事務局】
・全国的には70−80%。神奈川県は16%。高知県はミルク給食を含めて実施率は79.5%。完全給食では59.8%。

【知事】
・完全給食の実施率は全国ではどうか。沖縄県はどうか。

【教育委員会事務局】
・全国では21年度のデータで81%。完全給食で秋田県は99%を超えている。沖縄県は99.4%

【知事】
・犯罪について、街頭犯罪が凶悪犯罪に至るベースだとすれば、少年による街頭犯罪に占める割合が6割。ここを何とか正していくと街頭犯罪も落ち着き、ここを抑えないと重要犯罪も収まらないと思う。大阪は全国平均を9.4%上回っている。福岡県は給食の実施率はどうか。

【教育長】
・完全給食で64.0%。神奈川県は16%で大阪に次いで低い。愛知県は100%、東京は完全給食で96.0%。

【知事】
・精緻に分析したわけではないが、給食の有無が大なり小なり影響していると思う。昼ごはんを食べていない子どもが多くいる。
・なぜ大阪は給食が普及してこなかったのか。単に財政上の理由なのか、特段の考え方があるのか。

【教育委員会事務局】
・学校給食法上では先に小学校の給食が市町村の努力義務とされて、30年代に中学校の給食が努力義務とされた。小学校と中学校における年次の違いと、人口急増期に併せた学校の設備投資の時期とが重なったという見方もあると思う。

【総務部長】
・今の数字を聞くと必ずしも都市部で悪いという訳ではない。人口急増の度合いが大阪は激しく、神奈川県もそう。東京はもともと人口集積地域だから。急増期に学校の施設整備に追われてそこまで手が回らなかったということかも理由の一つなのではないか。

【知事】
・人口急増で学校のハードが必要な場合は、地方財政制度では交付税措置されるのではないか。

【総務部長】
・優先順位を付けた際に、学校を作るのは最低限必要だが、給食まで手を出すのかという時に、それよりも校数を増やすことが先にあったのではないか。

【政策企画部長】
・ある自治体のケースではスペースが無かった。学校の施設はクラスを増やすために使って、給食室を造る余裕が無かったと聞いている。

【知事】
・スペースが無いというのは、財政上余裕がなかったということと同じ。今や人口急増の時代は終わったが、余裕はあるのか。

【教育委員会事務局】
・クラスは多少減っているが、学校では空き教室も活用して様々な取組を行っているので全くスペースが空いているというのは少ない。

【政策企画部長】
・資料4ページで導入に関する課題を挙げているが、財政支援を手厚くすれば給食は促進されるのか。他に進まない理由はないのか。

【教育長】
・我々が議論した課題は資料に列挙しているものであるが、財政的理由が大きいのは間違いない。

【知事】
・大阪の特殊事情は現状ではあまり無いのではないか。急増期の部分が今でも尾を引いているのか。それを交付税制度が正しているのではないか。大阪は別の分野に充当しているのか。

【綛山副知事】
・交付税は積算根拠としては給食費を積算するが、積算された後は基準財政収入額と需用額との差額を補てんするだけなので、一般財源となる。
・時系列で見ていかなくてはならない。給食は、戦後の混乱期を経て、日本人の体力をいかにつけていくかということから、まず小学校からスタートした。それを中学校でも実施していくことが、他府県は8割というレベルに達しているが、大阪は人口急増期、30年代は中学校を作らないといけなかった時代。それに追われて手が回らなくなった後、高度成長に入った。その段階では中学生の嗜好も体力も多様化し、必ずしも給食で統一しなくても、弁当なりでいいのではないかとなってきて、他府県がやるから大阪の中学校もという動きがトーンダウンした。
・この議論でも給食の選択制を入れるのか、給食だから100%学校で作った給食をおこなうのか、選択制は、1月単位で給食でもよいし、弁当でもよいしという選択。東京で新しく給食を導入しているのは選択制が多い。嗜好や栄養も含めて選択制とするのかという議論があるので、これから制度設計で議論していくべき。

【知事】
・選択制というのは、弁当を作ってきてくれるのは良いが、弁当が無い子どもも多いのでということか。選択制にすると子どもが、給食は要らないといえば強制できないことになるのか。

【綛山副知事】
・東京の選択制は1月前に1月のメニューを示し、親が判断してこれで1月間、こどもに食べてもらうならばお金を振り込んで給食を提供する。そうでないところは必ず弁当を作ってもらう。給食と弁当を一緒に食べるので、仮に給食指導を中学校で行うなら授業の指導の中で、お金でパンで済ますことは是正されていくことになると思う。給食として入れる限りは一定の秩序のもと実施する形が必要であると思う。

【知事】
・今年度の実施率12.3%は、全国最下位か。次に実施率が低いところはどれくらいか。

【教育長】
・大阪は全国最下位。次に昨年度の数字だが、神奈川県の16.1%。50%を切っているのは、完全給食に限ると滋賀は40%台。完全給食に限ると、50%台のところがいくつかある。

【知事】
・府教育委員会としては、公立中学校の給食実施率が12%ということをどう考えているか。府の事業か市町村の事業かという話は別として、本来は公立中学校で給食を実施していくべきと考えているのか。財政上の制約などはさておき、理想としては上げていくべきということか。

【教育長】
・本来的には実施率を上げていくべきと考えている。

【知事】
・府議会の皆さんと話をすると、一部「愛情弁当論」で給食を実施すべきでないという議員もいらっしゃるが、統一地方選挙のマニフェストで給食実施を掲げる政党もある。給食実施を提案すれば圧倒的多数が賛成すると聞いているがどうか。

【教育長】
・先日の政調会では、知事がおっしゃるほど各会派共通して賛成ということではなかった。会派の中で様々なご意見がある。特に、保護者のニーズを教育委員会としてどこまで把握しているかというご指摘をいただいた。

【知事】
・PTAなどとも関係がある教育委員会の行政的な判断として、本来は給食を推進すべきと考えているのか。

【教育長】
・そのとおりだが、保護者の中に様々なご意見があるのも事実。資料1‐1の2頁に記載しているアンケート結果でも、保護者の実施希望は60%くらい。圧倒的多数というところまではいっていない。

【総務部長】
・教育長が給食を導入すべきとおっしゃる理由は何か。

【教育長】
・厳しい生活状況に置かれている子どもたちで昼食をきちんと食べられていないという現実があるのは間違いない。そのことが、今の大阪の子どもたちの学力・体力が厳しい状況に置かれている要因の一つではないかという思いはある。

【総務部長】
・そういう観点から今回一定の仕組みを示そうということだが、資料1‐1の3ページに記載のとおり、スクールランチの導入意向がない市町村が25ある。その現状からすると、府が一定の財政支援をするとして、本当に市町村が乗ってくるのか。

【教育長】
・乗ってくる市町村が一定数あるのは間違いないが、圧倒的多数の市町村が乗ってくるかどうかは定かでない。

【総務部長】
・スクールランチで導入意向がなくても、給食だったら導入しようという市町村が出てくるのか。

【教育長】
・数については現時点では把握できていない。

【政策企画部長】
・先ほど副知事が「給食指導」という言葉を使われたが、指導上の課題はないのか。例えば、小学校でも、給食を実施すると担任の先生の負担は大きいが、中学校は教科担任主義で、担任の先生が教室に張り付いているわけでもない。荒れている学校などでは、給食を円滑に進められるのか。

【教育委員会事務局】
・そういった問題も当然出てくると思う。給食は全員が同じものを食べるが、中学生になると恥じらいもあるだろうし、残す子も出てくるかもしれない。いくら栄養やカロリーを計算して皆と同じものを食べろと言っても、好き嫌いをすれば残りが出てくる。そうなると給食を実施する値打ちがないので、教師がついてきちんと指導をしていかなければならないと思う。小学校は給食があるという前提に立っているが、これまで中学校はそうではなかったので。

【木村副知事】
・給食の実施率になぜこうも差が出てきているのか。

【総務部長】
・私が思うに、難しい話ではなく、他の都道府県は学校を整備する時期に給食を同時に進めていったので「あるのが当たり前」になっている。一方、大阪は給食を整備してこなかったので「ないのが当たり前」。そのような中、給食導入当時と食生活がかなり変わってきている。コンビニに行けば何でも揃っている状況の中で、給食に対するニーズがどこまで高いかというと、先ほどのアンケート結果のような数字しかない。それが今の状態ではないか。

【木村副知事】
・給食がないのを「当たり前」と認識している市町村の首長相手に、本当に教育長がおっしゃるような方針が実現していくか。かなり高いハードルがあるのでは。

【綛山副知事】
・イニシャルコストについては大阪府が補助するが、ランニングコストは市町村負担。ランニングコストは交付税措置がなされているが、忘れてはならないのが就学援助。学校によっては、25%から40%の生徒が就学援助の対象。子どもの視点から見ると、実施希望は20%までと低い値。しかし、給食をいれることにより就学援助が作用し、子どもの昼食代について一定の担保がとれる。給食でないと行政の手が届かない。25%から40%の子ども達に対しては、きちんと就学援助によって栄養や体力を担保するという価値観で見れば、市町村長の判断は別として、給食導入は大いに議論すべき課題だと思う。

【知事】
・就学援助では給食費が出るのか。

【綛山副知事】
・出る。そのため、市町村はランニングコスト以外に就学援助の分を負担しなければならないという心配をする。しかし、それは当たり前のこと。

【知事】
・就学援助も、地方財政制度の中で基準財政需要額に積まれているのではないか。

【綛山副知事】
・積まれているはず。

【知事】
・「子どもたちがコンビニ弁当を食べている」というが、中学校は休み時間に外に弁当を買いに行けるのか。

【教育委員会事務局】
・朝、通学路にあるコンビニに寄って買ってきたり、校内の購買部のパンを買ったりしているようだ。

【知事】
・私が中学生の時、3年間毎日パンを食べている生徒もいた。大阪には、実際にそういう生徒がたくさんいると思う。

【教育委員会事務局】
・綛山副知事の指摘である就学援助について、教育現場において、就学援助を受ける子どもだけが給食を食べることが教育上望ましい形かと言えばそうではない。学校給食に対する認識として、就学援助の対象となる子どもだけではなく、自分で選択して給食を食べる。それに対して経済的厳しい子どもには結果として就学援助が当たるという結果論であるべき。そういう給食の状況を学校の中で作り出すまでに、学校の中や市町村教育委員会で教育的配慮を含め、相当な議論がいる事業だと思う。

【知事】
・保護者の実施希望は概ね高い。60%といったら、公選職である私の感覚で言えば、圧倒的多数。通常の政策で「20%、30%が希望」といったものが山ほどある中、60%を超えている。この話をすると、どこに行っても皆が万雷の拍手で「そうしてほしい」と言う。それが今の大阪府民の声。また、私の年代はちょうど子育て世代。私が接している人たちは、給食に対する要望が非常に強いと感じている。そうであるのに、行政サイドがそれを真正面から受け止めないということに違和感を覚える。また、その部分をつないでいくのが私の役目でもあると思う。
・どちらを主とするかは別として、子ども達に栄養価の高い食事をさせるということと、働くお母さんに対する家事労働の負担軽減という2つがある。負担軽減は、わかりやすいサポートだと思う。核家族化している中で、おじいちゃんおばあちゃんに頼れないような共働き世帯のお母さんに対してダイレクトに行政が手をさしのべることができるサポートだという思いがある。
・府内の市町村長、行政は、もっと子育て世代の圧倒的な声というものを真正面から受けないとダメ。府のいろいろな事業の中には「これはどうなんだろう」と思うようなものであっても、「必要だ」という声に従ってやっているものもある。それなのに、これだけ府民が熱望している事業を放っておくというのはどうか。

【小河副知事】
・違う観点から見ると、給食の時間を、先生と生徒がコミュニケーションできる時間として使えるのではないかと思う。中学校になると教科担任制になるので、給食をうまく使えば、クラスのコミュニケーションが図れるのではないか。私は賛成派。
・もう一つは、制度設計をする際に、供給量の問題はあるが、生産者側も喜ぶので大阪産の野菜を是非組み込んでもらいたい。

【知事】
・この件は市町村事業なので、決定権について府が口を出すことは出来ないが、大阪府として、公立中学校の給食導入は、行政として真正面から取り組むという大きな方針を立てたい。
・府の方針として決定し、来年度に詳細な設計をする。議会の議決が得られれば、府内のPTA協議会かPTA会長に集まってもらって、この問題を訴えかけたい。府はこういう方針でこういう補助を用意するので、あとは市町村長を皆さんが動かしてくれという場をもちたいと思う。
・メッセージの出し方。給食導入の目的としては、家事労働の負担軽減と、子どもの健全育成のどちらが主になるか。

【教育委員会事務局】
・まずは子どもの健全育成と教育。

【知事】
・それにあわせて、働くお母さんのサポートにもなるということ。

【木村副知事】
・行政として当たり前の状況を作るということを訴えていくということ。

【教育長】
・基本は子どもだと思うが、副次的に働くお母さんのサポートになるというメリットもあると思う。
・今日の確認点として、資料1‐1の5頁「基本的な考え方」、6頁「平成23年度当初予算(案)の考え方」、7頁「今後のスケジュール」ということでよいか。

【知事】
・あとは行政的に詰めてもらえばよい。

【政策企画部長】
・では1点目として、「基本的な考え方」を了承する。2点目として債務負担行為の予算案を議会に提出する、そして、制度の詳細は今後、議会、市町村のご意見を踏まえてさらに検討することとする。

【知事】
・この件について、私のメッセージを出したい。給食について、大阪府の方針として真正面から取り組んでいくということで府のホームページの「知事の主張」に掲げたい。
・制度設計については来年度だが、いろいろな市町村長から「窮屈な制度になって使い勝手が悪いと乗れない。」「国のように、2分の1補助と言いながらどんどん対象を削り、気付いたら補助の額が少ないといったことにならないようよろしく。」といった声が届いている。給食を広げることが重要なので、制度設計にあたっては、これらを留意してほしい。

【教育長】
・本日の内容を、教育委員会から市長会、町村長会、府議会各会派にお知らせする。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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