平成22年度第18回大阪府戦略本部会議 議事概要【議題1】

更新日:2015年8月5日

議題1 企業誘致戦略について

商工労働部から資料に基づいて説明

資料名

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資料1-1 旭硝子株式会社の返還金に伴う加算金の免除

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資料1-2 世界をリードする大阪産業の現状と今後の取り組み

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資料1-3 企業誘致施策の現状

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資料1-4 府による企業誘致インセンティブの効果的活用

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資料1-5  インセンティブに関する大規模補助金交付企業等の意見

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資料1-6  企業が立地した場合の直接的な府税収入効果(試算)

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<旭硝子の加算金について>
【木村副知事】
・加算金はどういう性格で、どういう計算式で、どれぐらいの請求額になるか。

【商工労働部】
・加算金については、いつ大阪府に補助金が返還されるかにもよるが、一応、11月末を目途に準備を進めておられると伺っているので、それを踏まえると加算率の額は年率10.95%で計算して、約1億7,000万程度になる。

【木村副知事】
・加算率が10%超ということは、金利というよりはペナルティの意味あいが強いのか。

【商工労働部】
・府の補助金交付規則において補助金適化法を準用している。ペナルティ的要素もそこに付け加えられていると考える。

【木村副知事】
・過去に、府の補助金を受けて返還し、加算金を免除したケースがあったのか。

【商工労働部】
・今回が初めてのケース。

【知事】
・ペナルティという考え方になると過失責任になる。このロジックであれば、「旭硝子(株)責に帰すべきものではないことから、やむを得ない」ということ。帰責性を問題視しているということは、今後、加算金については、帰責性がなければ取らないという考え方でないと整合性がとれなくなる。加算金は過失責任に基づくものだということで、過失についてそれぞれ検証していくということになる。補助金の返還にともなう加算金全体について、その体系にするということでいいか。
・補助金の返還にあたっては、行政的な加算金なので、過失の有無を問わず一律にとるというのが、もともとの話。今回問題なのは、旭硝子にとってもプラスはあったが、こちら側が先渡しをしていたことが問題なわけで、要件を満たしていなくて、制度が後払いであれば加算金も何もなかったはず。
・先払いする方が、企業にとっては得なので、府に全面的な問題があるわけではないと思うが、制度の仕組みとして要件を満たさないのに先払いをしていたこと、要件を満たさないから返してくれといって、全部加算金をつけていいのか。要件を満たさないこと自体が過失がなかった、一企業の問題ではなかったこととなると、そんな事例は今後も出てくると思う。

【総務部長】
・議論はしたが、今の規則を見るとやむを得ない事由のある場合の例として、例えば市町村を通じて第三者に効果が帰属するような場合の間接補助では、第三者が要件を満たさなかった場合、これを市町村に返還を求めるのは酷だとして例示にあがっている。
・そういう意味で我々も、やむを得ない事情は限定的に考えるべきであるというのが基本的な考え方。
・その点で、今回の旭硝子のケースは、旭硝子さんからすればやむを得ない事情があるのかもしれないが、それを規則の「やむを得ない事情」として認定していいのかどうか、非常に難しい問題である。商工労働部長から説明のあったリーマンショックによる世界同時不況は、我々も予測できなかったが、それを一企業の責任に負わせることは過酷であるという説明は、企業に本来入るお金が入らなくなるので、それを行政が被っていいのかといった話につながる。知事がおっしゃるように、読みきれなかった事情によって、追加的な投資ができなくなったこと自体は、やむを得ない事情だが、それを規則のいう「やむを得ない事由」としてストレートに説明ができるか難しい。

【知事】
・あまり帰責性の話にしないほうがいいのではないか。リーマンショックでは、このようなことはいろんなところで、「自分の責任ではない」となるので。もともと補助金の制度自体が要件を満たしていなかったのに、先方のメリットも考えて先払いをしたのだろうが、その部分に問題点があったと思う。だから今回、先払いをしない仕組みに改める。制度に内在する問題点だと言い切ったほうが、この補助金のみに適用される問題ということではっきりするのではないか。

【木村副知事】
・今回のケースは、実感として6億円を返していただいて、さらに追い金を求めることはできないという印象がある。いま知事が仰ったような議論であれば、これから議会の承認をいただく中で、どういう説明をしていくのか。

【知事】
・過失ではなく、先払いの制度であったことをやむを得ない事情と考える。

【木村副知事】
・それは問題ないのか。

【商工労働部長】
・それは個別判断だと思う。個別判断するときに、制度上内在する問題があったことをもって今後の案件への波及を食い止めるという理屈になると思う。ただ現状の規則に基づけば、申請した企業側の事情に基づき、やむを得ない事情があると認める必要がある。

【綛山副知事】
・今回の件が、規則17条6項で規定するやむを得ない事情で読めるのか、論理矛盾があるように思う。ただ限定で解釈するというのはあると思うが。何でもかんでもやむを得ない事由だと言うのではなく、天災が起こってしまって、だれも帰責事由がない場合などに適用するとなればわかるが。

【知事】
・帰責性の話にしてしまうと、過失がある場合だけ加算金となってしまう。府が制度を作っておきながら、制度を否定するというところに課題はあると思うが、そこは要綱の欠陥でもあったので、素直に認めた方がいいのでは。

【政策企画部長】
・ただその時に、制度の欠陥であるとすれば、その欠陥を知った段階で、どうして制度を変えなかったのかという議論につながらないか。

【知事】
・今回私が気づいて、問題提起をした。

【商工労働部】
・私たちもこういう事例が起こるとは思っていなくて、今回、初めて事故報告という形で正式にいただいた。

【知事】
・今回の問題を契機として、交付金の支給は要件を満たした後にしようと、切り替えたわけで、そこは要件を満たさなかった。補助金本体の返還は制度に内在する問題ではないので、返してもらえばいいが、加算金の問題は、先払いしなければもともと加算金が発生しなかった。相手に帰責事由がないとしても補助金の先払いの金利分が不当利得ではないかという議論がありうる。

【総務部長】
・加算金の性格は、どうもはっきりしない。10.95%という数字が、単に利息相当分とは割り切れない。多分、利息+ペナルティ的要素の両方を含んだものと理解されている。今までは、利息的な受け止め方が強く、当然返してもらうものだと理解されていて、突き詰めて議論されてなかったと思う。そういう意味で加算金の制度をこの問題とは別にもう一度、きちんと整理をしたい。もし利息だとすればこういう率ではなく設定するのがいいのかという点も含めて総務部として検討する必要があると思う。

【知事】
・利息など不当利得的な要素であれば、相手の帰責性に関係なくそれは返してもらえる分。それに加えて、ペナルティ的な要素があれば、そこは帰責性を考える。というように、二つの要素に分けるとすっきりする。
・本来、利息であれば帰責性がなくても返してもらわなければならない。しかし今回、先払いしてしまったので、要件未達の場合に返してもらわなければならなくなっている。それは制度の欠陥でもあるから、大阪府の制度にも問題があったのでという理屈。

【綛山副知事】
・加算金10.95%という率を設定しているのは、それをとることに目的があるのではなくて、高い加算金が加算されてしまうので、一定の条件通り遵守してくださいということ。それが加算金の本来の趣旨ではないか。遵守しようとしたが、遵守できない事情が出てきた場合はどうするか。本件の場合は、そこまで考えたうえでの制度設計になっていなかった気がする。もともと、達成してから払えばよかったという議論もある。
・ただ、本件の対応方針は決めないといけない。議会の議決を頂けば、法に基づく一定の手続きを経ることになる。ただ、今後加算金制度の理屈をどう整理するかは総務部が検討すると自ら言っているとおり、しないといけない。

【政策企画部長】
・方針として、旭硝子に対する加算金は免除する。免除の考え方、根拠については、知事のご指摘も踏まえた整理をする。そのうえで議会に提案する。

【知事】
・今回の問題については、ガバナンスの点をしっかりしてほしい。これはもともと、事務決裁規程の中で、補助金交付と取り消しが部長決裁であった。今回、決定された後で報告があり、僕が待ったをかけている形になっている。要綱に基づいて、要件事実を認定して決まる話と、総合判断が必要になる話を分ける必要がある。何か変えるのか。

【総務部長】
・そこはまだ変わっていない。

【知事】
・補助金の要綱に基づいて部長が事実を認定して交付することと、政策的な総合判断が必要な場合は違う。

【総務部長】
・これまでも一部補助金を取り消した例はあるが、それは、書いてある要件に反していることが明らかな、事実確認すれば取り消せる場合であった。そういうことを想定して今の決裁規程は作られているところ、今回は、想定していない事例が出てきた。どういった場合で線引きできるのか検討する。今回の事例のように、本体部分の取り消しに異論はなくても、加算金の処理について判断がいる場合などが考えられる。

【知事】
・事実確認すれば対処できるものについては、金額に関係なく部長決裁でよい。政策的な総合判断が必要で、一定の金額以上になった場合などに、限定をしてもらいたい。

【総務部長】
・総合判断が必要な場合というのを、どう区分すればいいのか検討する。決裁規程がそのままでも、こういう事例は必ず知事にご相談しますので、それでいいのかなと思っていたところはある。

【木村副知事】
・通常、例外的な事項や、判断が必要な事例については、知事にあがることになる。

【知事】
・もともとあがってくるような話になっているのであればよい。

【商工労働部長】
・今回の事例は、部として、知事に判断を仰ぐべきと判断した。一応、知事にあげる際、部の判断を話させてもらったもの。

【綛山副知事】
・案件ごとの処理なので、過去に事例がないとか、重大な影響が予想されるといった場合に、部長の判断で知事にあげている。

【小河副知事】
・マニュアルにしてしまうとかえって逆効果になる可能性もある。

【総務部長】
・例外的な場合というのは漠然としているので、言葉を足して、全庁が共通認識に立てるような工夫を検討する。


<企業誘致戦略について>
【商工労働部長】
・商工労働部としては来てほしい企業には積極的に誘致すべく、営業をしていきたい。そのためには補助金というインセンティブが必要だと思っている。ただし、補助金を交付する場合にも回収するという発想をしっかり持っていきたい。

【総務部長】
・資料1−2の説明と補助金見直し方針の説明が必ずしも合っていない。150億円という高い上限を設定した補助制度は武田薬品の誘致に端を発する。その際こういう制度が無かっために誘致がうまくいかなかったということで、以降は大規模投資を大阪で検討される場合、具体的にはハイテクベイエリアの形成という狙いで、場所は旭硝子が立地した平林とシャープが立地した堺浜の2か所をターゲットにして制度を作った。
・大企業の大規模な投資を呼び込む制度を今後も続けるかどうかをまずきちんと議論すべき。企業誘致に補助金が一定の効果があるということはわかるが、それが150億円の規模で必要かどうかは検証が必要。今の大阪の工場立地の可能性のあるところをみると、大規模投資をどこでやるのか。彩都中部は確かに有力な候補地であるが、今後は1社ではなくて何社かを誘致する方向に変えてきていると思う。そういう意味では私は大規模な投資を誘致する時代ではなくなったと思っている。
・このような大規模な補助金は各府県が競い合いながら実施したが、すでに方向転換して中小企業に対するきめ細かな制度に戻した県もある。
・資料1−2の説明で「今後はITやソフト系の企業への支援への転換に力を集中していかなければ」とあった。それなら150億円ではないだろうと思う。大阪府の企業立地政策のインセンティブメッセージが150億円だけというのは寂しい話。補助制度を否定している訳ではないが、今後の高額な補助制度は見直す時にきているのではないかと思う。

【商工労働部】
・彩都中部は区画は3つに分割されており、今のアンケート・予備調査では大きな企業が難しい。ただ夢洲については、具体的に大阪市とともにリチウムリオンやEV企業にも当たっていて、それなりの好感触も得ている。当地は30ヘクタール全部使うことも可能であり、150億円という限度額いっぱいを使う可能性は未だあると考えている。
・従来の工場や研究所だけをターゲットとするのではなく、ITなどの高付加価値のソフト系の事業所も誘致したい。最近の事例から雇用創出力・収益率が高い創造的なハイエンド企業も北ヤードや咲洲に誘致したいので、それに対応した制度も作りたい。

【知事】
・特区との関係はどうなるのか。特区でありながら別途補助金も出すのか、特区が成立すれば補助金は出さないという明確な考えはあるか。特区で規制緩和と税率低減をやって、さらにそこに補助金を入れる必要があるのか。

【商工労働部長】
・  特区ができればいらないという議論は当然ある。一方で特区を認めていただくには、通常は地元の努力も求められる。それを示していく必要はあると思っている。

【知事】
・特区は制度構築している中で、税を低減した場合にそのリスクを地元が負うことで地元の責任を果たすという構図でやっている。敢えて補助金を渡すことは切り離すのかなと思っている。
・あるシンクタンクの資料で、補助金と面積の関係で、横軸に補助金限度額、縦軸に立地面積について相関関係がないというものがあったが。

【商工労働部】
・知事の指摘をいただいて、論文を取り寄せて分析した。新規立地の面積については、補助金を出したところの面積ではなくて、新規立地したすべての面積がはいっている。補助金交付を受けた面積と、補助金限度額の相関ならある程度意味があると思うが、補助金制度と関係のない新規立地面積全体では相関関係は出ないのでは。筆者本人も、論文中で、例えば茨城県では税の減免だけで補助金がないところもあり、相関関係がないこともあるとおっしゃっている。

【知事】
・補助金出さなくても大阪に来てくれる企業も多数ある。そうした企業との全体のバランスで、補助金出した先端産業の分野だけ、ミクロの当該企業が来てくれたということでなく、大阪全体の産業振興に効果的かということ。

【商工労働部】
・経済波及効果は知事から指示をうけて準備を進めている。例えばシャープや今回の旭硝子でも地元企業に対して優先的に発注されている、旭硝子では1/3は地元企業、パナソニックでも半数近くが地元中小企業に発注されていることもあるので、大きな企業に来てもらえば、雇用も含めて地元に相当にプラスの影響を与えているのは確かであり、具体の数字で検証していきたい。
・大規模な設備投資は地元経済の活性化に非常に効果があり、湾岸に立地してパネルベイ、バッテリーベイと言われているのは事実。政策投資銀行の発表でも、国内の製造設備年齢で関西が全国レベルまで回復したのは、明らかにベイエリアの設備投資。これからの付加価値を生む産業の立地が将来いきてくる。

【政策企画部長】
・インセンティブがあるから立地できたというのはその通りだと思う。ただこの補助金は誘致上の競争優位性を高めるための補助金と考えた時、競合先は誰なのか。例えば隣の兵庫県や和歌山との競争優位性を高めるのか、それとも海外での先進地域か。どこをターゲットにしているのか。

【商工労働部】
・少し前までは日本の他府県との競合が多かったが、最近では大企業・中小企業含めて海外への投資ということにシフトしている。それをいかに国内で立地をしてもらうか、彼らが考えるのはイニシャルコストをいかに低減するか、また利益をいかに手元に残すかを考える。

【政策企画部長】
・今、広域連合を作って特に産業政策は大阪府でやろうとしている訳で、トータルで圏域の魅力を高める、そういう政策の観点が必要。このペーパーは全部大阪府のことを書いているが、関西ワイドでの視点の検討はどうか。

【商工労働部長】
・オール関西で考える視点はもちろん重要だが広域連合に関しては、現時点ではそこまで到達していない。それを踏まえて、この補助金の見直しに当たっても大阪府という単位で考えた。今後、広域連合が機能していくようになればその方向でやっていくべきだと思う。

【小河副知事】
・雇用も含めてということだが、一方で先端産業や研究所には雇用は少ない。二兎を同じように追うのか。多少雇用は少なくても集積させたら、先ほどの話でもサポート産業が来る。雇用が少ないところに、雇用を義務付けても来にくい。片方でハイエンドといいながら、両方満足しないと出さないというやり方をするのか。

【商工労働部長】
・ハイエンドの事業所を誘致する場合は、ハイエンドでかつ多くの従業員を雇用することになれば、そのような企業は相当な付加価値を生む産業であるということ。例えば大阪のような賃金が高い都市部でそれなりの雇用を生むことは、必然的に高付加価値を生むものに限られていくと思っている。

【小河副知事】
・直接雇用を多く生み出すものでなくても、波及効果で雇用が増えていくという戦略もあってもいいのではないか。個々の研究所で雇用何人とか言っても、企業が来ないのではないか。

【商工労働部】
・二兎を追うという説明が不十分だったかもしれない。雇用の要件を強化するという説明をしたが、実態としては、先端産業補助金で助成した事業所の雇用数については、100億円につき50人ぐらいは雇用されており、その実態に合わせた要件にしたということである。

【総務部長】
・現状に合わせて、要件を考えるというならあまり意味がない。

【政策企画部長】
・戦略性のあるターゲットとそのためのツールが整合していない。資料1で作っていただいているが、検証できていない。ターゲットとツールの関係を検討していく必要がある。

【総務部長】
・ターゲットもあれもこれもという感じがする。ハイエンドの事業所も、バイオも、新エネもと、雇用もやると。目指しているものに対するツールとして何が最もふさわしいのか。また目指しているのは「今はこれに特化する」ということが見えてこない。

【政策企画部長】
・議論になるのは、結局、プライオリティの問題。いろいろな政策がある中で当該事業を優先する必要性を必ず説明しなければならない。そのときは、いったんこういう支出をするが、何年間かでこれだけ回収できるから財源投入してくれという話もしなければならない。そこをもう少し詰めていかないと。

【知事】
・企業立地の補助金というのは制度化になじまないのではないかと思う。ときの政策判断で「この案件はどうしても」というときに額などを勘案しながらやるようなもの。皆さんは「企業誘致を働き掛けるときの名刺代わり」と言われるがどうか。先に制度化してしまうと、もともと1つの企業が立地すればその周りに関係企業が集積するような場合でも対象となったりする。かたや、公平性とのバランスにおいては制度化しておかないと「なぜその企業だけ?」ということにもなる。

【商工労働部】
・やはり一定制度化しておかないと、対外的に発信できない。実態として一番情報が集まってくるのは、「こういう立地をしようと思うが補助金の対象になるか?」「大阪府にはどういう補助金があるか?」という話から。個別案件について補助金がどういう制度設計になるかわからない中では、企業誘致は難しいと思う。

【商工労働部長】
・実態論としては予算議論をしなければ補助金を交付することはできず、事実上は個別議論になっていくと思う。ただ、制度として存在しないと事前には一切議論ができなくなる。そこはご理解いただきたい。

【知事】
・資料1-3の実績を見ても、「産業集積促進税制」は209件約14億円の軽減でなるほどと思うが、「企業立地促進補助金」「産業立地促進融資」ではシャープやパナソニックが来てくれているのは大変ありがたいが、件数としては、それぞれ19件、25件、28件の実績。その数のためにこの大規模な制度をつくるのか。
・要は税の使い方で、今日も教育委員会と議論をしたが、2〜3千万円の学力向上策についてギチギチやっている。教員の視察にしても5千万円、教育改革プロジェクトも8千万円くらいの話なのに、こちらではこんなお金の使い方をして…というのがある。数十億円あれば、ボロボロになっている高校の校舎の建替えができる。また、大阪の現状を見ながら教育の基盤をしっかりつくっていく、中小企業支援であれば産業技術総合研究所の基盤をつくっていくこともできる。本当にこの補助金がなければ立地してくれないという話ならわかるが、そうでもないようなところに渡すのはどうか。

【商工労働部】
・企業誘致にあたっては補助金制度は府内投資を検討してもらうための入口。

【知事】
・しかし、大阪は関空にお金をつぎ込んでいる。第二京阪道路でも400億円くらいの直轄事業負担金を支払っている。それで十分、産業を支えるインフラ部分を行政が担っていると言えるのでは。府の全体の予算の中で、関空、高速道路などのインフラ部分は、地方よりある意味優先している。

【商工労働部】
・その分、土地の値段も高くなっている。工業用地価格の平均で言うと、東京を除くと大阪が一番高い。神奈川県よりも平均が高い。言い方は悪いが、地方の府県は、大阪の土地の3割の価格。

【知事】
・そこは決定的に間違っている。私が民主党政権に「広域行政の仕組みを作ってくれなければおかしい」と言っているのは、安い土地に工場を立地させ、高付加価値の所にはそれに見合うものを持ってくる必要があるから。土地が高いところに工場を持ってこなければならないから補助金が必要という話になっているが、わざわざ地価の高い大阪に工場を持ってこなくても、広域行政、関西広域連合で、地価の安い所につくってもらえればいいのではないか。

【商工労働部長】
・今回我々がターゲットにしているのは、新エネルギーやバイオなど、まさに大阪府が成長戦略で描いているところ。量産型の工場をターゲットにしているわけではない。

【知事】
・ハイエンド産業であれば、その地代に耐えれるような高付加価値を産むようなものを持ってくる。空港もあり、教育機関も整い、高速道路などの社会インフラもあって土地の値段も上がるが、それに見合うようなハイエンド産業であれば、そこにあえて補助金をいれる理由がなくなる。

【商工労働部長】
・やはり、我々が来てほしい企業がほっておいても来てくれるかどうかだと思う。来てほしいところに関してはしっかり情報を取り、コミュニケーションをとって、「府はどれだけコミットしてくれるのか」というやりとりの中で立地が決まることが結構あると思う。全体の関係の中で大阪を選択してくれるところに対してまで補助金を出す必要はないが、立地によって何千億の経済効果があるというところに対しては、積極的に打って出るべきだと私は思う。

【総務部長】
・我々は全く効果がないと言っているのではない。これから大阪府はどういうところをターゲットにするか、それにふさわしいツールは何か、ということをもう少し考えるべきではないかということを申し上げている。
・商工労働部が作成された資料1-5のアンケート調査結果で、「A社」は府の補助制度がなくても立地に影響なかったと答えておられる。交通アクセスや道路整備、本社が近いといった立地条件で決めたとのこと。立地に当たり、補助金が全く考慮されなかったとは思わないが、150億円という補助金を、これからも中心的なツールとしてやるかどうかの問題だと思う。そこはもっと検討いただいたら良いかと思う。

【綛山副知事】
・議論を聞いていると、屋上屋を重ねているのではないか。今までの制度に新しい対象を追加しようとしているが、今は転換が必要。高度成長期に他府県と競争するためにどんどん造成した用地が空いてしまっている中で、亀山にシャープが進出した。大阪府でもそれを踏まえてというところから始まっている。ところが、いまは商工労働部の分析や、資料1-3に示されている課題などに応えていく新しい制度への転換を言われているにもかかわらず、150億円の補助額は変更せず、「大阪産業を活性化するハイエンドで雇用創出効果の高い企業」を対象に加えるなど、屋上屋を重ねている。転換が進むような工夫をきちんとしないと、これまでの制度の維持ではダメ。新しい形に衣替えをしていく中でハイエンド、研究所、雇用などに重点を置く。諸外国と競争するというが、例えばものづくりでそんなことはできない。日本がこれから生きていける、日本でないとできないような企業、研究所を誘致する補助制度に転換することが必要。これまでの延長線上のプラスアルファでしか議論していないように思う。

【木村副知事】
・企業誘致をミッションとしてやっている組織が、自らの存在を問われている。与えられた武器は補助金だけ。融資や税制を武器にして、それに加えてこれまで効果があった補助金制度を守りたいというのは当たり前。ただ、知事がおっしゃるように、制度という目で見れば、今回出てきた創造型ハイエンド企業やがんばる中小企業を具体的に制度に落とし込むのは大変。後でPDCAを回してみれば、そういう制度が本当に設計できるか疑問。広域連合のようなかたちで、広域の企業誘致をどうするかということも答えが弱い。もう少し揉む必要がある。一言でいうと、今回の提案は総花的でターゲッティングが非常に甘い。「製造業もソフトも」になっていて、制度を整理していった方が良い。もう少し議論すべきというのが全員の総意ではないか。
・ただ、企業誘致という仕事も進めていかなければならないし、広域というテーマはあるが、大阪を元気しなければならない。また、成長戦略の経済成長年2パーセントという課題もある中で、組織論的には何かしなければと。

【知事】
・税収については府内立地にこだわらないといけないが、別に大阪府に立地しなくても、例えば兵庫県にあれば、大阪府の技術力のある中小企業が取引きすることもできる。府内の立地にこだわる理由は、税収面でしかないという思いがある。成長率などを考えても、立地場所は関西圏域で考えなければならいのでは。視点としては、立地については関西ワイドで考え、しゃかりきに府内、府内と言わなくてもよい。税収面というのであれば、それを意識した補助制度にすべき。そうなると産業分野がどうだというのではなく、いくらか補助金を渡すから5年後ぐらいには税収を稼いでくれという制度になる。そのあたりをどうするか。
・これから広域連合で府が産業政策の事務局を担う。大阪府ばかりの話をしてしまうと、関西の産業政策でなくなるということになる。ある意味、府内立地というところは放棄しても良いのではないか。たとえ兵庫県、和歌山県に立地したとしても、そこと中小企業をいかにつなげてあげるかが大切。

【政策企画部長】
・議論が幅広くなって、今日は結論にまで至らないと思う。今日の議論を整理しながら継続して検討することとしたい。

【知事】
・資料1-6の計算については、企画室で検証してほしい。亀山工場も途中で移転してすったもんだしている。資料では投資回収が9年になっているが、現状では、投資回収でやるなら最長でも5年で回収見込みがあるようなものでないと、9年、10年というのはスパンが長すぎる。そのあたりを精査してほしい。

【政策企画部長】
・それは私の方で行う。
・本件については論点を整理し、継続して審議することとする。

【知事】
・これから予算議論に入っていくが。

【総務部長】
・そこの議論の整理は総務部で相談させてもらう。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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