平成22年度第11回大阪府戦略本部会議 議事概要【議題1】

更新日:2015年8月5日

議題1 財政構造改革プランたたき台

            資料名

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資料1 財政構造改革プランたたき台

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【政策企画部長】
・財政構造改革プランのプロジェクトチーム(PT)としてのたたき台がとりまとまったので報告いただき、今後、部局長とのディスカションを踏まえて改めて戦略本部会議で審議した上で素案としての意思決定を行う。

【知事】
・既に概要の報告は聞いている。今日の戦略本部会議は、たたき台として表に出すための手続き・プロセスとしての場だから、説明は簡潔でよい。

<改革PT長から資料に基づいて説明>

【知事】
・報告を受けた段階でも指摘したが、過去の景気対策の総括の部分は、どこで議論になるのか。

【総務部長】
・部局長と公開のディスカッションをさせていただく予定なので、その中で過去の府の財政運営の経緯と評価について、知事と議論をさせていただく予定。

【政策企画部長】
・ディスカッションが非常に重要だと思う。例えば、「構造問題で国に何を迫っていくのか」などもディスカッションで明らかになってくる。もちろん、大阪府の構造的な課題もディスカッションで深まってくるのだと思う。PT長としてディスカッションでこういう点を議論したいということがあれば、説明しておいてほしい。

【PT長】
・総務部長が言われたように、財政改革議論の前提として、起債発行を中心とした過去の財政運営の総括、メインは公債費になると思うが、それをまずさせて頂きたい。また知事からも指示があった課税自主権の活用、新たな超過課税についての課題について、今後検討していきたいと思っており、それについてもディスカッションの場で議論していきたい。
・施策関係では、部局とPTとの間で調整未了の私学助成について、府として「如何に選択と集中を行うか」という観点からの議論。制度融資についても、整理はしたが、制度融資の再構築の方向性について、これでいいのかどうかについての議論。さらに公営住宅のあり方について。我々としては、管理戸数の見極めなどがメインとなるが、それだけではなく住宅政策のあり方という観点から意見交換をさせて頂きたい。

【知事】
・消費税の話をした瞬間に国民が反発したように、行政の世界だけではカネが足りないと、すぐ増税かといった議論になるが、国の努力の姿勢が見えない中で増税の話をしても、政治の世界では国民からの後押しを受けないと全く進まない。そういう意味で、過去の財政運営について総括をやっていかなければならない。
・新聞記事で、参院選の特集で福井県が少子高齢化を止めるのに、病児の子どもを無料で預かる施設に補助しているなど、いくつか子どもの施策をやっているのを読んだ。もしそれを府でやろうとすれば、とてもじゃないが出来ない状況。「なぜなのか」というのが、どうしても僕の感覚で理解できない。府県の規模といっても、それにあわせて税収がくるわけで、何がどうなっているのかずっと疑問に思っていた。その部分をはっきりさせないと府民に対しては、僕も「負担を」と言えない。他の都道府県比較を踏まえてそこを明らかにする作業をすべき。
・今回の議論の中では、組合との交渉もあるが、資料1のP158の公務員改革について、具体的な数字は出せないのか。

【総務部長】
・いま試算をしているが、もう少し時間を頂きたい。

【知事】
・府の今までの財政運営で、いつも税収が減ってきたという話をよく聞くが、本当にそれだけなのかをちゃんと説明できるように。その部分がクリアにならないと、福井県がやっているこのサービスがあるから福井の方が上だというつもりはないが・・・ただ、ああいうふうに報じられると府民も「なんでやねん」となってしまう。
・なぜ、府はこうなったのか。他の都道府県ではやっていない事業に多額を要したケースもあるのではないか。そういうのを明らかにして府の職員も気づいてもらわないと。

【綛山副知事】
・大阪には大都市特有の需要がある。ただ、それでいいのかどうか改めて検証が必要で、それが知事の言う他府県比較の中で大阪府がどんな位置にあるのかどうか、他府県と比較して、大阪府が水準が高い場合、府としての施策選択だということであれば、それは堂々と説明する。しかし高すぎる部分が、他の施策の足を引っ張っているのであれば、それは府民の理解を得た上で、下げる必要があると思う。
・先ほど、PT長が例示でいったものは、大きなものだと思うが各論の部分でも他府県との比較の中で課題整理してくれていると思う。今後、それらを踏まえ大阪府案としてまとめ上げる。

【知事】
・その時に、過去の財政運営の総括ということで、公債費や公務員制度改革について、行政の慣行としてどうだったのか。また、大阪独自の事業なのにそうした事情を十分にはオープンにせずにやっているものもある。きちんと出すべきだと思う。
・中味はきちんとまとめてもらったので、今度はディスカッションの時に、総括の部分に力をいれたいと思っている。

【改革PT長】
・過去の経済対策といっても、大量発行したのは平成5年から7年くらい。そこまで遡って、他府県比較も含めて検証・分析をしなければならない。

【知事】
・実質公債比率について、現時点で他府県と比較するとどうなるか。

【総務部】
・20年度で16.6%、悪い方から9番目。

【知事】
・皆さんの意識としては、府がこういう状況になってしまった要因は、景気対策をしたというところだけにあるのか。給与制度などに要因はないのか。

【総務部長】
・実質公債比率なので、給与とは関係ない起債発行分。他の都道府県よりも起債発行が多かったということだと思う。部局ディスカッションの際に、具体的にどういう事業に起債をあてこんできたか見ていただき、本当にその時点で府が必要としたものだったのかどうかを検証。確かに平成5年から7年に大量発行しているので、その具体的中身と、それが今の府の財政状況に与えている影響について分析をしていく。
・詳細に分析はできないが、私もよく申し上げているのは、財政制度の中で、大都市圏の行政需要が的確に把握されていないのではないかということ。税プラス地方交付税という一般財源を住民一人当たりで見ると、財政調整をやっていると言いながら都市部が低い。これをどう見るのかというのも議論させていただきたい。

【政策企画部長】
・景気対策で大量の起債を発行した。そのときは補正予算債という起債で発行。補正予算債にも交付税算入するという前提で、その算入率は5割から8割だったと記憶している。要は、そういう地方財政制度全体が大阪府の構造にどういう影響をもたらしたか明らかにしないといけない。
・公債費について、交付税算入があれば、その分は確かに需要額が積み上がっているはずだが、社会保障など義務付け経費でどんどん需要を増加させる一方で、交付税総額を落としていけば、交付税算入されたと思っている需要が「埋没」する。そこで結果的には大都市圏の需要が財政措置に十分反映できていないところがあるのではないかと思っている。

【知事】
・いまの実質公債比率は、臨時対策債などは除くのか。

【総務部】
・除く。

【知事】
・では、いわゆる建設事業に係るものが基本で、退職手当債なども除かれているのか。

【総務部長】
・退職手当債は入る。要は、交付税で需要額が歳入される分を除いている。

【知事】
・財政運営が厳しくなれば、一般事業をうまく抑制すれば退職手当債などは圧縮できたのではないか。そのあたりのマネジメントはどうだったのか。また、実質収支も府は悪かったはずだが。

【総務部】
・以前は赤字で予算・決算していたが、今では黒字化している。

【知事】
・実際には他府県でも赤字になるところを、減債基金からの借入れといった基金借入れで黒字化させているところもあるようだが、そういった状況は別として、府が長年赤字であったというのはなぜか。

【総務部】
・総合的に見なければならないが、以前は建設事業の需要が高かったという仮説に立つとすると、平成5年から7年に大阪経済にカンフル剤を打つという意味で公共投資を増やしたが、残念ながら、税収の回復度合いが東京、神奈川、愛知などに比べて遅く、回復し切れなかった。つまり、体力が弱っているところに有効な手立てが打てておらず、税収も下がったままという状況が続いてしまったということだと思う。
・歳出面で、行政投資が多すぎたのかもしれないということと、他の一般事業についても、他府県に比べて多かったのかもしれない。あとは歳入、税収が回復し切れなかったことがはっきりしている。もう少しその原因をつっこんで見ていくと、答えが見えてくると思う。

【知事】
・総合的に見るとその通りだと思うが、諸団体への補助金の打ち方について、私は他府県の状況を知らないので比べられないが、単純に府の状況を見ておかしいと思った例がたくさんある。医師会、トラック協会など、今は見直していっているが、そういうところはどうか。

【総務部長】
・個々に見ていくとそれぞれ違いはあると思うが、団体補助金については他府県でも同様の課題を持っていると思う。

【知事】
・それに苦しめられていたというところはないのか。

【総務部長】
・額は様々。小額なものもある。大きなものについてはこの間見直してきた。

【綛山副知事】
・大阪府の歳入・税収構造は、他府県と比べて落ち込みがきつく、回復が遅い。かつて大阪は製造品の出荷や卸売品の出荷などで日本全体の1割程度のシェアを占めていたが、現在7%くらい。愛知、神奈川に抜かれた。今年から、法人二税よりも個人住民税が上回ったことが象徴的。かつて7000億〜8000億の法人二税が現在2000億くらい。
・歳出構造に係る5,6,7年の地方債大量発行は、国の景気対策に地方が巻き込まれた。一般財源なしで、10割の起債を認める補正予算債など。これにより公共事業などを行い、下水道普及が大きく伸びた。
・粗い試算では、36〜37年に償還終了。これまで歳出面での構造部分がようやく見通せる状況になってきたので、税源培養をして、府の財政を良くしていかなければならない。

【知事】
・なぜ他府県はそこまでいかなかったのか。
・交付税100%措置といっても満額くるとはかぎらないことはわかっていたのでは。

【総務部長】
・仮説だが、不交付団体が交付団体になったときに起きる問題。不交付団体は財源超過しており、交付団体は概ね交付税の枠内で事業を行っているのではないか。大阪府は不交付団体だったので、福祉・医療助成などの単独施策をうってきた。交付団体になったとき、歳入が減るのと同じスピードで施策の見直しは難しい。不交付団体が交付団体になったところが一気に赤字団体になることもある。

【知事】
・地財計画のときにも言ったが、護送船団で行くのか、負担とサービスをはっきりをわかるようにするのか。府民も受けていたサービスを単に止めるというのは抵抗ある。

【政策企画部長】
・交付団体の中でも、不交付団体に近い団体の財政が厳しい。交付税算入のある起債といっても、交付税の額は需要額と収入額の差でしかない。そうすると、需要と収入の差がほぼゼロに近いものだったら、実際に交付される額は算入される公債費の額に満たない場合がある。そうすると、現実的には税を使わないといけない。さらにその税で、行政サービスの水準を維持しようと思えば足りないから、キャッシュフローで無理をする。だから、財政力指数でいうと、1に近い団体が極めてしんどい。

【知事】
・いろいろ議論をつめても、民間企業と違って最後は府民が納得するかどうかが一番。財政制度を基にしたテクニカルな議論では、府民は納得しない。府民は、妊婦健検診の問題にしても大阪はサービスが悪いと思っている。その上に負担をというのでは納得しない。府がこれまでに税金を投入してきた部分はどこか。
・団体補助を事業補助に切り替えても、同じ枠の中で名目だけ。府が金を突っ込んできた部分が、府民全体の利益につながっていないところがあるのでは。今のままで負担を増やすお願いをしても、なかなか理解してもらえない。なぜ大阪はこうなのかという説明のしかたが重要。

【総務部】
・個人的な感想になるが、大阪は国際空港、新幹線、都市高速道路、モノレールなど都市インフラは充実している。河川環境もすばらしい。他県にいた経験からも、補助金メニューは概ね同じで、極端におかしいと感じたことはない。大阪には無い物ばかりではなく、優れている所は一杯ある。

【知事】
・都市インフラに投資した結果、便益が上がったことも理解してもらわないと、ということか。
・国の役所に打ち込んでいく時には役所の理屈でいいが、府民に理解を求めていく時には役所の理屈ではなく、「大阪府はこういう所で便益を提供している。問題点もある。他府県と同じかもしれないが、例えば公務員務員制度の問題点などは改めなければならない。」という説明をしないと納得してもらえない。

【綛山副知事】
・地財のテクニックというより、サービスとしてどうなのかということ。

【総務部長】
・ディスカッションではそういう点を踏まえて議論したい。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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