平成22年度第4回大阪府戦略本部会議 議事概要【議題1】

更新日:2015年8月5日

議題1 財政構造改革プラン(仮称)の策定スケジュールについて

※総務部から資料をもとに説明

            資料名

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資料1-1 財政構造改革プラン(仮称)の策定スケジュール

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資料1-2 今後の財政収支の見通し(粗い試算)

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 【知事】
・ 「財政構造改革プラン」のスケジュールは、府政運営の基本方針との兼ね合いはどうか。ある分野に力を入れたいという基本方針が、改革プランの後に出てきたら混乱する。

【総務部】
・企画室で改革PT(プロジェクトチーム)の事業評価結果などを見ながら7月に政策課題の整理をするので、十分連携・調整していく。

【政策企画部】
・6月〜7月において、府政運営の基本方針の素案を作成する。その際、前向き政策課題の整理していく。その段階で改革PTと調整する。

【小河副知事】
・皆で共通認識を持つために、2つの策定スケジュールを合わせて作るべき。

【知事】
・初年度では構造改革系と前向きの話がばらばらに走らせたので、これは併せてやってほしい。

【総務部長】
・前回担当したが、2つのPTを立ち上げたが、どうしても切るほうが先行したので重要政策は発表できない状態が続いた。府政運営の基本方針素案を6月から7月とするにしても、主要事業の議論については企画室も入っていただいて一緒に議論するべき。
・ 23年度予算に向けての議論は完全に重なるので、調整・議論できていないと部局が混乱する。組織的にも連携してやってほしい。

【木村副知事】
・粗い試算について事前の説明では、経済成長率による影響の議論があったが、今回の試算における経済成長率のベースはどのようなものか。

【総務部】
・平成23年度の成長率については、政府の「経済財政運営の基本的態度」という見通しにおいて見込まれている+0.4%を使っている。平成24年度以降については、前回の粗い試算でも使った、旧産業開発研究所の出した毎年1.3%という数値を使っている。
・国が今、中期的な財政試算を検討しており、経済成長率についても検討をされているので、6月に出る結果を見て、1.3%とかけ離れた数字が出るならば、再考も考えている。

【綛山副知事】
・国の検討ではかなり厳しい目に見ていると聞いている。成長率1%という数字も聞いたことがある。そうなってくれば変わってくる。

【総務部】
・経済成長率の設定による影響についてであるが、経済成長率を高めに見込んだときに金利をどう見込むかが悩ましい。成長率を高めに見込んだ場合でも、金利は現行の2%台を見込んでいるが、金利が4〜6%という数字を置くとすれば、公債費負担が重くなり、短期的な収支が悪化する。ただ、金利がそれほど上がらないという見込み方をするならそれほど苦しくはならない。そこは研究しなければならない。

【木村副知事】
・この試算では金利はそれほど上がらないだろうという見方をしているということか。

【総務部】
・そのとおり。

【綛山副知事】
・3ページに、平成28年末の減債基金積立不足額は2342億円とある。減債基金の復元として毎年430億円を積み立てていくが、それを見込んだ収支差を意識しなければならないから、要対応額は900〜1000億円程度となる。それでも未だ2300億が積み立て不足。本当ならこれをゼロにするためにはもっと倹約しなければならない。まだ宿題が残るということか。

【知事】
・8ページのところで、平成34年から44年度にかけて、約6800億円もの一般財源が必要となる見込みとあるが、これには、通常返している範囲か。普通にやっていけば、長期トレンドとしては、示した形になるということでよいか。

【総務部】
・そのとおり。平成37年度が一番尖った山になっており1000億になっているが、これは最終償還の元金の返済が一気に来るため。トータルとしては、現在発行を抑制しているので、公債費全体が減っていく。そこに、この最終償還元金が乗るので、ごく一部の尖ったところだけが収支不足としてあらわれる。

【知事】
・過去のバブル崩壊時、小渕政権の時だったか、国の経済対策に乗って府債を発行する時に、将来の償還についての見通しは持っていたのか。

【総務部長】
・8ページに記載しているが、平成16年度までは旧積み立てルールに沿って起債していたのでこういう状況が生じた。現在このやり方はまずいということで、積立方式は既に変えているので、最終償還が一気に膨らむという形にはしていない。

【知事】
・平成6年〜8年ぐらいの起債当時の長期見通しというのは立てていたのか。

【総務部長】
・平成10年の財政再建プログラムのときには、10年間の収支見通しを出している。

【総務部】
・平成13年に行財政計画を作った際にも、23年度までの10年の見通しを立てている。

【知事】
・発行額の推移によると、大量に起債したのはいつ頃か。

【綛山副知事】
・平成5〜7年頃。

【総務部】
・建設事業のピークは平成7年。7000億くらい。

【綛山副知事】
・バブルが弾けて国全体が経済的にかなり落ち込んでいったときに、国と地方財政が揃って公共事業をやろうということで、当時は「補正予算債」で100%起債を認めるので一気に公共事業をやれとなった。府でも、6,000億円から7,000億円オーダーで土木事業などをやったのが平成5年から7年度くらい。
・その時償還のことを考えていたのかについては、経済対策を打てば景気が回復していく、一定の公債を発行しても将来的にはきちんと償還できるという考えがあった。地方自治体は建設公債なので国と違って赤字公債は発行しておらず、将来投資ということで、将来世代に一定負担してもらおうという考えでやったのは事実。
・そのままではいけないということで、平成10年から財政再建プログラムを作って公債比率を圧縮してきた。過去に発行した公債を10年単位で借換えしていき、30年後に一気に返済しなければならない。その30年目が平成37年くらいで次のピークになってきている。当時は大量に公債発行してしまったが、なんとか踏ん張ってきて、その後の起債抑制によりなんとか長期トレンドで見ると返済のメドがたってきた。

【知事】
・経済対策ということで大量発行したときに、長期トレンドでどれくらい税収が伸びるかという試算はなかったのか。

【綛山副知事】
・そのような試算はやっておらず、将来的に景気回復すれば償還できると考えていた。私の個人的見解だが、国が地方財政を景気対策に巻き込んだのはそのときが初めて。本来、景気対策は国がやるべきことだが、経済の落ち込みが極めて大きかったので、地方も一緒にということで、補正予算債というマジックの中で一緒にやったこと。我々にとってはそれが重荷となって財政再建に取り組んできて、やっとここまできた。

【知事】
・これからは財務マネジメントで長期トレンドをきちんと見た上でやるべき。景気対策として府債発行するにしても、税収の伸び率がどれくらいあるのか想定した上でマネジメントを。
・資料1−2を見ると、平成28年までの収支が一番厳しくて、それ以降は平成35年からの3年間が厳しいが、ほぼ安定的な長期トレンドということか。

【総務部】
・ただし、前提条件がある。歳出でいうと、一般施策や投資的経費の水準を極端に増やさないこと。税収でも、経済成長率1.3%と緩やかな伸ばし方をしているが、これが急減・急増すると当然変わってくる。

【知事】
・平成28年くらいまでは頑張って、それでも積立不足がこれだけでてくるということは全庁で意識共有してほしい。
・マネジメントとして平成42年まで出しているが、この取組額を平準化するようなテクニックなどはないのか。

【総務部長】
・検討する必要はあると思っている。これから改革プログラムの策定作業に入っていくが、平成23年から25年までの3カ年で3,000億円オーダーを考えており、前回の財政再建プログラム(案)と同規模の取組みが必要。しかし、それは建設事業などを圧縮している現在の事業費を発射台としており、さらにその水準を落とすという絵になっている。そこが相当大変。なんとか平準化するような対策を講じないと施策が打てないという状況になるのではないかと思っている。改革PT(プロジェクトチーム)での議論とあわせ、私と財政課で取組みの平準化に向けた対応策を検討したい。

【知事】
・長期トレンドはあくまでもこうで、具体の改革は3年をターゲットに。そのときに平準化ができないのかということ。
・実質公債比率についても希望の光が見えてきたかなという気がする。取組み後の実質公債比率を見れば、最終的には10%におちていく。どのラインを目標にするかということも、他の都道府県との比較の中でやってほしい。

【総務部】
・検討していきたい。実質公債比率の数字は、20年度決算でいうと大阪が16.6%。今後これが20%台に入っていく見込み。20年度の全都道府県平均が12.8%。東京都は5.5%、静岡県、神奈川県、愛知県が8.9%ないし11%。どの辺をターゲットにしていくべきか。実現可能性も含めて考えないといけない。

【知事】
・28年度までの厳しい状況の中で10%台をめざすというのは無理なので、期間「ポイントターム」ごとにどう運営していくかは総務部長を中心に検討してほしい。財政研究会でいろいろな指標も出してもらっているので、期間ごとのターゲットを考えてほしい。今を楽しようということではないが、一定の政策はうたなければならない。どこまで取り組みを平準化できるかなど、これこそまさに財務マネジメント。

【総務部】
・収支見通しについては、改革プランの中でもきちんと示していきたい。その際、国の中期財政フレーム、府の平成21年度決算見込み、その時点での府税収入の見通しや交付税の算定結果も踏まえながらプラン案の策定に併せて出して、それを踏まえて改革による効果額や対応案についても検討していきたい。

【知事】
・将来像がこうやって見えるので、これを元にターゲットを時期ごとに変えて。まさに財務マネジメントをしっかりやっていこう。
・実質公債比率は東京都は5.5%か

【総務部長】
・分母が大きいから。

【木村副知事】
・大阪の16%台はかなり悪いのか。

【総務部】
・大阪府より数字が大きいのは、兵庫県19.9%、北海道22.3%、京都の数字は手元にない。

【木村副知事】
・せめて全国平均ぐらいをめざすのだろうか。

【総務部長】
・下げていこうとすると公債費をもっと押さえることになるが、施策との兼ね合いを見ながら、どう設定するかを考えないと、単純に下げたらいいということにはならない。

【政策企画部長】
・公債費がトレンドでは3千数百億ぐらい。今は発行額を落としているので本当は公債費が落ちないといけないが、長期的に高止まりになっているのは、臨時財政対策債等を大量発行しているから。財源対策債は基本的には交付税が補填をするのが前提なので、交付税総額が増えているのならわかるが、あまり増えていない。試算前提で社会保障経費は伸びに従い交付税は増加を見込んだという説明だが、公債費はどのような設定をしたのか。

【総務部】
・公債費は需要額の中に公債費の元利償還額を入れて試算しており、基本的に増やしていくという試算にしている。実質公債比率が下がらないのは交付税の計算の中で税収が増えた分を収入額に乗せて、交付税総額を減らしたことで歳入があまり変わらない結果であると思う。
・さらに公債費を3000億円程度でみているが、そのうち交付税に算入されるのが、約半分1600億円程度としている。公債費の増加と交付税の需要額の増加が完全に連動していないことが原因としてあると思う。

【政策企画部長】
・過去の経済対策で大量の府債発行をしたとの説明があったが、今年の予算でも臨時対策債を3000億円以上計上した。財源対策的に発行している起債は、この3年で1兆円を超える。
・府債には、将来世代に転嫁すべき債務と、国が地方に対して本来交付税措置すべきところ交付税原資がないので地方が借金させているものがある。これらは分けて考えないといけない。

【総務部】
・改革PTとして国へどうやって制度提言していくかの問題だが、地方に現金交付すべきところ起債で肩代わりさせて後年度交付税措置するものが相当に上っている。片や交付税制度についても交付税収入が大幅に減って持続可能性を問う意見がある。

【政策企画部長】
・本来は3年連続で地方財政がこのような状態ならば、交付税の法定率を変えるのがルール。それをできないから、さらに地方の行革努力も必要だといって平成13年度から半分は地方の負担だとなっていることで、このようなしわ寄せがきている。本当は交付税をもっと伸ばさないといけない。
・このような問題の構造が見えるように今後わかりやすい資料とすることが必要。

【総務部長】
・今回出す資料はこれでいくが、政策企画部長から指摘があったように税収の伸びは一定前提において試算しているが、それが他の歳出や歳入にどういう影響を及ぼすかを十分捕捉しきれていない。木村副知事から質問のあった経済成長率の伸びの影響については、我々が試算したところ、経済成長率を伸ばすと金利が上がるので、税の1兆円に対する伸びに対して公債費では5兆円に対する伸びとなるので、むしろ収支が悪化する。それがおかしいのではないかという指摘を受けて再検討した。その場合は、公債費が伸びるので交付税も伸びるだろうという点が十分捕捉しきれていない。
・今回1つのパターンとして提示しているが、総務省、学識経験者の意見も伺って、長期の財政収支見通しの出し方の精度を上げていく必要があると思っている。その作業は財政構造改革プランの策定と並行しやっていく。

【政策企画部長】
・やれどもやれども財政が良くならない原因は何か?ということが構造改革の原点と思う。要因が分からないと対応手段がわからないので、そこをわかるようにしていくことが大事。
・特に、トップがどういう数字を見てどのような判断をするのかという問題意識がわかるように資料整理をして、国への提案などをしていくべき。

【知事】
・国も長期の将来像をみて運営している感じは見られない。地方財政計画の中で地方が独自に財務マネジメントするのは限界があるが、自治体として長期のトレンドを把握し、マネジメントするための資料作りについては、地方財政の教科書見ても載ってないので、研究してもらって、各自治体でも使えるようにしてほしい。

【綛山副知事】
・20年間の財政収支など本当は不可能といっても過言ではないが、平成6〜8年に大量発行してきた起債が平成37年ころに向けて大きなトレンドとこうなるということは捉えなければならない。現実には3年ぐらい、例えば23年〜25年はある程度具体的・正確に。
・社会保障関係経費を平成26年度で止めてそれ以降その状態で推移することを前提においているが、本当にそうなるのか。構造改革の議論を別途やってもらってナショナルミニマムならば国で責任をという議論を入れている。
・地方財政対策も当然この検討対象に入っており、何を我々がやり、何を国に求めていくのか、今回分析するという前提で動いている。

【総務部】
・社会保障は国の動きもこれから出てくるので、注視しながらタイミングよく制度提案していく。

【知事】
・長期トレンドを出すのは難しいと思うので正確さは期せないだろうが、やり方を研究してできる限りの精度を上げて欲しい。

【小河副知事】
・大きな流れもわかるし、厳しさもわかるが、公共投資については必要ものは、ならして将来に残していくべきものもある。一括りにしてしまうと見えない。過去のものも分析すればやり方によってはここまで来なかったものもある。将来に負担して良いものをきちんと整理してほしい。

【知事】
・平準化するのか、実質公債比率をどうするのか、ポイントターム毎にどうやるのかという大きな方針は、府政運営の基本方針に入れ込めないか。

【政策企画部長】
・府政運営の基本方針は単年度のもの。むしろ中長期的な計画の中で扱ったほうがよい。

【総務部長】
・財政構造改革プランで対応する。

【知事】
・財務マネジメントの長期の戦略を研究して方針を出してほしい。

【政策企画部長】
・財政構造改革プラン案についてはお示しいただいたスケジュールで策定作業を進めていただく。6月を目途に議論を整理してその状況を再度戦略本部会議でご報告いただく。その際、粗い試算の議論で出た点を含めて課題を整理して、プランのたたき台に反映する。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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