平成21年度第28回大阪府戦略本部会議 議事概要

更新日:2015年8月5日

  • と き 平成21年12月25日(金曜日) 10時5分から11時5分 
  • ところ 特別会議室(大)
  • 出席者 知事、副知事、政策企画部長、総務部長等

【知事】
・まず、私から2点お願い。
・本日、住宅まちづくり部から府営住宅の指定管理者制度のモデル実施について、5年間で18億円くらいの経費削減効果が見込めるとの報告があった。安ければ何でも良いというわけではないか、指定管理の方法について部局もいろいろ検討してくれ、このような効果が見込めるとのこと。現在、財政再建PTがいろいろ検討項目をあげてくれているが、指定管理についてもよくみてほしい。
・本日の記者会見で府のOB職員の再就職について話そうと思っている。府は、この件では大きな方向性を決め、全国の中でも先をいく取組みを行っていると思うが、兵庫県や京都府から、大阪府は法人役員の報酬が高いのではないかという話が出た。報酬については、法人の質や都道府県の規模によっても異なると思うが、先日、指定出資法人の経営について意見交換をした「指定出資法人に関する専門家会議・経営評価部会」のように、報酬についてもきちんと部会で検討されているのか。

【総務部長】
・もともと「指定出資法人に関する専門家会議」に「(現「役員派遣のあり方検討部会」の前身である)役員報酬制度等検討部会」をつくったのは、報酬を決定するに当たり、他府県比較をするため。その後、他府県が報酬を下げられたのかもしれないが、現在、全国知事会のPTの課題にもなっており、秋田県が再度全国調査をされるとのこと。

【知事】
・法人の役員報酬は一年ごとに見直すのか。

【総務部長】
・数年に一度見直す。

【知事】
・出資法人のポスト自体を見直してもらうため、関西経済同友会のメンバー11名に「役員派遣のあり方検討部会」に入っていただいているが、法人の中に入って情報収集をするなど、積極的に活動してくださっている。ぜひ、「報酬の水準について」という項目も入れて意見を聞きたいのでよろしく。

【総務部長】
・年明けに意見交換会をセットさせていただいている。

議題1:ワッハ上方

※府民文化部から資料をもとに説明。

【知事】
・吉本からの提案として、「展示室・貸館収入が2,100万円を上回った場合は、超過額の50%を府に納付」とあるが、なぜ平成20年度における展示室と貸館収入の実績である2100万円を収入の根拠としているのか。吉本の労務コストのようなものを換算して出しているのか。

【府民文化部】
・本来は、営業努力で収益が上がればその分を指定管理者の収入にするというのがルールだが、吉本さんは、府の施設を活用して利益供与を受けたという懸念を払拭したいということで、府に2,100万円を超える収入の半分を納付したいとのこと。

【知事】
・収入は原則として受託者に渡すというのがルールなのか。

【総務部長】
・利用料金制度を使うということだろう。

【知事】
・2,100万円が受託料の一部になるのか。

【総務部長】
・従前の制度では、使用料収入は一旦府の収入になり、受託経費を府が支払うというやり方だった。それが利用料金制度になって、使用料収入は全て管理者の収入とするが、府立体育会館や労働センターなど黒字施設については、使用料収入が一定額を超えると、超えた分の二分の一は府に納付するようにしてもらっている。
・今回はそれと同じ考え方で、使用料収入の範囲で受託するということ。別途議論が必要だが、ワッハ上方については、本来は管理委託料0円ではまわらない施設だろう。使用料収入を管理者の収入にした上で、不足分の経費を委託料で払っているのが普通の施設のやり方。

【知事】
・委託料0円でやるということだが、実質は2,100万円は委託料として位置づけ、2,100万円までの収入は絶対に自分たちで稼いでくださいという条件か。

【府民文化部】
・現在、管理者に対しては、1.1億円の管理運営費を出しており、そこに利用料金制度による使用料収入がプラスされ、その分でワッハ上方を運営されている。今回、吉本さんが委託することになると、ご提案の内容では、管理委託料が0円となり、吉本さんの収入は一人当たりの平均入館料179円に入場者数を掛けた額。そこから割引などをされるので、数千万円で運営されるということ。現在の運営費との差額については、吉本さんが、官民協力の新しい体制として損をしながらも、上方演芸の保存に対し企業として協力するという構図をつくろうとされているという理解。
・つまり、今回ご提案のスキームにより、吉本さんは必ずしも儲けておられないということと併せ、管理委託料をとらないということは、その分、実質損になっているということ。

【知事】
・条件として整理すれば、2,100万円が委託料で、そのかわりに「2,100万円は必ず自分たちで稼いで下さい」という条件になるという理解でいいか。

【府民文化部】
・2,100万円を超える部分を含めて、管理運営費は「利用料金で対応してください」ということ。

【総務部長】
・利用料金制度で管理運営するというだけの話。利用料金で対応するので、たとえば収入が1億円であれば、受託者の取り分は1億円となる。ただ我々は通常、府の財産を使って収入を得られるのだから、一定以上の収入の1/2は府に返してほしいという契約をしている。仮にそれを考慮しなければ、得た収入は指定管理者の収入になるし、それを使って管理運営していただく。今回は2,100万円という数字が出ているが、この額自体に意味があるわけではない。通常であれば利用料金は全部指定管理者にお渡しするというだけのこと。

【知事】
・府に納付してもらう部分の条件設定だけか。

【総務部長】
・意味があるのはその部分だけ。

【府民文化部】
・あとは、1.1億円プラス利用料収入でこれまで運営してきたものを、吉本さんが今回のプランでやるということをどう評価するか。

【知事】
・そうであれば、委託料は2,100万円、利用料金制度で2,100万円まで稼いで自分たちで運営してくださいということか。

【総務部長】
・府としては支出しないので、2,100万円を委託料とは言わない。
・わかりやすく言えば、委託料と収入を相殺している。いままでは、一旦、府の収入にして府から委託料として支出してきたが、そういうことをしないで指定管理者サイドで収入も支出も全て管理するというのが利用料金制度。

【府民文化部】
・本来、利用料金制度には還付というものはないが、今回はあえて還付をしてもらうということ。あくまでもゼロ委託ということは変わりない。

【知事】
・利用料金制度で、2,100万円の範囲で管理運営してくれということか。

【府民文化部長】
・利用料金制度を基本に、現行収入の2,100万円までは指定管理者の管理運営費としてみてもらってもよいが、現状よりもプラスαの収入となる分は、吉本さんが一定、大阪府に納付しようとするもの。

【小河副知事】
・公募の条件は資料に示している4条件だけで、たとえば公募して吉本さん以外にそれを上回る条件で受託しようとする者が出てくれば、そこから選ばれるかもしれないということか。

【府民文化部】
・そのとおり。

【総務部長】
・吉本さんからの提案について、4点、所管部としての見解を確認したい。
・1点目は、目標設定の問題。通天閣に移転する場合には、110万人の入館者があるということを強調されていたはず。私は、「それは通天閣の入場者数であってワッハ上方の入館者とはカウントできないのではないか」と申し上げてきたが、部としては110万人の可能性があるということを通天閣移転の優位点として説明をされてきた。前回の戦略本部会議では、現地存続の場合の目標入場者数を50万人とされ、今回、おそらく吉本さんから実現可能性のある数字として40万人という数字を示されてきたが、その点について、部としての見解はどうか。
・2点目は、管理委託料0円について。ワッハ上方を管理しようとすると、通常2,100万円でできるということはあり得ない。通天閣に移転したとしても管理運営費用は6千万円かかると計算されている。「吉本さんがいいと言っているから管理委託料0円で公募する」という姿勢をとっても良いのか。この点についての部としての見解はどうか。
・3点目は、公募といいながらこの条件では吉本さん以外は応募できない。形式的な公募ではないのかという点。
・4点目は、25年度以降も管理委託料0円で公募されるのかどうか。総務部としては、今後も一切委託料を措置しないという理解でいいのか。

【府民文化部】
・1点目の110万人については、総務部長のおっしゃるとおり。ただ、通天閣の場合は夜9時まで開館した場合の入館者数であり、現在のワッハ上方の開館時間で割り戻せば、これぐらいの人数になるということ。もう一つは、物理的な話として、110万人の来館者を現地にあるエレベータ1基でさばけるのかという問題がある。現地存続ということを考えたときに、実態として、現在の5万7千人という入場者数に対して40万人というのは、通天閣移転案と比較しても相当な数字ではないかというのが部としての考え方。

【総務部長】
・ワッハ上方を今後も維持するというのは、上方演芸を広めるというのが行政の施策として必要ということか。

【府民文化部】
・そのとおり。

【総務部長】
・上方演芸を広めるという意味で、40万人という数字は施策として「効果あり」と判断したということか。

【府民文化部】
・そのとおり。
・2点目の質問、管理委託料0円については、今後のワッハ上方の事業をどう考えるかにかかっている。現在、吉本さんから提案いただいているのは、2年間を暫定期間として、その間に25年度以降の新たな文化事業を検討しようとする前提がある。我々としては上方演芸の保存・振興という事業をやっていきたいと考えており、その中で官と民がどういう協力体制をとれるか。吉本さんの提案では、管理委託料0円で収入もかなり少ない中で、ある意味、損をしながらも現地で、「府・放送機関と一緒になって文化事業を提案していきましょう」という提案をされている。公募をすると、委託料0円での収入の上げ方、目標設定の仕方について、いろいろ提案が出てくると思うので、その中で検討していきたいというのが基本的な考え方。確かに今の実態で考えれば、吉本さんはかなり損をする可能性がある。損をする部分は上方演芸の保存・振興について官に協力される一つの姿勢であり、今後そういった事業があり得るかどうかという判断になると思う。

【総務部長】
・それは吉本さんの考え方であって、施設の設置者の府として、この施設を今後も管理運営していく上で、管理委託料が0円というのが適正だという判断をしているのかということを伺いたい。

【府民文化部】
・部としては、今まで寄贈を受けた6万点の資料を活用しながら上方演芸を保存・振興していくという事業について、25年度以降も府が費用負担できる上限は1億円であるという考え方をしている。この中で、どういうスキームをつくり、どういう運営形態とするか、管理運営費がどの程度になるかを含め、吉本さんに2年間ワッハ上方を運営していただく間に考えていきたい。

【総務部長】
・総額として1億円ということはわかるが、一般的に公の施設を管理していく場合は、適正な管理委託料はどの程度か考えるはず。今回、吉本さんから損を覚悟でこういう提案がなされているが、この条件で指定管理者を公募するということは、施設の設置管理者である大阪府が、ワッハ上方は管理委託料0円で管理できる施設であるという判断をしたことになる。ということは、25年度以降も管理委託料は0円でいくということを、いま判断したことになると思う。

【府民文化部】
・ワッハ上方が、府立体育館や大阪国際会議場のように、管理委託料は0円で、利用料収入だけで運営できる黒字の施設であるという判断はしていない。先ほどから申し上げているとおり、実態としては、仮に吉本さんが受託した場合、会社の持出し分が発生することを前提とした上での管理運営であり、25年度以降、必ずしも管理委託料が0円になる施設であると判断しているわけではない。

【知事】
・府立体育館等の利用料金制度の確認であるが、収入が一定の額を超えると、その分が府に納付されるということだが、その額の設定はどのように行っているのか。それがあるべき管理委託料ではないのか。吉本さんには1億円のテナント料収入が入るので、管理委託料0円といっても一定の利益はテナント料で入ってくる。これを分解して考えたときに、そのテナント料の額は府が支払う妥当なものなのかどうか。通天閣の場合は家賃が2千万円程度だったと思うが。

【府民文化部長】
・通天閣は現地に比べて面積が小さい。坪単価では同程度である。

【知事】
・管理委託料が0円になると、府は吉本に対し、ワッハ上方の展示内容やコンテンツについての注文ができなくなってしまうのではないか。本来、府には施設の設置管理者として、展示内容や運営体制に対して大まかな要件があって、それに基づく管理委託料の額というものがあるのではないのか。

【府民文化部長】
・現在、吉本さんからは、23年度以降の内容について具体的な提示はないが、府は施設の設置者であるので、当然、中身を確認した上で「吉本の施設」とならないようにしなければならない。ワッハ上方としての機能を官民共同でどれだけ盛り上げていけるかという視点からご協力をいただけると思っている。

【知事】
・管理委託料0円だと競争が働かなくなるのではないか。本来はあるべき管理委託料があるはずで、吉本さんには賃料を引いてもらったのと同じことになるのではないか。

【府民文化部長】
・賃料は近傍の事例から見て一番低いレベルであるから、これで不当に収益を得るわけではないと思う。

【知事】
・これだけテナントの空室が多い中で、現地存続になれば、吉本さんに毎年1億円の収入が入るのは確実。あるべき管理委託料として6千万円ぐらいかかっているところ、家賃を4千万円にしてくれているとしたらものすごく協力してくれているとなるが、仮に吉本さんが管理者にならなかったら家賃として1億円はもらうというのであれば違うと思う。本当に上方演芸のために協力いただけるというなら、家賃を引いていただいて、指定管理者は誰になろうとも家賃は4千万円と言ってくれるなら理解できる。家賃1億円というのであれば、実態は、管理委託料は0円ではなく、家賃収入である程度収支均衡が図れるということではないか。

【府民文化部長】
・自分たちが管理者になるので家賃は1億円ということではなく、他の方が管理者になっても1億円。コンテンツは官民共同によって吉本さんがいろいろ検討され、お互いにウィン・ウィンの関係になるようなアイデアを考えるからこそ管理委託料が0円になるということ。

【知事】
・それができるのは吉本さんに1億円のキャッシュが入ってくるから。他の応募者と競争条件が違うと思うが。

【府民文化部長】
・他の応募者も1億円の家賃をベースに、どれだけの努力でワッハ上方とウィン・ウィンの関係を築き、管理委託料を0円にできるかということ。

【知事】
・もし同一条件で競争をさせるのであれば、施設の賃貸料も全て同条件にすべき。たとえば不動産会社で、「空室を持っているので、そこを1億円で貸すから管理委託料0円でいい」という方が出てくる可能性もある。

【府民文化部長】
・吉本さんや放送局との協力関係でやっているワッハ上方としての本来機能の中で、一緒に共同していくということができるかどうかにかかってくる。全く別のところで、全くそうしたことに関わってきてない方を同じように評価できるかといえば疑問。

【総務部長】
・今までの話を聞いていると、まさに吉本さんありきの議論。吉本さんにとっては確実に家賃収入1億円が入ってくるというメリットがある。そのメリットの上に管理委託料0円がついている。他の応募者は、家賃収入はなく、委託料は持出しだけしかないという状態での競争になり、実際には競えない方法を選択しようとしている。つまり、吉本さんでないと成立しないスキームになっている。25年度以降、官民共同の新たな事業展開というが、吉本さんを前提にしないと成り立たない方針ではないか。前回、随意契約が議論となり、今回は公募することとされているが、競争として成り立たない、あり得ない公募となっている。府としては適正な管理委託料を払う、吉本さんの協力の仕方として家賃水準を抑えていただくとなれば、他の方も応募できる条件が整うのではないか。

【府民文化部】
・吉本さんが今までこのような提案をしてこなかったのは、家主であることと上方演芸に深く関わっているプロダクションである二つの立場があるためであったが、先般、知事に会われて、提案するということになったもの。吉本さんが家主であるという議論はどうしてもつきまとうが、その上に立って、そうした経緯を踏まえて判断するのか、吉本さんに家賃を抑えてもらって公募するのか、あるいは、それで調整できないのであれば通天閣移転とするのかを決めていただくことになる。

【知事】
・この案で枠組みは良いが、委託料0円だと競争にならないのではないか。家賃と管理運営費合わせて1億円というスキームは本当にありがたいが、吉本さんのご協力の比重の置き方は、家賃として1億円は確保しておきたいので、1億円はフィックスして、受託料で協力しましたよという形にしてもらっている。しかしそれは、公募ということを考えると競争条件としては不公平ではないか。管理受託料として「あるべき額」があるはず。どちらが競争に資するか。
・いずれにせよ、あるべき管理受託料はいくらかということになる。その額までは府が支払うので、吉本さん以外に手を挙げてくれるところがあればお願いするということはできないか。

【木村副知事】
・これは吉本さんが努力してくださって成立したスキーム。一番気になるのは、運営費0円で品質が担保できるのかということと、一方で来場者数が40万人に達しなければ施設を廃止するということも吉本さんに押し付けており、そこをどう考えるか。
・これまでの経緯から考えると、運営費だけでも1億円以上かかるという認識の下、吉本さんから提案があった1億円という額は、通天閣に移転した場合の運営経費1億円ということを加味した、いわばネゴ(交渉)で出てきた数字。そういう意味では、吉本さんに任せるのだという意思が我々にあったはず。ただ、外形的に公募しなければという形を作るためにこういう話になった。総務部長の指摘は筋が通っているし、官としての整理学だが、これまでの経緯を踏まえると、2年間公募せず、吉本さんに思い切りやっていただいてはどうか。
・吉本さんから提案のあった年間入館者数40万人を達成するのは、実感としてかなり大変。タダ券を配って入場したことにするというのではなく、この40万人というのを実態のある数字にしてほしい。それだけの入場者数があって初めて、我々がこれまで2年間悩んでいた「施設を実質的に活用する」ということが実現すると思う。
・いっそのこと、公募ではなく、随意契約で吉本さんに委託してはどうか。委託後1年半ぐらい答えをださなければならないだろうが、そのときに1億円を上限として、運営費と家賃の内訳を、中身を見ながら決めれば良い。今回は「あるべき論」で納まる話ではないし、NPOや吉本さんの心意気を評価して吉本さんに任せると。本音としては、我々はそう思っているのではないか。

【知事】
・吉本さんは本当に思い切ってやってくれたと思うが、結局入場者数が40万人を超えなかったら施設を廃止して良いということは、施設に対する府のスタンスはどうなのか。現在、府がこれだけ財政再建の取組みを進めている中で、私はあの施設を見て「今の府の財政状況なら廃止でよい」と感じた。絶対に施設が必要ということならば、今後、たとえば入場者数が40万人を切ったとか、他に委託料0円で受託してくれるところもないということであれば、施設は廃止となる。それで良いなら、なぜ施設の「存続ありき」できているのか。施設を絶対に存続させるなら、こんなスキームでやっていけるのか。

【府民文化部長】
・絶対に存続ありきではない。当然2年間の評価をきちんとして、府民から支持されていないならば現地での存続はない。そのときには移転の選択肢もなくなるので、たとえば資料の保管だけに限定するとか、その時にあり方を抜本的に考えなければならない。
・今回は通天閣に移転するという方向性を出した中で、吉本さんやNPOさんに最終提案はないかと求めた上で、それぞれ「官民協力でいきましょう、最大限協力しますよ」というご提案を出してくださった。私としては、2年間の様子は見た上で最終判断しなければならないのではないかと思っている。

【知事】
・公募でない形での官民共同のスキームはありえるのか。

【綛山副知事】
・皆、委託料0円という前提に立っているがそうではない。1億円という家賃が適正なのかは検証すべきだが、貸館収入などの2,100万円と、入場者数が40万人だとすると8,000万円くらいの入館料収入がある。私としては、透明性を確保するため、公募という手段が取り得るなら取るべきだと思う。現在の条件を明確にして、そういう条件の中で他に受託する人がいればそこに渡すが、実際は吉本さんに優位性があるので、吉本さんが受託するというのであればそれで良いということではないか。
・この議論の原点は、これまで毎年4億円弱を支出し、5万人足らずの入場者数しかなかったワッハ上方という公の施設について、もっとコストを下げる、あるいは入場者数を上げる方策がないかということ。そこで通天閣への移転案というものが出てきた。通天閣移転案は魅力的だが、ライブラリーという一つの有力な機能が無くなる。その中で、一定の入場者数も確保できるしコストも下がるという一つの有力な案が出てきた。それを競争条件に乗るように設計したらいいと思う。これまで府が維持管理・運営してきたものを、いきなり廃止ということではなく、こういう形で2年なら2年間見極めて、その後に検証すればよいと思う。

【総務部長】
・入館者数40万人の根拠の内訳を見てみると、たとえば吉本さんの劇場入場者110万人の内から18万人がワッハ上方に来ることになっている。ということは、吉本さんだから40万人という入館者数が設定できるという前提条件になっているのであって、どこまでいっても競争するというのは形だけになる。
・私は木村副知事の意見に賛成。この条件を満たせるのは吉本さんしかいないから、2年間は官民協力の一つの形態として、公募せずに随意契約で吉本さんに頑張っていただく。その状況をみて最終判断する方がすっきりする。たとえ公募したとしてもそれはごまかしの公募であり、やめるべき。

【知事】
・それなら、批判を受けても府の責任で随意契約にすべきということか。吉本さんも府民から批判を受けるかもわからないが、その前提でやるということか。

【木村副知事】
・一番大事なのはお客様を増やすこと。そのためには今の展示では絶対増えない。吉本さんがどういう工夫をするかがポイント。その覚悟を見せていただくということ。

【綛山副知事】
・何のために公募するかといえば、透明性を担保すること。担保できるならば随意契約でも構わない。競争をすることにより、透明性のもとに最適の者が選ばれること。中身的にもう少し透明性が高まれば随意契約でも構わない。

【府民文化部】
・はっきりしていないのは、入館料の設定をどうするか、それで実際の収入がどうなるのかということ。それとあわせて、実際の入場者数がどうなって、入館料収入がどれだけ上がるのか。実態として経費がどうなのかという辺りが明らかにすべきポイント。

【綛山副知事】
・公の施設なので、入館料については条例で上限を決め、その範囲内で府と相手方で決めるという設定。そこも明らかにして、入場者数はどれくらいの目標なのか、どれくらいの収入が見込めるのかを持った上で、その部分と2,100万円が、いわば管理委託料と捉えるべき。0円ではない。

【知事】
・敢えて随意契約でやるという方針か。

【府民文化部長】
・部局としては、もともとこちらから吉本さんに投げた話であり、基本的に吉本さんでいきたいと思っている。しかし、前回の会議において、公平性や公開でという議論があったので、吉本さんに家賃と運営費用の内訳なども出していただき、本日の会議に臨んでいる。本来であれば非公募の範疇だと思うが、他に競争するところが出てこないかどうかを確認するために公募するという話であれば結構かと思う。

【総務部長】
・競争条件があまりにも違うので、公募をやったからといって透明性が確保できたとは言えないのではないか。むしろ、今日これほど公開の議論を行っているのだから、随意契約でやるということを責任もって判断したのならば、それで十分透明性は確保されていると思う。

【木村副知事】
・2年後を考えたとき、また家賃を2億、3億円というように戻されてはいけないので、この場で「家賃は1億円以下」ということを確認しておくのは意味のあることだと思う。そういう意味では、この内訳は大事だと思う。

【知事】
・これまでとガラッと中身が変わって、吉本さんと共同で上方演芸の普及をやるという、いわゆる共同事業ということになる。ということは、目標も設定して、25年度以降もずっと吉本さんにやっていただけるということが前提か。

【府民文化部】
・その点はご提案の中で、2年間でどういうスキームが組めるか検討しようということになっている。吉本さんとしては、あくまでワッハ上方という府の公の施設の中で、どういう協力ができるかを検討するという趣旨の提案であり、ずっと協力するという前提での提案ではない。
・吉本さんとしては、この2年間というのは、25年度以降の新たな官民協力の運営体制を考えるための期間だと考えておられ、自分のところだけで受けるのはよくないとの考え。放送局も他の団体も入って、大阪府と連携してワッハ上方を運営する仕組みを考えていこうというスタンス。

【知事】
・松竹さんなど上方演芸に携わる他の団体もあるなかで、そこは行政としてどうなのか。別に問題ないのならよいが。

【府民文化部長】
・まさに上方演芸は民で支えられているわけで、民が主体的に関わっていただけるのは本来の姿だと思うので、その方向を追求していきたいと思う。上方演芸を支える全ての方が参画して支えていただくのが最も理想的な官民協働の姿だと思う。

【知事】
・中身については入場者数だけを設定したということか。

【府民文化部長】
・現時点での吉本さんからのご提案の補足は資料に示したとおり。細部については、もし公募するとすれば22年度の秋ぐらいに出していくので、それまでに詰めてお示ししたい。 

【知事】
・22年度はどうなるのか。

【府民文化部】
・9ヶ月間は現行のNPOに非公募で委託することを考えている。NPOの方はこの会議の後、受託するかどうかを決定される。もし受託しないとなれば、9ヶ月間は府直営。

【府民文化部長】
・22年度はあくまで暫定期間ということになる。吉本が受託するということが秋頃に決まれば、それ以降、23年度に向けてのリニューアルのために休館する予定。

【知事】
・リニューアルというのは、23年度以降に向け、吉本さんが1億円の範囲内で行うのか。

【府民文化部長】
・そう。23、24年度に年間入館者数40万人を目指していくためのリニューアル。

【知事】
・公募か非公募かということは別としても、委託料はどう整理するのか。家賃は1億円のままなのか。利用料金制度ということで、まずは委託料を2,100万円に設定するのか。

【総務部長】
・額は設定しない。利用料金の収入の範囲で運営を行うということ。

【知事】
・展示室・貸館収入が2,100万円を超えた場合のことはどうなるのか。

【総務部長】
・それはまた別の話。

【木村副知事】
・通常の公の施設は赤字なので、何千万円かの委託料を公から渡す。その金額の多寡を競ってもらうのが公募の意味。今回は、吉本さんが受託料を0円で出してこられたので、入館料収入は吉本さんの収入とするが、受託料としてお渡しするのは0円だということを契約する。その上で、吉本さんが提案されているのは、2100万円を超える部分の半分は分府にリターンするということ。

【総務部長】
・今回は3つの契約がある。
・まずは「家賃」。これは家主としての吉本さんと店子としての府が契約する。
・次に、管理委託については「委託料」は支払わず、利用料金制度の中で回るということ。
・加えて、今までにない特異なケースとして、展示室・貸館収入が2,100万円を上回った場合はその半分を府に納付するということ。「府への納付」というのは、これまで我々は利用料金制度とセットで組み立てていたが今回は違う。これまでのケースでは、通常の管理委託料を超える収入があれば、その半分は府に納付してもらうこととしていたが、今回はそういう設定ではない。通常の利用料金制度のオーバーフロー分の納付ではなく、新たな契約ではないかと理解している。

【知事】
・府立体育会館などでも利用料金制度をとっているが、府への納付が発生する「ある一定の額」はどのように決めているのか。

【総務部長】
・過去の委託料をもとに計算して府が決定している。たとえば、委託料として8千万円ぐらいかかっていたら、それを超えた分の二分の一は府に納付してもらうことになる。

【知事】
・そういう施設の管理運営を公募した場合、たとえば府が「8千万円」という額を提示したら、受託しようとする者は「うちは6千万円を上回ったら府に納付する」といったような競い方、札入れをするのか。

【総務部】
・今まではそういう競い方をさせていない。こちらから提示する仕様の中で「8千万円」という額も前提条件として提示している。

【知事】
・では、何をもって競うのか。

【総務部】
・プロポーザルの場合は、事業の中身や目標値になる。

【木村副知事】
・今回は、この条件で他に手を挙げるところがないかという確認のための公募をしたらよいのではないか。

【綛山副知事】
・公の施設なので、最初に「こういう運用をしてほしい」「最低限こういうことをしてほしい」といったことを提示する。委託料がゼロだから何をやっても構わないということでは決してない。吉本さんがタダでやってくれるから何をやってもいいみたいな議論は違う。

【総務部長】
・そこはわかるが、公募するなら競争できる条件設定しないと意味がないが、管理委託料ゼロでは競争できない。

【綛山副知事】
・「管理運営費0円」と書くのがおかしい。別途2,100万円という数字がある。それを分解して説明しているだけ。

【総務部長】
・2,100万円という数字は、府が管理運営費として2,100万円まで保証するという意味ではない。

【府民文化部長】
・家賃1億円で管理委託料0円、さらに収入の中から一定大阪府に貢献していただける案を提出してくださいということで公募を行い、優劣を競えば、ひとつの競争にはなると思うが、総務部長の指摘のとおり、なかなか他に参入できる人はいないという確認のためだけの手続きになると思う。

【知事】
・わかった。12月28日に通天閣の社長と会う予定。まずは社長に結果をお知らせしたいので、今日はここでは結論を出さず、社長に伝えることとする。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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