平成21年度第26回大阪府戦略本部会議 議事概要

更新日:2015年8月5日

  • と き 平成21年11月20日(金曜日) 13時10分から13時50分 
  • ところ 特別会議室(大)
  • 出席者 知事、副知事、政策企画部長、総務部長等

議題1:ポスト「財政再建プログラム」

※総務部から資料をもとに説明。

【知事】
・19年度と比較して説明のあった数字を確認したい。前回の財政再建プログラム(案)では、建設事業と一般施策経費で19年度に比べて700億円ぐらいの減。人件費もあわせて900億円ぐらい。土地売却など収入確保策を入れて1,100億円だったと記憶しているが、建設事業の数字はどうか。

【総務部長】
・建設事業は、道路特定財源の一般財源化に伴い起債充当率引上げによる一般財源の減という要素があり、それを除くと財政再建プログラム(案)の水準になる。
・前回の財政再建プログラム(案)で既にかなり圧縮しているのに、もう一度削減するというのが今の状態なので、相当切り込みは厳しいかなというのが正直なところ。要取組額としては、前回とほぼ同じかさらにそれを上回るぐらいの規模。どうやっていくか相当知恵を出さなければならない。今のところ私も「これでやれる」ということを言えと言われても言えないというのが正直なところ。

【知事】
・国制度分として法定されている負担分も分析し、改めるものは改めるということであるが、これは、制度改革を迫っていく話になるのか。それとも府の取組みで改善できることもあり得るのか。

【総務部】
・それは両面で考えていく必要がある。たとえば介護保険では、納めていただく保険料と公費負担があるが、公費分の割合は一定で決まっている。なぜ府域の介護給付の総量が今の量なのか、多すぎたり少なすぎたりすることがあるのか、無いのか。全体の12.5%は都道府県の負担と法律で決まっている。これが国と都道府県の税源配分をみたときに多過ぎたりしないかも含めて考えていく必要がある。

【知事】
・これから府民の皆さんに説明したり、場合によっては住民サービスを切るのか、負担を求めるのかという話になったときに、他の都道府県に比べて大阪府の行政サービス水準が過剰なのかどうか、府民の皆さんからわからない。一つの行政サービスの額が多いか少ないかということ以外に、多くのサービス、つまり種類を府が提供し過ぎなのかとか府民にきちんと認識してもらわないといけない。どういう水準の行政サービスを住民に提供しているのか、額と種類の面でわかるような形で示したい。

【総務部】
・介護保険や医療費の総額は、対象者数とサービスを受けた回数、1回あたりの値段の掛け算・足し算で決まる。少し見ていくと他県との比較は可能となると思うので新しいチームの課題として取り組んでいきたい。

【知事】
・こういう事情によって府民の皆さんが病院に行っている回数が多いとか、介護保険の利用数が多いといったことについて、私は知事になるまで意識したことなかった。そういったあたりをハッキリさせ、府民の皆さんに問うていかないといけない。

【政策企画部長】
・国の義務付けの問題が大きいと思う。行政サービス水準は、首長と議会とが相談して決定するのが本来の形であると思うが、国が義務付けをするものがある。義務付けをするからその財源を地方に保障するというのが地方財政の構造である。しかし本当に財源がきっちりと地方にきているのかどうか。義務付けだけがされていて、財源が保障されていないのではないか。地方への財源保障の最たるものが交付税だが、そのあたりの構造も明らかにしてもらいたい。また、財政課が作成した資料によると、自主財源とは地方団体が自主性を発揮して行政を進める上で重要な要素であるとされており、これが府は70%以上あるとのことだが、本当に地方団体が自主性を発揮できる財源なのか、言い換えると、知事が政策的に決定できる財源がどれだけあるのか、という点をしっかりと要因分析していただきたい。

【知事】
・全国知事会がそうであるが、地方交付税の復元とか増額ばかりを国へ要望するが、これは国民の後押しを受けない。国も苦しい中で地方自治体がカネをくれといったところで、地方だけが優遇されるはずがない。政策企画部長の発言にあったように、義務として地方がやらなければならないことを国に決められている中で、財源が地方にこれだけしかきていないというのは知事会でも議論されていないので、大阪をモデルにして発信できないか。これが算定できない交付税の仕組みになっているのであれば、交付税のまやかしというか、そこの部分について交付税制度を変えていかないといけない。義務付けの分は国がきっちりと財源を保障する、要は基準需要と基準収入の差額を補填する制度とは言えないと思うので、はっきりさせるべき。その部分は差額でもらうのではなく、これからは一括交付金に変わっていくのであるから、義務付けの部分はキャッシュでもらわないといけない。現状を的確に分析した結果を、新たに大阪府から国に打ち込んでいきたい。

【総務部】
・義務付けについてであるが、現行の仕組みでは交付税というより、まずは地方財政全体として地方財政計画を作成する中で、義務付けられているものについては所要の経費を見込んで交付税総額が決まる。あとは個別の団体へのミクロ配分をどうするかの二段階の話になる。府の現状をしっかりと把握して今の制度の正しい理解をしてから、必要な改革案をまとめていきたい。

【総務部次長】
・以前の分権改革により地方の事務は法定受託事務と自治事務に整理されたが、自治事務の中で交付税措置がどういう形でなされているのかをきちんと実態調査しないと現状の詳細がわからない。各部局の協力のもとデータをそろえて数字で検証分析をしていくべきと考える。

【知事】
・全国知事会の議論でも、都道府県の歳出に対して税収がこれだけしかないから、交付税をこれだけ寄こせ、もっと増やせというような言い方ばかり。そうではなく、国がこれだけの義務付けをしてくるから、その分をきちんと貰わなければいけないということをデータに基づいて議論していくべきだと思う。

【綛山副知事】
・それに加えて、地方がそれぞれの行政ニーズに応じて独自に仕事をしていける財源が必要だと思う。資料1の項目でいえば、左の2つ(建設事業、一般施策経費)が地方で自由に仕事をしていく分。今これをどんどん減らしていっている。ところが真ん中の扶助費約3,000億円は、国が義務付けている分であり、これが今どんどん増えている。これらについてきちんと面倒を見てもらえているのかをこれからしっかり分析していく。
・資料2の法人二税について、20年、30年前、東京、愛知、大阪といった大都市圏が大変豊かであり地方が厳しいという幻想があり、その幻想の中で定めた法人二税の分割基準が4、5年前に摘まれてしまった。確か、東京都で3,000億円から4,000億円、愛知県で1,000億円、大阪府も200億円か300億円ぐらい。ところが実は大阪府の法人二税は都道府県平均よりも落ち込んでいる。そういうところからは摘まないようにという議論もしていく必要がある。

【総務部】
・分割基準の見直しと併せて、地方法人特別税として大都市圏以外の府県に再配分する制度が創設された。

【企画室長】
・財源保障と財政調整の問題がミックスされてしまっていることが議論を分かりにくくしている。財政調整の問題はさておき、まずは財源保障がきちんとなされているかが重要。その際にはマクロで見るのではなく、積み上げ方式できちんとチェックすべき。今は交付税トータルで見てしまうから、国も財政状況が厳しくなるとトータルで圧縮するので、結果として交付税総額が不足することになる。やはり各事業個別に積み上げで議論すべき。

【知事】
・行政の長になって分かったが、地方交付税ほど「まやかし」なものはない。ちょうど行政刷新会議が交付税の抜本改革をやるというメッセージを出してくれたので良いタイミング。我々としても制度改革を迫っていく。
・ただし、財源調整機能は必要だと思う。だからこそ、僕が府民目線で重要だと思うのは、今後、大阪府民の受けている行政サービスの水準が、他の都道府県と比べてどのぐらいかを見ていくこと。過剰なのか、それとも種類が多いのか。それを府民の皆さんにはっきりと示して、理解を得ていかなければいけない。税金を召し上げられたから返せ、返せといっても、他の府県から見れば「大阪は行政サービスをやりすぎじゃないの」と映るかもしれないので。

【総務部】
・財源保障と財政調整の話が出たが、その二つは不可分一体だという学説もあり、言葉の定義が難しい。そのあたりも含めて今後整理していく。

【木村副知事】
・今回は、カットから構造改革のPTということで非常に意味があるし推進力を期待しているが、スケジュールを見ていると来年度いっぱいかけての議論。PTが引っ張るというのもそうだが、たとえば商工労働部の小規模事業者への補助について知事から問題提起されているが、各部門が主体的に問題を捉えて先行的に解決すべき。PTの流れに乗っかって安易になってはいけない。「PTができれば引っ張ってくれるだろう」ということだけではなく、きっちり各部門が問題意識をもって先行的に分析し問題解決をするという部分があってしかるべき。「PTの動きをみて・・・」ということにならないようにすべき。自治体改革と議会改革がこれからの大きな方向。その中で、議会の政策企画能力について議会自らが進めていかれると思うが、府庁側としてどうサポートとしていくか、あわせて考えていかなければならない先行的テーマがたくさんある。それはそれで自らの問題としてきっちりととらえて進めていくという部分が大事だと思う。もちろんPTの方は大変だと思うし全面的にサポートするということは前提として、それ以上に各部門が自ら汗をかくという心意気が大事なので頑張ってほしい。

【政策企画部長】
・先ほど総務部長の説明の中で「このプログラムの取扱いについては議会と相談して」とおっしゃっていたが、議会基本条例との関係はどうなるのか。また、各部もいろいろな行政計画を持っているが、今回、財政と政策の融合を図るということで言えば、財政計画と各行政計画の整合も図っていかなければならない。そのあたりについてはどう考えているのか。

【総務部長】
・議会基本条例との関係で言えば、条例で想定されている議決を要する計画になるのだろうと思っているが、その点も含めて議会とご相談をして取扱いを決めたい。いずれにしても9月議会でご説明してご議論いただき、その議論を踏まえて、23年度の当初予算編成につなげていくことが必要。事前に十分ご相談したい。

【政策企画部長】
・内容によってご相談するという理解でよいか。

【総務部長】
・そのとおり。

【企画室長】
・現在とりまとめ中の府政運営の基本方針との関係については、先日11月版を作成したところで、今後、2月版で集約する予定。そこで集約した22年度の基本方針に基づいて4月に部局長マニフェストを作成し、22年度の行動計画を位置付ける。マニフェスト作成後の来年7月以降、23年度の府政運営の基本方針を議論していくが、7月にPTから試案が公表されるということなので、その情報は23年度に向けての府政運営の基本方針策定の議論の中にフィードバックしていき、7月の試案が出た段階で府政運営の基本方針(素案)にもそれを取り込んだ形で出せればと思っている。
・行政計画についても、それにあわせて見直していく。

【知事】
・知事に就任後すぐに改革PTを作って、前の財政再建プログラムをやってもらったが、いま民主党がやっている事業仕分けの方式は今のところとるつもりはない。国の行政も含め、「行政マンは自らきちんと厳しい改革はできない」と思われるかどうかの正念場。国は、霞ヶ関が自ら改革できないので外部の力や政治家の力を借りて、行政刷新会議でも行政サイドは必要性しか言わない。私はあのような形にしたくない。府庁の組織の中で実施すべき。非常に苦しい取組みだが、経営というのはこういうこと。地域主権を言う以上は「カネが足りない、カネをくれ」ではなくて、どういう運営をしていくか自らやらないといけない。
・これでできなければ外から人を呼んで、外からばんばん切ってもらうなど、外の力を頼らならければいけないが、組織内でやろうと思えば、木村副知事が言われたように、各部局がどこまで真剣に取り組めるかということが重要。私は、まだまだ組織として気合が足りないところがあると思っている。すべてにおいてその都度チェックしながら改善していくという不断の努力が必要で、皆さんに頑張っていただきたい。また改めて部長会議などでも言いたいが、ここで改革できずに外部の力を借りることになれば府庁として敗北だと思っている。大変だと思うが、各部局とPTがしっかりと力を結集してほしい。
・各副知事は各部長の指揮・マネジメントを見て、部局から要求ばかりにならないようにしてほしい。仕方がないかもしれないが、行政刷新会議を見ても各省庁からは「現状維持」ばかりの話になっている。府の施策も、個別の内容を見ていけばまだ改善の余地があると思う。副知事がしっかり指揮をして、部長・次長がマネージャーの立場でやっていくという姿勢を示してほしい。
・PTに関しても、副知事が全面的に支えてほしい。PTに関しては私が直轄でサポートするが、副知事もしっかり支えてほしい。その上で、PT長は各部局長と対等に議論をすること。国に対して言うべきことは、私が政治の分野で引き受けるので、行政としてできるところは精一杯やってほしい。

【綛山副知事】
・政治の部分はよろしくお願いしたい。国の動きはややこしい話がたくさんある。私はいつも国に「嘘つき」と言っているが、知事からもきちんと言っていたがかないと危ない部分がある。

【小河副知事】
・前回の財政再建プログラム(案)に比べて、要対応額総額が400億円から3,500億円に増えている。これは大変なこと。説明の中で、税収と交付税が落ちているという話があったか、他府県でも同じなのか、きちんと分析してほしい。また、これまで行ってきた景気対策についても、本当に税収を上げるような景気対策になっていたのか、きちんと分析が必要。

【総務部長】
・そこは先ほど財政課長も申し上げたように、個々の施策の効果も含めて今回分析することになる。

【小河副知事】
・もう一つは、たまたま大阪府は大災害というものが起こっていないが、それが起こったときにどうなるか。これまでは「ほとんど国からお金をもらえる」というように思っていたが、本当にそうなのかきちんと考えておくべき。いったん大災害が起こるとこういった取組みが全てとんでしまうという気もするので、そういう意識も持っておいてほしい。

【知事】
・この議論に議会を何とか巻き込み、議会にも責任を取ってもらうというのは難しいのか。議会基本条例に基づく議決を得る際にも多分「この計画はダメだ。削減するな。」という話ばかりになる。それなら責任を持ってほしいということで、私がいろいろなところで「議院内閣制」のような話をしているが、そういうことは財政再建の分野ではなかなか難しいのか。分析の部分ではいきなり難しいと思うが、取組みについて議会を巻き込むことは難しいか。

【総務部長】
・知事のおっしゃる「責任」ということをどう捉えるか非常に難しい。ただ、私も前回のPT長をやり、この間いろいろなことをさせていただいたが、議会との関係については、議会が開会されているときだけ議論するのではなく、常日頃から議会と十分議論しておくことが重要であると思う。今回、分析についてはかなり専門的、行政的にやらなければならないが、分析結果が出た時点でそれを議会にご説明し、その時点での議論もしたいと思っている。9月議会でご議論いただくことになるが、それまで一切何もしないのではなく、それ以前にどのような形で議論させていただけるか議会ともご相談する。

【知事】
・何となくのイメージで不可能かもしれないが、議会の方にPTを作ってもらって共同でやるといったことは難しいか。「議論」ということになると意見を伺うだけになってしまうので、「この分野、一定の領域については作ってください。予算編成をやってください。」というわけにいかないか。

【総務部長】
・これまでも議会の会派ごとにPTを作られて、前回の財政再建プログラム(案)のときも歳入確保策、歳出の見直し項目などについていろいろな提言をいただいている。確かに前回は、各会派のPTからの提言を我々がお聞きしてということになっていたが、今回は、案を作るもっと手前の段階から議論をするということ。知事のおっしゃるように「この部分は議会にお任せする」というのはちょっと違うと思う。そこは、我々理事者側が責任を持って改革案を作っていく。議会としてもご議論いただいたものがあり、その両者をつき合わせて議論していくという形になるのではないか。

【綛山副知事】
・施策を実施する、あるいはそれを実施するために必要な予算は誰に帰属しているかといえば、やはり知事に専属していて、知事が予算編成権を握っておられる。そういう今の制度の基本の中では、「議会でやって」というのは極めて難しい。

【知事】
・今の制度論ではそうであるが、民主党の国会議員の先生方も皆さん「行政に入ってこんなにしんどいと思わなかった」とおっしゃる。じゃあ、今まで政治家として何をしていたのかと言いたくなるようなところもあり、何らかの形で、議員の方にも意見を聞くだけでなく、実際に行政の作業をやってもらうということがどこかで必要だと思っている。もちろん制度の枠というのはあるので、今の制度の枠の中で、実際の作業や数字の話をするときに、意見を聞くというより作業をやってもらって行政に入ってもらうというのを大阪から試してみたいという気はある。そこはまた相談する。

【政策企画部長】
・では、本日の結論としては、12月1日付けで新たな改革PTの設置をすることを了承する。課題の設定、見直しの方向性については整理された段階でまた改めて戦略本部会議で議論するということにさせていただく。

【木村副知事】
・かなり前段階のブレスト、議論をしっかりすること。今までの制約をはずして違う頭でやってほしい。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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