平成21年度第22大阪府戦略本部会議 議事概要

更新日:2015年8月5日

  • と き 平成21年9月8日(火曜日) 10時から11時55分 
  • ところ 特別会議室(大)
  • 出席者 知事、副知事、政策企画部長、総務部長、関係部局等

議題1:府立大学のあり方

※ 府民文化部等から資料をもとに説明。

【政策企画部長】
・評価をするときには2つの視点がある。一つは「利用者の視点」、もう一つは「府民の視点」。
・今回、「利用者の視点」は、大学の関係者や学生になるが、この点については一定の高い評価がされていると思う。府民の視点で、「府民はいま何を府立大学に求めているのか」について、資料1-2の17頁のマーケティングリサーチの結果で、「公立大学への期待と府立大学のイメージ」を示しているが、公立大学、府立大学ともに「新しい技術や製品を通じて地域経済に貢献する大学」や「できるだけ安い授業料で多くの学生に教育を与える大学」といった面が強く評価されている一方、アカデミックな機能については非常に低い評価だと思っている。この点についてどう分析したのか。

【政策企画部】
・資料1-2の16・17頁を見ていただきたい。教育研究分野での大衆化、地域に密着した大学が求められているということがマーケットリサーチから読み取れる。できるだけ安く多くの学生に大学教育の機会を与えるという部分では、税投入自体が直ちに否定されるものではないが、府民からすれば「税金を投入する以上・・・」ということがあるので、ここでは公立大学としての存在意義をしっかりと大学に考えていただく必要があると思っている。
・地域密着という部分では、公開講座等も実施されているが、研究テーマで府政の課題との共有が必ずしも多いとは言えない、また、府内企業との産学連携に課題があるのではないかということで、その点についても大学においてしっかりとご検討いただく必要があると認識している。

【政策企画部長】
・大学にはアカデミックな要素とプラグマティックな要素があって、府民はどちらかというと後者のプラグマティックな部分を求めている。大阪府が提供しているサービスの中では、たとえば高等教育としては高等専門学校、研究機関では公設の試験研究機関がある。資料1-1の38頁にもそういった視点を記載していただいているが、大学がそういった機関との関係にも取り組まれるよう、意見を出していただければと思っている。

【木村副知事】
・従来から大阪市立大学と公立大学としての類似性が話題になるが、本件について大阪市と協議された実績はあるのか。

【府民文化部】
・昨年度、事務レベルで大阪市に「協議にのってほしい」という依頼に行ったが断られたという経過がある。今年に入ってからも市の担当者と話をしたが、なかなかそういう状況ではないという認識。大学側でも学長同士が話をしているが、大学や事務レベルでは前に進むような課題ではないとの認識は持っている。

【木村副知事】
・資料1-2を見ると、市大の公金の投入額も府大以上、かなりの額になっているが、議論にのっていただけない背景や理由は。

【府民文化部】
・市大は非常に伝統ある大学で、大阪という都市をバックボーンとしていろいろ研究活動を行っているという一定の自負を持たれており、他大学がどうこうというのが念頭にない。自己完結型の姿で改革をされていると認識している。

【総務部長】
・どういうニーズがあって、それに対してどう対応しているかという点について分析し、重複があればたしかに二重行政だが、私は、大学が2つあるからただちに解消すべき対象とは思っていない。いまの説明に関連して、資料1-2の12頁に各自治体の投資額比較が出ているが、大阪府・大阪市の投入額が東京都に比べても多いというのは初めて知った。この要因分析はしたのか。

【府民文化部】
・推測だが、大阪府の場合、財政力が豊かな時代に自前でいろいろなことに取り組んだことがあると思う。たとえば、工業高専がわかりやすい例だが、全国で高専を持っている都道府県、政令市はごくわずか。東京、大阪、神戸といったところで、基本は国立高専。大学についても、国立大学というのがある意味ベースで、公立大学というのはその隙間埋めるニッチ産業のようなもの。そういった価値観が国立・公立・私立間ではあると思う。ただ、大阪府は、国立大学が人口割合から比較して少ないこともあって、自前で公立大学を供給した。そのことが今日になってこういう形で現れているのではないだろうかと想定している。

【総務部長】
・では、これだけ多くの公費を投入している状態について「必要性がある」と考えればいいのか、「必要以上の公費投入になっている」と考えればいいのか、どうか。

【府民文化部】
・国公立大学のいろいろな役割分担の中で説明しきれるものであれば価値があると思っている。ただ、現実問題として、平成13年当時、大阪の私立大学は35校であったものが、この7年間に48校に増えている。このような中にあっても、府大・市大あわせた公立大学の存在意義について「税金を投入して維持していくか」ということを説明しきれるのであれば、それは一つの論理だと思う。 

【知事】
・そこで、東京と大阪の関係をどう整理すればいいのか。「人口10万人あたりに何校ある」といった東京と大阪の比較はどうなっているのか。

【木谷特別参与】
・GDP、人口で割るのが簡単なところ。公立大学の存在意義があるとすると、私立でできないこと、国立でできないことを地域密着型でカバーすること。仮に、そういった役割が一定割合でどこの都道府県でもあるとすると、大阪府の場合、それが非常に多くなっているということ。

【知事】
・過剰ということか。

【木谷特別参与】
・過剰。

【知事】
・GDPや人口で割るなどして、「過剰である」という具体的な数字は出てこないのか。

【木谷特別参与】
・手元に数字を持ち合わせていないが、計算すればすぐに出る。規模的に大阪府と近いと思うので、愛知県、神奈川県と比較すればわかりやすい。これらの県が、税投入の面で、全国レベルで言えば平均的だと思う。

【綛山副知事】
・財政面から「人口一人あたり、あるいはGDPでこれだけ投入しているから過剰」として見直すことは、たぶんそうだと思う。しかしながら、もともと公立大学という役割がきちんとあって、府民がそれを受け止めていて、たとえば資料1-1の 36頁にある「問題提起の視点」についてきちんとクリアできるのであれば、大阪府として「それは誇りにすべき」だと考える。
・大学は都市としての魅力、ブランドとしての象徴であり、府民が人材育成に対して一定の期待を持ち、あるいは国の産業に対して一定の貢献を果たしているので。
・改めていく要素はたくさんあると思う。特に、資料1-1の25〜29頁「改革の詳細」でマイナスがついている部分、これについてはきちんと大学において答えを出してほしいと思うが、ネガティブだけではなくポジティブに「府がそれだけの投資をしている」ということも視点の中にいれるべきだと思うがどうか。

【木谷特別参与】
・地域貢献的には資料にあったように、いまの学生の6割が大阪府外から来ており、また卒業生も活躍しており、貢献度はあると思う。
・問題は、いいものだとはわかっているが大阪府に余裕がないこと。他にもやることがある。お金があれば投入してもいいが、お金がないのに出す必要があるのかということ。

【綛山副知事】
・選択と集中の問題か。大学の学部間もそうだし、施策面でも同じ。大学という施策を選択するのか、他の施策に集中していくのかという議論。

【府民文化部長】
・市大と府大の問題は、これまで府民・市民にとって、データもなかった。このように、セットでこれだけの公費が投入されているという意識がなかったと思う。だから、府も市もお互いにフルの大学をめざし、結果としてこういう状況になっているが、この中でこの2つの大学が公的な大学としてどれだけの役割を果たしていくのか、役割の重複はないのか、あるいは、お互い一緒にやればより強力になるのではないかといったことを分析して、我々の考え方をまとめるべきだと思う。
・いま大阪市は拒否されているが、府民・市民のレベルで見て何が正解か追求すべきだと思っている。

【木谷特別参与】
・2つの大学は非常に補完性もある一方、重複分野が多い。一緒になるとどうしても効率・効果が重視される。そのため、こういう話は事務レベル、大学間の話し合いなどボトムアップではなかなか決まるものではない。非常に強い意志をもってトップダウンで引っ張っていかないといけない。

【小河副知事】
・質問と意見。予算に関連して、資料1−1の21頁をみると、首都大学東京が平成16年度から20年度にかけて大学予算等が増えている一方、府立大学と市立大学は下がっている。しかし、トータルの投入金額でみると首都大学東京は低い。16年度から20年度にかけて首都大学東京の予算が増えている理由は何か。首都大学は過去に合併・統合したという経緯がある。統合前の状況を教えてほしい。
・資料1−1の36頁「問題提起の視点」の「公立大学の存在意義」について、大学には、都市の魅力を向上させる役割がある。大学をうまく都市戦略に活用し、若者を支援することで都市を活性化することも可能。このあたりについてはどうか。

【府民文化部】
・首都大学東京は、平成17年度に改革を実施し、3大学を統合。首都大学東京の教職員数も増加。これらの要素が金額の増に結びついているのではないかと思う。学生数・教職員数についての記載人数は、首都大学東京のみのものだが、18年度には専門職大学院を設置。さらに、20年度には産業技術高等専門学校、大阪府でいえば、高専のようなものを公立大学法人として設置。金額ベースでいえば、これらの金額30数億円も含まれた数値となっている。ただ、大学自身の予算も増えていることは事実。

【小河副知事】
・16年度と20年度の単純な比較はできないということか。いろいろと合併しているからその分の予算が増えたということか。

【府民文化部】
・他の大学と比べ、首都大学東京の場合は、そういう要素が含まれている。

【小河副知事】
・首都大学東京の予算はこれからも増えていくのか。他の要素があるから予算が増えて、統合したから少し落ちたということか。今後、大阪市と大阪府において大学統合した方がいいのかどうかの議論をするときに、こういった理由分析も必要ではないか。

【府民文化部】
・首都大学東京によると、設立団体から交付金の減額要請といった話は聞いていないとのこと。都からの補助金(研究費補助等の外部資金)が法人化後、非常に増えている。

【知事】
・話を聞いていて、大阪トータルのマネジメントの観点が全くないということを実感。大阪府における政令市制度が他都道府県と比べて弊害になっていると思う。愛知県や神奈川県、兵庫県は、県と市の役割分担がはっきりとしている。しかし、大阪府と大阪市は同じ役割を担おうとしている。東京都は一つの自治体としてコントロールしながら、自らの財政規模に応じて首都大学東京を運営。これを一つの基準とすると、大阪の状況は異常。大学について、いくら大阪の誇りだといっても、大阪府・大阪市からも税が投入されており、府民からしてみれば府も市も関係ない。大阪という圏域でこれだけの規模の税金を投入するのはおかしい。後付けで大学を誇りだと言っているのでは。愛知・神奈川・兵庫・京都は都道府県と政令市の役割分担ができているのに、なぜ大阪は、ずっとこういう状況になってきたのか。
・お金の使い方と大学に対するミッションの与え方が、きちんとできていないのではないか。大学側にとってみれば、自分たちは総合大学で他の国公立大学と張り合ってやっているということになるかと思うが。明確なミッション・役割と、どれだけのお金が使えるかという財務マネジメントが全く抜け落ちてしまっているから、後付けの理屈を一生懸命考えないといけなくなる。まず、どれだけのお金を府と市は大学に投入すべきなのか。その範囲内で、府立大学にどういうミッションを与えるのかということ。しっかり市と考えないといけない。平松市長に投げかけているが、市長にはマネジメントの観点がない。市長は、大阪市立大学は今、市立大学の特徴・強みをどう磨いていくかということが全てであると言っており、府との統合という話には乗らない。では、そのときにどうするか。市が乗らないから府は単独でやっていくのかどうか。行政的にはどうなのか。市がやらないと言った以上、府は同じようにやり続けるのか。

【府民文化部長】
・そこは、大阪府立大学の強みが市立大学と比べてどうなのかという中で、「ここに選択と集中をする」というものを出していかないといけないのかと思う。市立大学の中身を分析して、府立大学としてどう進んでいくのか、将来、市立大学のご理解をいただければ、統合についても課題として捨てることなく検討していくべきだと思う。

【知事】
・そのときのスタンスとして、市立大学が頑なに合理化をしない、このままやっていくとなったときに、府立大学にとっては、どうして市立大学に合わせないといけないのかという思いかもしれないが、大阪府民全体の便益を考えると、市立大学が頑なになっていたら、府は折れるという覚悟を持つのかというところが重要。選択と集中を行っていったときに、市立大学の組織を前提として府が折れて全体でバランスを取っていくという覚悟を持つのかということ。水道事業のときは、まさにこれを実行。そういう形で、府としてそういうスタンスで臨んでいくだけの覚悟を府大が持っているのか。府大にそういう意識を持てといっても、なかなか持てないかなと思うが。

【府民文化部】
・資料1−1の37頁「学部ごとの課題」を見てほしい。理学部や経済学部、人間社会学部などは市立大学でも充実している。大学の特色づくり、市立大学との棲み分けという観点から、我々は、市立大学が存在することを前提として、府立大学がどうあるべきかについて問題提起しているつもり。

【知事】
・平松市長もどこまでこの点についてご存知かどうかわからないが、今後、市長とマネジメントについて意見交換していきたい。

【木村副知事】
・弱みが指摘されている学部にも在学生はたくさんいるし、卒業生の方もたくさんいらっしゃるので、あまり決めつけるのはよくないが、木谷特別参与の問題提起を聞いていると、府立大学では工学系に強みがあるということ、府の研究機関であれば、たとえば、府立産業技術総合研究所など強みのある工学系機関もたくさんあるということを理解。こうした点を踏まえ、これらに特化して大きな方向性を決めて工程表を作ったうえで、大阪市との調整を進めるという流れを確認しないと、この議論をやっている意味がないのかなと思う。
・もっとロジカルに、在学生や卒業生に納得が得られるようなプロセスによって現実的な方向を決めていくべき。もちろん府・市のトップ同士の意思疎通の中で、2つの大学のあり方は引き続き議論していく。

【知事】
・財務分析の観点は、地域経営と言うならば大阪のGDPや人口規模をみて、他の都道府県と比較して、大学に入れるお金をある程度決めないといけない。それがマネジメント。大阪として全体の額が決まったときに大阪市が引かないと言うなら、府が譲歩するというのが政治判断になると思う。マネジメントという観点があまりにも抜け落ちている。
・神奈川や兵庫はなぜうまく府県と市が役割分担できるのか。

【府民文化部長】
・おそらく話し合って役割分担をしたと言うよりは、結果としてそうなっている。

【木村副知事】
・府県と基礎自治体の双方が総合大学を持っているという例は他にあるか。

【知事】
・愛知県はどうか。

【府民文化部】
・愛知県立大には5つの学部と、別途芸術大学がある。
・運営にかかる金額は学部の展開によっても変わり、文系中心では学生数が多くても比較的金額は低い。府大は理系が中心なので、トータルで非常にコストが高くなるという側面がある。
・神奈川県、千葉県では県立大学はなかったが、看護人材の確保のため、神奈川県は平成14年に保健福祉大学を、千葉県は平成21年に保健医療大学を設立した。

【総務部長】
・推測だが、首都圏は東京都内に沢山の大学があるので、その周辺県に公立大学を設置する必要性が低いのかもしれない。 

【知事】
・そうすると、大阪府域内だけではなく、関西圏全体で大学数を首都圏と比較するのも一つかもしれない。

【小河副知事】
・予算については、文科系、理科系によって変わる。特に、医学部、獣医学部などでは予算が嵩むだろうから、そういう比較も分析しなければならない。
・東京都が都立大学を合併して首都大学を作ったが、合併した結果これだけ費用が下がったということはあるのか。

【府民文化部】
・東京都は合併してもコストは落ちていない。むしろ増えている。

【知事】
・大学の必要性はあるとして、運営主体が私学になった場合はどうなのか、今回は検討してないのか。

【府民文化部】
・私学が運営主体になる場合のほか、府市連携、あるいは関西州でどうかといったことについて、粗い課題検討はしている。

【知事】
・具体的にいくつかの学校法人が、コスト比較などで案を出すと言ってくれている。私学のコスト面等について、ヒアリングなどをすることが必要。

【木谷特別参与】
・これからその選択肢も見ていきたい。

【知事】
・学部ごとの課題を大学側に投げ、大学側はどう考えているかを出してもらうのか。

【府民文化部】
・大学も入試、学生の不安もあるので、できるだけ早く結論を出したいと気持ちがある。できるだけ年内に、再度戦略本部会議で、大学のあり方の改革案を示し、他の案と比べてどうか、最終的にどう評価するかということを検討する場を持ちたい。

【知事】
・財務の視点を重視するということについては、皆その方向で良いか。大阪府が大学に突っ込めるお金を重視して見ていくというのは。

【綛山副知事】
・「選択と集中」の中で、大学教育に対して大阪がどれだけの投資をするのか、そこを押さえれば、財務の視点というのは重要なので異議はない。
・資料1-1の37頁「学部ごとの課題」で確認したい。「市立大学との重複、棲み分けとの観点から疑問が残る」という記述があるが、市立大学ときちんと棲み分けして学部再編し、新しい特色を持ったものにするのならば良いという理解でよいか。単に「重複しているから、廃止」というのではないか。

【木谷特別参与】
・そういうことではない。市立大学でも同じことをやっているという一つの材料。特に経済学部や人間社会学部は、私立でも非常に沢山ある。大阪府内には私立が48大学あるが、かなりの大学に経済学部、社会学部があり、重複感がある。

【綛山副知事】
・市も府も含めた都市部、関西という観点でどれだけの大学に対して、行政がどれだけのコスト投下をしていくのかは必要な視点。
・気になるのは、大阪市立大学は260万人の市民の税で、大阪府立大学は880万人の府民の税で運営しており、国立大学は1億2000万人の税で運営しているというところ。どちらがどうあるべきか。そこも広い意味での人材育成と考えると、広域的観点の視野も必要と思う。ただし、大阪市が市大について今のままという判断ならば、都市としての投資の限度があるだろうから、府立大学について一定の棲み分け・整理が必要。

【知事】
・大阪市は260万人の規模なのに過剰にやり過ぎだということがあるかも知れないので、市長に言っていかなければならない。市大の学長から、統合に反対だということを何かの機会に言われたが、皆、財務状況をわかっていないのではないか。一方で大阪市はお金が無いと言っており、大阪市の状況も問題提起することが必要と思う。
・政策企画部長が指摘したとおり、府民が大学に期待しているのは、アカデミックな部分というより実際的な部分が多い。そういう意味では、府大の理事の構成について、現在は2名が民間人だが、過半数は民間から登用すべきでは。5名の理事のうち、残り3名が大学関係者か。

【府民文化部】
・3名のうち、1名は府から派遣しており、2名が大学関係者。

【知事】
・理事の構成に加え、大学の職員について全て府の職員が派遣されているというのは、大学マネジメントの点からはどうか。

【府民文化部】
・前回の改革でも議論した点。立命館大学を盛上げたのも、基本は大学を愛する事務職員。府大に長年勤め、愛着を持っている人たちに運営に携わってもらいたい。大学の研究者、教員の思いも同じであるが、現実問題がそうなっていない。

【知事】
・府の人事ローテーションではどういう人が大学へいくのか。大学のプロフェッショナルの人か、通常の人事か。

【総務部長】
・殆ど事務職であり、特にプロフェッショナルではない。

【府民文化部長】
・比較的長くおられる方もいるが、大学のプロフェッショナルではない。
・これから府大が勝ち残っていくためには、大学を愛して、命を賭けるぐらいの人材をプロパーとして集積していくことが必要だと思う。

【政策企画部長】
・今日の意見交換を踏まえて、大学にも検討を求めることとして、改めて年内をメドに戦略本部会議で議論したい。

【知事】
・財務面、職員の件、理事の構成などを含めてよろしく。
・平松市長との意見交換の中で、大学問題をテーマにしたい。

【政策企画部長】
・戦略本部での結果を見ていただいて、改めて議論することとしたい。

【木村副知事】
・今回の資料の中には良いデータが沢山ある。これも市に提供して一緒に考えていただかないと。

【知事】
・大阪全体の行政マネジメントを市と組んでやらないと、投資額などが決まらない。木谷特別参与には、関西圏の大学の状況や、関東圏と比較してどうなのかなど、財務面も含めてきちんとマネジメントしなければならないと思うのでよろしく。

議題2:新エネルギー産業振興戦略(案)

※ 商工労働部から資料をもとに説明。

【木村副知事】
・一つは、戦略にボリューム感が示されていない。例えば、電気自動車(EV)であれば、どれくらい普及するのか。中小企業であれば、どの程度の規模の中小企業が参入するのか。そういったところの議論は詰まっているのか。もう一つは、国際会議を開催すると説明があったが、どういう構成で、どのような方々に何人程度集まってもらうのか。

【商工労働部】
・EVであれば、今年6月に策定した「大阪EVアクションプログラム」に示されているように、当面は急速充電器を20基設置して、3年以内にEVを1,000台投入したいと考えている。日産等のプログラムへの参入があったので、その状況によっては、これらの数値は動く可能性がある。中小企業の参入の規模については、どれだけの数の中小企業が参入してくるのかを数値では把握できないが、たとえば、いま想定している展示商談会では数百社の中小企業の参画や、来場者は何万人といったイメージを持ってやっている。国際会議は、単発ものではなく継続して実施していきたいと考えているが、初年度の来場者は大体千人規模としており、EVもそうであるが、バッテリーなど関連産業の技術で世界トップクラスの方であるとか、世界をリードする企業の方なりを招聘して、100人規模で10本くらいのセッションを設けて開催することをイメージしている。大阪府が主催するというより、関連企業や、そういったものをアレンジできる会社にお願いして、実質的にはいろいろとリードしていく必要はあるが、府は支援、バックアップという形をとっていきたい。

【政策企画部長】
・目標を設定すれば、それに対する指標とマイルストーンの明示が戦略全体を立体化させるために必要であると考えるが、こうした戦略の深掘りについては、どのように考えていくのか。

【商工労働部】
・当面、重点施策を3年間で具体的に着手し実行していきながら、その状況を見て次の着地点を見極めていきたいと考えている。

【総務部長】
・資料2-1のSWOT分析のところであるが、「弱み」として産業用地の不足があげられているが、私は商工労働部に属していたころ企業誘致を担当していた。当時から売る土地がない状況で企業誘致をどう進めるのかといった議論があったので、そのとおりであると思う。その結果かもしれないが、資料の「重点施策」の中に企業誘致に関わる施策があがっていない。どのように展開していくのか。

【商工労働部】
・ご指摘のとおり、大阪府内ではまとまった土地はかなり不足している状況。こういった土地が必要な大規模な工場を誘致する場合は、大阪市の夢洲が考えられるので、大阪市と連携して、それを進めることになる。それ以外の、たとえば部材や素材を作るものづくり企業に対する土地は、点々とまだ空いているところがある。研究機関であれば、それほど大きな土地は必要ないので、いま申し上げたような土地に誘致することになる。

【総務部長】
・夢洲と説明があったが、総務部で進めている庁舎のWTC移転に関連して、夢洲・咲洲のまちづくりを進めていこうとしており、これは政策企画部で大阪市と協議してもらうのだが、その中でも課題としてあげているので、それと連動した施策を打ち出してほしい。そのためには、いま府が持っている企業誘致促進補助金をインセンティブとして適用するのかといった判断は必要であると思うが、その点について、大阪市と議論されているか。

【商工労働部】
・夢洲・咲洲への企業誘致ということでは議論していないが、新エネルギー産業の振興について、 大阪市とは事務レベルでは話をしている。たとえばEVについて、中之島でいろいろな事業をやろうとされているので、それとの連携について調整を進めている。

【総務部長】
・企業誘致に絞って考えたときに、残されたまとまった土地は府内にあまりない。夢洲と彩都の中部地区くらい。こうした土地にしっかりとした企業を誘致することについては、別途やるべきであると思うので、重点施策の中の柱として入れていただきたいと思うのだが。

【商工労働部】
・夢洲については、物流用地と製造業用地の需要がかなりあると大阪市は見込んでいるようだが、用地を売却できる時期は平成24年ないし25年くらいであり、すぐに大きな土地がある訳ではない。これは企業誘致サイドとして大阪市と議論している。咲洲については、物流用地と事業所用地であり、咲洲に工場が建つという可能性はほとんどない。また咲洲の土地はほとんど民間の商社がもっているので、まちづくりの観点からどうしていくのかという議論になると思う。

【知事】
・夢洲については、大阪市長が新エネルギーの分野でかなりやる気が強いので、しっかりと連携していってほしい。

【商工労働部】
・大阪市としては、将来、どういう形で売却すれば一番高く売れるといった部分はあるが、府としては、どう産業振興につなげるかの部分があるので、引き続き、大阪市と調整を図っていきたい。

【綛山副知事】
・大阪市は、咲洲と夢洲の企業誘致促進のためのプロジェクトをつくって、特に夢洲を工場用地として77万平米の土地があるので、新エネ戦略も大きな企業誘致素地として、それをちゃんと位置付けてもらって、大阪市と連携して大阪の発展のためのエネルギー戦略につなげてほしい。

【知事】
・めざすべき将来像の期間を2025年としているのはなぜか。

【商工労働部】
・「将来ビジョン・大阪」の期間にあわせている。

【知事】
・EVアクションプログラムの現在の状況は。

【商工労働部】
・まちづくり関係では、EVの活用について経済産業省の了解が得られたので、その契約締結の準備を進めている。

【知事】
・国際会議の開催が含まれているが、目に見えるような形で新エネルギーの技術が発信できるということで、LEDを使えるのではないか。

【商工労働部】
・LEDは新エネルギーというより省エネルギー、低炭素化の範疇である。現在、環境農林水産部で取り組んでいるので、情報のやりとりはしている。

【知事】
・特区の活用はできないか。

【商工労働部】
・資料2-1「各主体と連携した戦略的取組み」の「革新的な技術や製品の創出」に記載しているように、それも念頭に置きながら具体的に検討を進めたい。

【知事】
・重点施策例は実際に実施できるものか。

【商工労働部】
・予算議論はあるが、可能な限り進めていきたい。

【知事】
・特区は、民主党政権になったので、地域主権という観点から、いろんな分野に特区制度を取り入れていきたいと考えているので、十分な検討を行うことが必要。

【商工労働部長】
・特区については、新エネ以外にバイオなどもあるので、これらも含めて部として成長分野として何が考えられるか、最大の効果をあげるべく検討をすすめる。

【知事】
・関西ビジョンの拡大版を練り上げようと思っており、特区というものを大きな位置付けにしたいと考えている。

【商工労働部長】
・部の認識としては、都市間競争が国際的に行われている中で、どの分野で集積を図り、競争に生き残っていくかを検討するに当たり、特区は最大のツールになると考えている。しっかりと取り組んでいきたい。

【知事】
・「アジアの視点での検討」ということについて企画室には指示をしているが、周辺の各国の状況はどうか。

【商工労働部】
・バッテリー分野では、リチウムイオン電池の日本の技術は抜きん出ているが、韓国でも日本の技術は流れているし、中国も基礎的な部分はできてきており、かなり競争が激しくなっている。太陽光の分野でも、日本とドイツと中国が大きなシェアを占めている。かつては日本の独壇場であったが、ドイツに加えて中国も出てきたような状況。安い人件費をバックにして大量に生産することで実績を伸ばしてきており、日本、大阪としては先端の技術を使ってマザー工場という言い方をするが、技術を海外に出せないような工場を拠点として大阪に集積させてリードを保っていく仕掛けが必要である。

【知事】
・そうなるともう太陽光は入らないのか。

【商工労働部】
・入れている。

【知事】
・シャープなどものすごく巨大なものがある。そういうところを生かした話は何かないのか。

【商工労働部】
・昨年度も実施したが、シャープと府内ものづくり企業のマッチングを行い、それに府内企業が参加できる仕組みなどを考えていきたい。
・また、現在はシリコンの素材がメインだが、シャープが取り組んでいるのは「薄膜」という次の世代の素材。またさらに、その次の新素材の研究もされているので、府がそういったものを「つなぐ」役割が担えるのではないかと考える。

【小河副知事】
・先ほど政策企画部長も言われたが、せっかくいろいろな取組みを考えているのに、その内容が数値化されていないのでイメージがわかない。たとえば、資料で「ものづくり中小企業が集積」と書いているが、そのデータはどうなのか。また、「新エネルギー産業で活躍する企業も多い」とあるが、最近は多くの地域が同じようなことを言っている中、実際に大阪は他地域と比較してどれくらい多いのか。
・大阪を新エネルギー都市ナンバーワンにする「産業振興戦略」と言うなら、具体的に2025年には「臨海部は関連企業の立地で埋め尽くされている」というように、どのような都市になっているのかを示すべきではないか。個々に言われていることはわかるが、大きくどのようにしようとしているかがわからない。EVのアクションプランは、外へアピールするものなのであれでよいと思うが、「産業振興戦略」というからには、もっと具体的で大きな話をすべきではないかというのが私の感想。

【木村副知事】
・そういう意味から、皆が「物足りなさ」を持っている。

【商工労働部長】
・確かに、2025年という年次を考えると理念的なものが入ってくるが、事務方ではそこまで及ばなかった。そういう夢的な要素を書くということであれば、私は可能だと思う。

【小河副知事】
・たとえば、現在の大阪産業の中で、これがどれくらいの位置づけにあり、それを将来的にどのくらいまで引き上げるのか。または、単に目玉的にあるエリアにだけ集積させるつもりなのか。それもわからない。そこは「夢」ではなく、現実的にどうしていくかというものがあってもいいと思う。

【商工労働部長】
・夢を描くことによって工程表が描けるという気はするが、「あえて夢を余り書かなかった」というのが正直なところ。ゴールがなかなか見えにくいという感じがする。

【知事】
・資料に示している「大阪EVアクションプログラム」、「新エネルギー産業と大学等の出会い促進」、「ものづくり中小企業の新エネルギー産業への参入促進」といった「重点施策」で、本当に産業振興が図れるか。実際に製造業に携わっている中小企業の方々に新エネルギー産業の方に誘導をかけて、何パーセントくらいの方に関連産業に携っていただくようにするといったゴールは描いているか。たとえば、東大阪の中小企業の方々はどうか。中小企業の方は「自分たちの技術では無理だ」と言われているのではないか。

【商工労働部】
・そんなことはない。逆に、中小企業の方々は新エネルギー産業への関心が非常に高いが、自分たちの技術が新エネルギーのどんなところに生かせるのかわかっていない企業もある。いろいろなレベルの企業があり、既に参入している企業の中には、太陽光パネルのシリコンウェハの製造で全国でも70パーセントくらいのシェアを持っているところもある。常に新しい意識を持って、新しいことに挑戦し、目の前で儲からなくても新しいことがあればやってみようということを常々やっている企業の中には、たまたま声をかけられて参入したところ、うまくいくようになったというケースもある。

【知事】
・大阪に新エネルギー産業の製造工場自体を持ってくるのは、立地として難しい。中小企業はどこにその技術を提供するのか。

【商工労働部長】
・新エネルギーはEVも含め、産業構造が大きく変わっていくであろうと言われているが、それがどう変わっていくか誰もわかっていない。今後の技術の進展など、いろいろなことを見極めながら、皆でこういう方向だということを作り上げている世界だと思っている。我々がロジカルに「こういう工程でこれができる」ということは不可能だと思っているが、夢を書くことはできる。新エネルギーとはまだそういう世界。あまり厳密に「数字を示せ」と言われると、ほぼ不可能な世界に入ってくると私は思っている。逆に、誰もわかっていないからこそこれを打ち立て、勝負していくということができる。今の時点では、EVについて、一歩先んじていろいろなことができ始めている。それを積み上げていくことによって「大阪府は進んでいるじゃないか」ということを皆が認知していくという姿に持っていくのが私のイメージ。

【知事】
・大きな流れとしては、産業振興として製造業の拠点を持ってきて、その周りに関連企業を集積させるというパターンと、そうではなく、既にある企業の技術を転換させ、外の製造業に提供させていくというパターンがある。大阪の場合は、拠点企業はシャープくらいしかあり得ないのか。

【商工労働部長】
・先ほど話にあった夢洲をどういう形で使うかということがある。少し先であるが、夢洲であればまだ工場等の立地が可能。

【知事】
・全国で新エネルギー関連産業の情報収集をして、いま大阪にある中小企業の技術をそちらに結び付けていくということは。

【商工労働部】
・それもあると思う。たとえば、燃料電池で「エネファーム」というのが売り出されている。その製造自体はまだ小規模であるが、白物家電を作っている工場などを転換し、その製造を増やしていくということが考えられる。また、燃料電池の部材は2千〜3千点の部品が必要と言われており、そういったところに中小企業が参入する余地は十分ある。その仕掛けを考える必要。

【知事】
・それは資料の「重点施策例3」に該当するのか。

【商工労働部】
・そのとおり。

【知事】
・2025年の将来像はやはり必要。「大阪中にEVが走っている」というだけでは産業振興にならない。

【商工労働部長】
・実際、新エネルギーが出てきたときに一番変わるのは周辺産業だと思う。どういう周辺産業が出てくるかを見通す力というのが個々の企業にとって重要。そして、それを見通すために必要な情報などを提供していくのが我々の役目。産学官の関係の中で情報提供していき、企業のやる気を引き出していくのが我々の役目だと私は思っている。
・たとえば、ゴールド・ラッシュのときに儲かったのはシャベルやツルハシを作る人だったというのがある。それに向かってどういう産業構造ができあがっていくのかを皆で作り上げていくということだと思う。

【知事】
・お金を使って行政で何かをするとか、拠点をつくるわけにもいかないので、間をとりもっていく、「つなぐ」ということが主なところか。

【木村副知事】
・ボリューム感についてはもう少し議論するということでお願い。

【政策企画部長】
・それでは、本戦略(案)については、基本的な考え方について方向性を了承することとする。議論のあった夢洲の活用など戦略の「深堀り」の部分については、引き続き検討していただく。来年度予算については改めて総務部と議論するということでお願い。
・本日の会議コストは1時間55分で465,959円。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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