平成21年度第6回大阪府戦略本部会議 議事概要

更新日:2015年8月5日

  • と き 平成21年4月30日(木曜日) 14時から16時25分
  • ところ 特別会議室(大)
  • 出席者 知事、副知事、政策企画部長、総務部長、関係部局等

【知事】
・最初に、新型インフルエンザ対策として、次の措置を行うこととしたので連絡する。
 (1) 個人防護服7万服を追加し、合計8万服を用意する。
 (2) インフルエンザの検査キットを2000セット用意する。

 

議題1:経済対策について

【知事】
・前回の戦略本部会議で一応の方針は出してもらったが、経済対策として、府が本来やるべき一般施策をやるのか経済対策に特化するか、いつごろ効果が出るものを考えるか、事業者活性化か府民の可処分所得を上げることにより消費性向を上げる方向なのか、大きな方向性を出したい。私の思いは、低所得の方の可処分所得を上げることにより、消費性向を上げることが経済対策であるというイメージ。府に回ってくる金でそのようなことができるのか、議論したい。

※ 政策企画部、商工労働部から資料をもとに説明。

【知事】
・国はそもそも需給ギャップを埋めることを経済対策としていたのではなかったか。府として本予算で実施すべき施策を前倒ししてやるのが経済対策なのか。府民はこれで景気感を感じることになるのか。「将来ビジョン・大阪の実現を強力に進める」とあるが、将来ビジョンは経済対策のために作ったものではない。経済対策のためにやるべきことなのか。

【企画室長】
・狭義の経済対策としては、資料1-5の「危機フェーズ」がそれに当たる。今回、政府は「底入れフェーズ」「回復・成長フェーズ」までにらんで多年度にわたり対策を講じるので経済対策のためにもなり、かつ、我々が施策推進したいもので、府の財源が無い中ためらっていたものについても前倒しで取り組めるものがあれば、積極的な対応をしていったらいいのではと考えた。

【総務部長】
・低所得者向け施策は緊急性があり、真っ先にやるべきであるが、「回復・成長フェーズ」まで見通すと長期のトレンドのある事業もやって、雇用を生み出すものもある。国が考えているのは幅広い展開。

【綛山副知事】
・経済政策は国の問題で、地方は国のメニューを受けて着実に実施することで消費拡大、需要喚起して景気底上げをする。まずその第1がセーフティネット。ただし、国の施策が中長期的観点から低炭素社会実現などの分野にも講じられるので、それも国の予算、基金が使えるならば前倒しでやると理解している。

【知事】
・公共事業は前倒しで実施すると仕事が増え、しかも全国一律の実施により効果がスピルオーバーしないというのはわかるが、他の政策はどうか。

【事務局スタッフ】
・経済対策臨時交付金は、地方で使う枠組みとしては、地球温暖化、少子高齢化、安全安心など大枠の政策の方向性を決めている。国全体の方向に合致しているので、大阪府としての解釈は、将来ビジョンの方向や、府民に対してやろうと示しているものを中心に重点的に前倒しをするという意味において、戦略的に使う。

【事務局スタッフ】
・「基本的考え方」の(1)にある緊急対策だけではだめで、将来ビジョンが府の命題である以上は、底入れフェーズまで想定した施策とすべき。

【知事】
・将来ビジョンは本予算で実現すべきもので、経済対策としては、緊急的に人、モノを動かさないといけないのではないか。

【事務局スタッフ】
・動かしうるような施策を立案する必要がある。大阪の介護実態では、介護サービスや人材が不足している。国全体でも10万人確保し、府としても約1万人を3ヵ年で確保していこうとしている。これは(1)の緊急対策の要素もあり、同時に、(2)の成長段階に位置づけ、介護システムとして将来に向けた安定的運営対応ということに資することにもなる。

【商工労働部長】
・たとえば障がい者雇用率を上げていこうとするとき、厳しい時期には障がい者が解雇される可能性が高いので適切な施策を打たないと目的が達成されなくなるので、障がい者雇用が維持できるように企業に対して助成するということはあり得る。障がい者雇用が維持されれば、安心感のもとに消費が上がっていく。施策の切り口をどうするかであるが、低所得というとどこの低所得かわからないので、将来ビジョンに重点をおいて施策推進をすると理解している。

【知事】
・高所得者の可処分所得上がっても消費に結びつかないのでは。経済対策とはそういう話では。

【事務局スタッフ】
・それは中央政府の役割の議論ではないか。

【綛山副知事】
・税制の議論、たとえば贈与税軽減措置は国の問題として動いている。地方に回ってくる3つの柱をどう駆使するか。いずれしなければならないものを景気対策にも使えないかという趣旨であるが、確かにこのまとめ方では将来ビジョン大阪を実現するための景気対策に見える。

【知事】
・障がい者の可処分所得を確保してという話はわかりやすいが、86億円ではやることも限られている。将来ビジョンに余りに重きを置き過ぎではないか。

【木村副知事】
・基本的には消費刺激がキーワード。そのためには生活安定、雇用が拡大する、収入拡大が前提。3つの柱の中で今やっていくものも含め、「消費刺激につながるような施策」として先食いするということで説明できるのでは。自治体である我々としては府民の生活安定のために何ができるか。短期・中期に分けて経済対策を講じて、将来ビジョンにも貢献するようにしていけばよい。

【知事】
・消費性向をあげる必要があると思うが。

【商工労働部長】
・「上げる」というより「下げない」と考えた方がよい。そのためには雇用を維持する必要。

【知事】
・額が微々たるものであるが。

【綛山副知事】
・1兆円のうち86億円が府。基金は別に2兆円規模で、トータル相まっての施策展開になる。基金の情報がまだ不透明なので、府や市町村が使いやすいものに設計されることが必要。

【事務局スタッフ】
・国費で15.4兆円の対策を講じるが、府に予算が配分されるものだけではなく、国から直接配分されるもの、税制の中で措置されるものなど種々の方法があるので、自治体に交付される経済対策臨時交付金の80億円をどううまく使うか。
・雇用の視点、消費の維持向上の視点といったメルクマールで考えるとわかりやすいと思う。

【企画室長】
・経済対策の施策選択メニューとして、将来ビジョンについては、優先性が確定しているので使っていくべきと考える。

【知事】
・生活者の生活レベルを不安定な状況に陥らせないということが重要と言うなら、将来ビジョンの施策の前倒しよりも、個人の所得に着目した施策を打つべきでは。

【事務局スタッフ】
・個人の生活の底割については、国がセーフティネットで手当をすべき。それをベースにした上で、上乗せ部分については地方によって実情が異なるので、大阪なりの考え方を提示する。
・たとえば太陽光発電、省エネといった分野については、国の施策によってマーケットが拡大し、消費拡大が見込まれるので、大阪の中小企業が参入して商品開発できるよう、将来ビジョンの枠組を使いながら企業を動かしていく。国のマクロ的な動き方と地方の実情に合った動きを組み合わせていくことになる。

【知事】
・大きな方向として、個々の府民の可処分所得を上げるということを重視するのか、企業体の収益を上げることを重視するのか。

【事務局スタッフ】
・今回は両方がうまく入っている。昨年度の補正予算で既に実施している経済対策も含めて見てみると、たとえば住宅ローンの税控除については、個人の可処分所得を上げるものだが、同時に、裾野の広い住宅産業を活性化させる効果が高い。また、省エネ車の購入の補助金についても、個人に対する補助金という意味合いだけでなく、大阪の燃料電池産業の活用にもつながる。個人消費を促すだけでなく、間接的に企業の支援にもなっている。

【知事】
・国がそういうメニューを用意しているということだが、府が自治体として考える視点というのも両方か。

【総務部長】
・両方のメニューを国が用意し、しかも、その使い方として、地方も両方の使い方をしようということが提示されていると思う。我々としても積極的に活用することで経済対策にもつながるし、府としてこれまでも実施しようとしていた施策が前倒しできることになる。経済対策につながるという説明原理をしっかりした上でだが、我々は、通常予算で対応できるものは経済対策で実施すべきでないとは思っておらず、本来、通常予算で盛り込むべきだが今年度予算には盛り込めなかったものに活用できるのであれば前倒しすればよい。
・資料1-5の「将来ビジョン大阪の実現を強力に進める」という表現はミスリード。将来ビジョンについては、既に政策議論がなされ、府として取り組むべき事業と認知されているという意味。

【知事】
・では、資料1-5の表現は修正を。
・最後に施策の優先順位を決めるときには、可処分所得をきちんと確保するということも経済対策の1つなので、こういうときだからこそ、低所得者の可処分所得を確保する方向で考えてほしい。

【商工労働部】
・中長期的な雇用の安定を考えると、セーフティネットとしての緊急雇用と同時に、一定の重点分野で企業活動を活発化させ、雇用ニーズをつくる必要もある。長期的には、企業側のニーズと雇用対策のニーズのマッチングの議論をしていきたい。

【知事】
・求職者を雇用につなげる際に、少子高齢化に向けての介護分野などに重点化するというのは大きな方向性としてお願いする。
・それとは別に、医療・福祉分野の施策を拡充するということは、各家庭の可処分所得を上げるという視点で捉えるのか。医療・福祉を拡充するという一般行政目的で捉えるべきか。

【事務局スタッフ】
・両方。サービスシステムとしてうまく稼動するように必要な量を確保し、質を上げるという供給サイドの話と、受け手側からすると、負担軽減され可処分所得が上がるというセットもの。

【企画室長】
・こういう時期なので、経済的に困っておられる方の医療費をどう考えるかという面と、社会全体としての保障水準を確保するという施策も大切。

【知事】
・そのバランス、配分はどうすべきか。部局から上がってきたものを財政課がどのように判断するのか。

【企画室長】
・今回の経済対策は税源移譲ではなく、国の事業メニューで構築されているので、まずは国の制度趣旨に沿うものをとっていくべき。最大限それをうまく活用し、今の大阪の状況にフィットするようにもっていくのがベスト。あとは財源の問題として、どこまで採択するかという財政論もある。

【総務部長】
・定量的に可処分所得を増加させる施策が○割、本来の施策を充実させる事業が○割ということは決めがたい。相互に関連。事業の中身を見せてもらい、定性的に優先順位を議論。

【知事】
・経済対策は国が実施しないとなかなか効かないということなので、自治体としては医療・福祉を充実させることにより可処分所得を上げるということが筋論なのかと考えた。

【木村副知事】
・今回はそう。各部局からあがってきたものに優先順位をつけ、上から取っていくという仕組みでないとダメ。

【総務部長】
・国が一定のメニューを示してくるので、その中で何ができるかという判断が必要。

【小河副知事】
・全て交付金でくるわけではないので。

【企画室長】
・明日の経済対策連絡会議で十分議論したい。知事からご指摘・ご指示のあった点についてはきっちりご説明して議論する。

【総務部長】
・時間的に5月議会に補正予算として出せるものは極めて限定的。改めて臨時議会でお願いするかどうかは国の動向を見てからになるが、本格的な経済対策の補正予算はそれ以降になる可能性が高い。

【小河副知事】
・5月議会に間に合うものは公共事業が中心になるので、「基本的な考え方」のフェーズをどうするか、考え方を議論し、整理を。

【総務部】
・経済対策なのでスピード感をもってやらないといけないのは承知しているが、5月議会までに各施策の熟度がどれだけ上がるか。ハード・ソフト問わずなるべく多く上げていくつもりだが、熟度の上がらないものが多いのではないかと危惧。

【企画室長】
・効果の発現時期をできるだけ早くするため、できるだけ熟度の上がったものから順次提案できるよう準備する。

【知事】
・くれぐれも経済対策としての説明原理を持った上で、自治体としてできることは、可処分所得を確保して消費性向につなげていくという方向で。

議題2:都市整備部長マニフェスト案について

※ 都市整備部から資料をもとに説明。

【小河副知事】
・広域交通ネットワークの形成で個別路線が挙がっているが、企画室とも関連するが、関西圏の広域インフラのグランドデザインのように、大きな哲学をつくってほしい。都市圏と地方へ行く路線と種類があって、同じ順位付けができないので。それと鉄道もからめて。
・高速道路料金体系の一元化については、第二京阪ができるまでに方向性を出し、阪神高速の対距離料金制に移行する際には、実現させるという思いでないと動かない。きっちりと明記すべき。

【都市整備部長】
・その時点をターゲットとは考えている。

【小河副知事】
・新名神の早期事業化について、次期国幹審と言わずに、それまでに西日本高速道路(株)などといろいろな動きができるので、動かしてほしい。
・非常に難しいが、企画室との関連で物流の問題で港湾・空港・鉄道とのネットワークなど一緒になって検討してもらいたい。これだけでは寂しい。

【都市整備部長】
・広域インフラについては、政策企画部とも連携していきたい。

【知事】
・高速道路の料金体系一元化は絶対必要だと思う。「阪神高速の対距離料金制移行に併せて実施」という表現はするのか。

【都市整備部長】
・記載する。

【綛山副知事】
・阪神高速の対距離料金制移行の議決はされたのか。

【都市整備部長】
・平成23年度までの均一料金制については議決を得た。もう一度対距離料金制に移行する際に議決が必要。
・現在、兵庫県とは一緒に勉強しようという話をしている。とりあえず合意できる団体だけでも集めて立ち上げるつもり。政令市については、順番に声をかけていきたい。

【知事】
・実現されれば、大きく変わると思うのでよろしく。

【木村副知事】
・淀川左岸線延伸部にしてもなにわ筋線にしても、大阪市との関係が横で見ていても危ういと思う。平松市長の強力なリーダーシップに期待したいが、どんな感じか。前に進みそうか。

【都市整備部長】
・既存スキームでいけば、大阪市の負担が非常に大きい。その部分を府・市が一緒になって、地方負担の少ないスキームを国へ提案していこうというのが突破口だと思っている。それを合意していただければ、受け皿づくりということでスタートさせていただけると思っている。知事・市長のリーダーシップが必要な部分。

【知事】
・新名神は国に働きかけるということになっているが、国幹会議のメンバーにも個別にあたるぐらいの気持ちで説明に行かないとダメではないか。国幹会議の委員の方々も一本一本の路線を熟知しているわけではないと思うので、委員の方々にも説明を。
・淀川左岸線の延伸部の「地方負担の軽減を図る」という部分だが、JRおおさか東線や中之島線で府と市の割合が一律で決まっているというよりも、政治決着で決まっているというところもあるのか。おおさか東線は距離からすれば大阪府の方が圧倒的長いにもかかわらず、市と府が1対1。中之島線はどうなっているのか。

【都市整備部長】
・中之島線は全て大阪市内だが、負担割合は、大阪市が2で大阪府が1になっている。阪神なんば線も同じ。

【小河副知事】
・そこはいろいろな整理の仕方があると思う。道路に関しては、今までのルールがきちんと決められているが、淀川左岸線延伸部などでは、地方負担総額をいかに減らすかを議論していけると思う。

【都市整備部長】
・まずは地方負担を圧縮しようということで話をしようと思っている。

【総務部長】
・淀川左岸線延伸部の件だが、地方負担の軽減を図ることは非常に重要だが、府市の役割分担を変えるということではないと理解していいか。従来の府市の役割分担のもとで、地方負担を軽減するスキームを提案するということでいいか。

【都市整備部長】
・府市の役割分担を変えるということではない。

【小河副知事】
・この件は、料金体系の一元化とも関連。

【総務部長】
・一般道路事業の役割分担まで変えるとなると大変なことになる。

【知事】
・管轄の距離で負担割合を決めるとなると、今回の淀川左岸線延伸部については、広域的に必要といい続けて現在に至っているので、広域的に必要ならば、府も応分の負担をという話になってくるのではないか。

【総務部長】
・それは道路事業全体の都道府県と政令市の関係をどうするかという話につながるので、この路線でという話にはならない。

【小河副知事】
・料金体系の一元化と関連しているというのは、都市部の有料道路系、たとえば西日本高速道路(株)の料金収入が他の圏域に使われている。それも一体にしてしまうと、府内で入ってくるお金を府内で使おうというのが大きな考え方。そこから変えていけばいいと思う。それがなければ大和川線などもあるので、従来の考え方と同じで慎重にしなければならない。もっと大きな方向性の中で変えられないかと思う。

【都市整備部長】
・湾岸線の西伸部や愛知の環状道路の話など、少しずつ違ったスキームになりつつあるので、それが実現するのではないかと思う。昔のスキームにこだわる必要はないと思う。

【綛山副知事】
・料金一元化の話が出てくるもの、かつて阪神高速や道路公社、道路公団など分断された道路築造を地方が受け入れざるを得ない状況でそこへ公共を負担するなど複雑な枠組みになってしまっている。今議論になっている地方負担の軽減というスキームの中に、国幹道はどこがどの財源で行うのか、そこをちゃんとやってこなかったからツケが回ってきている。

【小河副知事】
・これまでは「作る論理」できたからこういう結果になっている。それを今度は「利用者論理」にしようということ。

【綛山副知事】
・そういうことを府市の議論も含めてトータル議論しないと分断して議論すると辛い。そういうことをやってきた結果が、今の料金の複雑化になって、結局府民負担にツケが回っている。 

【知事】
・新名神は別途必要性を訴えていくが、第二京阪の供用を待って、その状況を見ての判断になっている。猪瀬副知事は、新名神の抜本見直し区間を繋げるよりも、まずやるべきことは淀川左岸線の延伸部だと明確に言ってくれているので、それを活かしてどっちかは取りにいきたい。新名神と淀川左岸線延伸部の二つを落とすのは関西のためにならない。

【都市整備部長】
・それぞれ道路の質、使われる目的は違うので、やはり我々としては両方、訴えていきたい。

【政策企画部長】
・高速道路料金の一元化の具体化については、阪神高速の対距離料金制移行に併せて実現するという表現を追記されたい。

議題3:住宅まちづくり部長マニフェスト案について

※ 住宅まちづくり部から資料をもとに説明。

【小河副知事】
・東京都では、都営住宅の一人暮らしの高齢者をケースワーカーが戸別訪問し、介護保険の紹介などを行っているとのこと。府も、住宅管理業務をやっているのだから、うまく連携できれば。

【知事】
・高齢者福祉との連携は重要。

【住宅まちづくり部長】
・自治会で情報を把握している場合もあり、市と自治会、府でうまく連携する必要。現在、団地の状況について調査をかけているところ。その結果を踏まえながら、次の地域コミュニティの関係などの情報を出していければ。

【小河副知事】
・個人情報の取扱いは難しいが。

【知事】
・公営住宅では、セーフティネット、少子高齢化対策の中に入るような住宅政策を。確か、改革課題の中にも住宅政策があがっているのではないか。

【綛山副知事】
・公営住宅の管理戸数13万8千戸。では、供給公社はどう考えるのか。経営さえ改善できればいいのか。供給公社の果たしてきた役割を改めて見直すのか、特優賃をどうするのか。住宅政策のトータルの役割を検証すべき時期。役割、供給戸数、民とのすみ分け。住宅の中の駐車場を供給していくことは、府からすればいいことだが、別の見方をすれば民業圧迫と言われる。難しい議論だが、住宅まちづくり審議会できっちりと行政の役割を議論してほしい。

【住宅まちづくり部長】
・公社の役割を含め、住宅政策をどうするのか。そこは非常に大きい課題。今は成熟した社会。昔は数を増やせばよかったが。今はそうではなく、議会でもソフトの話がものすごく増えている。そこを踏まえて住宅政策を考えないといけない。

【木村副知事】
・予算議論でも折々に出てきたが、やるなら、道筋をつけて構想をはっきりさせてやらないといけない。スケジュール化して誰が何をやるのかをしないと議論は進まない。

【総務部長】
・文言上は府営住宅管理戸数しかないが、公的住宅全体のあり方と必要戸数について検討できないか。府営住宅に限定せずに。

【住宅まちづくり部長】
・知事との間でも議論してきて、まだ、府営住宅の話が完全に整理がついていない。それに加えて、公的住宅は府営住宅以外にもあるので、トータルについては次のステップとして、今年度末には審議会に諮問する。府営住宅のコミュニティ論を先にやる。これが喫緊の問題。

【総務部長】
・コミュニティ論というのは、「重点課題2」の話。公営住宅管理戸数としてどれだけ必要かは公的住宅全体としてどれだけ必要なのかを議論しないと答えは出ないのでは。

【住宅まちづくり部長】
・世帯数が減っていくことは目に見えているので、府営住宅の戸数は減らすという一定の方向性はある。具体的にどこのレベルまでいくのかは、公的住宅トータルを含めて、最新人口、世帯数、住宅事情などを踏まえて、次のステップにいきたい。

【総務部長】
・ここで言う「方向性」というのは、何戸必要かということではなく、戸数を減らすのかどうかということか。

【住宅まちづくり部長】
・減らすということと、それをどういう形でやっていくのかということ。たとえば、地域によっては需要と供給がうまく合っておらずそれをどうするか、大規模団地でやっていくのがふさわしいのか、直営ではなく民間の借り上げでできないのかなど、方法論も含めて様々な考え方あるので、その方向性を出していきたい。

【小河副知事】
・部長が悩んでいるのは、府営住宅というのはセーフティネットであり、現にあるものを簡単に減らすとはいえないということだろう。府として全体を見たときにどうかという大きな方向性が必要。今、府営住宅はこれだけいるから、それを個別に考えながらここに持っていくといったシナリオを作らないといけない。

【綛山副知事】
・文言上は住宅戸数を減らそうというメッセージは記載されている。しかし、コミュニティ論だけをやろうとすると、13万8千戸を前提とする対策になり、新婚さんを呼び込もうというのもひとつだろう。しかし、13万8千戸か、13万戸か、10万戸かで全然違う。供給公社での特優賃、民間借上げ、全部含めた住宅政策としてのメッセージを出さないといけない。今後、府としても、外部の有識者の意見も聞きながら議論をしないといけない。

【木村副知事】
・泉北ニュータウンについて、議会での質疑を聞いても、地域の話と全体像があって、そのあたりをうまくキャッチボールしながらやらないと。議会の先生方と話していると、地域の歴史の問題もあるのかと思う。

【住宅まちづくり部長】
・公的住宅のあり方と戸数の問題も含めてトータルで議論しないといけないことは認識している。

【知事】
・外部の有識者には、府営住宅も公社も含めた住宅政策についても議論してもらいたいと考えているが、府としての方向性を年度内、年内ぐらいで出して来年度の予算議論に乗せるのは難しいか。

【住宅まちづくり部長】
・次のステップで、住宅政策のトータル論を今年度末に諮問して、その前段階でいろいろと調べようと思っている。9月、12月では、住宅需要というデータが出てこない。5年ごとに全国調査があり、そこから将来像も見えてくるので、そういうデータをベースにいろいろ考えたい。トータル論は、今年度末諮問して、来年に答申。早ければ来年度プランニングしたい。

【知事】
・来年度の予算議論には反映できないと言うことか。

【住宅まちづくり部長】
・ただ、府営住宅における地域コミュニティの関係については、いろいろ議論していただく途中経過からでも、部で具体的に事業化できるものについては仕組みを考えたい。

【知事】
・昨年来、特別顧問からは、住宅政策の大きな方向性については、コンパクトシティという考え方を打ち出せないか、介護や子育て支援と住宅政策が連携して府民に安全安心を与えるべきではないかなど、様々な意見をいただいており、私自身、住宅政策は非常に重要と認識。1年間空白をあけるのはもったいないので、途中経過でも出してもらって、それを予算議論につなげてほしい。

【住宅まちづくり部長】
・一部でも予算議論に反映していきたい。

【小河副知事】
・府営住宅の方向性をまとめるためには他の公的住宅を意識しないとできない。きちっとしたデータが必要とか、審議会に諮るというが、また、現状のコミュニティを前提に考えると行き詰ってしまうであろうが、住宅建設に携わっている技術職員であれば、「こうあるべきだ」という考えをきちんと持っているはず。

【住宅まちづくり部長】
・府営住宅は団地という一つの塊があり、その地域に住んでおられる方々の中で、コミュニティの崩壊が起こっており、そこの方々の生活がうまくいかないといった現実問題があるので、机上の論理ではなく、地域コミュニティの問題はきっちりとやっておくべき。そうでないと議論のベースが崩れてしまうおそれがある。いろいろな人の話を聞いて詰めていきたい。

【綛山副知事】
・大きな方向性であるので、まずは部から考え方を発信しないと何も始まらないのではないか。

【住宅まちづくり部】
・民間住宅を含め359万世帯に住んでいただいているが、そのうち公的住宅は40万弱で1割強しかなく、あとの9割強が民間。民間市場がしっかりしなければならないし、そこにいろいろな流通が溶け込んでおり、それらをコントロールするとなると市町村ではなく府の役割であると考える。その中に住宅供給公社の役割もあって、1割をどうするのかだけの議論ではなく、9割を含めて全体をコントロールしつつ整理していきたい。

【政策企画部長】
・住宅政策については、知事・副知事からの指摘を踏まえ、公的(府営、公社)住宅の全体のあるべき論と定量的な分析の両面から議論をすすめるということと、その工程を記載すべき。

【知事】
・密集市街地の指定拡大について大阪が遅れているとの報道があったが、75%の目標は他府県と比較してどうか。

【住宅まちづくり部】
・新聞では東京都が78%、大阪が30%であり、これは市街化区域全体のこと。今回の府の目標75%は限られた密集地域のこと。府の戦略は、危ないところに施策を集中させ、その周辺も含めて指定するということ。

【知事】
・ここに出ているのは、全エリアのことではないのか。

【住宅まちづくり部】
・密集市街地のアクションエリアに限ってのこと。都市整備部が市街地全体の防火・準防火指定を進めているのと連携して、住宅まちづくり部では、個別の地区に集中的に防火・準防火指定を促進していく。

【知事】
・東京が78%ならば、東京の密集市街地の指定率はどうか。府のめざす75%というのがどれくらいのレベルか、全国平均と比較するなどして示してほしい。
・供給公社も借入金1500億円以下は、長期借り入れか。

【住宅まちづくり部長】
・短長期あわせて。

【知事】
・1500億円以下というのは根拠があるのか。

【住宅まちづくり部長】
・住宅供給公社の経営が順調にいくと、年間50億円程度の収支が出てくる。30年間返済で1500億円という数字。30年という数字が公的団体として「自立」と言えるにはそれくらいの年数の償還期間。民間金融機関の関係コンサルに聞いた1つのメド。

【知事】
・1500億円の意味について、「公的団体として健全な借金の範囲」といった説明を書いてほしい。

【木村副知事】
・金融機関が任意に待てる最長の返済期間ではないか。それ以上かかるなら潰してしまえというライン。あまりいい数字ではない。

【知事】
・そうなると、1500億円というのはギリギリのライン。決して健全ではない。

【住宅まちづくり部長】
・自立化をめざしての第一歩ということ。

【政策企画部長】
・指標の書き方については事務局と調整していただきたい。

議題4:危機管理監マニフェスト案について

※危機管理監から資料に基づき説明。

【総務部長】
・自主防災組織はどのようなタイプのものを想定しているのか。
・自主防災組織のイメージをもっと府民に分かり易く記載すべきだと思う。

【危機管理監】
・自主防災組織の形態は市町村によってさまざま。今後は、組織率のアップを目指すと同時に、組織率の高い自治体においても、取組みの中味を検証していく必要があると考えている。

【知事】
・仮に、自主防災組織率が高い大阪市など政令市に対しても、府は意見を言ったりできるのか。

【危機管理監】
・災害対策基本法では、政令市を他の市町村と区別しておらず、大阪市や堺市にも知事の権限は及ぶことになる。

【綛山副知事】
・要は、自主防災組織の名に相応しい中味を備えているかどうかだ。大阪市などは組織率100%というが、果たして市民にそこまでの意識が備わっているかどうか。

【政策企画部長】
・大都市部より組織率が低いと言われている地方部の方が、むしろ地域力がしっかりしており、防災訓練の実施などの実態が伴っているかもしれない。

【知事】
・そこは大阪市とも連携しながら、何らかの基準をつくって実態を検証し、各市町村に示していくべきと思う。

【危機管理監】
・昨年度、各市町村の自主防災組織の実情をかなり詳細にアンケート調査している。今後、それを分析し、各市町村にフィードバックしながら、実質的な議論を展開していきたい。

【知事】
・自主防災組織率74.6%を80%以上にするという目標であるが、その80%という数字がどのぐらいの意味を持つのかについて、補足記載してほしい。府民の皆さんに見てもらって「頑張りましょうよ」というメッセージが伝わるように表現を工夫してほしい。

【木村副知事】
・自分のまちがどのような状況か、住民の皆さんにも承知してもらう必要がある。

【小河副知事】
・今後はアンケート調査の内容も含めて積極的に公表していくべき。
・また、「大阪駅周辺の帰宅困難者対策の検討」として、「府・市連携による官民共同の検討組織の設置・運営」とされているが、具体的にどのような取組みが進められているのか。

【危機管理室】
・既に、大阪府・市、鉄道事業者、地下街店舗等の関係者などと協議に向けた調整を進めている。災害時には大阪駅周辺で約150万人もの帰宅困難者の発生が予想されており、その対策として、一時避難所的な仕組みをきちんと検討しておこうと考えている。

【小河副知事】
・大阪駅周辺だけのモデルではなく、すべてのターミナルで検討していくべき課題。

【危機管理監】
・大阪駅周辺をひとつのモデルケースとして取り組んでいく。

【政策企画部長】
・この部分をもう少し具体的に記載いただくとともに、自主防災組織の目標数値について府民に分かり易い記載となるよう事務局と調整してほしい。
・今日の会議コストは、2時間25分で57万4950円。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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