平成20年度第7回大阪府経営企画会議 議事概要

更新日:2015年8月5日

  • と き 平成20年11月7日(金曜日) 15時30分から17時10分
  • ところ 知事室
  • 出席者 知事、副知事、水道企業管理者、危機管理監、政策企画部長、総務部長、政策企画部、都市整備部

議題 淀川水系河川整備計画案に対する4府県知事共同提案について

【政策企画部長】
・本日の会議の資料及び議事概要の取り扱いについて、確認したい。
・ホームページに、経営企画会議の公開の取り扱い基準を記載しているが、本日のテーマは、今後関係府県の知事間で議論を進めるにあたって、それに臨む府の考え方を議論するものであることから、「公開等の取扱い」(3)の「大阪府以外の関係者に影響が及ぶおそれがある資料や発言等については公表を差し控えるが、関係者に影響が及ぶおそれがなくなった段階で公表」を適用し、4府県の知事共同意見がまとまって、発表された後に、速やかに公表することとする。

【小河副知事】
・議論に入る前に、昨日、私が大戸川ダムの地元住民の方から要望を受けたことを申し上げておく。

その後、河川室から資料「淀川水系の治水対策の進め方について」「淀川水系河川整備計画案に対する4府県知事共同意見案について」を順次、説明。

【危機管理監】
・共同意見案の「大戸川ダム」の項中、2つ目の「ダム本体建設着手時期・・・」の3行を入れる必要はないのではないか。その上の「河川整備計画に位置づける必要はない」と論理矛盾を起こしている。
・ところで、この共同意見を公表したら、国はどう動くだろうか。

【小河副知事】
・以前の意見交換で、地方整備局は、大戸川ダムがない状況では河川管理者として、桂川の改修は下流に影響のない範囲しかやれない。下流のHWL(※)を越えるようなことは出来ないと明言している。また地域整備に対して、今の法制度上では負担はできないと明確に言っていた。

※ HWL(High-water level:計画高水位)とは
  ・堤防の決壊等甚大な被害が生じる恐れのある水位。
  ・河川に橋など架ける場合には、計画高水位より上にクリアランス(余裕高さ)をとるなど、
  まちづくりの根幹となっている。

【総務部長】
・代替案の問題については、京都、滋賀と見解は一致しているのか。

【都市整備部】
・事務レベルでは一致している。京都の知事は最初から一時的・緊急的といっている。しかし、滋賀の知事は、代替案は有効と考えておられるよう。

【政策企画部長】
・大戸川ダムを位置づける必要がないという意見とするならば、淀川の治水安全レベルに影響を及ぼさないように上中流部の改修を進めるという意見でまとまっていなければ論理一貫していないということになる。
・国に頼らず地域としてやるという意気込みを示すならば、互いに配慮しながら治水を進めるということで地域は合意したということを打ち出さなければならない。

【三輪副知事】
・確認だが、桂川が特記されているが、河川改修をしなければならないのは、桂川、木津川、宇治川の全部なのか。淀川への影響はそれぞれで異なるのか。

【都市整備部】
・淀川から見れば流入する3川で、影響に大小があるわけではない。今、特に危険度が高いのは、3川のうち、桂川ということ。宇治川の安全度が1/20程度(20年に1回溢れる)なのに対して、桂川は1/5程度という状況にある。
・淀川に配慮した改修は、桂川だけでなく、これら3川を併せて考えなければならない。

【三輪副知事】
・ダムを止めるとなると、大阪の立場からは、大阪府民に淀川が安全だというためには、3つの川から流れ込む流量に配慮して河川改修をすすめてほしいということを申し上げ、京都、滋賀に了解しておいてもらわなければならないのではないか。

【知事】
・河川管理者である国が改修のペースを判断するなら、地元府県の合意はいらないということになるのか。

【都市整備部】
・直轄事業負担金もあるし、地元府県としての意向は反映される。

【政策企画部長】
・地元の知事が、淀川流域の治水の総枠について合意するということでなければならないのではないか。

【知事】
・大戸川の改修に関してはどうか。これは、滋賀県の単独事業と聞いている。そうであれば、滋賀県と明確に合意しておく必要があるのではないか。

【都市整備部】
・上流での改修が中流の流量に配慮したものでないと、京都府が納得しない。

【三輪副知事】
・合意案の考え方は、大戸川ダムができなくても、(宇治川の)天ヶ瀬ダムや、喜撰山ダムをあてにするのではなく、(木津川の)川上ダムの効果と阪神西大阪線の嵩上げの効果、併せて700?/Sの範囲内で、桂川の改修を抑えてほしいということか。

【都市整備部】
・計画論としては、一時的緊急的な対応である天ヶ瀬、喜撰山の分は、カウントできない。

【三輪副知事】
・もともとの国の案は、川上ダムと大戸川ダムの効果分を前提として、桂川や宇治川を改修するもの。京都としては、喜撰山は別として、天ヶ瀬の分はカウントして改修したいということではないか。

【都市整備部】
・計画論としては、それはできない。現実的な対応としては、天ヶ瀬や喜撰山の容量も使うことがありうるということ。

【木村副知事】
・関西電力も、地域住民の命がかかる状況では協力することになるだろう。

【三輪副知事】
・しかし、8時間もかかるのでは現実に対応できるのか疑問。天ヶ瀬ダム分をどうするかということも含めて3府県の共通の認識でなければならない。

【知事】
・計画論としてのHWLは理解しているが、それと現実の状況とをリンクさせて理解したい。過去の水害などで、堤防が 決壊したケースでHWLからどれだけ超えていたかなどを示すデータや資料はないか。
・計画論としてHWLを守るのは当然だが、現実の緊急避難として、どれぐらいまでのオーバーが許容されるのか、事例を知っておきたい。

【危機管理監】
・専門家ではないが、現実の雨量、災害と、計画論の因果関係を整理するのは難しいのではないか。計算の世界と、実際の雨量による影響は違うところがある。計画は、あくまでも守るべき基準。

【都市整備部】
・大阪は、前面が大阪湾、北に淀川、南に大和川と、水に囲まれた危険な場所という前提に立つことが、府の治水政策の基本的な考え方。水位はHWLより、少しでも下げたいという方向で進めている。HWLを超えることは前提にできない。
・台風と高潮が重なると、水門を閉める。行き先のない「内水」は毛馬などのポンプで淀川に流すが、それができなくなる ということが、安全上の問題として現実のものになるおそれがある。

【小河副知事】
・現実の河川管理上の対応として、下流に影響が出るところまで上流を改修することはない。知事のおっしゃるように、現実の問題としてどうか、すなわち、計画論としてのHWLにどこまで許容の幅があるかということは、研究する価値はあると思うが、今の議論でその時間はないし、やはり、計画論としては許容できないということになる。

【知事】
・HWLは行政の約束事として重要なことは十分に理解している。しかし、HWLを1センチ越えたからといって堤防が決壊することはありえないというのが府民感覚。行政の約束事として守るべきだが、一定の幅があるのではないか。ギリギリの判断をするときには、計画論だけではなく、現実に置き直して考えなければならない。

【政策企画部長】
・現段階では、HWLにどこまで幅を持たせることができるのかという検証できるデータはない。そのような状況の下で、知事の意見として出すのなら、計画論上のHWLという言葉ではなく、「治水の安全レベル」という表現が適切ではないか。「安全を確保していくべき」ということをきちんと申し入れているということで府民に説明していく。

【木村副知事】
・同感。HWLは、府民にはわかりづらい。「安全」で説明すべき。

【知事】
・HWLといわれても府民にはピンとこないだろう。その時の状況を総合的に勘案して治水上の安全を確保するということをきちんと説明して府民の理解を求めたい。

【三輪副知事】
・今の共同意見案だと、あと30年、一定のリスクを京都、滋賀が共有してくれるということを確認することが必要になるのではないか。

【小河副知事】
・洪水が起きそうなときにどこが危険になるかなどのリスクは、実際は、河川管理者である国がどう判断するかにかかっている。

【三輪副知事】
・意見書としては、知事が、府民・県民にどう説明できるかということ。川が氾濫するリスクをそれぞれの府県民に我慢してほしいという説明ができうるのかということ。

【政策企画部長】
・大戸川ダムを計画に入れないということで、合意するなら、上流の河川改修もある程度進捗を抑えてもらうしかない。

【三輪副知事】
・議論になると思うので訊くが、府として何かを「犠牲」にする部分がないのに、上流にだけ、改修の進捗を我慢してほしいということで三者は合意できるのか。

【水道企業管理者】
・下流は今より悪くはならない。上流も、河川改修の進捗に配慮し改修の効果の発現が遅れることを受忍する。下流では、ダムは作れないのだから、上流で配慮するしかない。しかし、そうなったとしても、上流においても今よりは悪くはならないということ。

【政策企画部長】
・上流、中流においては、今より改善する。下流が今より悪くならない。その線を打ち出すことが、ベストではないが、ベターな選択ではないか。そこに3者(4者)が合意するということ。

【危機管理監】
・どんな川でも、改修する場合は下流から進めるもの。たまたま3府県にまたがっているため、こうした議論になってしまう。

【知事】
・やはり、「大戸川ダムを計画に位置づけない」という記述について、「現時点では」という表現は外そうと思う。計画変更を前提としている表現は不要と考える。

【政策企画部長】
・それでは、現段階でのまとめとして、「大戸川ダムは河川整備計画に位置づける必要はない。河川の治水安全レベルに影響を与えないように中上流の河川改修をすすめる」という表現で調整に入らせていただく。
・大戸川ダムに関するもう一つの論点、大津信楽線への負担に関する表現はどうか。

【総務部長】
・国が整備に関する責務を果たした時に限り、府も負担するということを三者でぜひ確認しておいてほしい。

【知事】
・水源や環境を守っている滋賀県を下流が支えるという発想も必要だと考える。ダムが休止すれば、環境が守られるという観点に着目すべき。
・法制度上、大阪や京都は、ダムが整備されないと大津信楽線に負担できないのなら、3府県知事で、制度改正の要望をしていくということを表現に入れることはどうか。

【小河副知事】
・大津信楽線は、そもそも現道が水没するということで、国と下流の関係府県が負担しあって整備している。ダムが休止すれば現道も水没しない。単なるバイパス事業となり、新しいスキームがない限り、府でも道路整備が休止となっている中、負担は難しいのでは。

【危機管理監】
・滋賀県に対しては、琵琶湖総合開発をはじめ、下流はこれまでも様々に協力してきている。しかし、それには、府民や議会が理解できるスキームが必要。

【三輪副知事】
・心配は、国が負担を逃れようとすること。

【知事】
・国に求めていくのは、スキームづくりの部分か。そもそも、地方整備局が、ダムがなくなればダム関連事業である大津信楽線をやらないというようなことを言っているが、国にきちんとやるように求める。政治的な運動を起こしたい。これまでのダムの計画は確かに地元も合意してきたかもしれないが、現在の状況に対し、選挙の洗礼を受けた知事としてどうかという観点から考えるべきだと思う。整備局は選挙の洗礼を受けていない。
・また、まったく大阪としてやらないということでは、三府県で協調してやっていくことにはならないので、ダムと環境という観点からは、関西圏域を見て大阪府を越えたところもありうるのでは。

【政策企画部】
・そういう側面は否定できないが、やはり、大津信楽線については、ダムが凍結されたら水没しないので、道路を完成させるために他府県が滋賀を支援するということにはならないのではないか。

【木村副知事】
・滋賀に対して、Noとは言わないことも大切。

【知事】
・府として一切負担しないということではなく、まず国に求めることにする。

【政策企画部長】
・それでは、この点については、熊本でも議論があるように、これからダムの休止も出てくる。しかし、制度はそれを予定していない。休止となった時の、関連事業の「後始末」に関するスキームを作れと、国に言う。そのスキームの中で、府も負担に応じていくということでまとめたい。
・今日の会議コストは、90分で、約33万円。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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