「府政運営の基本方針2011」

更新日:平成23年1月21日

                           平成22年11月9日

目次

《はじめに》

 これまでの取組みと評価
 社会経済情勢・府民生活の現状

《府政運営の基本方針2011》

 1.基本的な姿勢と基本的な方針

 2.「財政構造改革」と平成23年度当初予算編成
  
(1) 財政の状況・見通し
  
(2)
 23年度当初予算編成の基本的考え方
  
(3) 今後の財政運営に向けて

 3.「府庁改革」
  
(1) 組織機構等
  
(2)
 23年度当初の人員体制編成
  
(3)
 ポスト管理
  
(4)
 公務員制度改革
  
(5)
 出資法人等や公の施設のさらなる改革
  
(6)
 大阪版市場化テストの着実な実施
  
(7)
 新公会計制度の導入
  
(8)
 戦略的広報と究極の情報公開
  
(9) 組織力強化(組織としての課題認識・解決力の強化)

 4.「政策創造」と平成23年度の「主な政策課題」
  
(1) 23年度の「政策創造」
  
(2)
 「主な政策課題」の現状と論点
  
(3) 23年度の「知事重点事業」

 5.「地域主権」
  
(1) 地域主権の実現に向けて(国との関係)
  
(2) 大阪・関西発の取組み 

 (注) 本文中、下線を付している用語等は、「用語集」にて解説しています。該当の用語等をクリックすると、解説が別ウインドウで立ち上がります。

はじめに

これまでの取組みと評価

・「財政再建」「政策創造」「府庁改革」と「地域主権」の取組みについて、これまでの府政3ヵ年をふりかえると下図のとおりである。

 府政運営のこれまでの取組み

(参考)改革評価委員からのご意見・ご提言

(政策イノベーション〔発想転換等による政策の革新〕)
 大阪府が限られた財源の中で安定した行政サービスを、継続して提供してくためには、新たな財源に頼らない施策の展開が必要である。公営住宅を介護サービスの拠点として活用する等、既存資産を最大限活用することや、従来の枠にとらわれない横断的な連携を図るなど、政策課題を新しい知恵と発想によって解決していく“政策イノベーション”への取組みが重要であると思われる。

(新公会計システム)
 大阪府の資産情報等を明らかにすることによって、事業別や組織別の財務マネジメント〔財務管理〕、わかりやすい財務情報の発信に役立てるとともに、将来的には予算編成にも活かすことのできるような、“新公会計システム”を構築すべき。

(部局の縦割りを超えた取組み)
 障がい者の雇用を進めるため、法律で定められている法定雇用率を上げていくことだけでなく、部局の枠を超えた横の連携を積極的に図りながら、障がい者の雇用者数そのものを増やすという取組みが重要である。

(本質的な目標設定のあり方)
 がん対策の充実のアウトプット〔成果〕として、治療を受ける患者数の増加だけを指標とするのではなく、予防や早期発見、治療という、がん対策の一連の流れにおける取組みの指標、成果を示した方が分かりやすい。

(維持管理の戦略的取組み)
 社会インフラ〔インフラストラクチャーの略:道路等の産業や生活の基盤となる施設〕の老朽化が進む中、都市基盤施設の整備や維持管理について、戦略的にどう取り組んでいくのかといったことを、重点課題として府民に示すべき。

※ これらのご意見・ご提言は、平成22年4月段階で、21年度の部局長マニフェスト〔部局長が知事と実現を約束する政策目標〕の評価・検証及び「府政運営の基本方針2010」に基づく22年度の部局長マニフェストの目標設定に際して、改革評価委員からいただいたもので、これらのうち対応可能なものから22年度の府政運営において実践しています。

社会経済情勢・府民生活の現状

・経済状況や府民生活の現状を概観すると次のとおりである。なお、個別政策分野における現状認識は、「主な政策課題の現状と論点」(別添3)【PDF】で示す。

大阪経済・府民生活の状況

・大阪経済は、22年7月のCI(景気動向指数:速報値)は21年3月以降緩やかではあるが改善傾向にあり、統計的には徐々に景気が回復しつつあることを示しているものの、府内の失業率は依然として高水準で推移するなど、まだまだ実感できる状況にない。

大阪のCIと完全失業率の推移

人口動態

・21年度末(22年3月31日)時点の住民基本台帳に基づく人口調査で、全国の人口は3年ぶりに減少。人口増加は大阪府を含む9都府県。とりわけ総人口に占める三大都市圏(東京圏、名古屋圏、関西圏)の人口は過去最高の50.51%を記録。少子高齢化も進展し、生産年齢人口(15〜64歳)は15年前と比べ、北海道や兵庫県の人口規模に匹敵する約546万人、6.3%の減。

人口が増加した都道府県 など

府民意識

・「将来ビジョン・大阪」に掲げる将来像イメージの実現状況に対する意識について、21年度と比較した各指標の変化の状況と否定的な回答の主な理由は次のとおり。

府民意識の推移等

23年度の府政運営に向けて

・こうした課題を克服し、より多くの府民が状況変化や環境改善を実感できる、よりよい大阪をめざすためには、課題の根源的要因を構造的に分析し、府及び府内市町村はもとより、これらに関わるすべての者が認識を共有し、それぞれの役割のもと、連携して取組みを進めていかなければならない。
・また、日本全体、さらにはアジアや世界にまで視野を広げ、大阪が果たすべき役割を認識し、その中で府として何をすべきかを考え、行動することも重要になってくる。

府政運営の基本方針2011

1.基本的な姿勢と基本的な方針

基本的な姿勢

 23年度も「変革と挑戦」を貫き、これまでの取組みによる礎づくりを仕上げ、大阪の将来を見据えた次なる第一歩を踏み出す。

「改革」と「成長」をめざす

・「収入の範囲内で予算を組む」原則を徹底するとした「財政再建プログラム(案)」が22年度で取組期間(3年間)終了。23年度からは、「財政構造改革プラン(案)」に基づく新たな改革に取り組み、「自律的な財政構造」の確立をめざす。
・弛みなき自己「改革」を徹底する中であっても、大阪の低迷を打破し、持続的な成長を実現するため、現在策定中の「大阪の成長戦略」に基づき、国への提案とあわせ、府としても徹底した選択と集中のもと、成長に向けた取組みを進める。

マネジメントの強化を図り、自立的な組織への進化をめざす

・23年度は、PDCAサイクルの大きな歯車がいよいよ一回り(22年度府政運営の基本方針の策定⇒基本方針に基づく22年度知事重点事業・部局長マニフェストの実施⇒22年度の実施結果の評価・検証⇒次の府政運営に反映)し、真価が問われる。PDCAの徹底を図り、戦略本部体制による府政マネジメント・サイクル〔継続的な府政の経営管理〕を確立させる。例えば、施策や事業について、目的や効果等の点検・検証の上、見直しや撤退を判断する仕組みなど、PDCAサイクルの実質化をめざす。
・これらの取組みを通じ、府庁組織の“自立的な課題解決型組織”への進化をめざす。

府県としての役割を着実に果たす

・新型インフルエンザなどの感染症や疾病、地震・津波などの災害や犯罪に対する安全・安心の基盤やシステムを着実に整備し、これらを堅実に管理・運用することは、府政運営の根幹であり、このことを決して揺るがせにはしない。

基本的な方針

 「財政再建」「政策創造」「府庁改革」と「地域主権」の枠組みで進めてきた取組みを、「改革」と「成長」の視点から強化・発展させる。そのため、徹底した改革を断行し財政規律を堅持しつつ、大阪の都市魅力の創造、大阪の成長に向けた施策への財源の戦略的重点配分を行うなど、「改革」と「成長」を府政の両輪として運営することを基本的な方針とする。
 あわせて、「改革」と「成長」の実現に必要不可欠な制度や仕組みの改革について、具体的な提言を国に行い、その実現をめざす。

(財政構造改革)
・自律的な財政構造を実現し、大阪府が地域主権をリードできるよう、歳出歳入や公務員制度など自ら改革に取り組む。

(大都市圏の成長)
・日本の成長を牽引する大都市圏である大阪・関西が、本来の強みを発揮し、成長を成し遂げるため、成長阻害要因を明らかにし、成長目標、具体的取組方向等について、関係各方面と共有し、その実現に精力を傾ける。

(「改革」と「成長」を支えるセーフティネット〔救済のための仕組み〕)
・地域活力の低下を招く全国一律の制度・仕組みではなく、若年者や子育て世代、高齢者や障がい者が自らの能力を存分に発揮できる仕組みづくり、失敗しても再チャレンジできるセーフティネットの構築など、地域の実情に応じた対策を講じることが必要。

2.「財政構造改革」と平成23年度当初予算編成

・社会経済環境の変化に応じて、府民の方々へ必要な行政サービスを提供することが府の使命であり、そのためには、財政基盤を確かなものにすることが不可欠である。
・予算編成過程の改革を進め、一層規律ある財政運営を行っていくとともに、財政構造改革に向けて果敢に取り組んでいく。

(1) 財政の状況・見通し

 22年度当初予算編成

・22年度当初予算は、「財政再建プログラム(案)」を着実に実行し、「収入の範囲内で予算を組む」との基本的な原則を守り、減債基金残高の復元を図るなど財政規律を堅持しつつ編成した。また、“いのち”“治安”“障がい者”に関する施策などセーフティネットの厚みを増すとともに、大阪の都市魅力の創造に挑戦するなど、限られた財源の重点配分を行った。
・ただし、府税収入が大きく減少し、社会保障関係経費が大幅増となるなど構造的な課題が深刻化する中で、(1)地方財政対策による地方交付税等の増や、(2)土地売却収入、(3)給与改定によるボーナスの減といった臨時的要因も寄与し、ようやく収支均衡が達成できたという側面もある。

今後の財政収支の見通し(粗い試算(8月改訂版))

・「経済財政の中長期試算」(22年6月22日 内閣府)で示された「慎重シナリオ」における名目経済成長率名目長期金利の数値等を参考として、“粗い試算”(22年8月版)を作成した。
・これによれば、収入の範囲内で予算を組み、将来にわたって実質公債費比率を早期健全化基準(25%)未満に抑え、地方公共団体財政健全化法に基づく財政健全化団体への転落を避けるためには、23年度から25年度までの間に毎年600億円程度の要対応額が発生する状況である。(別添1)【PDF】

23年度予算編成の見通し

・内閣府の月例経済報告(22年10月)によると、わが国の景気は、このところ足踏み状態となっており、また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にあると指摘されている。
・このような状況の中、22年度の府税収入状況(9月末調定状況)を見ると、法人二税(地方法人特別税徴収額を含まない)の前年同期比は、当初予算における通年見込み(対前年度決算見込比69.7%)を上回る77.8%であるが、府税収入全体で見るとほぼ見込みどおりの水準で推移しており、23年度についても府税収入全体の大幅な伸びは期待できない状況となっている。

(2) 23年度当初予算編成の基本的考え方

規律ある財政運営

・上述のとおり、府財政の置かれた環境は引き続き厳しい。社会経済環境の変化に応じて、府民の方々へ必要な行政サービスを提供することが府の使命であり、そのためには、引き続き財政規律を堅持しつつ、財政基盤を確かなものにしていくことが不可欠である。このため、国への要望・提言を含め、財政構造改革に取り組む。

財政構造改革プラン(案)の着実な実行)
・「財政再建プログラム(案)」の後継となる「財政構造改革プラン(案)」で示された歳出改革(400事業の評価・点検、主要分析事業等)、歳入確保(財産・債権管理等)の考え方に沿った改革を着実に実行する。

(要対応額(600億円程度)への対応)
・粗い試算(8月改訂版)で示された23年度の要対応額600億円程度については、「財政構造改革プラン(案)」に基づき、構造改革による歳入歳出の取組みに加え、なお不足する分については、(1)予算編成過程における歳入の確保や歳出の見直しなど歳入歳出全般にわたる一層の精査・点検を実施するとともに、(2)引き続き職員給与の時限的な減額により、人件費の抑制に取り組む。

(23年度の仮収支試算)
・これらの取組みを着実に行った上で、「知事重点事業」をはじめ府政の重要課題に適切に対応していくための財源を確保するという観点から、「財政構造改革プラン(案)」の取組期間である今後3年間を見通して仮収支(※)を試算したところ、別紙(別添2)【PDF】のとおりとなった。
 この仮収支によると23年度については、22年度予算の執行段階での収支改善に加え、金利低下による利子負担の軽減といった特殊要因が見込まれるため、23年度の単年度だけで見れば収支には一定の余裕が生じる見込みである。
 しかしながら、24年度及び25年度は、「財政構造改革プラン(案)」を着実に実行したとしても、依然収支不足が見込まれる状況であり、さらに、“粗い試算”によれば、26年度以降も当面の間、収支不足額が続く見込みである。
 このようなことから、23年度予算編成に当たっては、23年度当初予算編成時点で一定程度の発生が見込まれる収支の余裕分について、25年度までの3年間及び26年度以降の収支コントロールに活用することを視野に入れて対応する。

(※)“粗い試算”に基づく中長期的な収支見通しをもとに、23年度当初予算編成に向けて、現時点で想定しうる対応策と新規増加要素を加味して試算。

財政調整基金等のあり方)
・予期せぬ税収の急変や突発的な危機管理事象への対応、さらには「財政構造改革プラン(案)」で点検を行った主要事業の「将来リスク〔将来の不確実性〕」に備えることも視野に入れ、将来的な財政調整基金の確保目標額を設定する。さらに、基金条例の改正により、決算剰余金の1/2を財政調整基金に積み立てることとした。
・また、財源配分の柔軟性を高め、施策の取捨選択の透明性をより一層確保していくうえで、一般財源を特定分野の施策に固定化することは、将来の施策選択の幅を縮めることから極めて慎重にすべきである。今後、一般財源をもとに積立てを行う基金については、財政調整基金・減債基金等に限定することとする。
 出資法人に多額の基本財産を出捐することも、同様の趣旨から好ましいとは言えず、多額の基本財産等を有する出資法人について引き続き府への寄附を求めていくとともに、今後、新たな出捐は原則行わないこととする。
・なお、財政調整基金の残高は22年度当初予算編成時で78億円(公共投資臨時交付金による積立て分116億円を除く)であるが、23年度予算編成においても、この残高を維持することを基本に、可能な限りの充実をめざす。

(財務マネジメント機能の向上)
・資金の調達や運用などを総合的に管理することにより、財務マネジメント(起債マネジメント〔起債管理〕、資金マネジメント〔資金管理〕、リスクマネジメント〔危険性管理〕)の向上に取り組み、資金の効率性を高める。

(財政指標による目標管理)
・23年度予算編成においても、「収入の範囲内で予算を組む」大原則の徹底をはじめ、本府独自の財政指標による目標管理を引き続き行い、一層財政健全化を進める。

指標

22年度予算編成
目標 → 結果

23年度予算編成目標

(大原則)
収入の範囲内で予算を組む

黒字予算の継続
 →達成

黒字予算の継続

(将来世代に負担を先送りしない)
実質府債残高倍率

前年度(2.38)以下
 →2.29(達成)

前年度(2.29)以下

(将来世代に負担を先送りしない)
実質府債残高

前年度を超えない
 →1,060億円の圧縮(達成)

前年度を超えない

(安定的な財政運営を確保する)
実質公債費比率

25%を超えない
 →17.9%(達成)

25%を超えない

(府債活用の考え方)
・「将来世代に負担を先送りしない」観点から、府債の実質府債残高倍率について、他府県の状況等を踏まえ、27年度に2.0以内とすることを目途に、23年度予算では22年度当初(2.29)以下とすることをめざす。そのため、府債発行については次の区分により精査する。

1 通常債 
 世代間の負担公平の観点から建設事業等の財源として活用するが、活用する事業の必要性を厳しく精査する。

2 臨時財政対策債減収補てん債
 地方交付税や地方税の代替財源であり、政府の地方財政措置を踏まえて活用する。

3 行政改革推進債 
 通常債と同様に資産形成に充てられるものであり、将来世代に過重な負担を生じさせない範囲内で活用する。

4 退職手当債 
 資産形成につながらない赤字債であることなどを踏まえ、あくまでも補完的な「収入」として慎重に取り扱う。

財源の戦略的配分

・府財政を取り巻く環境は依然として非常に厳しく、また、粗い試算で23年度に600億円の要対応額が見込まれるなど、全体として歳出の抑制は引き続き必要であるものの、府民の負託に応えるため府政の喫緊の課題には的確に対応しなければならない。
・そのため、各部局で事務事業の積極的な見直しを行い、各部局の重要課題に対応しうるよう「選択と集中」を徹底するとともに、全庁の歳出削減等により生み出した財源の一部を活用し、「知事重点事業」など府政の重要課題に対し重点的かつ集中的に配分する。

部局長マネジメント〔部局長による部局の運営管理〕の一層の発揮

・23年度の各部局の予算要求のとりまとめにあたっては、従来に増して部局長マネジメント機能の発揮を図ることとする。
・具体的には、「マネージャー」(各部局長)のリーダーシップのもと、「府政運営の基本方針」等を踏まえた『部局予算要求方針』をまとめ、各部局の重要政策や個別課題への対応の考え方、「財政構造改革プラン(案)」の実行、事務事業見直し、歳入確保等について部局内で十分議論し、メリハリの効いた要求案を作成することとする。
・その際、府財政の状況、部局ごとの基準財政需要額の算入状況や他府県の事業水準との比較を十分に行う。

以上について、各部局において自主的・主体的に取り組むこととする。

・各部局の予算要求は、原則、一般財源ベースで22年度当初予算額と同額の範囲内とする。ただし、知事重点事業のうち、新規・拡充部分は、要求上限設定とは別に、所要額の要求を行うことができるものとする。
 なお、各種監査により受けた指摘・意見については、その改善内容を反映する。
・また、これまでの予算編成作業においては、人件費や公債費を含まない事業予算を中心に査定を行ってきたが、新公会計制度の導入に向け、人件費や公債費を含むフルコスト〔総費用〕の視点を踏まえた予算編成をめざしていく。

事業目標と撤退ルールの設定

知事重点事業や各部の主要事業について、事業ごとに可能な限り定量化した指標による「事業目標」を設定する。なお、その成果について後年度に評価・点検を行うこととする。さらに、目標を達成するなど一定の条件を満たした場合や、目標が達成される見込みがないと判断される場合には事業を終了させるといった、「撤退ルール」を設定する。

府民への説明責任

・府政の透明性の向上と府民に対する説明責任の観点から、予算編成過程における情報(段階ごとの要求書・査定書、知事ヒアリング資料など)の公表・公開について、分かりやすさを高め、充実を図っていく。さらに、府民に受益と負担の状況を分かりやすく示す情報の充実を図る。

(3) 今後の財政運営に向けて

・粗い試算によれば、23年度から28年度までは毎年150〜600億円の収支不足が見込まれており、前述のとおり、「財政構造改革プラン(案)」の着実な実行とともに、予算編成過程において歳入歳出全般にわたる精査・点検を行っていく必要がある。
・中長期の傾向としては、29年度から34年度までは、一旦、単年度収支が黒字化する見込みであり、黒字の範囲内で減債基金への復元を行うことで収支不足が生じない見込みである。しかし、その後、35年度から41年度にかけては、バブル後に大量発行した府債の最終償還が到来することにより、再び大きな収支不足が生じる見込みである。こうした中長期的な財政収支見通しに的確に対応していくためには、減債基金の復元や財政調整基金への積立てなど、この間の取組みを着実に継続していくことが必要である。
・さらに、42年度以降、単年度の要対応額の解消及び減債基金復元額の充足が達成された段階においては、より一層安定的な財政運営を行っていくためにも実質公債費比率を全国並みにすることをめざす必要がある。(参考・21年度決算ベース全国平均12.4%、大阪府16.6%)
・このように、この間の取組みを継続しつつ、さらに強化していくため、基本的な財政運営のあり方を定める条例について検討する。

3.「府庁改革」

・「府庁改革」をさらに推進し、「変革と挑戦」の実践と「自治体経営」の確立に取り組む。

(1) 組織機構等

・「大阪の成長戦略」や「財政構造改革プラン(案)」の実現に向けた取組みを進めるため、22年度の部局体制を基本としながら、課題対応に必要な体制整備や組織の見直しを行う。
大阪広域水道企業団の設立に伴い、22年度末で水道部を廃止する。
・出先機関について、22年度末までに特許情報センターや府営印刷所の廃止、介護情報・研修センターの廃止を含めた検討などの見直しを進める。
附属機関について、原則として22年度末までに85機関のうち10機関を廃止、8機関を4機関に統合、5機関を休止する。あわせて、附属機関以外の各種研究会・委員会についても、22年度末までに、各部局において今日的観点から必要性等を精査し、見直しを進める。

(2) 23年度当初人員体制編成

・22年4月に改定した組織戦略・中期計画に基づき、30年度の一般行政部門の職員数として8,500人規模(別途、国からの権限移譲分1,000人規模)を見通した上で、22〜26年度の5年間で900人の職員数の削減を行う。23年度当初の職員数は、22年度当初と同程度(計画値:対前年比45人削減)とする。
・23年度当初の人員体制の構築にあたっては、『部局予算要求方針』において、以下を踏まえ、部局ごとに組織や人員配置の考え方を策定し、職員数削減に取り組むとともに、部局の枠を超えた施策の「選択と集中」に合わせ、「知事重点事業」をはじめ、児童虐待防止に向けた体制整備など、より優先度の高い分野や業務へ戦略的に人員を重点投入する。

−「財政構造改革プラン(案)」における事務事業の見直し
−22年度の監査結果
類似団体との部門別比較 など

・なお、今後、大阪広域水道企業団への事業継承や体制整備の状況などを踏まえ、30年度の職員数規模などの再設定を行う。

(3) ポスト管理

・管理職ポストについて、30年度のポスト総枠を設定した上で、部長級や次長級を中心に計画的なスリム化を図り、ポストに応じた厳格な昇任管理を行う。また、30年度までの職階毎の年平均削減数を目安に、職階毎の年齢構成などを勘案し、毎年度の管理職ポストの上限を設定する。

(4) 公務員制度改革

・「がんばった職員が報われ、やる気を引き出す」「府民の理解と支持を得る」「多様な人材の登用によって、組織のエネルギーを引き出す」ため、「財政構造改革プラン(案)」に示す方向性に基づき、府における公務員制度改革に取り組む。

給与制度改革

行政職給料表等において、部長級・次長級の給料月額は定額制とするとともに、1つの役職段階に1つの職務の級を割り当てることを基本として、現給料表を再編した独自給料表を導入する。また、現業職員については、職務に応じた給与とする観点から、行政職給料表に替え、(仮称)技能労務職給料表を適用する。
・これにより、わたり・一律的昇格は廃止する。また、現給保障は解消し、給料の額が下がる場合は、段階的に引き下げる経過措置を設ける。
・管理職は、管理職手当の間差を拡大し、職務に応じたメリハリのついた給与とするとともに、人事評価による給与への反映額を拡大する。
・上記給与制度改革について、23年度当初の実施に向け、職員団体等との協議を進める。

人事制度の見直し

・本庁部長は、部局長マニフェストなどで知事と価値観を共有しながら、各部局の政策推進とマネジメントの要となる職として、23年度当初についても最もふさわしい人材を任用できる仕組みを徹底する。
・職種を問わず、マネジメント能力を重視した任用を行うため、課長級昇任考査を導入することとし、23年度の考査実施に向けた検討を進める。
・人事評価制度について、職員がやる気を出し、チャレンジする組織をめざし、23年度当初に向け、より身近な上司による評価の実施や部下からの評価の拡大、職員のキャリアデザイン〔自己の職業人生の設計〕や人材育成への活用などの見直しを行う。
・職員採用試験について、地域主権の進展を見据えた人材確保を行うため、組織として求める人材像を明らかにするとともに、23年度実施に向けて、募集の時期や方法、試験内容等の見直しを進める。

(5) 出資法人等や公の施設のさらなる改革

・出資法人等や公の施設については、「財政構造改革プラン(案)」に示す方向性に基づき、特に以下の改革に取り組む。

出資法人

法人名

方向性

23年度の取組み

(株)大阪国際会議場抜本的見直し指定管理者の選定方法や府出資比率も含めた法人のあり方等検討(23、24年度)。
(財)大阪府保健医療財団存続がん予防検診センターと健康科学センターの健診の精査・統合。
(財)大阪府産業基盤整備協会廃止法人に対する単年度貸付の解消と法人解散に向けた検討(25年11月まで)。
大阪府都市開発(株)民営化府保有株式の一括売却に向けた検討。
(財)大阪府タウン管理財団統合(財)大阪府都市整備センターとの統合(23年度以降早期)

公の施設
廃止等

 箕面通勤寮(福祉部)
 健康科学センター(ゲンキープ大阪)(健康医療部)
 府民牧場(環境農林水産部)

抜本的なあり方検討

 インターネットデータセンター(iDC)(総務部)
 子どもライフサポートセンター(福祉部)
 稲スポーツセンター(福祉部)
 障がい者交流促進センター(ファインプラザ大阪)(福祉部)
 府営公園プール(浜寺公園、久宝寺緑地、住之江公園、枚岡公園)(都市整備部)

運営の一層の効率化等
 体育会館(教育委員会)

・22年11月改正の「出資法人等への関与事項を定める条例」に基づき、指定出資法人等に対して、役員報酬の公表を義務付け、法人運営のより一層の透明化を図る。
・府立大学及び府立病院機構については、23年度からの第2期中期計画に沿った自律的な運営を進める。また、産業技術総合研究所及び環境農林水産総合研究所については、中期目標、中期計画の策定など独立行政法人設立に向けた準備を進める。

(6) 大阪版市場化テストの着実な実施

・22年度から民間委託を開始した税務業務や監査業務などを含め10業務について適切にモニタリング〔監視・調査〕を行い、公共サービスの質の向上と効率化をめざす。

(7) 新公会計制度の導入

・持続可能で安定的な財政運営による自治体経営の確立のため、複式簿記・発生主義という民間の企業会計の考え方を採り入れた新公会計制度を導入する。23年度は試験運用を実施し、24年度からの本格導入をめざす。
・これにより、従来の官庁会計では見えなかった情報を正確かつタイムリーに把握できるようになるほか、組織別や事業別の多様な財務諸表が作成可能となる。また、行政の専門知識を有していない者でも理解できるようになることで、行政関係者以外の第三者による客観的な検証を可能とする。
・精度の高い財務情報を有効に活用して、マネジメントの強化、アカウンタビリティ〔説明責任〕の充実を図る。

(8) 戦略的広報と究極の情報公開

戦略的広報

・府として統一感があり、分かりやすく府民の心に届く、効果的な広報を実践するためには、“広報一元化”の確立が必要である。
・そのため、予算編成過程等を通じて、全庁の広報事項の一元管理を徹底し、目的、費用対効果等の観点からより戦略的な広報活動を展開していく。
・民間とのタイアップ〔提携・協力〕による広報コラボレーション〔共同広報〕や民間人材のノウハウ導入等により、これまでの慣例にとらわれない“役所の殻を打ち破った広報”をめざす。

究極の情報公開

・府が保有する情報は本来府民のものである。府民の財産である府政情報を分かりやすく府民に伝え、府政の透明性を高め、より一層、府民に対する説明責任を果たすとともに、府政のガバナンス〔府民による府政の統治〕の強化を図るためには、積極的な情報の公表が不可欠である。
・そこで、課題や懸案について、府がどういう議論を経て意思決定を行っているかを、ホームページを通じて公表していく「業務・施策プロセスの見える化」について、22年1月から実施?ている試行の検証結果等を踏まえ、23年4月からの全部局実施に向け取組みを進めていく。

(9) 組織力強化(組織としての課題認識・解決力の強化)

・一旦これまでの行政慣行から離れ、本来府民からみてどうあるべきかという視点で業務・制度と向き合い、第一線の職員が感じた課題やリスクについて、組織として話し合い、考え、行動を起こす。こうした日々の取組みを通じて、組織力の強化を図る。
・あわせて、こうした思考や行動を、組織として積極的に支える環境等(人材育成や人事評価などの工夫)について検討する。

4.「政策創造」と平成23年度の「主な政策課題」

(1) 23年度の「政策創造」

 23年度の「政策創造」は、22年度の「知事重点事業」及び「部局長マニフェスト」の戦略課題を基本に、その後の情勢の変化等を踏まえ、精査・点検を行い、「将来ビジョン・大阪」の柱立てのもと、以下の考え方で取り組む。

・「エンドユーザー〔利用者・使用者〕の選択に委ねる」「実施主体の切磋琢磨を促進する」「頑張ったところ、効果が見込まれるところに集中投資(インパクトとサプライズ〔大きな効果と驚きを生み出す〕)する」「ボリュームゾーン〔中間所得者層〕への効果の波及をねらう」などの観点から、「政策イノベーション」を引き出す。
・「大阪の成長戦略」と連動する取組みについては、戦略性を高め、加速させる。
・「財政構造改革プラン(案)」の施策再構築の方向性と整合性を保つ。

世界をリードする大阪産業
1 「ハイエンド都市」をめざす次世代産業の振興

・国際都市間競争の中で、大阪・関西が「ハイエンド都市〔価値創造都市〕」として成長するためには、大阪・関西のもつ新エネルギーバイオ分野の産業集積・環境技術の蓄積などの優位性と強みに磨きをかけることが必要。
・新エネルギーの分野では、22年度から推進している世界初の充電ネットワークの整備やEVタクシー〔電気自動車タクシー〕の導入支援、国際会議の開催準備など、次世代成長産業への集中投資をさらに進め、世界をリードするバッテリースーパークラスター〔電池産業の一大集積拠点〕の形成をめざす。
・バイオ分野では、11億円規模で組成したバイオファンド〔バイオ関連企業に投資する基金〕によるベンチャー企業支援や、国際的な競争に対応できる医薬品・医療機器開発の円滑化・迅速化に向けた規制改革などに力を注ぎ、「大阪バイオ戦略」が掲げる世界トップクラスのバイオクラスター〔バイオ産業の集積拠点〕の形成をめざす。
・この取組みを加速させるため、国の新成長戦略と連動して、「国際戦略総合特区」の指定・具体化をめざす。

2 中小企業支援策の転換

・大阪産業再生の鍵は、製造品出荷額の6割以上を占める中小企業の活性化。そのため、22年度は過去最大となる制度融資枠の設定やものづくり支援税制の延長などの支援を実施。
・今後は、セーフティネットを維持しつつ、新エネルギーバイオ産業をはじめとする次世代産業などの成長分野への参入や海外展開、中小企業支援に熱心な金融機関と連携強化による元気アップの後押しなど、頑張る中小企業を更に支援することにより、経済活動の新陳代謝を促進し、競争力の高い厚みのある産業構造への転換を図っていく。

3 「中継都市」を支える戦略インフラ

・アジア・世界に開かれた“関西国際空港”と“阪神港”という国内と海外を結ぶ二大インフラを有する強みを活かし、大阪・関西は、アジアの活力を取り込み、その効果を全国へ波及させる。いわば「中継都市〔アジアと日本各地の結節点〕」の役割を果たし、日本全体の成長に貢献することをめざす。
・関西国際空港は、国の新成長戦略と連動させながら、「観光」と「物流」に強い、首都圏空港と並ぶハブ空港として、阪神港については、国際コンテナ戦略港湾として、ともに国際競争力の向上の取組みを加速させる。
・あわせて吸引したアジアの活力を全国へと波及させる大阪都市圏内の高速道路や高速アクセス鉄道の強化など、広域インフラ・ネットワーク〔広域的な社会資本網〕の戦略的な整備に向けた取組みを進める。

4 戦略的な都市基盤施設経営〔新規〕

・高度成長期に大量に整備された大阪の都市基盤施設は老朽化が進み、近い将来一斉に更新時期を迎える。府民生活を支える都市基盤を持続可能なものとするには、「“造る”から“守る”そして“経営する”」へと発想を転換し、限られた財源の中で、民間活力等を活用しながら効率的・効果的に経営(整備・維持管理)することが必要。
・「一括交付金制度」が23年度以降段階的に実施されるなど、地域主権の進展を視野に入れ、地域自らが責任をもって、造る側(供給)の視点ではなく、府民(需要)の視点から、限られた資源を戦略的に投入する「経営」の実践に取り組む。
・さらに、地域の自立的経営の観点から、アジアなどでの市場が見込める分野については、蓄積された技術・ノウハウを武器に、民間等と幅広く連携・協力して積極的に売り込むなどの取組みについて検討を進める。

水とみどり豊かな新エネルギー都市大阪
5 地球温暖化対策

・国の取組みと連動し、温室効果ガス排出量を、2020年度には1990年度比25%削減をめざす。この達成に向け、排出量の伸びが著しい「業務部門」、「運輸部門」、府域全体の排出量の約25%を占める「中小事業者」を主な対象に、22年度は、民間業務ビルや店舗等の省CO2化〔二酸化炭素排出量の抑制・削減〕、多様なエコカー〔CO2排出の少ない自動車〕の普及促進、大阪版カーボン・オフセット制度などの取組みを推進。
地球温暖化対策税国内排出量取引制度の創設など国の今後の温暖化対策と連携を図り、府温暖化防止条例等を見直すとともに、中小事業者対策など上記取組みを継続しつつ、温暖化対策のシナリオの具体化を図り、低炭素社会を先導する都市の構築を進めていく。

6 みどりの風を感じる大阪づくり

・大阪の都市部でみどりを感じられるように、21年度に策定した「みどりの大阪推進計画」において、15年間で市街化区域の緑被率を約1.5倍(20%)にするという目標を掲げた。22年度から「みどりの風促進区域」の指定や、公立小学校の校庭の芝生化、東西軸を中心とした官民共同による緑化事業など、ヒートアイランド現象の緩和にも貢献する緑化を推進。今後、さらにみどりの拠点の創出とみどりの軸のネットワーク化を進め、これらの取組みを加速させる。
・また、息の長い取組みを持続可能なものとするため、府域全域でできるだけ多くの府民・企業等が主体的に参画する仕組みの構築をめざす。

ミュージアム都市大阪
7 大阪の都市魅力の創造・発信

・府は、文化行政のあり方を「社会を支える文化」「都市全体に開かれた文化」「攻める文化」そして、「アーティストがめざす都市」へと転換。内外の人々が、大阪に来て見て楽しめる場を提供する。
・「大阪ミュージアム構想」を基本として、御堂筋イルミネーションや大阪カンヴァス構想、大阪マラソンなど、他都市を圧倒する大阪のまちの魅力アップ事業や世界的にも稀な都心部を流れる「水の回廊」を活かした「水都大阪」事業を展開。
・今後は、府民、アーティストや大阪を訪れた方々の満足度など、事業の効果検証を徹底し、一過性のイベントに終わらせることなく、地域の魅力発信や他の都市にはない新しい魅力づくりを行い、大阪の都市魅力としてブランド化・定着に取り組む。
・また、大阪の都市魅力を一層向上させるため、「百舌鳥・古市古墳群」の世界遺産登録の早期実現をめざし、取組みを進める。

8 国際ツーリズム戦略国際エンターテイメント都市大阪〔新規〕

・国が新成長戦略において「観光立国」を柱に位置付ける中、わが国随一の観光魅力を誇る大阪・関西の取組みは重要。そこで、府としての観光戦略を22年度中にとりまとめ、今後、関西の他都市と連携しながら、中国はじめアジアの観光客を積極的に取り込み、成長を支える。なお、具体的な施策・事業の実施にあたっては、関西広域連合との役割分担を明確にし、効果的に展開する。
・大阪が有する高度な医療資源を活用し、観光客の集客促進に取り組む。さらに、国際医療交流・貢献の観点から、本格的な外国人患者受入れに向けた検討を進める。
・首都圏空港と並ぶ訪日観光客の出入国拠点(玄関口)である関西国際空港を活かし、大阪は「中継都市」として、資源を活用し、海外から人を呼び込む世界トップレベルの「エンターテイメント都市」としての役割を果たす。

だれもが安全・安心ナンバーワン大阪
9 総合治安対策の推進

・大阪は、10年連続で街頭犯罪の認知件数がワースト1であるが、23年末までのワースト1〔全国最多〕返上を府政の最重要課題とし、大阪府警本部と連携して、積極的に地域での活動を支援するなどの取組みを進めており、本年9月末時点では、東京都を下回るなど、効果が現れてきている。目標年次の23年度は、集中的な取組みを進め、目標の着実な達成をめざす。
・増加する薬物乱用を終息させるためには、警察、教育現場、行政と地域が一体となった取組みが不可欠であり、地域安全センター少年補導センター学校支援地域本部など地域力再生につながる取組みと連携し、府民を対象とした地域での普及啓発、とりわけ青少年に対し、薬物を拒否するための教育を強化・推進する。

10 医療先進都市大阪

・重症以上傷病者の救急搬送における医療機関照会回数及び現場滞在時間は、全国平均を上回る状況であり、引き続き救急医療体制等の充実に取り組む。また、地域医療を支えるため、救急・周産期医療分野における医師の確保に努める。
・府民のがんによる死亡率が全国で最悪のレベルにあるにもかかわらず、早期発見・早期治療につながる検診受診率が低い。組織型検診の導入などがん対策の3本柱(「予防」「早期発見」「質の高いがん医療」)を強化し、がん対策日本一をめざす取組みを進める。
・がん医療日本一をめざし、引き続き、全国トップレベルの診療実績を持つ府立成人病センターの早期建替えを進める。また、「中性子を利用したがんの高度な先端医療(BNCT)」の研究成果を活用し、産学官と地域が一体となって、がん医療拠点の実現に取り組む(地域活性化総合特区制度の活用)。

11 障がい者雇用日本一

・大阪の民間事業主における障がい者の実雇用率は1.67%(全国30位)、法定雇用率達成企業割合は44.5%(全国45位)と依然低位。「障がい者雇用日本一」をめざし、「ハートフル条例(大阪府障害者の雇用の促進等と就労の支援に関する条例)」の施行を契機に、22年度からは、障がい者雇用促進センターの機能強化、新たに認定された特例子会社や法定雇用率を上回って障がい者を多数雇用する中小企業等の法人事業税を軽減する全国で唯一の本格的な減税制度など、障がい者雇用に取り組む事業主の支援充実を進めている。
・今後は、これら支援策の実効性を検証しながら、最も重要な障がい者実雇用数の拡大、就労を通じた社会的自立をめざし、教育・福祉の現場での就労支援と企業に対する雇用支援とを一体となって展開する。あわせて、中期目標として掲げる法定雇用率達成企業割合50%の達成をめざす。

12 雇用・人材確保策の再構築

・依然として大阪の雇用失業情勢は大変厳しい。引き続き、緊急雇用創出基金を活用し、雇用の維持・創出、定着・拡大に取り組む(緊急雇用創出基金事業(21〜23年度))。
・一方で、福祉・介護分野などにおけるミスマッチ〔求人と求職の不一致〕など、構造的な課題への対応も必要。また、失業をリスクに終わらせることなく、新たな職業能力や技術を身につけるチャンスに変えていくとともに、若者・女性・高齢者などの潜在的な能力を有する人々の労働市場への参画を促していく観点が必要。このため22〜23年度に実施する「大阪における雇用実態調査」を踏まえ、ハローワークの地方移管を念頭に置きながら、市町村とともに地域に密着した立場から、「雇用維持」「雇用創出」「雇用のミスマッチ解消」の観点で、雇用・労働施策の再構築に取り組む。

13 住宅・まちづくり政策の再構築

・住宅政策については、「財政構造改革プラン(案)」において、これまでの府営住宅の供給を中心とした政策から、公的賃貸、民間賃貸住宅等を含めた住宅市場での、府民の安心居住と活力を創造する新たな住宅政策に転換する、こととした。
・府営住宅資産については、福祉部門と連携したソフト・ハード両面にわたる低所得者や高齢者等への対応など、住宅セーフティネットの確保を前提として、将来的に量的な縮小(半減)をめざす。
・なお、量的な縮小に際しては、現在、府営住宅に居住されている方々の居住の安定を図るとともに、新たな住宅セーフティネットについて、しっかりと提示していく。
・高度成長期に建設された泉北ニュータウンの再生は、住宅・まちづくり政策再構築のモデルケース〔模範例〕となる。堺市等と連携し、泉ヶ丘周辺地域の活性化を着実に実行していくとともに、地域の過半を占める公的賃貸住宅の活用など、既存資産の組替えをめざす(地域活性化総合特区制度の活用)。

14 大阪の地域力再生

・「公立小学校等の運動場の芝生化」などの取組みをきっかけに、大阪の地域コミュニティ〔地域社会〕の再生に向けた動きが本格化し始めている。人と人とのつながりの基礎となる信頼関係、規範、ネットワークといった「ソーシャル・キャピタル」を芽生えさせ、大切に育むため、引き続き、小学校を地域力再生の活動拠点として、学校支援はもとより、防災・防犯や高齢者の見守り活動などに取り組む住民活動を支援する。

教育・子育て支援日本一大阪
15 次世代育成支援

・「将来ビジョン・大阪」の取組みを具体化し、「子育て支援日本一」を実現するため、22年度から26年度までの「こども・未来プラン(大阪府次世代育成支援行動計画)後期計画」を策定。「子どもの将来像」や「子育て目標」を具体的に示し、効果的な取組みを推進。22年度は、大阪の全ての子どもが等しく、人生や社会生活のスタートラインにつけるよう、医療的ケアが必要な障がい児等の生活支援など、援護を要する子どもたちへのセーフティネットに厚みを持たせることに重点。
・しかしながら、解消しない待機児童、増加する児童虐待、ひきこもりなど、次世代育成支援にとって待ったなしの深刻な課題が山積。そこで、大阪の成長を支える人材の確保につながる子育て世代の働く環境の改善の観点からも、待機児童の解消に向けて、市町村を積極的に支援するとともに、国の検討において、地域の実情や保護者のニーズが反映されるよう提案を行う。また、児童等虐待事案への対応として、これまでの通告啓発に加え、一時保護機能の強化とともに、住民に身近な市町村をはじめ、府域の関係機関等と連携して、総合的な対応力強化に果敢に取り組み、子どもの生命・安全を守るための方策を講じる。また、市町村や民間団体と連携しながら、ひきこもり青少年の社会参加・自立を支援する。

16 支援教育の充実

・知的障がいのある児童生徒数の増加に対応するため、府立支援学校施設整備基本方針に基づき、現在、府内4地域において新校を整備。着実に推進する。
・また、施設面の整備にあわせて、府立高校における支援教育や障がいのある生徒の就労に結びつける取組みを行う。

17 子どもたちに確かな学力を(アジア・世界に通じる人材の育成)

・21年度実施の「全国学力・学習状況調査」の結果は、小学生では改善が見られたが、中学生は依然厳しい状況。そこで、22年度からは、学力に課題のある中学校のうち、学力向上委員会など校内で組織体制を整え積極的に取り組む学校を支援するなど重点化。引き続き、「全国学力・学習状況調査」結果が全国平均に達成することをめざし、取組みを進める。
・また、世界との競争を常に意識しながら、日本・大阪の子どもたちが生き抜く力、確かな学力を身に付けることができる、教育の充実に取り組む。

18 府立高校の新たな特色づくり(アジア・世界に通じる人材の育成)

・大阪の子どもたちが、成長著しいアジアの人材と伍して競争し、将来、稼げる職、自分が納得できる職に就き、力強く生き抜く力を身につけてもらいたい。そのため、様々な分野で社会をリードする人材を育成する思い切った教育環境の充実に向け、23年度は、府立学校の特色づくり「進学指導特色校」などを開設する。
・こうした新たな取組みが、学校間の切磋琢磨を引き出し、より高い効果をあげることができるよう、PDCAサイクルによる学校経営の仕組みづくりや教育の質の向上に向けた取組みを進める。

19 公私教育(アジア・世界に通じる人材の育成)

・22年度は、厳しい経済情勢下のセーフティネット対策として、年収350万円未満世帯の私立高校生等の授業料の実質無償化を実施。これは他府県にはない高い水準の支援。23年度に向けては、さらに子どもたちの自由な学校選択の機会を保障するとともに、学校間の切磋琢磨を促し、大阪の高校教育の質の向上を図るため、支援を拡充する。

20 国際社会に通じる人材の育成〔新規〕

・厳しい国際競争の中、国家戦略としてさらなる発展を支える人材の育成が重要。
 そのため、世界における日本の状況などの現実を直視し、国際社会や今後の時代を見据えたうえで、日本・大阪の子どもたちが将来必要な確かな学力をはぐくむとともに、社会の中で自立できる力や態度を身に付けることができる教育を行う。
・特に、国際言語としての英語の重要性が増しており、23年度からは小学校5、6年において外国語教育が必修化される。大阪の小中高校においては、「使える英語」をめざし、英語教育の充実に取り組む。また、教員等が海外における教育の先進事例を学ぶ機会の充実を図る。
・府内の高校生の内定率が22年3月時点で86.2%と低い。このような状況を改善するため、中学校・高校教育において社会的自立に必要な職業教育(キャリア教育)を充実し、社会で通用する人材の育成に取り組む。
・府立大学については、社会・地域に貢献し、府民から支持され、国際的にも存在価値のある大学への変革の実現を図る。

(2) 「主な政策課題」の現状と論点

・23年度の政策創造について、20項目の「主な政策課題」を設定し、課題毎の現状と論点を、別添3〈「主な政策課題」の現状と論点〉【PDF】にとりまとめた。

(3) 23年度の「知事重点事業

・23年度の「知事重点事業」は、20項目の「主な政策課題」で設定した「論点」をベースに、別添4〈平成23年度「知事重点事業」(案)〉【PDF】をとりまとめ、今後、絞込み等の検討を進める。

5.「地域主権」

・地域主権の確立には、めざすべき国のかたちを明らかにすることが必要である。大阪府は、『国は国家戦略に専念。広域地方政府は競争・成長でパイの拡大。基礎地方政府は住民の安全・安心』というかたちをめざすべき。この考え方を基本に、国に対し「制度・仕組みの見直し」を具体的に提言し、その実現を積極的に働きかけていく。
・あわせて大阪府自らも、地域主権改革を着実に実践するため、府内市町村や関西の府県・政令市とともに、国や全国を先導する「大阪・関西発の取組み」を進める。

(1) 地域主権の実現に向けて(国との関係)

 政府において閣議決定された「地域主権戦略大綱」(22年6月)の確実な推進と、積み残された課題の解決に向けた検討を、引き続き国に働きかけていく。

・国の出先機関原則廃止については、府が率先して提案している、大阪労働局の府への移管による「大阪版ハローワーク」の実現や、府内全ての国直轄国道の府への移管(必要な財源とセットで移管)の早期実現を積極的に求めていく。
・義務付け・枠付けの見直しや国庫補助金の一括交付金化については、地方の自由度を増し、地域の実情に合致した施策の実施が可能となるものとなるよう、さらなる取組みを求めていく。
国直轄事業負担金については、22年度から維持管理負担金及び業務取扱費にかかる負担金が廃止されたが、負担金の全廃に向けて、引き続き実現を働きかけていく。
・地域主権に相応しい自治の仕組みを構築するため、地方政府基本法の制定(地方自治法の抜本改正)に向け、とりわけ、基本構造に関わる「大都市制度」と自立的な地域経営に必要な「議会制度」「監査制度」「財務会計制度」について、国に対し具体的に改革案を提案するなど、精力的な検討を働きかけていく。
道州制の実現に向け、国に強く働きかけていく。

(2) 大阪・関西発の取組み

市町村への「分権」

・府から市町村への権限移譲については、府独自の財政支援及び人的支援を活用した特例市並みの権限移譲を進めるとともに、国の地方分権改革推進委員会から示された第一次勧告事務のうち市町村への移譲提案を留保した事務の移譲を進めるなど、引き続き先駆的な取組みを着実に推進していく。なお、市町村への移譲提案を留保した事務のうち、小中学校の教職員の任命権については、府と市町村、教育委員会の代表者における協議の場において、課題整理等の検証を行う。
・豊中市の中核市移行(24年4月)に向け、保健所業務等の円滑な移管を進めていく。
・府の公共事業への市町村負担金について、国における国直轄事業負担金廃止の検討状況を踏まえ見直しを進める。

関西としての「集権」

・「大阪発“地方分権改革”ビジョン」の工程に従い、30年の関西州の実現を目標に、まず22年中の関西広域連合設立に向けた取組みを進め、その上で、23年度から広域連合として事業を開始し、国の出先機関の事務移譲を求めていく。

関西における大都市圏戦略

・国においては、大都市圏の国際競争力強化を図るため、「大都市圏戦略基本法(仮称)」を制定することが見込まれており、22年度には、府としても、大都市圏戦略のあり方について提案を行った。23年度は、国の検討と連動し、広域的な地域経営システムのあり方等について検討を行う。
新成長戦略で掲げられた「総合特区制度」について、22年度は、規制や税制の特例措置を含めて制度提案を行った。23年度は、引き続き、大阪・関西における総合特区の指定に向けて、積極的に取り組んでいく。

新たな大都市制度のあり方

・地方政府基本法の制定(地方自治法の抜本改正)に向けて、「大阪府自治制度研究会」での議論を踏まえ、22年度には大阪からの新たな大都市制度の提案を行い、23年度以降はその実現をめざし地域主権戦略会議などを通じて国に働きかけていく。

府市連携

・大阪府と大阪市が連携・協力して大阪の総合力を発揮していくことが必要である。そのため、23年度は、引き続き、府から市への権限移譲の調整などを進めるとともに、22年度に発足した府・市で構成する「夢洲・咲洲地区活性化共同チーム」で、「国際戦略総合特区制度」を活用し、当面の重要な課題である夢洲・咲洲地区の活性化に連携・協力して取り組む。

このページの作成所属
政策企画部 企画室推進課 推進グループ

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