令和2年11月20日 知事議案説明(要旨)

更新日:2023年4月10日

 令和2年9月定例府議会の再開にあたり、府政の課題に対する私の考え方を申し述べさせていただきます。

 まずは、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、現在療養中の皆さまの1日も早い回復を願っております。
そして、医療・福祉をはじめ、生活必需の事業に従事し、私たちの暮らしを支えていただいているエッセンシャルワーカーの方々に深く感謝を申し上げます。
府内の感染は急速に拡大しており、予断を許さない状況です。
府民の皆さまにおかれましては、改めて、感染防止対策の徹底をお願いいたします。

 先の、大阪都構想の住民投票では、今後の府市のあり方について、大阪市民お一人おひとりに大きな判断をお願いすることになりました。
結果は、残念ながら否決になりましたが、府民・市民の皆さまから、府市一体の成長戦略の実行や二重行政の解消を引き続き進めてほしいという声も多くいただきました。
広域機能の司令塔を一本化することが、大阪の成長をスピードアップさせるために必要不可欠であると確信しています。
皆さまの思いをしっかり受け止め、より一層、大阪市との協調を進めてまいります。

 現在、大阪経済や府民生活は甚大な影響を受けており、この危機を乗り越え、大阪の再生・成長を図るため、府市で新戦略案を策定をいたしました。
まず、府市が協調して取り組むべき課題は、新型コロナウイルス感染症対策です。
ウィズコロナ期においては、ウイルスとの共存を前提として、感染拡大防止と経済活動の維持という両面から、府民の命を守ってまいります。
引き続き、感染拡大防止対策を徹底します。
感染拡大が懸念される冬を迎えるにあたり、季節性インフルエンザの流行を踏まえ、1日約2万件を検査できる体制を整備します。
あわせて、大阪コロナ重症センターの設置も含めた病床確保など、感染拡大に備えた医療体制の整備をはかります。
府内では、高齢者施設・障がい者施設・医療機関等でクラスターが多数発生するなど、感染が拡がっています。
重症化リスクの高い府民に「感染させない」対策が重要であり、市町村とも連携をしながら、予防啓発の強化、社会福祉施設等でクラスターが発生した際の応援職員派遣体制の整備や、医療機関や高齢者施設等の職員・患者・入所者への積極的な検査実施を進めます。

 新型コロナは、大阪経済に大きな影響を及ぼしています。景気の落ち込みは3月以降本格化し、その後の回復は、全国に比べ遅れており、有効求人倍率は9カ月連続で低下しています。
特に、飲食や観光・宿泊関連産業は、外出自粛やインバウンドの消失により大きな影響を受けており、やや持ち直しているものの、回復の動きは鈍い状況です。
現在直面している、企業収益の悪化や失業者の増加に対応するため、まずは、融資などによる資金調達支援や国内の需要喚起といった中小企業の事業継続支援を引き続き実施します。
さらに、民間人材サービス会社と連携した事業者・失業者双方への支援や、カウンセリングや職場体験等を通じた再就職支援を通じて、失業期間の長期化を防いでまいります。
 
 これらの取組みにより、経済の落ち込みからいち早く脱却し、大阪経済を再生させ、再び成長の軌道に乗せてまいります。
あわせて、コロナ禍にあっても、全ての府民が少しでも安心して生活できるよう、セーフティネットを充実します。
生活困窮や、DV・児童虐待など、不安な生活を送る方々の増加が懸念される中、SNSなどを活用した相談体制の充実や、生活福祉資金の貸付、雇用の確保などの総合的な対策により、府民の命を守り、くらしを支えてまいります。

 次に、ポストコロナを見据え、デジタル化の遅れや、東京一極集中によるリスクなど、今回浮き彫りになった課題に対応するとともに、働き方の変化や健康意識の高まりなどの新たな潮流を捉え、経済成長、くらし、安全・安心の取組みを進めることにより、世界の課題解決に貢献し、誰もが輝く活力ある大阪の実現をめざします。

 新型コロナを乗り越えた先にある、新たな未来を切り拓くシンボルが、大阪・関西万博です。担当大臣や国の推進本部が設置され、開催に向けた体制が整いました。引き続き、着実に準備を進めてまいります。いのちとの向き合い方が世界中で問われている今、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開催する万博で、国・府・市・経済界が一体となり、必ず成功を収めたいと思います。
さらに、成長の起爆剤となる万博をインパクトに、大阪の個性を活かし、ポストコロナを見据えたまちづくりを進めてまいります。

 国内はもとより、インバウンドが回復した際の観光需要を取り込むため、大阪の強みを活かした魅力づくりに磨きをかけます。
万博記念公園駅前周辺地区において、国際的なスポーツ大会やコンサート等が開催できる規模を持ち、世界最先端の機能を有する大規模アリーナを中核とした新たなスポーツ・文化の拠点づくりを進めます。

 本年7月、京阪神が連携して、スタートアップ・エコシステムのグローバル拠点都市に選ばれました。拠点都市のメリットを最大限に活かし、海外トップアクセラレーターの支援効果をゆきわたらせるなど、大阪の成長エンジンであるスタートアップが生まれ活躍しやすい環境を整備し、2024年に300社の創出をめざします。
新型コロナにより、デジタル化の遅れとその弊害が顕在化しました。行政自らのDX(デジタルトランスフォーメーション)はもちろんのこと、企業や大学、市町村等と連携し、府域全体のスマートシティ化を推進します。
 今後の、まちの成長・飛躍のためには、これまで以上の大胆な規制改革が不可欠です。AIやビックデータなど、最先端の技術を活用し、未来の暮らしを先行実現する、まるごと未来都市と言えるのが「スーパーシティ」です。
 うめきた2期や夢洲でのスーパーシティ実現に向け、まずは、来年春に予定されている国による区域指定をめざします。

 国際金融をめぐっては、世界的に、ビジネス機会や顧客が存在する都市に、金融機関や投資家が集積する傾向となっており、このような情勢を踏まえ、「経済の血液」とも言われる金融を活性化し、世界中から投資を呼び込み、ビジネスチャンスを生み出すことが、大阪のさらなる飛躍につながると確信をしています。
充実した都市インフラや世界を惹きつける多彩な文化といった強みに加え、万博開催や健康医療産業拠点の形成といったポテンシャルを活かし、東京とは異なる個性・機能を持った国際金融都市を実現するため、新たな挑戦をスタートします。
これまでにない大胆な規制緩和による、国内外から運用資金や金融人材が集積する革新的な金融センターの実現とともに、先物取引発祥の地である大阪において、アジアのデリバティブ市場をけん引する一大拠点を創設し、大阪が日本全体の経済成長をけん引してまいります。

 まちの成長のためには、それを支える都市インフラの充実が不可欠です。
淀川左岸線延伸部やなにわ筋線をはじめとする道路・鉄道ネットワークの整備や、うめきた2期、大阪城東部地区、新大阪駅周辺地域といった都心エリアのまちづくりを進めます。
また、10月1日に発足した大阪港湾局が中心となり府市一体の港湾戦略を実行するとともに、ベイエリアの活性化に取り組みます。

 近年、自然災害が激甚化しており、今年も、7月豪雨により、九州や中部地方をはじめ日本各地で被害が発生しました。国際的な拠点都市として、世界から信頼を得るためには、災害リスクを低減することが必須です。南海トラフ地震に備えた防潮堤の液状化対策は、緊急性の高い箇所は完了しており、最終目標である令和5年度に向け、引き続き対策を進めます。また、津波・高潮に備え、老朽化が進む三大水門の更新を進めるなど、ハード・ソフト両面から対策を行い、安全・安心を確保してまいります。

 府内で初めての感染者が発生した今年1月以降、府民の皆さまとともに、新型コロナウイルス感染症との闘いを続けてきました。
 今後も、ウイルスと共存しなければならないウイズコロナの時期は続きます。「医療・経済両面から府民の命を守る」という強い意志で、くらしを守り、この危機を乗り越えてまいります。
 そして、危機を乗り越えたその先に、大阪の未来があります。私は、大阪を一地方都市で終わらせるつもりはありません。
東西二極の一極として、国際競争力をもち日本を支える拠点都市をめざし、大阪を発展させ、国内のみならず世界中の企業・投資家・旅行者から選ばれる、多極成長型社会のトップランナーとして日本をけん引する「副首都・大阪」の実現を目指します。
 実現に向けては、都市が持つポテンシャルを最大限に発揮して府市を一体化させ、大阪の成長をけん引する新たなルールが必要であり、そのための条例案を検討してまいります。
議員並びに府民の皆様におかれましては、今後の府政の推進に一層のご支援、ご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

 次に、今次定例府議会に追加提出しました第20号議案から第60号議案まで、第5号報告から第42号報告まで 及び第1号諮問について、その概要を説明します。

 第20号議案は、令和2年度一般会計補正予算案で、新型コロナウイルスの感染リスクを避ける新しい生活様式の定着に12億6,500万円、感染症の影響等により増加している府税の還付に対応するために24億7,300万円の計37億3,800万円を増額補正するものです。

 第21号議案から第35号議案までは、事件議決案で、地方自治法等の規定に基づき議決をお願いするものです。
 第21号議案は、令和3年度における当せん金付証票の発売限度額を500億円と定めるものです。

 第22号議案から第26号議案までは、モノレール道整備事業等について工事請負契約を締結するもので、予定価格が5億円以上となるものです。
 第27号議案から第29号議案は、工事請負契約変更の件であり、安威川ダム建設工事などに係る契約金額を変更するものです。
 第30号議案は、咲洲庁舎について行政財産使用許可の取消に伴い、不法占拠している者を相手方とし、許可取消物件の撤去明渡等を求める訴えを提起するものです。
 第31号議案から第33号議案までは、指定管理者の指定を行うものです。
 第34号議案は、大都市制度特別区設置協議会を廃止するものです。
 第35号議案は、大阪府立病院機構が今後5年間において達成すべき業務運営等に関する目標を定めるものです。

 第36号議案から第59号議案までは、条例案で、新たに制定するもの1件、一部を改正するもの23件です。
その主なものについて説明します。
 第36号議案は、大阪府立農業公園を設置するとともに、公募型の指定管理者制度を導入するため、指定管理者が管理する業務等を定めるものです。
 第37号議案は、地方自治法施行令の改正に伴い、大阪海区漁業調整委員会の委員が府に対して損害賠償責任を負う額の上限額について改正するものです。
 第38号議案は、令和2年10月の人事委員会の勧告等を踏まえ、期末手当を引き下げるものです。
 第39号議案は、児童福祉法の改正により、一時保護解除後の児童の安全確保に関する業務が追加されたことに伴い、手当の対象業務を追加するものです。
 第40号議案は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律の改正等により、パワー・ハラスメントを行った者に対する対処方針等を定めることとされたことに伴い、懲戒処分の基準などを定めるものです。
 第42号議案は、障害者への必要かつ合理的な配慮の提供に係る義務を定めるとともに、紛争事案の解決のため、障害者等が知事に対しあっせんを求めることができることとするものです。
 第43号議案は、大阪府立大型児童館ビッグバンを堺市に移管するため、同施設に関する規定を削除するものです。
 第46号議案から第48号議案は、省令改正等により手続が簡素化されたことに伴い、一定の条件を満たす場合の手数料を新たに設定するものなどです。
 第50号議案は、食品衛生法及び食品衛生法施行令の改正により、ふぐ処理業が食品衛生法に基づく許可の対象となることに伴い、題名を改正するとともに、ふぐ処理業に関する規定を削除するものです。
 第51号議案は、省令改正により手続が簡素化されたことに伴い、一定の条件を満たす場合の手数料を新たに設定するなど、所要の改正を行うものです。
 第55号議案は、占用料について、総合評価による入札を導入するため、占用料の最低額の下限を定めるものです。
 第57号議案は、大阪市立学校の府への移管により、大阪府立咲くやこの花中学校及び大阪府立水都国際中学校並びに大阪府立桜宮高等学校ほか21校を設置するものです。
 第58号議案は、中堺(なかさかい)警察署を新設し、警察署の位置を定めるとともに、西堺(にしさかい)警察署の管轄区域の一部を移管するものです。
 第59号議案は、新型コロナウイルス感染症の患者等に対処した場合における捜査等業務手当等の特例を追加するものです。
 その他の条例改正は、関係法令等の改正に伴い、規定の整備を行うものなどです。

 第60号議案は、人事案件で、収用委員会委員野呂(のろ)充(みつる)氏及び岸田(きしだ)好美(よしみ)氏の任期が令和3年1月31日に満了となりますので、両氏を再任いたしたく、土地収用法の規定により同意をお願いするものです。

 第5号報告から第8号報告は、地方自治法第180条第1項の規定により、議会から委任をいただいている事項について専決処分にしましたので、同条第2項の規定により報告するものです。

 第9号報告から第27号報告までは、地方自治法及び地方公営企業法の規定に基づき、令和元年度大阪府一般会計、特別会計及び企業会計の決算の認定をお願いするものです。
 第28号報告及び第29号報告は、地方自治法の規定に基づき、令和元年度の基金の運用状況を報告するものです。
 第30号報告及び第31号報告は、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定に基づき、令和元年度決算に基づく健全化判断比率及び資金不足比率を報告するものです。
 第32号報告から第42号報告までは、法律や条例の規定により法人の経営状況などを報告するものです。

 第1号諮問は、退職手当に関する支給制限処分の内容を不服とする審査請求に対する決定を行うため、地方自治法の規定に基づき議会に諮問し、意見を求めるものです。

 以上、よろしくお願い申し上げます。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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