令和2年5月22日 知事議案説明(要旨)

更新日:2023年4月10日

 本日、令和2年5月定例府議会の開会にあたりまして、新型コロナウイルス感染症に係る対応について申し述べ、議員並びに府民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 私はこれまで、新型コロナウイルスという未知のウイルスに対し、「府民の命を守る」ことを最優先に取り組んできました。
 府内では、1月下旬に初めて新型コロナウイルスの感染者が確認され、3月初旬からの府立学校の休業を決定し、市町村立学校や私立学校にも同様の対応を要請しました。3月下旬には、専門家から「感染の急激な増加が既に始まっていると考えられる」との指摘を受け、兵庫県との往来の自粛をお願いしました。4月には、国による緊急事態宣言を受け、生活の維持に必要な場合を除く外出の自粛、イベントの開催自粛、さらには、遊興施設、運動・遊技施設や劇場といった施設の使用制限を要請しました。
 皆様の大変なご協力のおかげで、新規陽性者数は4月9日をピークに減少に転じ、感染経路不明の陽性者数も減少しました。その一方、事業者においては売上げが減少し、資金繰りがひっ迫するなど、経済面での影響も深刻化しています。
 この間、1月に私を本部長とする対策本部を設置し、国に先んじた対策を実施してきました。
 検査・医療提供体制の整備や感染拡大の抑制に向け、大阪健康安全基盤研究所をはじめとする検査体制の充実、入院フォローアップセンターの設置による広域的な入院受入れ調整、病床や宿泊療養施設の確保、府内2病院の新型コロナウイルス患者の専門病院化、医療従事者に対する特殊勤務手当の支給への支援、感染者の発生に備えたQRコードを活用した「大阪コロナ追跡システム」の構築、クラスター感染の拡大防止の依頼に応じた事業者への協力金の創設等に全力を注いできました。
 あわせて、府民のくらしと経済を守るため、個人向けの緊急貸付による生活支援、子どもたちへの家庭学習支援等を目的とした図書カードの配付、SNSを活用した相談体制の強化、外出自粛を促進するためのデリバリーサービス利用者へのポイントの付与、中小企業等の資金繰り措置を目的とした融資制度や休業要請に応じた事業者への支援金の創設等の対策を進めてきました。
 新型コロナウイルスとの闘いは長期戦です。今後は、「ウイルスとの共存」を前提とし、医療・経済の両面から府民の命を守り、感染拡大の抑制と社会経済活動の維持との両立を図る戦略に移行していく必要があります。
 そこで、「感染の収束状況」と「感染爆発の兆候」を府民に分かりやすい指標で判断する「大阪モデル」を策定し、この指標に基づき、出口戦略、入口戦略を実行しています。5月14日には自粛解除の基準をクリアしたため、5月16日から、生活必需物資以外の小売店舗の休止要請解除や食事提供施設の営業時間の延長など、措置を大幅に緩和しました。5月21日には、国における緊急事態宣言区域の対象外となったため、一部を残し、全ての要請を解除しました。
 引き続き、この戦略に基づき、感染拡大の抑制と社会経済活動の維持との両立を図ってまいります。
     
 感染拡大が一定抑制されている今こそ、次の波に備え、医療提供体制及び検査体制の充実・強化を行う必要があります。
 今議会に補正予算案を提出しておりますが、軽症者等を受け入れる宿泊療養施設について、現在1500室を確保していますが、感染拡大の状況に応じて最大6000室を確保してまいります。
 また、入所の介護施設における簡易陰圧装置の設置や居室の個室化を支援してまいります。
 最前線で、命の危険と隣り合わせで闘っている医療従事者を支援するため、「大阪府新型コロナウイルス助け合い基金」を創設し、皆様からいただいたご寄付を基に、医療や療養に関わる方々に支援金を贈呈します。
 補正予算案に盛り込んだ対策に加え、患者を把握するための基礎となるPCR検査については、保健所を介さずに検体の採取や検査を行う「地域外来・検査センター」の設置を進め、1日の検査能力を約2000検体に拡充することをめざします。さらに、今後の流行を予測し、感染拡大を防止するために国が実施する調査に協力し、3000人規模で府民の抗体保有状況を把握します。
 また、新型コロナウイルスに感染した方々と、その他の傷病の方々の命を確実に救う体制整備を両立させるため、新型コロナウイルスの病床確保数を可変的に動かす仕組みを構築してまいります。
 今後とも、感染拡大を抑制し、府民のいのちを守るために、医療提供体制及び検査体制等のさらなる充実・強化をはかってまいります。

 同時に、府民のくらしと大阪経済を支えることも重要であり、補正予算案に対策を盛り込んでいます。
 休業や失業を余儀なくされ、収入が減少した世帯を対象とした、一時的な資金の緊急貸付について、より多くの方々のニーズに対応するため、貸付のための総額を拡充します。
 飲食店等において、適切な感染拡大防止対策を行い、営業が継続できるよう、衛生管理や換気のための設備の導入等に対して支援を行います。
 休業要請の対象外の事業者であっても、外出自粛要請による利用者の減少などにより、売り上げが減少している事業者がたくさんあります。こうした経営に大きな影響を受けている中小企業等に対し、事業者にとって大きな負担となっている、家賃を含む固定費を支援し、経営の継続を図ります。
 子どもたちにとっては、学校の臨時休業措置により、長期間授業が受けられない状況が続いています。
 ストレスを抱えた児童・生徒の心のケアを行うため、小中学校のスクールカウンセラースーパーバイザーの配置を拡大します。府立高校においては、今後の感染拡大の波に備え、来月中にオンライン授業を実施できる環境を整備してまいります。
 特別支援学校等の臨時休業に伴い、放課後等デイサービスの利用により追加的に生じる負担について支援します。また、障がい者が通う地域活動支援センター等の受入体制の強化を支援してまいります。
 くらしと経済を支えるセーフティネットを強化し、経済面からも府民の命を守ってまいります。

 新型コロナウイルスによって、府民のくらしや経済活動をはじめとした社会生活全般において、これまでの考え方や価値観が180度転換するパラダイムシフトが起きており、これらに対応した社会への変革が求められています。新型コロナウイルスとの共存を前提に「新しい生活様式」を実践するとともに、新型コロナウイルスの収束を見据え、大阪経済の再生と成長に向け、速やかに取り組むため新たな戦略を策定いたします。
 また、戦略を確実に実施するには、財源や人的資源を集中投資する必要があります。全庁を挙げて新型コロナウイルス対策に注力するため、副知事をトップとする「事務事業シフト会議」を立ち上げ、緊急避難的に見直しを行う事務事業の整理を始めています。今後、議会でのご議論などを踏まえ、さらなる検討を行い、8月には私自身が判断した上で「事務事業シフト(案)」をとりまとめます。
 9月議会には、新たな戦略素案、事務事業シフト案に加え、新型コロナウイルスに対応した府政運営の基本方針の改定と組替え予算案についても示してまいります。
 皆様とともに、新型コロナウイルスによる未曽有の危機を乗り越え、大阪の新しい未来をつくっていく決意ですので、議員並びに府民の皆様におかれましては、今後の府政の推進に一層のご支援、ご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

 次に、今次定例府議会に提出しました第1号議案から第21号議案まで 及び第1号報告から第3号報告までについて、その概要を説明します。

 第1号議案から第3号議案及び第21号議案は、令和2年度一般会計及び特別会計の補正予算案で、国において、新型コロナウイルス感染症の早期収束等に取組み、日本経済を持続的な成長軌道へ戻すため、
取りまとめられた「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」に基づき成立した補正予算を踏まえ、感染拡大を抑制し、府民のいのちとくらしを守り抜くために必要な施策や、既決予算編成後において生じた情勢の変化に伴い、緊急に措置しなければならないものに
対応するため、441億4,599万4千円を増額補正するものです。
     
 その主な内容は、新型コロナウイルス感染症対策として、感染症の拡大防止に27億1,410万余円、感染症対応への支援に30億円、くらしと経済を支えるセーフティネット強化に372億6,341万余円、
危機を乗り越え未来をつくる取組みに4億8,069万余円を計上しました。
 また、新型コロナウイルス感染症対策以外に6億8,777万余円を計上しました。
 このほか、債務負担行為補正として、新たに債務負担行為を設定するもの1件です。
    
 第4号議案から第12号議案までは、事件議決案で、地方自治法等の規定に基づき議決をお願いするものです。
 第4号議案から第6号議案までは、道路改良事業等の工事契約などを締結するもので、予定価格が5億円以上となるものです。
 第7号議案から第9号議案までは、工事請負契約変更の件であり、道路改良事業などに係る契約金額を変更するものです。
 第10号議案は、大阪府立富田林高等学校における生徒の負傷事案に関して、損害賠償の額を決定し、和解するものです。
 第11号議案は、備蓄用(びちくよう) 抗(こう)インフルエンザウイルス薬を買い入れるものです。
 第12号議案は、大阪府警察金岡単身寮整備等事業について、契約金額を変更するものです。
   
 第13号議案から第19号議案までは、条例案で、一部を改正するもの7件です。
 その主なものについて説明します。
 第14号議案は、国家公務員について、新型コロナウイルス感染症への対処業務に従事した場合の特殊勤務手当に関する規定が追加されたこと等に伴い、防疫等作業手当等を追加するものです。
 第15号議案は、特別職非常勤職員就業等規則の改正により、特別顧問及び特別参与の職務に、府が堺市と共同して取り組む施策に関する必要な事項の調査及び助言が追加されたことに伴い、
規定の整備を行うものです。
 第17号議案は、電気事業法の改正に伴い、共同溝に関する業務が関西電力送配電株式会社に継承されたことにより、規定の整備を行うものです。
 第19号議案は、政令の改正に伴い、府立学校の学校医等の公務災害に係る補償基礎額を改正するものです。
 その他の条例改正は、関係法令の改正に伴い、規定の整備を行うものなどです。
  
 第20号議案は人事案件で、人事委員会委員 栗原(くりはら) 良扶(よしお) 氏が令和2年6月30日を
もって退任することに伴い、松本(まつもと) 岳(たける) 氏を選任することについて、
地方公務員法の規定により同意をお願いするものです。
  
 次に、第1号報告及び第2号報告は、地方自治法第180条第1項の規定により議会から委任をいただいている事項について専決処分にしましたので、同条第2項の規定により報告するものです。
第3号報告は、令和元年度大阪府流域下水道事業会計予算の繰越しをしましたので、地方公営企業法の規定により報告するものです。
 以上、よろしくお願い申し上げます。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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