第119回大阪府原子炉問題審議会会議録

更新日:2020年11月13日

第119回大阪府原子炉問題審議会の概要について

 

日  時  平成25年8月8日(木)午前10時〜11時17分

 

場  所  大阪府庁本館5階 正庁の間

 

議  題  

(1)役員の選任について

(2)京都大学原子炉実験所の安全性等について

(3)京都大学原子炉実験所定例報告について

(4)ホウ素中性子捕捉療法について

(5)その他

 

出席者  審議会委員27名中25名が出席

(欠席委員:伯井委員、渡辺委員)

 

事務局等    大阪府、京都大学原子炉実験所、地元市町

 

 

 議事に先立ち、審議会事務局担当の淵田大阪府政策企画部企画室参事から、議事進行と本審議会の役割について説明の後、委員の紹介が行われた。

 

議題1.役員の選任について

 

  審議会規則では副会長2名を選任しているところ、現在は1名であるため、もう一名の選任が行われ、久谷眞敬委員(大阪府議会議員)が選任された。

 

 

議題2.京都大学原子炉実験所の安全性等について

 

 議題2に先立ち、森山所長から、挨拶と原子炉実験所陪席者の紹介が行われた。

 中島研究炉部長・臨界装置部長から、参考資料の「福島第一原子力発電所事故を踏まえた京都大学研究用原子炉の安全性について」に基づき研究炉規制の留意点、新規制基準の考え方へのコメント等に関して補足説明の後、京都大学原子炉実験所の安全性等についてのうち「原子力規制委員会への説明等について」と「施設・設備の基幹整備について」を配付資料をもとに、次のとおり説明。

 次いで、森山所長から、参考資料の「J−PARCと京都大学原子炉実験所との比較」に基づき、加速器の状況等に関して補足説明の後、京都大学原子炉実験所の安全性等についてのうち「他事業所での放射性物質の漏洩事故について」を配付資料をもとに、次のとおり説明

 

  (対応状況の報告内容)

1.原子力規制委員会への説明等について

 今年度のKUR施設定期検査の最終立会検査前に東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえたKURの安全性に関する説明を、5月13日に原子力規制委員会に対して行った。また、7月1日には試験研究用原子炉施設の新規制基準検討のための事業者ヒアリングが行われ同様にKURの安全性について説明。今後、連絡・指示等があれば速やかに対応していく。

2.施設・設備の基幹整備について

 前回の本審議会において、ライフラインの整備計画について説明したが、特にKUR用スタック(排気塔)の更新や放射性廃水用排水管の2重化の工事は平成25年8月から11月までの間KURの運転を停止して実施する予定。工事中については、ご迷惑をおかけすることのないよう十分に注意して進めるのでご理解のほどよろしくお願いしたい。

3.他事業所での放射性物質の漏洩事故について

  平成25年5月23日に他事業所の加速器施設において放射性物質の漏洩事故が発生。これに伴い原子力規制委員会からは加速器施設の状況調査が、文部科学省からは加速器施設に係る安全管理体制等の再確認の通知があった。その結果、原子力規制委員会において実験所の加速器施設で同様の事故が起こることはないことを確認したと報告されたが、安全管理体制等の再確認を行うとともに従事者への教育・指導を行うなど操作手順・管理等について徹底を図った。

 

【配付資料】

 ・京都大学原子炉実験所の安全性等について

 ・参考資料:福島第一原子力発電所事故を踏まえた京都大学研究用原子炉の安全性について

 ・参考資料:J−PARCと京都大学原子炉実験所との比較

 

[発言(半田委員)]

 説明いただいたことはいいんですけれども、50年近く経ちますけれども、原子炉そのものの耐用年数の問題とか、あるいは、原子炉そのものが金属劣化、そういう劣化問題が出てくるんじゃないかという風に思いますけれども、色んな付加物の対策はされているということはわかっていますけれども、原子炉そのものが50年経っていることによって、どのように今後考えて行かれるのか。また抜本的に仕組みを見直す、そういう動きもあるのかどうか。普通の電力の原子炉と状況は違いますから、40年で廃炉ということにはならないと思いますけれども、一応金属劣化は何でも起こるわけですから、原子炉そのものの耐用についてどのようにお考えなのか、そのあたりをお聞かせいただきたい。

 

[説明(中島研究炉部長・臨界装置部長)]

 来年で50年を迎えるということでありまして、委員のご指摘のように、発電炉と違いまして、40年というのは直接には適用を受けません。我々のところも発電炉と同様、高経年化、いわゆる老朽化の対応をやっておりまして、30年を超えた原子炉については10年に一度レビューを行って点検を行って、今後10年間の保全計画を立てなさいというのが国の法律で決まっている。それにしたがって我々のところも実施しておりまして、実は、あと2年ほどで10年目を迎えるので、今年から来年にかけてレビューをやって、確認しようということで考えています。

 実際の金属疲労等が起こるということなんですけれども、一番心配なのが原子炉の炉心タンク、燃料を入れるところ、ここがもし穴が開くと、これはもう多分廃炉ということにせざるをえないと思います。これについては、大体10年に1回ですね、内部に人が入りまして超音波の観測計で厚さを、大体数センチ間隔でメッシュを引いて、全体で5000点とかになるんですけれども厚みを調べて、これが前の値と比べて変化して少なくなっていないかという確認をしまして、これについては大きな変化はないということを確認しています。それ以外の配管等については、劣化があった場合は、二次系統冷却水等については交換したりしてまして、適宜交換等をしていく、こういう状況でございまして、取り替えられるものは、当然ながら検査をして、問題があれば、あるいは、ある程度年数がたった時点で交換していく。取り替えられないものについては念入りに点検を行って、問題ないことを確認する。当然ながら通常の日常点検をしてまして、漏えい等がないことを確認しています。通常10年に1回程度、大体7,8年に1回、詳細な点検をして健全性、しばらく大丈夫ということを確認しております。

 

 

議題3.京都大学原子炉実験所定例報告について

 

 中島研究炉部長・臨界装置部長から、原子炉の運転状況と平成25年度の共同利用研究等の採択状況について、高橋放射線管理部長から、環境放射能の測定結果等について、配布資料をもとにそれぞれ次のとおり報告が行われた。

 

 (報告内容)

  (イ)中島研究炉部長・臨界装置部長から、配布資料の「京都大学原子炉実験所の現状報告書(定例報告)」をもとに、次のことについて説明が行われた。

        (1)報告対象期間(平成24年6月〜平成25年5月)におけるKUR・KUCAの運転状況、役割等のこと。

   (2)平成25年の法律に基づく施設定期検査に合格し、KURは平成25年6月3日付け、KUCAは平成25年5月24日付けで合格証が原子力規制委員会から交付されたこと。

    (3)平成25年度の共同利用研究及び研究会の採択状況のこと。

  (ロ)高橋放射線管理部長から、配布資料の「京都大学原子炉実験所の現状報告書(定例報告)」をもとに、京都大学原子炉実験所における環境放射能測定報告(平成24年4月〜平成25年3月)に関し、次のとおり説明が行われた。

        (1)実験所では、原子炉施設の排水口及び排気口から放出される放射能の量や濃度及び敷地境界での線量評価の結果について、6ヶ月に1回、監督官庁である原子力規制委員会へ報告していること。

   (2)これらに加えて、実験所と熊取町、泉佐野市及び貝塚市との間で締結している安全協定に基づき、実験所の周辺地域での放射線の積算線量を測定していること及び実験所周辺の環境試料に含まれる放射能の濃度を年2回測定していること。

    (3)実験所では、自然に存在する放射性物質だけでなく、それよりもはるかに低い濃度の人工の放射性物質もその核種毎に分けて測定していること。このような核種別測定の結果を一覧表にしており、原子炉施設からの新たな放出と思われる核種が検出されたり、放射能の量や濃度が増加しているようなことはないこと。また、実験所外の周辺9カ所における放射線の積算線量についても、自然放射線によるバックグラウンドレベルを示していること。

       (4)環境試料中のうち、土壌や底質については、全国的にも検出されている核実験による放射性物質以外に原子炉の運転に由来すると思われる人工の放射性物質は検出されていないこと。また、野菜等の植物については、自然に存在する放射性物質しか検出されておらず、その濃度の変動も全国的な調査で明らかになっている変動の範囲内であること。また、前回は福島原発事故に関係する核種の測定が見られたが今回はなく、特に問題となることはなかったこと。

   (5)実験所周辺の環境中における放射能及び放射線は、自然放射能及び自然放射線のレベルであり、一般住民の方々にご心配をおかけするようなレベルではないこと。

 

【配布資料】

   ・京都大学原子炉実験所の現状報告書(定例報告)

 

[発言(半田委員)]

 原子力の事故以降、生徒が増えているのか減っているのか、少し教えていただきたいという風に思うのと、色々な研究をされていると思いますが、廃棄物処理というのは永遠の課題ですが、廃棄物の無害化の研究はされていないのか教えてください。

 

[説明(森山所長)]

 報道でもいくつか報道されています。研究内容によっては、学生の応募数が少なくなっているとか。ですから、内容によるかもしれません。今の質問の件については。我々のところでは実は、臨界集合体での実験実習として、全国の大学の先生方が学生を連れてきて実験の実習を行うということをやっておりますけれども、その人数は減らずに、むしろ増えて行っているという状況でございます。ですから、大学に入ってきているということに関しては、大きな変化はないと感じています。我々のところへの要望、実験に使用させてもらいたいという声はむしろ増えていっているという風に思います。

 廃棄物の実験をやっているかということについてですが、廃棄物については我々自身も重要な研究テーマという風に考えています。我々のところにも従来からそれをテーマにして研究している研究者もおります。我々も福島原発事故を踏まえてということで、実は概算要求でプロジェクト的な予算をいただき研究を進めているところでございまして、将来の原子力の廃棄物についてもそういうことも含めてやっていこうとしているところでございます。

 無害化の研究というのはどういうものかと言いますと、例えば、臨界集合体という小型の原子炉と、それからさっき話のありました加速器とを結合させて、今後の原子力システムというそういう研究をやっておりますけれども、このシステムは世界的には、将来的に廃棄物の毒性の高いものを反応で変換させてしまうという原子炉をという構想で研究を実施しています。その研究を我々のところでは実験的に、世界最初に始めたというところがございまして、そちらの方についても今後力を入れていきたいというふうに思っています。

 

[発言(奥野会長)]

 少し付け加えますと、大阪府立大学では原子炉は持ってないのですが、放射線を研究する施設を持っておりまして、今のお話ですと、3.11以降そういうことを学びたいという学生が増えているということですが、私もこういう時だからこそ、やる人が増えないとダメだというメッセージを出している。全国的にどうかはわからないですけど、責任を感じるところがないとうまくいかないんではないかと思う。京都大学がそれにこたえてくださる。

 人を育てるということが大事だと思います。

 

 

議題4.ホウ素中性子捕捉療法について

   高橋安全管理本部長から、ホウ素中性子捕捉療法について配付資料をもとに、次のとおり説明があった。その後、大阪府政策企画部企画室淵田参事より、大阪府におけるBNCTの実用化に向けた取組みについて説明。

 

   1.ホウ素中性子捕捉療法について

 熊取町・大阪府・京都大学の3者による「熊取アトムサイエンスパーク構想」の柱の一つであるホウ素中性子捕捉療法(中性子を利用したがん治療法)の実用化に向け、取組んでいる。

 KURは、6月3日付けで原子力規制委員会から施設定期検査合格証を交付され、6月4日から利用運転を開始。医療照射は週一回実施しているが、平成24年度までに合計444件を実施してきた。

 また、イノベーションリサーチラボ棟に設置したホウ素中性子捕捉療法用に特化した加速器による第1相の治験を平成24年10月から開始している。

 

【配付資料】

  ・ホウ素中性子捕捉療法について

 

  (BNCTの実用化に向けた取組みについて)

 淵田参事より、BNCTの実用化に向けた取り組みについて、ホウ素中性子捕捉療法の概要や、BNCTの実用化に向けた関西イノベーション国際戦略総合特区を活用した取組み、今後必要な研究開発とその対応策などについて説明。

 

【配付資料】

 ・BNCTの実用化に向けた取り組みについて

 

[発言(中西委員)]

 熊取町の中西でございます。

 BNCTに関しましては、「ガイアの夜明け」や新聞紙上で、かなり住民の皆様、また全国的にも知られるようになっております。今、原子炉の方から報告ありましたとおり、加速器を使った治験が始まっています。町としてもバックアップをしておりまして、この6月にこの関西イノベーション国際戦略総合特区内に進出企業がおられましたら、地方税ゼロということで町税もゼロにするという条例も作りました。バックアップしていこうとしておりますし、実は、文部科学省に職員を一人派遣いたしまして、国とのパイプ作りということで、支援させていただいております。ただ、BNCTは非常に厄介な治療法でございまして、原子炉はご存知のように文部科学省管轄、それと加速器は経産省の管轄、ホウ素薬剤は厚生労働省の管轄と3つの省庁に分かれる非常に複雑になっているわけでございますけれども、そのバックアップをやっておるところでございます。

 また、こういうマスメディアに取り上げられますと非常に皆さん関心が高いということで、今熊取町内では、相談窓口を置いております。原子炉で直接問い合わせというよりも、患者さんで、もし相談がありましたら、熊取町に架けていただいたら、ホームページを開けていただいたら、庁内で専用のBNCTに関する相談窓口を設置しておりますんで、なんなりと聞いていただいたらと思います。町としてもバックアップをしておりますので、そういったところに問合せをいただければ丁寧に説明できるかなと思いますのでよろしくお願いします。情報提供です。

 

[発言(奥野会長)]

 大阪府でも必要なところをあげて取り組もうというところですが、実は府大も一翼を担っておりますが、今日の夕方、大阪府でバイオ戦略会議があります。先ほど言っていただいたように色々なところを横通しでいくような整理をしましょうということで府大も説明します。

 

 

議題4.その他

特に質疑はなかった。

 

以上

このページの作成所属
政策企画部 企画室連携課 連携グループ

ここまで本文です。


ホーム > 府政運営・市町村 > 政策 > 大阪府原子炉問題審議会 > 第119回大阪府原子炉問題審議会会議録