2 人権問題の実態(宅地建物取引業者に関する人権問題実態調査結果)

更新日:平成30年11月7日

(1)宅地建物取引業者に関する人権問題実態調査結果

その1 同和地区関係1

 大阪府と宅地建物取引業者団体が府内の宅建業者を対象として、平成3年度、平成9年度、平成15年度、平成21年度及び平成27年度に実施した「宅地建物取引業者に関する人権問題実態調査」の結果の概要は次のとおりです。比較しながら、宅地建物取引の場における人権問題について考えてみてください。

ア 取引物件が同和地区であるかどうかの質問を受けた経験

 平成27年度調査において、質問を受けたことがある業者は、6年前より減少したものの、まだ2割近くあり、府民の同和地区に対する忌避意識が今なお強く残っていることがうかがえます。
 
   ア 取引物件が同和地区であるかどうかの質問を受けた経験のグラフ 

イ 取引物件が同和地区であるかどうかの質問に対する考え

 平成27年度調査において、「差別につながる」と考えている業者が5割程度と、平成21年度調査より増加しました。しかしながら、「差別とは無関係」又は「差別とは一概には言えない」と考えている業者も5割弱となっており、今なお、同和問題に対する正しい理解と認識を持っていない業者が多数いることがわかります。

  イ 取引物件が同和地区であるかどうかの質問に対する考えのグラフ

平成27年度調査結果について研修会等への参加経験の有無別で見ると次のようになります。

 研修会への参加経験別で見ると、研修会等への参加経験のある業者の方が、同和問題に対して正しい理解と認識を持っている割合が高いことがわかります。このことから、大阪府や業界団体等が開催する研修会の効果があらわれていることがうかがえます。

平成27年度調査結果について研修会等への参加経験の有無別のグラフ

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 その2 同和地区関係2 

ウ 取引物件が同和地区又は同じ小学校区であるために取引不調になった経験

 平成27年度調査において、「不調になったことがある」業者は減少していますが、まだ1割弱存在しています。
 「取引物件が同和地区であるかどうかの質問を受けた経験」の質問に対する結果と同様、府民の同和地区に対する忌避意識が
今なお強く残っていることがうかがえます。

ウ 取引物件が同和地区又は同じ小学校区であるために取引不調になった経験のグラフ

 

エ 取引物件が同和地区であるために価格に影響した経験

    平成27年度調査において、「価格に影響した経験がない」とした業者が4割弱となっている一方、2割弱の業者が「価格に影響した経験がある」としており、今なお、同和地区であることが取引物件の価格に影響していることがうかがえます。

エ 取引物件が同和地区であるために価格に影響した経験のグラフ  

オ 取引物件が同和地区であるかどうかを教えることに対する考え

  平成27年度調査において、「差別につながる」と考えている業者が初めて4割を超えた一方で、「一概にはいえない」とした業者も4割を超えています。
    このことから、同和問題に対する正しい理解と認識を有していない業者がいることがわかります。

オ 取引物件が同和地区であるかどうかを教えることに対する考えのグラフ

  お客さんに、同和地区かどうかを気にするのは誤りだと言いたいと思う

  「お客さんに、同和地区かどうかを気にするのは誤りだと言いたいと思う」という問いに6割近い業者が「そう思う」又は「やや思う」と答えている一方で、4割近い業者が「思わない」又は「あまり思わない」と答えています。

お客さんに、同和地区かどうかを気にするのは誤りだと言いたいと思うグラフ

その3 外国人への入居差別

カ 家主から外国人の入居を断るように言われた経験

    平成27年度調査において、「ある」と答えた業者は平成21年度調査より減少し、2割強になっています。しかし、外国人に対する家主側の入居拒否意識が今なお存在していることがわかります。 

カ 家主から外国人の入居を断るように言われた経験のグラフ

 

 キ 外国人を断る家主の態度に対する考え

  平成27年度調査において、「差別である」と考えている業者が約3割と、平成21年度調査より微増していますが、約6割の業者が「差別ではない」又は「一概には言えない」としており、依然として、外国人問題に対する正しい理解と認識が低い業者が存在することがうかがえます。

キ 外国人を断る家主の態度に対する考えのグラフ

平成27年度調査結果について研修会への参加経験の有無別で見ると、次のようになります。

 研修会への参加経験別で見ると、研修会等への参加経験がある業者の方が、外国人問題に対して正しい理解と認識を持っていることがわかります。
 このことから、大阪府や業界団体等が開催する研修会の効果があらわれていることがうかがえます。

平成27年度調査結果について研修会への参加経験の有無別のグラフ 

 
 

 その4 障がい者・高齢者への入居差別

ク 家主から障がい者の入居を断るように言われた経験

    家主から「障がい者の入居を断るように言われた経験がある」業者は、調査ごとに減少しているものの、まだ、1割以上が断られた経験をもっています。

 ク 家主から障がい者の入居を断るように言われた経験のグラフ

 ケ 障がい者の入居を断る家主の態度に対する考え

   「差別である」と考えている業者は、約4分の1しかなく、平成21年度調査とほとんど変化はありません。
    依然として、障がい者に対する理解と認識が低い業者が存在していることがうかがえます。

 ケ 障がい者の入居を断る家主の態度に対する考えのグラフ 

 コ 家主から高齢者の入居を断るように言われた経験

    家主から「高齢者の入居を断るように言われた経験がある」業者は、平成21年度調査より減少したとはいえ、3割が断られた経験をもっています。

コ 家主から高齢者の入居を断るように言われた経験のグラフ

  サ 高齢者の入居を断る家主の態度に対する考え

    「差別である」と考えている業者は、2割強と平成21年度調査から微増となっています。一方で、約7割の業者は「差別ではない」又は「一概には言えない」としており、高齢者に対する理解と認識が低い業者が存在していることがうかがえます。

サ 高齢者の入居を断る家主の態度に対する考えのグラフ

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 その5 母子家庭・父子家庭への入居差別

シ 家主から母子(父子)家庭の入居を断るように言われた経験

    家主から「母子(父子)家庭の入居を断るように言われた経験がある」業者は1割を下回っています。

 シ 家主から母子(父子)家庭の入居を断るように言われた経験のグラフ

 ス 母子(父子)家庭の入居を断る家主の態度に対する考え

    「差別である」と考えている業者は約4割である一方、5割強の業者が「差別とはいえない」「一概には言えない」としており、依然として、母子(父子)家庭に対する正しい理解と認識が低い業者が存在していることがうかがえます。

 ス 母子(父子)家庭の入居を断る家主の態度に対する考えのグラフ

 セ 宅地建物取引業に関する人権関係法令等の認知状況

    平成27年度調査では、平成21年度調査以降に施行等された、下記の3つの人権関係法令等について、その内容の認知状況の調査を行ないました。

  ・宅地建物取引業法に基づく指導監督基準
  ・宅地建物取引業法第47条と同和地区に関する告知
  ・大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例

  これらの法令等は、宅地建物取引の業を営む上で、必ず理解しておく必要がある重要なものです。
  「知っている」と答えた業者は、約4分の3であるものの、「知らない」と答えた業者も2割程度となっています。これらの法令等を理解して業をおこなっていくことが必要です。

セ 宅地建物取引業に関する人権関係法令等の認知状況のグラフ

 その6 まとめ

 宅地建物取引の場における人権問題

    「取引物件が同和地区であるかどうかの質問を受けた経験がある」業者、「家主から外国人の入居を断るように言われた経験がある」業者は約2割、「家主から高齢者の入居を断るように言われた経験がある」業者は約3割となっており、「家主から障がい者の入居を断るように言われた経験がある」業者は約1割となっています。これらのことから、宅地建物取引の場において、人権問題が依然として存在していることがわかります。

 人権問題に関する業者の理解と認識

 取引物件が同和地区であるかどうか質問する取引相手に対する考えとして、「差別につながる」と考える業者は約5割であるものの、「差別とは無関係」又は「差別とは一概には言えない」と考える業者も5割弱となっています。
 また、外国人の入居を断る家主の態度に対する考えとして、「差別である」と考える業者は約3割しかおらず、「差別とはいえない」又は「差別とは一概には言えない」と考える業者が6割を超えています。
 このように、人権問題に対して、正しい理解と認識が不足している業者が多数いるといえます。

 宅地建物取引業の運営に関し適正を欠く行為

    「取引の対象となる物件が同和地区に所在するか否かについて調査すること又は取引関係者に教示すること」や「賃貸住宅の入居申込者が外国人、障がい者、高齢者又は母子(父子)家庭であるという理由だけで、その該当者からの入居申込みを拒否すること」は、大阪府の「宅地建物取引業法に基づく指導監督基準」においても「宅地建物取引業の運営に関し適正を欠く行為」であるとして指導等の対象となる行為です。

● 同和問題に関する宅地建物取引業法上の扱い

    「お客さんに、同和地区かどうかを気にするのは誤りだと言いたいと思う」という問いに「そう思う」又は「やや思う」と答えた宅建業者が約6割であるにもかかわらず、5割強の宅建業者が「同和地区の物件であろうとなかろうと、お客さんの質問にはありのままに伝えなければならないと思う」という問いに「そう思う」又は「やや思う」としています。

    ■  お客さんに、同和地区かどうかを気にするのは
     誤りだと言いたいと思う。    

お客さんに、同和地区かどうかを気にするのは誤りだと言いたいと思うグラフ

      同和地区の物件であろうとなかろうと、お客さんの質問には
      ありのままに伝えなければならないと思う。

  同和地区の物件であろうとなかろうと、お客さんの質問にはありのままに伝えなければならないと思うグラフ 

   
  この一因として、「取引相手から同和地区の存在について質問を受けた場合、回答しなければ宅地建物取引業法第47条第1項に抵触する」との誤った解釈をしている宅建業者がいることが考えられます。


    お客さんからの同和地区に関する質問に答えなくても宅地建物取引業法第47条第1項に抵触することはありません。 
    さらに、大阪府の宅地建物取引業法に基づく指導監督基準では、「取引の対象となる物件が同和地区に所在するか否かについて、取引関係者に教示すること」を、宅地建物取引業の運営に関し適正を欠く行為としており、これに違反すると行政指導を行うとしています。

   
  宅建業者の皆さんは、宅地建物取引業法を正しく解釈するとともに、宅地建物取引の場における人権問題を解消するため、人権問題に対して、より一層、理解と認識を深めていってください。



● 宅地建物取引の場における人権問題への対応

 宅地や建物は、通常の商品・サービスに比較して、極めて高額な財産です。それを取り扱う宅建業者の皆さんは、大変重要な役割を担っています。
 「宅地建物取引業者に関する人権問題実態調査」の結果が示すように、宅建業者の皆さんは、宅地建物取引の場において、同和地区に関することなど取引相手から予断と偏見に基づいた問合せを受けたり、外国人や障がい者、高齢者、母子(父子)家庭であることだけを理由に入居を拒否されることがあるかもしれません。
 このような取引相手の問合せや家主の入居拒否は、全て人権問題になります。
 宅建業者の皆さんが、これらの取引相手や家主に同調し、同和地区に関する問合せに応じたり、お客さんが、外国人や障がい者、高齢者、母子(父子)家庭であることだけを理由に入居を断わると、皆さん自身が、差別を助長したり、加担したことになります。
 もしも、このような場に直面したときには、適正な宅地建物取引業の運営を行うため、人権を尊重する視点から毅然とした対応をしてください。
 また、お客さんや家主などの取引関係者に対しても、積極的に啓発に努めるよう心がけてください。



    障がい者や外国人等への差別的な契約内容への対応

    平成21年に、賃貸借契約における家主側からの無催告解除条件の一つとして、「乙(賃借人)、同居人、及び関係者で精神障害者、又はそれに類似する行為が発生し、他の入所者、又は関係者に対して財産的、精神的迷惑をかけた時」という条項がある賃貸借契約書の存在が、入居申込者からの通報で明らかになりました。
   「他の入居者への迷惑行為」を賃貸借契約解除要件にすることは当然かもしれませんが、それを「精神障がい者」等にのみ適用しているこの条文は、明らかな差別です。
  宅建業者の皆さんが、この契約書により仲介業務を行った場合、皆さん自身が精神障がい者に対して偏見を持ち、家主側の差別に同調しているとみなされるだけでなく、家主側の偏見をお客さんに伝播させる、つまり、差別を助長することにもなりかねません。
   宅建業者の皆さんは、入居条件に加え、契約書や居住規則等についても、違法性だけでなく、人権を尊重する視点からも十分に確認してください。
 不適切な表現等を見つけたときは、事前に、家主側に対して訂正を求め、適法で、差別のないものとしてから、お客さんに提示するよう心掛けてください。

 

 


 





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このページの作成所属
住宅まちづくり部 建築振興課 宅建業指導グループ

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