大阪府に寄せられた宅地建物取引に関する相談事例 No.2

更新日:平成22年1月20日

[取引1]
契約当事者の関係図〔取引1〕

[取引2]
契約当事者の関係図〔取引2〕

【経過】

1 買主Aは、平成20年7月、宅建業者Xの媒介で、Bを売主とする中古一戸建住宅の売買契約(売買価格2,700万円)を締結し、手付金10万円を支払った。物件引渡後、Aは重要事項説明で説明されなかった事務代行費40万円を請求されたとして府に苦情を申し立てた。

2 買主Cは、平成20年9月、宅建業者Xの媒介で、宅建業者Yを売主とする新築一戸建住宅の売買契約(売買価格3,500万円)を締結し、手付金10万円を支払った。同月6日、Cは解約を申し出たが、この時点でYは契約の履行に着手していないにもかかわらず、Xから解約には売買価格の5%の支払が必要と説明を受けたとして府に苦情を申し立てた。

【判明した違反事実】

[取引1]

府がXに事情を聴いたところ、以下のとおり違反事実が確認された。

1 重要事項説明書に次の記載不備がある。業法第35条第1項違反

 (1)当該宅地建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあっては、その名称)(同項第1号)
  ・建物について、登記がされているにもかからず、「新築に付未登記」と記載した。

 (2)排水のための施設の整備の状況(同項第4号)
  ・「完備」と記載しただけでその内容を記載していない。

 (3)代金以外に授受される金銭の額及び授受の目的(同項第7号)
  ・中間金を「相談」、固定資産税等精算金を「日割計算額」と記載しただけで、具体的な額を記載していない。

 (4)金銭の貸借のあっせんの内容(同項第12号)
  ・金融機関名、保証料及び利率を具体的に記載していない。

 (5)当該宅地又は建物の瑕疵担保責任の履行に関する措置を講ずるかどうか、及び講ずる場合におけるその措置の概要(同項第13号)
  ・措置を講ずるかどうか等について記載していない。

2 宅建業に関し著しく不当な行為
  ・重要事項説明において「事務代行費」について一切説明していないにもかかわらず、「事務代行費」として40万円を買主に請求し、買主は当該「事務代行費」の妥当性を判断できないまま40万円を支払うこととなった。

[取引2]

府がX及びYに事情を聴いたところ、以下のとおり違反事実が確認された。

1 重要事項説明書に次の記載不備がある。業法第35条第1項違反

 (1)前記1(1)から(5)と同じ記載不備

 (2)代金以外に授受される金銭の額及び授受の目的(同項第7号)
  ・固定資産税等精算金を「日割計算額」と記載しただけで、具体的な額を記載していない。

2 取引の公正を害する行為

  ・売買契約書の特約条項において、当事者の一方が契約の履行に着手するまで、相手方は売買価格の5%を支払い、契約を解除できる旨規定している。手付金は10万円なので、売主が宅建業者の場合における業法第39条第2項の規定に反する特約で、買主に不利な特約である。Xにおいては、このことの違法性を認識することなく、媒介業務を行った。

【違反が発生した事情(又は理由)】

1 [取引1]

 Xは、重要事項説明書の記載不備について、ミスを認めた。また、受領した40万円について、ローン事務手数料であったこと及び諸費用が総額で約200万円必要と口頭で説明していたと弁明したが、重要事項説明として説明していないことを認めた。

2 [取引2]

 X及びYは、重要事項説明書の記載不備について、ミスを認めた。また、手付解除の特約について、手付金が少額の契約だったため容易に解約されては困ると思い、業法違反と思わずに買主に不利な特約を設けたと述べ、ミスを認めた。

【処分等】

 府は、次のとおり違反事実等を認定し、Xを業務停止処分(14日間)、Yを文書勧告とした。

 X:業法第35条第1項違反、取引の公正を害する行為(第39条第2項の規定に反する特約を定めた取引の媒介を行ったこと)、宅建業に関し著しく不当な行為(複数の取引で違反行為を行っていること及び重要事項説明で一切説明を行っていない金銭を受領していること。)

 Y:業法第35条第1項及び取引の公正を害する行為(第39条第2項の規定に反する特約を定めたこと。) 

【本事例のポイント】

1 重要事項説明書について

 (1)代金以外に授受される金銭の額及び授受の目的として、手付金だけでなく、固定資産税等精算金も記載する必要があります。

ポイント「実費」「日割精算」といった記載では不十分です。額が確定していない場合は、例えば「概算」等として目安となる額を記載してください。
 また、その他媒介手数料や所有権移転登記費用など買主が負担すべき費用についても重要事項説明書等の書面に記載して説明するようにしてください。

 (2)金銭の貸借のあっせんの内容として、融資額、金融機関名、金利、返済方法などあっせんの内容や融資の条件を記載する必要があります。

ポイント金利について、「実行時」といった記載がよく見られますが、これだけでは不十分な記載です。購入者の判断の目安になるよう、実行時期により変動する場合があることを断った上で、具体的に記載してください。なお、ローン事務手数料についても、具体的な額を記載してください。

2 手付放棄による契約の解除について

 宅建業者がみずから売主の場合、手付がいかなる性質のものであっても、売主が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して契約の解除をすることができます。

ポイント 手付金が少額だったからといって、買主側の手付解除にあたり、受領した手付金を超える額を受け取ることはできません。契約書でそのような特約を定めても、業法第39条第3項により無効となります。

このページの作成所属
住宅まちづくり部 建築振興課 宅建業指導グループ

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