要注意!「自由設計」「フリープラン」をうたう契約のトラブル

更新日:平成28年8月2日

  皆さんは、不動産の広告で「フリープラン」や「自由設計」と書かれたものを見かけることがよくあると思います。「フリープラン」や「自由設計」という言葉には、自分が思い描く住宅を建てることができるイメージがありますよね?しかし、このような広告を見て不動産の契約をした方からの相談が最近増えています。その理由として「フリープラン」の物件は、一般的な新築建売住宅の売買ではなく、いわゆる「建築条件付土地」の売買であることが多いことが挙げられます。

 土地と住宅がセットで売買される新築建売住宅と、土地は売買契約で住宅は建築請負契約という2つの契約を結ぶこととなる建築条件付土地では、大きな違いがあるのですが、買主さんの多くは、一般的な新築建売住宅と建築条件付土地の違いを認識しておられません。このため、契約内容をしっかり確認しないまま契約を結んでしまい、後になって「こんなはずではなかった!」と悔やむ結果となるのです。

 以下に、建築条件付土地の売買契約に関するトラブル事例と問題点などを紹介しますので、トラブルを未然防止するための参考にしていただけたら幸いです。

 建築条件付土地の売買契約とは・・・ 建築条件付土地の売買契約とは、まず、土地の売買契約を締結して土地を購入した後、売主又は売主の指定する建設業者との間で住宅の建築プランを練って、通常は2、3ヵ月程度後に建築請負契約を締結することが条件となっている契約形態のことです。もし、最終的に住宅の建築プランがまとまらず、建築請負契約を締結しなかったときは、この条件が達成されないことになります。その場合、土地の買主としては住宅を建築するために土地を購入したわけですから、土地だけが手元に残っても仕方がありませんので、土地の売買契約は白紙解除になるというものです。また、建築請負契約により建築される住宅は、あらかじめできあがった住宅を購入する建売住宅とは異なり、住宅の間取り・仕様などを注文者(土地の購入者)が自由に決定する「注文住宅」です。

 

新築建売住宅

建築条件付土地

契約の種類土地付建物の売買契約(土地・住宅セット売買)土地売買契約及び住宅の建築請負契約の2つ
住宅のプラン業者の作った固定プラン(建築確認を受けた内容)基本的にフリープラン

住宅が完成物件
か未完成物件か

完成・未完成いずれもありえる
(未完成物件の場合、建築確認を受けていることが要件となる)
未完成
(買主と業者がプランを練り、建築請負契約を締結した上で着工する)

典型的なトラブル事例

 Aさんは、「フリープランの新築一戸建」という広告を見て不動産屋に行った。物件を気に入ったので契約することにし、土地についての重要事項説明を受けた。仲介業者から、住宅のプランは契約をしてから決めればいいので、とりあえず契約を結ぶ必要があると言われ、土地の売買契約と住宅の建築請負契約を同時に結んだ。その後、住宅のプランを検討したが、フリープランのはずなのにこちらの要望がなかなか通らず、また、こちらの要望どおりのプランにするとオプション料金がかさむので、契約の解除を申し出たところ、違約金を請求された。 

ポイント ポイント1 「建売住宅」と「建築条件付土地」は違います!

 マイホームを取得するにあたり、土地と住宅をセットで購入するのが、いわゆる「建売住宅」です。一方、売主または売主の指定する建設業者との間で建築請負契約を結ぶことを条件として土地を購入するのが、いわゆる「建築条件付土地」です。

 売買契約と建築請負契約には大きな違いがあり、それは売買契約には宅地建物取引業法の規制がかかりますが、建築請負契約には宅地建物取引業法の規制がかからないことです。

 具体的にどのような違いがあるのかというと、例えば、契約を締結した後に買主の自己都合で契約を解除することとなった場合、宅地建物取引業法の規制のかかる新築建売住宅であれば、売主が契約の履行に着手するまでは買主は手付金を放棄することにより契約を解除することができます。(いわゆる「手付放棄」)

 しかし、宅地建物取引業法の規制のかからない建築請負契約の場合、契約の解除にあたり手付金を放棄するだけでなく、建築請負契約に基づく違約金を請求されることがあります。また、宅地建物取引業法で定められている手付金や違約金の上限額の規制(売買代金の2割以内)は、建築請負契約には適用されません。

 このように、売買契約と建築請負契約では法規制や契約内容が異なりますので、建築請負契約を締結するときはその内容を十分に確認する必要があります。

新築建売住宅と建築条件付土地の相違点

 

 建築請負契約には宅地建物取引業法の適用がありません!!

 また、建築請負契約に関し損害を被っても、宅地建物取引業法に基づく営業保証金又は弁済業務保証金による弁済の対象外とされます。
 
(→営業保証金及び弁済業務保証金についての説明はこちらをご覧ください。

ポイント ポイント2 本当にフリープラン?!

 土地と住宅がセットで売買される新築建売住宅の場合、宅地建物取引業法により、未完成の住宅については、建築確認を受けていなければ広告や売買契約を締結することはできません。建築確認を受けているということは、建築基準法上の規制にかかるような設計変更は認められませんので、買主が自由に設計できる「フリープラン」はあり得ません。

 一方、建築条件付土地の場合、住宅は建築請負契約により建てられますので、いわば「注文住宅」であり、「フリープラン」ということになります。

 ただ、実際には、業者が住宅の「モデルプラン」を用意しており、買主が自由に選択できる幅は限られていることが多いようです。特に本事例のように、住宅のプランを練らないまま、土地の売買契約と同時に住宅の建築請負契約を締結した場合、「フリープラン」のはずなのに思っていたようなプランができないので契約を解除しようとすると、建築請負契約に基づく違約金を請求され、トラブルになることもあります。

 住宅の建築請負契約を締結するのは、十分にプランを練って、納得できる契約内容となってからにしましょう。

ポイント ポイント3 広告の表示は適正ですか?

 ポイント2のとおり、新築建売住宅の広告で「フリープラン」と表示するのは不適切です。

 一方、建築条件付土地の場合、不動産業界の自主規制ルールである不動産公正競争規約により、

 (1) 取引対象物件が建築条件付土地であること
 (2) 建築請負契約を締結すべき期限(土地購入者の希望する住宅の設計協議をするために必要な期間を経過した日以降に設定される期限)
 (3) 建築請負契約が成立しなかった場合には、土地売買契約は解除され、土地購入者から受領した金銭はすべて返還すること

などを広告に表示する必要があります。

 しかし現実には、新築建売住宅の広告で「フリープラン」と表示したり、建築条件付土地の広告で建築条件付土地であることの表示が一切ないなど、不適切な広告がしばしば見受けられます。紛らわしい広告表示には注意しましょう。(→広告表示に関する処分事例はこちらをご覧ください。

○不動産販売広告の一例

不動産販売広告の一例

ポイント ポイント4 重要事項説明書や売買契約書の内容をよく確認してください。

 ポイント3の(1)から(3)は、買主にとって契約の判断に重要な影響を及ぼす「重要な事項」ですので、宅地建物取引業者は、土地の売買契約に先立ち、これら(1)から(3)の契約条件を買主に説明するとともに重要事項説明書に記載する必要があります。また、(3)については、建築請負契約が成立しなかった場合の解除に関する定めとして、土地売買契約書にも記載する必要があります。

 もし、建築請負契約が成立しなかった場合の解除条項が土地売買契約書に規定されていなければ、万が一、建築請負契約が成立しなかった場合に、土地の売買契約を白紙解除することができないおそれがあります。

 建築条件付土地の売買契約にあたっては、土地売買契約書に、住宅の建築請負契約を締結するまでの十分な期間が設定されているか、建築請負契約が締結されない場合には土地売買契約は白紙解除できるという規定があるかを確認しましょう。

ポイント ポイント5 土地の売買契約と住宅の建築請負契約を同時に締結するのは避けましょう!!

 建築条件付土地の最大の魅力は、住宅が「フリープラン」、つまり「注文住宅」であるということでしょう。しかし実際には、広告に「フリープラン」「自由設計」と表示しながら、業者が提示したモデルプランの範囲内でしか選択の余地がなく、「注文住宅」というより既定の「建売住宅」に近い物件も多いようです。

 このため、いざ業者と住宅のプランを練り始めると「フリープラン」にはほど遠いことが判明し、「こんなはずじゃなかった!」と後悔する買主さんもおられます。この段階でまだ建築請負契約を締結していなければ、建築請負契約を締結しないという道が残されていますが、既に建築請負契約を締結してしまっていると、建築請負契約に基づく違約金を請求されるなどトラブルになることが多いのです。(ポイント2参照)

 特に、この事例のように、住宅の建築請負契約を土地の売買契約と同時に締結することは、次のような問題がありますので避けるべきです。

 建築請負契約が成立しない場合の解除条項(ポイント3の(3))が土地売買契約書に定められていても、実際には解除できる機会がまったくありませんので、せっかくの解除条項が「絵に描いた餅」になってしまいます。

 建築請負契約を解除して土地売買契約も解除しようと思っても、土地売買契約を白紙解除することができない可能性があります。(手付金が返金されない等、金銭的負担が発生する可能性があります。)

 住宅の建築請負契約を締結するのは、必ず、十分にプランを練って、納得できる契約内容となってからにしましょう。(通常は、プランを練る期間として、2、3ヵ月程度が必要ということで、土地売買契約の2、3ヵ月後に建築請負契約を締結することを条件としている場合が多いようです。)

 

建築条件付土地売買の取引の流れ

買主さんへ ―契約書に押印する前に要チェック!― 建築条件付土地の売買契約の内容 ・ 土地売買契約は建築条件付であること、そして、住宅の建築請負契約が成立しなければ土地の売買契約は白紙解除されること。 ・ 住宅のプランを練るために、建築請負契約を締結するまでの十分な期間が設定されること。(あまりに短い期間だと十分にプランを練ることができないおそれがあります。) 住宅の建築請負契約の内容 業者と十分にプランを練りましたか?(契約を結んだ後でプランを練ることとした場合、思うようなプランができないため契約を解除しようとすると、違約金を請求されることがあります。)

 

 ここからは大阪府に寄せられた相談・処分事例を紹介しながら、建築条件付土地売買契約についての注意点を見ていきましょう。

 事例1 契約書の差替えを予定し、法定上限額を超える仲介手数料を受領しようとした事例

(相談内容)

物件を気に入ったので住宅の契約を締結した。仲介業者から建築条件付土地の売買契約との説明はなかったので、一般的な新築建売住宅の売買契約を締結したと思っていた。その後、仲介業者に契約の解除を申し出たが、「請負契約については違約金がかかる」といわれた。

事例1の概略図

(事情等)

 府が関係書類を確認したところ、以下のことがわかった。

 (1)相談者は、建築条件付土地の売買契約と住宅の建築請負契約を同じ日に締結していた。
 (2)土地売買契約書には、建築確認を受けた後に土地付建物売買契約書に差し替えるとする特約が規定されていた。
 (3)土地売買に関する重要事項説明書及び仲介業者が買主に交付した媒介契約書に記載されている仲介手数料の額は、土地売買について仲介業者が受領できる仲介手数料の法定上限額をオーバーしていた。(→仲介手数料の法定上限額の計算方法はこちらをご覧ください。

上記(1)から(3)について府が仲介業者に事情を聴いたところ、

 (1)(2) 土地売買契約書の特約については、「本来は土地・住宅セットの売買だが、建築確認を受ける前は未完成の住宅の売買契約は結べないため、土地は売買契約、住宅は建築請負契約とし、建築確認を受けた後に土地・住宅セットの売買契約に差し替えることとした。」と述べた。(※1) 
 (3) 仲介手数料の額については、「土地と住宅を合わせた総額から仲介手数料を算定した。」と述べた。(※2) 

 また、売主業者に事情を聴いたところ、契約書の差し替えを予定していたことを認めた。

 なお、この取引においてはその他にも宅地建物取引業法違反(重要事項説明書の記載不備等)があった。

<参考>

新築建売住宅

建築条件付土地

未完成物件の場合、建築確認を受けていなければ、売買契約を締結することはできない。

建築請負契約を締結してから、建築確認を受ける。
仲介手数料は土地と建物の合算代金を基礎に算定される。

土地売買のみが宅地建物取引業法の対象となるので、仲介手数料は土地代金のみを基礎に算定される。

建築請負契約には宅地建物取引業法の規制は及ばない。

(結果)

仲介業者は、取引の公正を害する行為(契約書の差替え特約、住宅分を含めた仲介手数料を受領する予定)等が認定されて指示処分、売主業者は取引の公正を害する行為(契約書の差替え特約)等が認定され指導を受けた。

なお、契約については、売主業者は白紙解除に応じた。

ポイント この事例の問題点

 (※1)当初は土地だけ売買契約で住宅は建築請負契約とし、建築確認を受けた後で土地・住宅セットの売買契約に差し替える行為は、未完成の住宅を建築確認前に売買契約することを禁じた宅地建物取引業法第36条の規制を逃れるような行為であり、不適切です。

 (※2)土地売買に関して仲介業者が受領できる仲介手数料の法定上限額は、土地の売買代金に基づき算定されるべきものです。住宅の請負代金を含めて算定すると、法定上限額をオーバーし、宅地建物取引業法違反を問われることになります。

事例2 建築確認を受ける前に未完成の住宅の広告を行い、建築確認を受けた後に契約書を差し替えた事例

(相談内容)

チラシ広告で見つけた物件を気に入り、住宅の契約を締結した。最初は、建築条件付土地の売買契約と建築請負契約を結んだが、その後、土地付建物の売買契約書に差し替えられた。(※1)

事例2の概略図

(事情等)

府が関係資料を確認したところ、本物件のチラシ広告には、建築確認を受けた後に売買契約を締結するという表示があった。(※2) 

府が売主業者から事情を聞いたところ、契約書を差し替えたこと、及び、建築確認を受ける前に未完成の住宅の広告をしたことを認めた。

なお、この取引においてはその他にも宅地建物取引業法違反(重要事項説明書の記載不備)があった。

<参考>

新築建売住宅

建築条件付土地

未完成物件の場合、建築確認を受けていなければ、広告をすることができず、売買契約を締結することもできない。建築請負契約を締結してから、建築確認を受ける。

(結果)

売主業者は、取引の公正を害する行為(契約書の差替え)及び宅地建物取引業法第33条違反(建築確認前広告)等が認定され指示処分を受けた。

ポイント この事例の問題点

 (※1)当初は土地だけ売買契約で住宅は建築請負契約とし、建築確認を受けた後で土地・住宅セットの売買契約に差し替える行為は、未完成の住宅を建築確認前に売買契約することを禁じた宅地建物取引業法第36条の規制を逃れるような行為であり、不適切です。

 (※2)未完成の住宅については、建築確認を受ける前は、売買契約を締結することだけでなく広告することも宅地建物取引業法により禁じられています。

このページの作成所属
住宅まちづくり部 建築振興課 宅建業指導グループ

ここまで本文です。