適正管理が求められる老朽家屋

更新日:2024年3月26日

あなたが所有・管理する住宅の状況はどうなっていますか?

 あなたの所有する、あるいは管理する住宅は、常時適法な状態に維持されているでしょうか。

 近年、人口減少や少子高齢化などの理由により建築物が放置され、適正に管理されないことが原因で、住宅の老朽化が進行し、屋根瓦や外壁などが崩落するなどの問題が増加しています。

維持に関する規定は、建築基準法第8条に維持保全として定められており、住宅の所有者、管理者または占有者はその建築物に関して常時適法な状態に努めるよう規定されています。

建築基準法【抜粋】

維持保全

第8条 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。

維持保全の重要性

 住宅やそこに備わっている設備等は年を経るにしたがって、老朽化や消耗により本来の性能が低下するなどの変化を生じます。また、増築、改修、用途変更等を行うことで、本来の性能を損なうことも考えられます。このような状態を放置していると、住宅の耐久性や安全性に著しい障害を来し思わぬ災害が発生する原因にもなります。

 住宅の維持保全は、地震や火災等の災害時に密接に関係するため、日頃から適切な維持保全をすることは災害の未然防止のうえで、大変に重要なものとなります。

住宅の倒壊、外壁材等の落下により隣接建物や通行人などに被害が発生すれば所有者等が責任を負うことに

 住宅の倒壊、外壁材等の落下により隣家等の建物損害や死亡事故等の人身損害を発生させた場合、民法第717条に基づき所有者等が損害賠償責任を負う可能性があります。

民法【抜粋】

第717条  土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

 

老朽住宅の維持保全義務を放棄(相続放棄)した場合の維持保全義務の所在について

 老朽住宅の維持保全が困難として相続放棄を行っても、民法第940条に基づき、新たな相続財産の管理を始めることができる者が現れるまで、維持保全の義務が引き続き課せられます。

民法【抜粋】

第940条  相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。 





長屋の所有者・占有者はみんなで建物の適切な維持保全に努めてください

 区分所有の建物である長屋については、マンションと同じように共用部分があります。共用部分(基礎、屋根、外壁、柱、梁等)については、各所有者、占有者のみんなで維持保全に努める必要があります。なお、区分所有の建物である長屋の屋根や外壁が落下し、第三者に損害が生じた場合は、各所有者、占有者が連帯してその損害を賠償する責任を負う可能性があります。

長屋の維持保全(チラシ) [PDFファイル/427KB]

建物の区分所有等に関する法律【抜粋】

第2条第3項 「専有部分」、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。

第2条第4項 「共用部分」、専有部分以外の部分をいう。

第4条 数個の専用部分に通ずる廊下又は、階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。

第11条 共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共用に属する。

第16条  一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。

第17条 共用部分の変更は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の決議で決する。ただし、この定数は、規約で過半数まで減ずることができる。

第18条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。 

このページの作成所属
都市整備部 住宅建築局建築指導室建築安全課 監察・指導グループ

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