先天性副腎過形成症

更新日:2017年10月4日

先天性副腎過形成症

 先天性副腎過形成症(CAH)とは、21−水酸化酵素欠損(以下21−OHDという。)、リポイド過形成、11β−水酸化酵素欠損、17α−水酸化酵素欠損、3β−水酸化ステロイド脱水素酵素欠損という病形の総称で、新生児マススクリーニング検査ではこのCAHの約90%を閉める21−OHDを対象としています。この21−OHDには、臨床症状に電解質代謝異常を伴うか否かで塩喪失型と単純型に分けられています。
※以下の説明は21−OHDについての説明になります。

原因
 21−OHDは、副腎でコレステロールを原料にしてコルチゾル、アルドステロン、アンドロゲンというホルモンを分泌する際に21−水酸化酵素を必要とするがこの酵素が欠損していることにより特有の病態・症状を発症します。

症状
 ・塩喪失症状、副腎不全症状
 アルドステロンの不足等により出生後まもなく哺乳力低下、体重増加不良が認められます。そして嘔吐、下痢、脱水、抹消循環不全と症状が進行し、ショック状態から死亡に至ります。2から3週間で多くの例が危篤状態に陥ります。
 ・男性化症状
 アンドロゲンの分泌過多の状態が存在すると、女児では性分化異常をきたし、外性器の男性化現象が見られます。また胎児期より男性化現象は発生し男性化症状が認められる形で出生する場合もあります。一方、男児では新生児期に外性器の発達を認める場合は少なく、陰茎の肥大傾向を見る程度であります。
 出生後に無治療期間が長期化すると次第に幼児期に陰毛が発現したり、陰茎・陰核の肥大が進行するなどの症状が見られます。
 ・皮膚色素沈着
 全身皮膚にびまん性の色素沈着を認める場合があり出生時に多く見られます。
 
治療
 21−水酸化酵素が欠損することにより不足するホルモン(グルココルチコイド)を補充します。このホルモンの補充は生涯にわたっての治療が必要です。 既に、様々な症状が出現している場合は、輸液およびホルモン療法を併せて行ないます。
 男性化現象により外性器に異常が見られる場合は、外性器形成術(手術)を行ないます。外性器の手術は記憶を残さないように3歳頃までに行ないます。

予後
 21−OHDに関しては新生児マススクリーニング検査で発見された場合、極めて予後が良くなることが期待できます。

このページの作成所属
健康医療部 保健医療室地域保健課 母子グループ

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