脊髄損傷の原因の多くは様々な事故によるもの(これを外傷性脊髄損傷といいます)で、あとは主に疾患によるものです。[統計によって比率が異なります]
損傷の原因と脊髄本体との関係では、外因性と内因性とに分類されます。
外因性は、椎骨の骨折やずれ、外傷、脊髄外血管から脊髄(軟膜の血管)への血流遮断[けつりゅうしゃだん]や血腫(けっしゅ=血液の固まり)、感染症、はれもの(体細胞が異常に増殖した腫瘍[しゅよう=はれもの]や、体内に膿[うみ]がたまる膿瘍[のうよう])、ヘルニアなどの椎間板[ついかんばん=積み木状の背骨と背骨の間のクッション]の変形や変性によって外部から圧迫されて発生します。
内因性は、脊髄管(チューブ)内に脊髄本体を安定的に浮かせるための脳脊髄液を脊髄中心部に流すための髄孔[ずいこう]に液がたまって、液圧が高まり、脊髄の内部から脊髄本体を圧迫して起こる脊髄空洞症[くうどうしょう]、脊髄が感染して発症する急性横断性脊髄炎、脊髄内に発生する腫瘍、膿瘍、脊髄血管からの出血、脊髄血管異常(奇形や瘤[きけいやりゅう=変形やこぶ])、脊髄血管梗塞[けっかんこうそく=血管が詰まること]などがあります。
脊髄を傷めると、ごく軽いものであっても傷ついたところから下に、運動マヒや筋の痙性[けいせい=けいれんなどのこと]や拘縮[こうしゅく=筋肉がつよくちぢみかたまること]、知覚マヒ(痛み、温度、触覚等の消失・低下)、体幹内臓機能不全(直腸膀胱障害[ちょくちょうぼうこうしょうがい]、発汗体温調整機能障害、内臓機能低下、呼吸器機能低下)などの複合した重い後遺症状が起こります。
そして、現状では、一部の状態のよい不完全損傷(不全マヒ)の方を除いた多くの脊損者のマヒは大きく改善することがなく、固定するとみなされます。
最近になって、近い将来の治療の可能性が言われはじめましたが、現実には実験的・研究的段階で、まだ医学的に実際に脊髄を治療して回復させることができていません。
しかしながら、現在では、専門的医療機関で適切な初期治療を受けた後、専門的なリハビリテーションを行えば、そして日常生活上必要になる医療的自己管理を行えば、健常者と遜色[そんしょく]のない、就学、就業、結婚、子づくり、子育てなどの幸せな人生を送ることが可能になっています。
ここからは、脊髄損傷の病態と対策、損傷部位によるゴール(生活目標)と、そのための治療とリハビリテーションのプログラム、さらに生活リハビリテーション訓練について説明します。
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福祉部 障がい福祉室地域生活支援課 地域生活推進グループ
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