ガイドブックの目次(3.障がい種別の特性・配慮(1)視覚障がい者)

更新日:平成21年8月5日

3.障がい種別の特性・配慮(1)視覚障がい者

一口に障がい者といってもその部位・程度によって様々な状況が生じます。視力に関する特性をみても、各人によって大きな相違点が存在します。障がい者に対応するには、その個人の障がいの質や本人の経験等を充分に観察し理解した上で対処する必要があります。特に視力の場合、微妙な差により行動を始めとする生活上の不便は大きく異なります。更に、心理的な面が加わるので、細やかな対応が必要となります。

1、視覚障がいとは

視力を中心とする「見る事」に関する障がいです。この障がいにも種々あり、角膜や水晶体、眼球内の液体や網膜、それに神経や心理的状況などが加味されて多岐に及ぶこととなります。また、失明の時期や原因によっても多様な相違が出現し、対応に当たってはこれらを充分に配慮し適切な対応が必要となります。

様々な症状を簡便に表示すると下記の通りです。

<全盲1>
  • 文字どおり全く光を感知しない状態です。太陽を凝視しても全く光度を感じません。眼球摘出や網膜の完全破損などが原因となることが多いです。
<全盲2>
  • 外光は全く感知しないものの、眼前は明るく感じます。したがって、太陽を見ても、暗室に居てもその明るい感覚は同様です。
<光覚1>
  • 強い光線(太陽や照度の高い人工光)を眼球を通して感じます。外光から明度を感じていますが、物体は見えません。この段階では色彩は判断できません。
<光覚2>
  • いわゆる普通の光が感知できます。強い光を直接当てると「まぶしい」と感じます。色彩も不明瞭ながら区別できるため、物体をぼんやりながら認識し得ます。視力を使っての単独歩行はできませんが、光を頼りに進むことが可能なこともあります。
<光覚3>
  • 明暗を確実に感知し、色彩の鮮明な物は見分けられます。誘導用の黄色いブロックをたどることが可能ですが、階段や段差、物体の確実な認識、信号の色などは不充分です。
<弱視1>
  • 人物の顔は判別できませんが、姿は見えます。条件が良ければ信号が見えます。明るい所から建物内に入るとしばらく何も見えない事が多いです。複雑でなければ単独歩行は可能ですが、道路上の障がい物のすべてが見えるわけではなく、階段はスロープ状に見えてしまいます。かなり大きな文字なら読むことができますが、新聞などは読めません。
<弱視2>
  • 同色系の色彩の判別はしにくいですが、鮮明であればかなり区別できます。単独歩行は日常生活に不便のない程度に可能ですが、未知の所を捜しながらの移動は困難です。少し大きい文字はそのまま読み、拡大鏡などでかなり読むことができます。但し、枠内に記入することは難しいです。

2、コミュニケーション関連

このように視力といっても多岐にわたる上に、障害の受け止め方などで個別性が高く、対応の仕方は多様となります。

<元気な失明者>
  • 見えない事を全くといっていいほどに感じさせず、単独歩行も実に鮮やかです。ただ、文字に関しては論外である。このような人に対しては、視力の補助以外に特別に関わる事はさほどなく、必要以上の心遣いはかえって邪魔になることがあります。
<失意の最中の人>
  • 失明して間もない人や、いつまでも心を広げられずふさぎこんだままの人です。このような人に対しては、同情を示すよりもごく普通に接して自然に心を安らげるようにします。
<同情を求める人>
  • いかにも自分こそが「かわいそうな」者として扱われたい人が実際にいます。少しでも自分から気がそれると「冷たくされた」などと言う人がいます。このような人には笑顔で接していきます。慰めや叱咤する必要もないようです。医療関係者に信頼感を持ってもらうようにします。
<経験不足の人>
  • 家庭生活で身の回りのことを全て家族がして、何もさせられてこなかった人がいます。
<視力はあるが充分ではない人>
  • 書類の読み書き、説明書の解読、決まった枠内への記入といった文字に関する問題が大きいです。一見可能に見えても、実際には困難な人は多いです。書類が大きく、白と黒だけで作製されている書類なら書き易い人もいます。
<かなり見える人>
  • 視力は条件や状況によって大きく左右されるため、見えていると思っていた物が見えていないこともあります。

外来における配慮

受付
  • 視力障がい者はタッチパネル方式の受付機や電光掲示板への対応が困難なため、人員を配置するなどの配慮が望ましいです。
  • 番号での呼び出しの際には、音声呼び出しであっても、患者自身の番号が札や紙などの文字表示のみでは確認できません。患者自身の番号も音声にて知らせます。
  • 文字表記のみの呼び出しの際には、音声による呼び出しを追加する、もしくは直接呼びに行きます。
  • 声をかける際は、先ず相手の名前を呼び、自分の職種や名前を名乗ってから用件に入ります。
院内移動
  • 普段は付き添いなく歩いていても病院内は他の患者も多く居るため、お互いの安全のためにも付き添いを要することがあります。
  • 表示板は明度の高い色調を選び、眼の高さに設置します。
  • 廊下に十分な明るさを確保します。
誘導
  • 誘導者がやや前方に立ち、左右のいずれかの腕を自然に持たせるようにします。決して、両肩をつかんで押したり、前にまわって向かい合わせになったり、手や衣服を引っぱったりしないようにします。
  • ⇒P12参照
待合室
  • 明瞭な発音や表示での呼び出しを心がけます。呼び出しを聞きやすい席や見やすい席を用意します。(全く見えない人は呼び出しを聞きのがすまいとし、弱視者は見のがすまいとし、緊張し続けています。)
  • 電光掲示のみの待合所では、直接知らせに行きます。(一人で順番を待つ場合、診察状況についての情報が把握できず、不安な気持ちになります。)
診察室
  • 目の前の医師や看護師の存在を確認してもらえるよう、まず声かけをします。
  • 衣服の着脱などは視力とは関係なく可能な人が多く、過度な手伝いはしません。
  • 病状や検査、薬の説明はまず本人に対して行い、申し出があれば付添者を呼び入れます。
  • 説明を明確にしようとするあまり、声が大きく他の患者にまで内容が知れてしまうこともあります。視覚障がい者の多くは、医師の言葉を充分に理解しますので、プライバシーに配慮します。

入院における配慮

入院初日
  • 付添い人が必ずしも必要とは限りません。しかし、付添い人を希望する方については配慮します。
  • ナースステーションやトイレ、食堂に近い部屋を用意します。
  • 室内の構造、通路からベッドまでの移動、トイレや入浴室、階段やエレベータ、消火器や緊急用ボックスなどの出っ張りのある物を実際に確認してもらいながら、説明します。
  • 部屋確認のため、点字による表示を用意します。
治療開始
  • 説明は原則として本人に行い、必要に応じて家族等に行うようにします。図やレントゲンを用いた説明についても本人にわかるよう心がけます。
入院生活
  • 視力の有無や程度、あるいは患者自身の能力によって大きな差があるので、よく観察して判断します。
  • 単独移動が困難な患者は近距離移動も大変であり、危険も伴うため付添人や看護師の援助が必要となります。
  • 全盲であっても移動に不自由を感じない患者は、特に危険がない限り制限を設ける必要はありません。ただし、通路上の物品については充分に説明します。
  • 患者自身で点滴残量を確認することができません。性能の高い報知器を設置するか、時間をよく考慮して病室に訪問します。
  • よく使用する所は、あらかじめ確認してもらいます(トイレットペーパーや水洗ボタンなど)。 コミュニケーションは実に大切であり、かける声により患者の安心感や信頼感が深まります。
退院
  • 退院後の通院について、制度の利用や機器の活用について説明します。

その他

《緊急時の対応》
  • 救急時の脱出が自分だけで不可能な場合があるが、全く自分一人で行動せざるを得ない事がないとはいえません。そのため最低限、火災や地震の際に脱出する方法を知らせておくようにしてください。非常口やその外側の構造についても知らせておくようにします。
《その他》
  • 重複障がい者や失明直後の場合には、特にマニュアルに当てはまりにくく、その状況に合わせた配慮が必要となります。
  • 予後の見通しがさほど良好と考えられない場合には充分にその旨を説明します。特に失明するおそれのある状況ではそのことを充分に説明します。

参考資料

《点字》
  • 点字は、縦3点横2列の六つの凸点の組み合わせによって構成されている文字で、それぞれの点が凸になっているかいないかの64通りの組み合わせで文字を表現します。
  • 点字は、横書きで、左から右方向へ凸面を読んでいきます。基本的には母音と子音の組み合わせで50音を構成しており、ローマ字の構成と似ています。
この画像は、点字の画像です。
エレベーター、列車のドア、電気製品、飲料水の容器など、色々なところに点字が付けられています。上の表を参考に何が書かれているか見てみましょう。
『「公共サービス窓口における配慮マニュアル」 平成17年 障害者施策推進本部発行』より

《視覚障がいのある方への基本的な介助方法》

<正面から見た基本姿勢>(図1)
  • 視覚障がい者の横半歩前に立ち、常に二人分の幅を確保しながら誘導します。
<ヒジや肩、手首をつかんでもらう場合>(図2)
  • 視覚障がい者のヒジの角度が90度くらいになることで互いの位置を適切な間隔に保つことができます。持たれているヒジは、体側に軽く付けてごく自然にし、腕はあまり振らないようにします。
  • 視覚障がい者の背が高い場合には、ご本人に確認した上で、肩をつかんでもらっても良いでしょう。また、逆に、視覚障がい者がこどもであったり、極端に背が低い場合には、手首のあたりをつかんでもらっても良いでしょう。
<白杖を持っている方と階段を上る方法>(図3)
  • 白杖を持っていない側に立ち、「基本姿勢」をとります。階段が始まることを口頭で「上り階段です」告げ、あなたから上り始めます。上るスピードについても口頭で確認し、階段の終わりについても「終わりです」もしくは「踊り場です」と伝えます。
<白杖を持っている方と階段を下りる方法>(図4)
  • 白杖を持っていない側に立ち、「基本姿勢」をとります。後は、上るときと同様に、階段が始まることを口頭で告げ、あなたから下り始めます。スピードに気をつけ、声をかけながら下り、階段の終わりを知らせます。
<背もたれの確認>(図5)
  • 目の不自由な方は、背もたれにさわることで位置や向き、いすのタイプなどを判断することができます。
<白杖による誘導>(図6)
  • 白杖を持っている方には、白杖を垂直に立てた状態でいすにふれるように手を添え、座る場所に導くという方法もあります。その際は、事前に了解を得た上で、白杖のグリップの少し下を持って指し示すようにします。
この画像は、介助方法の画像です。
『「公共サービス窓口における配慮マニュアル」 平成17年 障害者施策推進本部発行』より(一部改定)

《身体障がい者補助犬に関して》

1)はじめに
  • 平成14年に制定された「身体障がい者補助犬法」により、平成14年10月から国・地方公共団体が管理する施設では、「身体障がい者補助犬」の同伴の受け入れが義務付けられました。そのため、他の利用者に対しても、必要に応じてその趣旨を説明する必要があります。
2)種類
  • 「身体障がい者補助犬(補助犬)」は盲導犬、聴導犬、介助犬、3種類の犬の総称です。
    盲導犬
    • 目の不自由な方の歩行補助するための犬で、行く手を阻むモノなどの存在を知らせ、安全に歩けることの補助を行います。
    聴導犬
    • 聴覚に重度の障がいのある方の耳の代わりとなり、屋外ではクラクションや自転車の呼び鈴、名前を呼ばれたことなどを知らせます。
    介助犬
    • 落し物を拾って渡す、手の届かないものを持ってくる、荷物を運ぶ、ドアの開閉、必要に応じて歩行介助、起立、移乗(車いすから車へなど)の補助等を行います。
3)補助犬の表示
  • 盲導犬は、白または黄色のハーネス(胴輪)をしています。
  • 聴導犬と介助犬は、背中にそれぞれ「聴導犬」、「介助犬」と記載された表示をつけています。
  • 使用者本人には、認定証(盲導犬は使用者証)の携帯が、義務付けられています。
  • 使用者本人は、公衆衛生上の安全性を証明する健康管理手帳を携帯しています。
4)応対のポイント
  • 応対の仕方がわからない場合は、使用者本人に直接聞きます。
  • 犬のトイレも、犬によって異なりますので、使用者本人に直接聞きます。
5)周りの方への説明のポイント
  • 補助犬は、適切な健康管理と予防対策が講じられた犬であり、使用者が行動管理をしているので、迷惑はかけないこと。
  • 補助犬は、外に出たらいつでも仕事中なので、触ったり、声をかけたり、気を引いたりせず、見守ってほしいこと。
  • 犬が嫌いな方、またはアレルギーのある方は、その旨職員に知らせてほしいこと。
6)受け入れステッカーの一例
  • 身体障がい者補助犬法の施行に伴い、施設内への受け入れ啓発ステッカーが複数の機関から発行されています。 『「公共サービス窓口における配慮マニュアル」 平成17年 障がい者施策推進本部発行』より
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このページの作成所属
福祉部 障がい福祉室地域生活支援課 地域生活推進グループ

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