さとおや通信 動画3 「わが子としての愛情を注ぐ」の説明

更新日:平成22年7月12日

里親通信 動画3 「わが子としての愛情を注ぐ」の説明

 

養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。

普通養子縁組では、戸籍上に養子と記載されるのに対し、特別養子縁組は、戸籍上も実の子どもと同じように記載されます。

 

子どもがほしいという思いから、タチバナさん(仮名)ご夫妻は不妊治療もされましたが、残念ながら子どもに恵まれませんでした。

そんな中、インターネットの掲示版に出ていた「養子縁組」の文字が妻のサナエさんの感情に変化を与えます。

 

Q.ネット掲示板を見たときの感想は?

 同じように不妊治療で悩んでいる人の掲示板だったのですが、そういう方法もあったんだ、という希望をもって文字が目に飛び込んできました。自分としては治療はつらい気持が多かったのでもっと希望をもってやっていける方法があるのを知り、相談をしました

 

Q.養子縁組をしたいと奥さんから言われたときの感想は?

正直その世界を知らなかったですね。何それ?という感じです。

不妊治療を繰り返した中で、ちょっと無理かなと思ったときに養子縁組ということに行き当たった。言われてすぐ養子縁組をしようとなったわけではなく、養親講座というのに行ってみないか、ということで、知らない世界を見てみよう、と、軽い気持ちでいきました。

 

「家庭養護促進協会が主催する養親講座に参加したタチバナさんご夫妻。ヒロシさんはそこで今まで知らなかった里親や里子の現状を知ることになります。

 

ぼくらは子どもが欲しいという自分のエゴで参加しはじめたわけですが、現実には親のいない子どもたちがたくさんいるということを知ったわけです。この制度は親のいない子どものための制度だと講座で学んでいくわけです。

 

わかっているつもりでも子どものための制度だということをしっかり植えつけられた講座でした。それがわかったうえで、自分たちが子どもを育てていこうという選択肢をとるのかどうか考えさせられた講座でした。

 

講座の最後に、先生が、子どもが欲しいという親のエゴが大事なんですよ、どうぞ飛び込んでくださいと言われた。何気なく受講した養親講座で自分自身のなかでは考えることがいっぱいありました。

 

そして、二人の想いは運命の出会いへとつながっていくのです。」

ミホちゃん(仮名)を見つけたときの感想は?

 

講座は3日間あり、会場の隅にはパネルの上に写真がさりげなくおいてあって、ちらっとだけ、みていたら、その中の一枚に、この子がほしい、この子の親になりたい、という気もちになるものがありましたね。女房に、かわいい子がおるでと見せたら、「あれっ」ていうんですね。

 

ボランティアをしている乳児院で、偶然であった子が印象に残っていました。どっかで出会った子やな、と。これが縁なんやなと思う。主人が写真でみた子どもと、わたしがたまたま出会って感じていた子といっしょだった。

 

前からかわいい子がおると話は聞いていたけど、写真は8ヶ月で女房の話はすでに2歳超えているような子だったので同じと思わなかった

 

あ、これはわたしらの子、こんなとこにいたんやな、と主人も私も同時に思いました。そういう出会いてあるんやなあと本当に不思議だった。そこから先は迷いはなかった。この子の親はわたしらやと、申し込むしかないとなっていきました。

 

 

                                                                                                                  「ミホちゃん(仮名)は0歳からタチバナさん(仮名)のお宅に行くまで乳児院で暮らしていました。 大阪府内にはいくつかの乳児院があります。その中の一つ、泉大津市にある和泉乳児院のシミズ副院長にお話を伺いました。」

 

Q.乳児院の現状と里親の必要性について。  

今は大半が虐待のため。家で育てられなくなり保護をするというケースが増えてきている。うちでも満杯状況が続いている。

施設の中での生活では、保育士、指導員も献身的にお世話するが、子どもたちにとってみたら、職員は自分だけの先生ではない。保護者がいるひとなら自分だけの存在があるが、施設にいると、なかなか自分だけの、というのがない。里親であれば自分だけの存在、養子縁組なら自分だけのお父さん、お母さんになる。そういうかけがえのない、自分だけを見ていてくれる大人の存在は子どもたちには必要。うちは乳児院、児童養護施設も幼児専門の施設で50数年にわたって養子縁組を前提にした里親さん、また、週末だけ、季節だけの短期里親への取り組みをしています。

 

Q.面接の様子

かなり覚悟してたのですが、親にも話したことないなということをつっこんで聞いてきます。小さい頃のこと、家庭のこと、夫婦のこと・・・そのくらいきっちり聞いてもらって僕らのことをちゃんとみてもらわないと、シビアな面接があってしかりかな、と今は思いますけど、そのときは、そこまで聞くかというようなことがありました。いやな思いはしなかったですけど。

 

自分自身のことを、見つめなおされるような面接のしかたなんですね、昔を振り返らされて、ちょっと思い出したくないようなことまでつつかれて、そこで腹が立つとか、そんなやったらいいわ、とならなかったのは、そこで自分自身がこれをなんとか解決しておかないと、新しく家族が加わっても、自分自身を支えながら、新しい家族を支えていける人間になれないのかもしれない、そこが必要なんだ、と、そういう風に思えました。

                                                                                             Q.面接の必要性

 

里親認定のための面談について、大阪府中央子ども家庭センターのオオナミさんに聞きました。

 

プライバシーを聞くので心苦しいが、生活歴や、困難をどう乗り越えてこられたのか夫婦がどう向き合ってきたのかなどを聞きます。お子さんを迎えるということは家庭の中に第三者が入ってくるということになります。その子を迎えることでくずれない夫婦関係であるか、子どもを受け入れられるかということをポイントにしています。

 

「その後、乳児院での実習を経て、新たに出会った子どもの手のあたたかさに、タチバナさん夫婦は感動し、里親になるための決意を新たにしたのでした。」

 

里親になろうという方は善意でこられるので、子どもたちの楽しい生活だけを描いてこられるのです。小さいお子さんでしたらこんな服を着せてこんなとこにどこに連れて行ってあげるとか、ホームドラマのようなことを想像されるのですが、決してそんなことだけではない、楽しいことだけではない、たとえば、夜泣きをするかもしれないし、思春期の子は反抗するかもしれないし、そういうマイナスのお話も結構させていただいています。

 

Q.初めて里子を預かる里親さんが陥りやすい勘違いについて

 

「里親家庭に迎えられた頃の子どもは、様々な行動や態度で里親に接してきます。

その行動や態度を受け入れることは必要ですが、最も大切なことは子どもの気持ちに

しっかりと寄り添ってあげることです。」

 

Q.ミホ(仮名)ちゃんの赤ちゃん返りと試し行動について

 

昼間はおむつはずしてパンツでという練習してたのがだめになってずっとオムツの生活になって、走り回っていた子が、はいはいでしか動かない、常におんぶか抱っこか。

 

 

「乳児院の実習時から出始めていた赤ちゃん返りや試し行動は、家に帰ると更に本格化しました。過食や偏食、部屋の中を水浸しにし、好きな食べ物を大量に買い込むなど。」

 

この子の心の中は今、ばらばらになってるんやなと。お父さんお母さんになるという人が現れて何日か自分のいたところにいたと思ったら、ここが家やでというて入ってきて。大人でも急にこっちに住みやと言われても気持ちがついていけない、いかれへんとこがあるわけで、こどもなら、それは仕方ないな、と。

 

家に帰ったらテーブル一面にジュースやプリンとか買いこんであって、そういうのは見てきたけど。女房は一番見てきたと思うけど、もう耐えられへんとかいうのはなくて、事前に聞いていた試し行動というのを全部やっとるな、という感じでしたね。

 

「里親のサポーターとして支援活動を行なう民間団体、家庭養護促進協会の

 ソーシャルワーカーイワサキさんに赤ちゃん返りや試し行動についてお聞きしました。」

 

Q.なぜ里子は試し行動や赤ちゃん返りなどを行なうのか?

この人が本当にいつまでも自分のことを子として愛してくれるのか、ということを、本当に親として引き受けてくれるのか。1歳半、2歳半という子どもたちが、本当にここまで、、と思うほど、いろんな手をつかって、いい子のわたしも、悪い子のわたしも、どうしようもないわたしも、全部引き受けてもらっていいのかと、今後親子として愛してくれるかどうか試しているのですね。求めているものが大きなものだから、とても欲深く、いろんな手を使って、繰り返し繰り返し試さないと安心ができないものがあるのですね。それであえて試し行動というのですが、命に関わることでなければ、したいことをしたいだけ、させてあげる時期が必要なのです。

 

Q.試し行動や赤ちゃん返りに、くじけそうになったことはなかったですか? 

部屋を汚されても拭けばいいだけのことだし、壊すといっても家が壊れるほどでもないし、生きてた証拠と思えばそれも楽しい傷と思うなど、自分のなかでオーケーなこと、エヌジーなこと整理してやっていくことで、自分のなかで精神的なバランスがとれていたと思います。

 

試し行動って事前に聞いていたでしょ。講座とか会で。女房はある程度知っていたと思うけど僕はぜんぜん知らなかったわけで。事前に聞いておくということが大事と思います。

 

「そして養子縁組家庭の大切な出来事である真実告知は、時期や言葉を選び、                                                  慎重に行なわなければなりません。」

 

Q.真実告知とは? 

 

イワサキさんインタビュー

Q.真実告知を行なうときに心がけることは?

 

わたしたちは、血のつながりはないけど、親としてあなたをとっても愛しているの、と、いかに愛しているかを伝えるのが、真実告知だと思うのです。子どもにとっての真実というのは、この人たちに望まれ、この人たちの子どもになり、この人たちに愛されていて、この家にわたしのちゃんとした居場所があるということを伝えられることだと思います。それから年齢に応じてその子のもっている疑問にできるだけ正直に答えて言葉を選んで情報をつみ重ねていくことが打ち明けることの大事なポイントだと思います。

                                                                                              

 

Q.真実告知はいつしましたか?

具体的にいつしようということは、特に夫婦で話し合ってなかったけど、機会があったら話をしようと思っていましたら、本人から4歳の誕生日にきいてきました。

保育士さんのおなかからうまれたんやろう

ちゃうで

ほなだれなん

逆に真実告知を受けたような感じになって。自然ななりゆき

子どもから湧き出た疑問をその年で言える言葉で一生懸命考えて言ってきたと。4歳のときは誰かきれいな人とちゃうかなあといって、そのときはそれで終了、その1年後の誕生日の前後で聞いてきて、毎年その話を親子でし合う時間があります。

 

「タチバナさんは、ミホちゃん(仮名)から本当の親のことを聞かれたとき、いつも決まって                                                  このやさしい言葉を投げかけミホちゃんを抱きしめるそうです。」

 

ほんとうのことはママもくわしくはわからへん。今こうやって暮らしていることが一番大事。ママとパパはあんたと暮らすことが決まっていたけどなかなか会われへんかっただけと思ってる。大人になっても、本当に知りたいと思っているんだったら、ママも一緒にがんばっていろんなこと探そうな。そのためには元気に生きてしっかりした大人になって、ママと一緒にそういうことができるようになってよと話している。

 

Q.里親になってよかったことはなんですか? 

 

やっぱり子どもが欲しかったし子どもがいる生活を本当に楽しめている。長く暮らしている中で本気で腹が立つということもあるが、それがある意味本当の親子関係だと思っている。そういう生活ができていることが幸せですね。

 

僕にしたら本当にかわいくて楽しくて面白くてしょうがなくて。いない生活が考えられないですね。

 

Q.今、現役の里親として、これから里親になろうとしている人にメッセージをお願いします。

 

一生育てるということを、楽しみとして考えていけるかどうかをまず考えていただけたらと思います。実際楽しく暮らしていて、子どもがいない生活は考えられないくらい楽しい。そういう家族がここにいるということを参考に考えていただけたら。

 

チャンス、きっかけがあるから行動を起こしている。動いていって縁があって出会いがある。知識を得るなどの機会を得てほしいと思います

 

「そして両親へのメッセージをミホちゃん(仮名)にお聞きしました。」

 

Q.両親へのメッセージ

 

おかあさん、これ以上太らないでください。おとうさん、これからもたばこをやめてください。

 

「ミホちゃんはタチバナ家にとってなくてはならない存在となり、スクスクと成長しています。                                                                                         そして、ある養子縁組家庭を巣立った一人の女性が、シンポジウムにおいてこれまでの                                                                                    里子人生を語りました。」

 

クボタさんの発表の一部分  

 

「親に反抗したし、本気でぶつかったことが自信になっている。やっと親子、今からも親子でいいんじゃないか、と。」

 

「クボタさんは、生後7ヶ月のとき、養子として今の両親に迎えられました。それから20数年、様々な事柄を乗り越え立派に成人し、現在に至っています。」

 

Q.里親の両親へ今の気持ち

今すごい思うのはクボタ家に来ないと会えてなかった、家族としてなかった、というのが怖い。もしここに来てなかったらと思うと、なんで怖いのか。なぜかといえば、幸せだから。今のこの関係を壊したくないから。今の関係が最高。その意味では、本当にありがとう、なんですね。

 

                                                                                       「特別養子縁組をした養子と里親の信頼関係、それは、一夜にしてできるものではありません。しかし、心の痛みを分かち合い、悩みながらも信じあい、そして様々なことを確認しあうことで、本当の親子以上の関係へと共に成長していくことが、養子縁組をするということなのではないでしょうか。」

このページの作成所属
福祉部 子ども室家庭支援課 育成グループ

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