岬町・寝屋川市における児童死亡事案検証結果報告書(平成20年6月)

更新日:平成21年8月5日

大阪府社会福祉審議会児童福祉専門分科会 児童措置審査部会 点検・検証チーム

報告書の利用や報道に当たっては、親子のプライバシーに配慮した取扱いがなされますようお願いします。

 

(目次)

はじめに 

 第1部 岬町における乳児死亡事案の検証

1 事案の概要                            

 1 事案の概要 
   2 事案の経緯と子ども家庭センターの対応

2 事案の検証による課題・問題点の整理                 

 1 虐待情報の捉え方・アセスメント(評価)のあり方 
   2 一時保護(親子分離)の判断 
   3 児童虐待等危機介入援助チーム委員及び通告元医療機関との連携
 4 保護者の態度の変化への対応
 5 要保護児童対策地域協議会の中での情報共有(アセスメント等)と進行管理
 6 乳児期の親子分離後の支援

3 再発防止に向けた取組  具体的な方策               

 1 アセスメント(評価)及び一時保護の判断のあり方
 2 子ども家庭センターと関係機関等の連携
 3 在宅における見守りの実効性の確保
 4 子ども家庭センターの体制及び機能の強化
 5 取組の進捗状況の点検

 第2部        寝屋川市における幼児死亡事案の検証

1 事案の概要                             

 1 事案の概要 
   2 事案の経緯と関係機関の対応

2 事案の検証による課題・問題点の整理                 

 1 虐待情報の捉え方・アセスメント(評価)のあり方・安全確認のあり方
 2 府・市・関係機関との連携のあり方
 3 状況変化への対応
 4 要保護児童対策地域協議会の中での情報共有(アセスメント等)と進行管理
 5 主任児童委員への見守り依頼のあり方 
   6 児童虐待アセスメントツールの活用

3 再発防止に向けた取組  具体的な方策               

 1 安全確認・アセスメント(評価)のあり方及びケースの進行管理
 2 保育所・学校等子どもが所属する機関との連携
 3 見守り(モニタリング)の実効性の確保
 4 市町村児童家庭相談に対する府の支援 
   5 市町村支援のための子ども家庭センターの組織体制・機能の強化 
   6 取組の進捗状況の点検

 第3部 国への提言  体制強化のために                

 児童虐待防止対策推進のための国への提言            

おわりに                               

資 料

1 大阪府岸和田子ども家庭センター関係資料
2 寝屋川市児童家庭相談関係資料
3 大阪府児童虐待等危機介入援助チーム設置運営要綱
4 児童措置審査部会開催要領
5 審議経過
6 大阪府社会福祉審議会児童福祉専門分科会児童措置審査部会 点検・検証チーム委員名簿

 

はじめに

   大阪府においては、平成16年の岸和田市における児童虐待事件の後、外部の専門家からなる「児童虐待問題緊急対策検討チーム」からの提言を受け、子ども家庭センター職員の増員等による体制強化のほか、「子ども虐待対応の手引き」の改訂、子どもの安全確認の際のルールや組織的対応の徹底、また、市町村や学校など、子どもにかかわる地域の関係機関による早期発見、早期対応や、見守りのための関係機関連携の強化などの改善を図ってきている。

   また、平成18年度から府民や関係機関からの夜間・休日児童虐待通告の窓口を設置し、24時間365日対応を開始するなど、児童虐待への即応体制を整備してきた。

   そのような中、本年2月に寝屋川市において、関係機関が関わっていた6歳女児が死亡する事案が発生した。さらに同月、岬町において、二度の原因不明の骨折により、子ども家庭センターが児童福祉司指導中の家庭の乳児が死亡する事案が発生した。

   岸和田市事案以降、様々な取り組みが進められてきたにも関わらず、このような死亡事案が連続して発生したことを重大に受け止め、大阪府は、本年2月に社会福祉審議会児童福祉専門分科会児童措置審査部会のもとに外部の専門家からなる「点検・検証チーム」を設置した。

   本点検・検証チームは、それぞれの事案について事実関係を把握し、課題・問題点を抽出することにより、可能な限り具体的かつ実効性のある対応方策、再発防止策を示すことを目的とし、検証を行ってきたところである。

   二つの事例の検証を通じて、このような不幸な事件が二度と起きないよう、大阪府や国に対し提言するものである。

 平成20年6月

 大阪府社会福祉審議会児童福祉専門分科会 児童措置審査部会 点検・検証チーム

 

第1部  岬町における乳児死亡事案の検証

1 事案の概要

 1 事案の概要

   平成20年2月16日、岬町在住の生後5ヶ月の乳児が救急搬送先の病院で死亡した。警察が事故と事件の両面で捜査を開始し、2月26日夜、父親を殺人容疑で逮捕した。

   本事案は、大阪府岸和田子ども家庭センター(以下、子ども家庭センターとする。)が、平成19年12月7日およ び平成20年1月28日に病院からの虐待通告を受け、関与し継続指導を行っていた。

○  児童 生後5ヶ月男児(以下、本児とする。)
○  家族 父親(30歳)、母親(29歳)と本児(0歳)の3人

2 事案の経緯子ども家庭センターの対応

平成19年   
12月7日  病院から子ども家庭センターに家庭内で右足骨折した0歳の本児について、骨折の原因が不明のため、虐待通告があった。
12月10日    子ども家庭センターが病院を訪問し、父母と面接、受傷と養育状況について聞き取りを実施。子ども家庭センターで対応会議を実施し、虐待と事故の両方の可能性があり、調査の実施と地域での見守りを行う方針をたてる。

12月14日


同日

    家庭訪問を実施。家庭内の養育状況について調査し、母親にベビーベッドを使用する等の事故を防ぐための指導を行う。

    岬町の1月29日実施予定の乳幼児4ヶ月健診での状況把握と以降の見守りを依頼する。

平成20年  
1月28日


同日

    病院から「本児が頭部骨折で入院中だが、原因が不明である」と二回目の虐待通告があった。虐待と判断するに至らないため、虐待と事故の両面から調査を開始する。

    児童虐待等危機介入援助チーム委員の医師に診断を依頼したところ、「経験豊富な別の医師の方が適任」と言われ、別の児童虐待等危機介入援助チーム委員医師(以下「チーム委員医師」とする。)に診断依頼の連絡を取り、了承を得る。

1月29日    子ども家庭センターが病院を訪問し、病院医師の聞き取りと父母の面接を実施。医師から「外部からの圧力による骨折しか考えられない。全身状態は良好。」と聞き、父母は、「父親が1月22日に本児を抱いて転倒したこと以外は思い当たる原因はない。」と話す。
1月30日    子ども家庭センターが家庭訪問を実施し、養育状況や寝室の状況について調査したが、12月に指導したベビーベッドを使用していないこと以外は、問題は見受けられなかった。
2月1日    チーム委員医師が病院を訪問し、医師や看護師と事故か、虐待か、病気かについて話をした上で、子ども家庭センター職員同席のもと保護者と面談した。その後、チーム委員医師は帰路途中で子ども家庭センターに電話し、母親による虐待が疑われるから一時保護すべきと伝えた。
2月3日    チーム委員医師の代理人が子ども家庭センター一時保護所に「診断結果報告書」を届ける。(チーム委員医師の証言による。ただし、子ども家庭センター一時保護所の記録によると、2月8日チーム委員医師の代理人により診断結果報告書が届けられた、としている。)
2月4日

    子ども家庭センター内で対応会議を実施。
    子ども家庭センターは、事故と虐待という両方の可能性を視野に入れて、父母別々に面接をする方針を決定。

2月5日    病院にて父、母との面接を実施。父、母とも「骨折について思い当たることがない」と言う。

2月6日




同日

    子ども家庭センター内で対応会議を実施。
虐待を疑う中、原因の特定に至らないことから、「父母に対し、子ども家庭センターの指導に従うことを条件に一時保護はせず、在宅で行政処分である児童福祉司指導を実施する。指導を拒否すればただちに本児を保護する」方針を決める。

    子ども家庭センターから病院担当医に、在宅で児童福祉司指導をとる対応方針について伝える。その際、チーム委員医師の診断結果について文書でもらえないかと依頼を受けるが、個人情報になるので困難であると答える。

2月7日



同日

    病院にて、父母と面接し、二度の骨折の重大性と再発防止のため、定期的な家庭訪問による児童福祉司指導(2月、3月は月2回の家庭訪問と4月以降は保育所とも連携して見守る予定)とすることを伝える。父母は家庭訪問を了解する。

    本児、退院。

2月8日    要保護児童対策地域協議会の事務局である町役場に経過と方針について連絡し、今後の対応について協議するケース会議の開催の調整を依頼。
子ども家庭センター内で対応会議を実施。
児童福祉司指導の内容を変更しないことを確認。

2月14日


同日


同日

    家庭訪問。母に面接し、本児が時々手をあげたり手を動かして機嫌よく抱かれており、またベビーベッドを使用していることを確認する。

    子ども家庭センターが一時保護所からチーム委員医師の診断結果報告書を持ち帰り、確認する。

    父より子ども家庭センターに、子ども家庭センターが虐待と決めつけていること、保育所に情報提供することに対する抗議の電話がある。

2月15日



同日

    子ども家庭センター内で対応会議を実施。
    要保護児童対策地域協議会に本児について提出し、保育所入所後に保育所を休んだ時に対応できるようにすることを決める。

    母が本児を連れて病院を受診。

2月16日    本児、死亡。
2月18日    司法解剖の結果、死因は頭部に外部からの圧力が加わったために脳が腫れ、脳組織が頭蓋骨の隙間から出て脳中枢の機能が失われる「脳かんとん」と診断される。
2月26日    警察が父親を「殺人容疑」で逮捕。

 

2 事案の検証による課題・問題点の整理

    本事案の検証にあたっては、以下のヒアリングを実施した。

 ・ 子ども家庭センターの対応経過について、児童記録及び職員からのヒアリングにより具体的かつ詳細に確 認する。
 ・ 児童虐待等危機介入援助チーム委員の医師のヒアリングを実施する。
 ・ 本児が入院していた病院の主治医のヒアリングを実施する。

   上記のヒアリングをふまえ、以下のとおり子ども家庭センターの対応の課題・問題点を整理した。

   ただし、本事案については、逮捕・起訴された父親に対する刑事事件公判が開始されておらず、本児が死亡に至る経緯について公判で明らかにされていないことから、現時点での検証結果であることをご了解いただきたい。

 1 虐待情報の捉え方・アセスメント(評価)のあり方

   本事案では、子ども家庭センターが本児の右足と頭部の骨折について、入院先の病院から受傷原因が不明のため、平成1912月と平成201月の二度にわたり虐待通告を受けている。

   1回目の足の骨折については、通告を受けた子ども家庭センターが、迅速に入院先の病院を訪ね医師から状況をきき保護者と面接するとともに、家庭訪問を実施し子どもの安全を直接確認し、原因は不明であるが、「乳児の骨折」という受傷状況から「最重度」のリスク評価をし、調査を開始した。しかし、調査の結果、骨折以外の外傷はなく、養育上の問題も認められなかったことから、事故か虐待かの判断がつかず、「虐待とは断定できない」との評価により、子ども家庭センターは本児の一時保護に至らず、在宅のままで保護者に事故防止の指導を行い、町に乳幼児4ヶ月健康診査時(129日予定)の状況把握と見守りを依頼した。

   2回目の頭部骨折については、通告後の緊急受理会議で1回目と同様に、「最重度」の身体的虐待と評価したが、右足の骨折時と同様に受傷原因が不明のため、子ども家庭センターは緊急一時保護も視野に入れて受傷に関する調査を開始し、チーム委員医師に診断を依頼した。チーム委員医師が病院を訪問し、医師や看護師と事故か、虐待か、病気かについて話をした上で、子ども家庭センター職員同席のもと保護者と面談した。子ども家庭センターは、チーム委員医師と保護者との面談で事故に関する話題が中心であったこと、その後、チーム委員医師から電話で、母による虐待が疑われるので保護すべきという意見をきいたことから、事故と虐待の両面からアプローチする必要があると判断するにとどまった。

   子ども家庭センターはチーム委員医師の意見をふまえて虐待の疑いをもちながらも、虐待と事故の両面の可能性を視野に入れて、本児の退院後、在宅での行政処分である「児童福祉司指導」を行い、調査と再発防止の指導を継続する方針を決定した。

   子ども家庭センターは、入院先の病院から通告を受け、いずれの骨折についても、緊急受理会議において、乳児の骨折事案という「最重度」のリスク評価を行っており、また迅速な調査や安全確認、組織としての方針決定のための対応会議もその都度実施していた。しかし、2回目の骨折について、虐待と事故の両面の可能性を視野に入れて調査を継続する必要があると判断した以降、チーム委員医師と十分協議ができなかったことから、アセスメント(評価)についてチーム委員医師と共有できないまま対応するに至った。

   また、子ども家庭センターは、受傷の原因が不明のままであり、家庭内の養育環境や親子関係等については良好と認められたため、子ども家庭センターが家庭に介入して調査と指導を継続して行うことで抑止効果があると考えた。

   しかし、アセスメントにおいては、受傷内容と、養育環境や子どもの発育状況等を区別する必要があり、「最重度」という子どもの受傷内容を重視したアセスメントをするべきであった。

   なお、受傷原因が不明のまま乳児を一時保護した場合、子ども家庭センターが子どもの安全が確保できるとして、家庭に戻すにあたってのアセスメントの基準や内容が明確になっていないという課題が明らかになった。

 2 一時保護(親子分離)の判断

   子ども家庭センターが子どもの安全に関するリスクを「最重度」と評価したにもかかわらず、一時保護を実施しなかった判断要因は、先にも記述したように、虐待の疑いはあるものの事故の可能性も否定できなかったこと、養育環境に明らかな問題が認められなかったこと、また、受傷の原因が不明のままでは児童福祉法第28条の申立てによる家庭裁判所の施設入所の承認を得ることは困難であると考えたこと、乳児期の長期の親子分離が子どもの発達に与える影響が大きいこと、行政処分である児童福祉司指導で抑止効果があると見込まれたこと等であった。子ども家庭センターはそれらを総合的に判断し、在宅のまま「児童福祉司指導」の措置を行い、保護者が指導に従わない場合は一時保護を行う方針を決定した。

   保護者の養育環境に明らかな問題が認められず、親子の愛着関係の構築に重要な乳児期に子どもを親から一定期間引き離すことに対して子ども家庭センターが苦慮することがあったとしても、乳児に二度の骨折を起こしていることは養育上の大きな問題であり、安全確保を優先する必要があった。

   また、骨折の原因が不明であっても、チーム委員医師の「診断結果報告書」を提出すれば児童福祉法第28条による家庭裁判所の承認が得られる可能性もあったと考える。

   以上により、一時保護の判断に際しては、子ども家庭センターが虐待の疑われる家庭への介入から親子分離後の家族や子どもへの援助までの役割をも担っていることを考慮しても、子どもの安全確保を最優先し、子どもの受傷内容によって躊躇なく子どもの安全確保と調査のために親子分離(一時保護)し、その後、受傷に至る詳細な事実関係や親子関係等について慎重に調査を行い、その上で家族再統合に向けた家族への援助計画を立てる必要があった。

 3 児童虐待等危機介入援助チーム委員及び通告元医療機関との連携

   1回目の足の骨折について、子ども家庭センターは、受傷原因が不明であり、病院における状況調査や家庭訪問により骨折以外に養育上明らかな問題が認められず、事故か虐待の判断がつかなかった。この時点で、子ども家庭センターは、チーム委員医師への相談や診断を求める必要があった。そのことがその後の骨折の抑止や、2回目の骨折の通告を受けた子ども家庭センターが対応方針を決定する際の判断に活かされたのではないかと考える。

 2回目の頭部骨折については、子ども家庭センターは迅速にチーム委員医師に診断を依頼した。事前に子ども家庭センターの対応経過についてチーム委員医師にメールで状況を報告し、21日チーム委員医師が本児の骨折について診断し、直後に保護者との面接を行い、病気の可能性はないと説明し、ベビーベッドで寝かせることが守られていないこと、同じことが起きないよう子ども家庭センターに関わってもらうよう伝えている。しかし、その直後、子ども家庭センターは、チーム委員医師から電話で「一時保護すべき」と連絡を受けたが、チーム委員医師にさらに詳細な意見を聞くなど十分な協議ができなかった。子ども家庭センターが、2度目の骨折から死亡に至る19日間の間に、次長兼虐待対応課長以下8名の職員により、12市町をその管轄とし、職権による一時保護を4件、延べ41件の面談、述べ38件の家庭訪問、延べ72件の関係機関訪問を実施する状況であったこと、また、チーム委員医師も2月の1ヶ月間で、子ども家庭センターからの診断依頼が8件と多く、本児の診断も限られた時間に行われたことを考慮しても、子ども家庭センターがチーム委員医師との意思疎通を十分に図ることができなかったという連携体制の課題があった。

   また、チーム委員医師は危機感をもって、診断の翌日には「診断結果報告書」を作成し、23日に子ども家庭センター一時保護所に届けた。一方、中央子ども家庭センター一時保護所は2月8日にチーム委員医師の「診断結果報告書」を受理し、当該子ども家庭センターが同一時保護所から持ち帰り確認したのが214日となっている。

   以上の事実経過をめぐっては齟齬があるが、いずれにしても子ども家庭センターが対応を決定するための重要な判断基準となる「診断結果報告書」が、その対応方針に十分活かされなかったことは明らかであり、極めて重要な報告書の提出と受理の方法がルール化されていないという課題があった。

   また、子ども家庭センターが、通告した医療機関の主治医等に対し、「在宅での児童福祉司指導」という対応方針について伝えたものの、その方針に至った理由等について十分説明していなかった。

 4 保護者の態度の変化への対応

   虐待通告を受けて子ども家庭センターが家庭に介入する場合、保護者は反発し、子ども家庭センターの指導に対し拒否、抵抗をすることが多い。

   子ども家庭センターは、家庭内で原因不明の乳児の骨折が二度も起きたことの重大性から、今後の再発を防止するために、「児童福祉司指導」という行政処分を行い、継続的な家庭訪問や関係機関との連携による見守りを実施することとし、保護者が指導を受け入れなければ「一時保護」を行う方針を決定し、保護者に伝えている。

   しかし、2月14日家庭訪問の後、父親より子ども家庭センターに、子ども家庭センターが虐待と決めつけていること、4月から本児が通う保育所へ連絡することについて抗議の電話があり、保護者は児童福祉司指導に強い抵抗を示している。

   子ども家庭センターは、2月15日に対応会議を実施しているが、この時点で保護者の同意が得られないまま家庭に踏み込み乳児を保護することに相当困難が予想されたとしても、保護者の抵抗を「指導を受け入れない」と判断し、加えて2月14日に確認したチーム委員医師の「診断結果報告書」をふまえ、在宅指導の方針を変更し、本児の安全確保のための一時保護を検討する必要があった。

 5 要保護児童対策地域協議会の中での情報共有(アセスメント等)と進行管理

   岬町には虐待防止のネットワークである「要保護児童対策地域協議会」が設置されて協議会の事務局は町が担っており、被虐待児童に関する情報共有や援助についての進行管理のため、関係機関の実務者会議が開催されている。

   本事案については、病院から直接子ども家庭センターが通告を受け、本児は保育所などに通所していなかったことから、子ども家庭センターが主担機関として中心になって関わっており、町に乳幼児4ヶ月健診での状況把握と見守りを依頼するとともに4月からの保育所入所も含め町にケース検討会議の開催調整を依頼していたところであった。

   しかし、「最重度」のリスクである乳児のケースであることをふまえると、1回目の骨折の通告の時点で、町の「要保護児童対策地域協議会」においてケース会議を開催し、受傷の状況や家庭状況等の情報を共有し、関係機関や主任児童委員等が在宅での指導や見守りについて役割分担を行う必要があった。

 6 乳児期の親子分離後の支援

   本事案において子ども家庭センターは一時保護に至らなかったが、乳児に受傷原因が不明の骨折があり一時保護もしくは施設入所により乳児期に親と子を分離した場合、子どもの安全が確保されるまで家庭への復帰が困難になるとするならば、子どもと親の愛着関係の形成に最も重要な乳幼児期に分離したことによる子どもの心理面や発達面での影響が課題となる。

   受傷の原因が不明である骨折等の場合に、家族再統合に向けて、保護者や家族状況など、どういう状況になれば保護者が子どもを家庭に引き取れるのかについての具体的な調査方法とともに、親に対する指導手法及び家族再統合に向けての親子に対する支援内容が確立されていないという課題が明らかになった。

3 再発防止に向けた取組  具体的な方策

1 アセスメント(評価)及び一時保護の判断のあり方

   大阪府ではこれまで重篤な虐待事件を契機にして、子どもの安全確保を最優先に対応を行うことや、発見から家族再統合に至る総合的見地にたった対応を行うことを視野に入れて、「子ども虐待対応の手引き」(以下、「府手引き」という。)の改訂を行っている。

   しかし、本事案をふまえると、乳児の骨折等、府手引きの安全確認チェックシートにおいて、子どもの生命の危険が「ありうる」「危惧する」という「最重度」の評価になる事例の場合は、受傷原因が不明であっても、子どもの安全確保を最優先に考え、受傷状況のアセスメントをもとに躊躇なく一時保護を実施することを明記する必要がある。

   平成20年2月、そのような趣旨に基づき、虐待通告への対応について、「特に、3歳未満の乳幼児は自ら被害を訴えることができず状況によっては死に至る可能性があることから、危険度のチェックや安全確保の保障については、厳密に判断を行う必要がある。具体には、3歳未満の乳幼児の頭部外傷、骨折、内臓損傷、極端な栄養失調、重症の火傷については、子どもの安全確保が保障されない限り、安全を最優先に一時保護を実施する(原因不明の場合も含む。)」と直ちに府手引きを改訂したことは評価できる。

   一時保護を実施して親子分離を行った上で、虐待事実の有無や父子関係、母子関係、家庭環境等について慎重に調査を行い、保護者の気持ちを受けとめながら家族再統合に向けたきめ細かい援助を行うことが必要である。

   本事案のような受傷原因が不明である乳幼児の骨折等の虐待通告が増加している状況においては、受傷原因が不明のまま乳児を一時保護した場合、子ども家庭センターが、子どもの安全が確保できるとして家庭に戻すにあたってのアセスメントの基準や内容を検討する必要がある。

   また、子どもを強制的に保護される保護者の怒りや悲しみは大きく、子ども家庭センターへの抵抗も強いため、子ども家庭センターの調査や指導の実施は困難な状況にある。さらに、保護者と対立した場合には、家庭裁判所に施設入所の承認を求めることになるため、保護者指導を開始するまでにはさらに数ヶ月の期間が必要となり、その後家族再統合に向けた継続的な援助を行うことになる。対立した保護者からの行政不服審査請求や訴訟等の対応も求められる。これら全ての業務が子ども家庭センターにのみ委ねられている現状の中、子ども家庭センターが的確にアセスメントするとともに一時保護の要否について判断し迅速かつ適切な対応ができるよう、外部からサポートする児童虐待等危機介入援助チームの充実強化を図る必要がある。

2 子ども家庭センターと関係機関等の連携

 (1)児童虐待等危機介入援助チーム委員・通告元医療機関との連携強化方策

   大阪府では、平成12年11月より、深刻な児童虐待等権利侵害の訴えに対し、必要な調査、相談及び調整を行うとともに、子ども家庭センター等関係機関と連携して、子どもの権利を保護する等子どもの最善の利益を図ることを目的として「大阪府児童虐待等危機介入援助チーム」を設置し、弁護士、医師を中心に構成するチームの委員が子ども家庭センターの求めに応じ、専門的な立場から助言及び指導等の活動を実施している。

   子ども家庭センターの児童虐待相談の急増とともに、法的対応に関するチーム委員弁護士による専門的助言・支援の件数や、チーム委員医師による医学的診断を求める件数も急増している状況にある。(平成13年度 弁護士235件・医師28件であったが、平成18年度は弁護士454件、医師50件に増加。)また、平成20年5月現在、チーム委員には弁護士が57名、精神医学専門の医師が12名であるが、子どもの受傷に関する専門のチーム委員医師は2名であり診断の要するケースが増えている状況においてチーム委員医師の負担は大きい。

   児童虐待については、家庭内で起こった子どもの受傷の場合、特に本事案のように乳幼児については自ら被害を訴えることができないため、主治医との協議を踏まえ、専門的な医学的診断を得ることが子ども家庭センターの対応に不可欠である。

   チーム委員医師に子どもの診断を依頼する場合には、子ども家庭センターの対応経過と評価について事前にチーム委員医師と十分協議をすること、チーム委員医師の診断内容について十分説明を受け協議をすること、保護者への説明時期や内容、今後の対応についても十分に協議を行うことを徹底する必要がある。

   また、判断の難しい事例については、チーム委員医師が、保護者への説明や対応の協議、ケース会議に参画すること等を明確化し、徹底を図る必要がある。

   そのためには、子どもの受傷について専門的に診断するチーム委員医師の増員や、判断の難しい事例については複数の医師が協議する体制も含め、チーム委員医師が子ども家庭センターや通告元の医療機関等の関係者と十分協議できるよう、体制整備を図る必要がある。

   また、診断後の協議の上、医師が「診断結果報告書」を迅速に作成し、当該子ども家庭センターが迅速かつ確実に「診断結果報告書」を受理するルールを定めること、報告書の内容が子ども家庭センターのアセスメントと異なる場合には十分に協議を行うことを徹底する。

   通告元である医療機関の主治医等に対しては、入院中や退院後に連携して対応する必要があること等から、子ども家庭センターの対応方針やその理由及び判断について十分説明するなど双方の意思疎通を図る必要がある。

 (2)市町村との連携方策

   大阪府内の市町村では、平成20年4月現在41市町村中39市町村において、児童福祉法に規定されている「要保護児童対策地域協議会」(要保護児童及びその保護者に関する情報その他要保護児童の適切な保護を図るために必要な情報の交換を行うとともに、要保護児童等に対する援助の内容に関する協議を行う組織。市町村単位の虐待防止ネットワークでもある)を設置している。

   「要保護児童対策地域協議会」では市町村が事務局(調整機関)になり、子ども家庭センターと市町村、ならびに保健センターや学校・教育委員会、保育所等の関係機関が管内の全被虐待児童に関する情報を共有し、定期的に協議会の実務者会議で進行管理を行っている。

   子ども家庭センターは、「ケース会議」を通じ、子どもが虐待を受けている疑いがあり調査しているなどの場合、「要保護児童対策地域協議会」の構成機関である市町村や関係機関に対する子どもや保護者の情報の提供、また状況の変化等のモニタリングについて内容を明確にして依頼し、より具体的な情報の収集を得て対応方針を決定する必要がある。

   特に、重篤な事例では、迅速に関係機関や主任児童委員等による「ケース会議」を開催し、アセスメントの情報等を共有するとともに、各機関の役割分担を行い、関係機関が連携して子どもと家族を支える枠組みを定めておくことが重要である。

   また、人口規模が小さい市町村の要保護児童対策地域協議会においては虐待ケースの件数が少なく、必然的に実務者会議の開催頻度が少なくなることから、子ども家庭センターが、対象ケースを広げ育児不安のケースなども含めてきめ細かく把握・検討するなどの運営上の工夫について助言し、支援していく必要がある。

 3 在宅における見守りの実効性の確保

   子ども家庭センターが関係機関や、主任児童委員・民生委員児童委員に日常的な見守り(モニタリング)を依頼する場合は、依頼の目的、内容、期間、頻度、緊急時の連絡方法等の事項、情報を集約する窓口を明確に示して見守りを確実に行うとともに、その具体的な手法を徹底する必要がある。

 4 子ども家庭センターの体制及び機能の強化

   子ども家庭センターが子どもの安全確保を最優先に考え、保護者の承諾を得ずに職権で子どもを一時保護した場合や、子どもの施設入所に保護者の同意を得られないときに児童福祉法第28条による家庭裁判所の承認を得て施設入所措置を行った場合、保護者との意思疎通が難しくなり、家族再統合に向けた保護者指導は困難を極めている。

   本事案においても、子ども家庭センターが、骨折の受傷原因が不明であり、養育上の問題が認められず、また一時保護したとしてもその後の親子関係の調整や家族再統合への支援の手法が確立されていないことも影響して、一時保護を実施するに至らなかった経過がある。

   子ども家庭セン広ーにおいては、平成19年度から「すこやか家族再生応援事業」として、大学やNPO等の協力を得て、虐待の再発防止と早期の立ち直り支援を目指して、保護者を対象とした援助プログラム等の実践を始めている。

   本事案をふまえ、受傷原因が不明の場合で、一時保護等により親子分離を実施した乳幼児について、家族再統合に向け子どもの安全を調査する手法や保護者指導のプログラムを検討し、家族の状況に応じプログラムを導入する必要がある。加えて、家族再統合に向けた親と子に対する支援を中心に行う職員を配置するなど、子ども家庭センターが子どもの安全確保のみならず、適切な時期にきめ細かな支援ができるよう、子ども家庭センターの体制を整える必要がある。

   また、子ども家庭センターでは、本来、虐待対応において、スーパーバイザーである所長及び課長は、客観的な判断や指示が行えるよう直接保護者や子どもに対応せず、対応した児童福祉司や児童心理司の調査結果や評価、意見をふまえて、対応方針を決定する必要がある。しかしながら、現状では、虐待対応課の課長は、重篤な虐待ケースほど、直接子どもの安全確認や保護者の面接を行い、児童福祉司と一緒に対応しながら進行管理やスーパーバイズを行っている現状にある。

   客観的で専門的かつ迅速な判断がより必要になる重篤な事案が増加する状況においては、子ども家庭センターのスーパーバイズ機能の強化が必要である。

   子ども家庭センターにおいては、これまでも必要に応じ人員増を図るなど体制の強化を図っているが、児童虐待防止法の改正に伴う権限の強化や、夜間休日対応の開始、職権による一時保護・立入調査件数の増加と、それらの保護者の意に反した行為に対する子ども家庭センターへの激しい非難等があり対応困難な状況が続いている。平成18年度の大阪府、大阪市、堺市を合わせた虐待相談対応件数は4,383件であり、東京都を上回り全国で一番多い件数であった。

   本事案においては、複数回にわたり、所内の対応会議を実施し、家庭訪問、病院訪問、面談などを実施しているが、10ページに述べたようにチーム委員医師及び子ども家庭センターが多忙を極め、児童虐待等危機介入援助チーム委員である医師との協議が十分できていなかったため対応方針に活かされなかった等の課題があった。14ページに述べた子どもの受傷に関する専門のチーム委員医師の体制整備とともに、子ども家庭センターについても、管内の市町村数や面積などに配慮し、体制を強化する必要がある。

※  なお、全国の児童相談所の児童福祉司が本来対応しなければならないケース(未処理、在宅指導、施設入所措置・里親委託)を何件抱えているかを把握した調査では、1人当たりのケース数が107件であり、欧米諸国の1人当たりのケース数20件前後の5倍に相当し、職員の一層の増員が必要との結果がある。(才村純「児童虐待防止制度改正後の運用実態の把握・課題整理及び制度のあり方に関する調査研究」(財団法人こども未来財団)より)

 5 取組の進捗状況の点検

   本事案について、子ども家庭センターの対応経過を中心に検証する中で導き出された、再発防止に向けての取組みに関して、大阪府は、毎年、その取組みの進捗状況を「点検・検証チーム」に報告し、評価を受ける必要がある。

第2部 寝屋川市における幼児死亡事案の検証

1 事案の概要 

1 事案の概要 

   平成20年2月16日、6歳の女児が母親の内縁男性からの暴行により、意識不明の重体となり、病院に搬送される。同日、警察が内縁男性を殺人未遂容疑で逮捕。  
 2月20日、本児死亡。

○ 児童 6歳女児(以下、「本児」とする)
○ 家族 母親(29歳)、兄(9歳)、本児(6歳)、内縁の男性(21歳)の4人 

2 事案の経緯と関係機関の対応

平成19年       
10月17日

   本児が通う保育所より寝屋川市保健福祉部こども室家庭児童相談室(以下、「家庭児童相談室」とする)に電話による情報提供と相談がある。
   相談内容は、同居の内縁男性が存在しており、本児の体に古く薄いアザがあり、養育困難な状況もあるという、親対応に関することであった。
   家庭児童相談室から保育所に「しつけでも、アザ・ケガがあれば虐待とみなす」旨、保護者に警告するように依頼。

10月23日

   兄の通う小学校から大阪府中央子ども家庭センター(以下、「子ども家庭センター」)に虐待通告がある。通告内容は、兄の話では内縁男性が同居し、妹(本児)が内縁男性から叱責されて正座させられ、押入に入れられることがあるということであった。兄は欠席しているため、小学校が家庭訪問する旨を聴取。
   兄の状況及び本児に関する兄からの情報と保育所からの情報をもとに、家庭児童相談室と子ども家庭センターが電話で今後の対応方針を協議する。

10月24日   家庭児童相談室と保育所の協議の結果、保育所が母親と内縁男性と話し合った。子ども家庭センターは市におけるモニタリングを依頼し、子ども家庭センターと家庭児童相談室の協議で主たる援助機関を家庭児童相談室とする方針を決める。
11月19日   保育所が本児の「青アザ」を確認し、保育所から家庭児童相談室に電話報告がある。
11月27日   保育所で本児の新たな「青アザ」を発見する。
12月7日   保育所より家庭児童相談室に本児の登所状況は良好で怪我もない旨、電話報告あり。
12月19日

   寝屋川市要保護児童対策地域協議会(機関の実務者会議)開催。
   新規ケースとして家庭児童相談室と子ども家庭センターの両機関から本児の台帳を提出。

平成20年   
1月8日

   1月になって本児は保育所に登所せず。母親より保育所に、仕事を辞めたのでしばらく休むとの連絡があった旨、保育所から家庭児童相談室に電話報告あり。
家庭児童相談室から主任児童委員に見守りと情報提供を依頼する。

2月1日

   本児と母親が保育所に登所し、同日付けで保育所の退所届を提出。
その際、本児の顔面に新たな「青アザ」があり。その旨、保育所から家庭児童相談室に電話報告あり。

2月16日

   本児が意識不明の重体となる。母親が救急車を呼び病院に搬送。
警察が内縁男性を「殺人未遂容疑」で逮捕。

2月20日   本児死亡

 

2 事案の検証による課題・問題点の整理

本事案の検証にあたっては、以下のヒアリングを実施した。

 ・ 対応経過についての子ども家庭センター職員からのヒアリング
 ・ 寝屋川市保健福祉部こども室職員からのヒアリング

   上記ヒアリングをふまえるとともに、本年5月9日に公表された寝屋川市要保護児童対策地域協議会検証委員会の「検証のまとめ」を参考にし、以下のとおり関係機関の対応の課題・問題点を整理した。

(「検証のまとめ」については、寝屋川市の情報公開窓口で閲覧が可能。)

 1 虐待情報の捉え方・アセスメント(評価)のあり方・安全確認のあり方

   保育所から平成1910月に家庭児童相談室に相談があった時点で、家庭児童相談室は「軽度」の虐待相談と認識し、本児の現認を含めた安全確認ができていなかった。また、同居男性の存在や顔の「青アザ」などの情報については、リスクが高い情報と十分に認識されず、「子どもが言うことをきかないから叩いてしまう」ということに対し、保育所の警告と指導及び見守り体制により支援が可能であるという当初の認識が、最後まで変更されることがなかった。さらに、大阪府が作成した「市町村児童家庭相談援助指針」にある安全確認チェックシート等のアセスメントツールが活用されなかったことも課題である。

   子ども家庭センターは平成1910月兄の通う小学校からの通告受理の時点で、本児には以前つねられたような痕があるなど初めての怪我とは考えなかったため「中度」と評価したが、家庭児童相談室の「軽度」と評価したことを確認することはできていない。複数機関が関わる場合、リスクアセスメント基準の共有は極めて重要である。

   同月に小学校から通告を受けた子ども家庭センターでは、安全確認を学校に依頼し、兄については身体的虐待が無く、妹(本児)が内縁男性から叱責されて正座させられ、押入れに入れられることがあるという状況を目撃することによる軽度の心理的虐待と判断した。

   しかし、子ども家庭センターが兄に面接し、内縁男性からの妹(本児)に対する虐待状況を確認していれば、子ども家庭センターと家庭児童相談室が平成1910月時点で、本児の正確なリスクアセスメントの情報共有ができた可能性がある。

   また、兄からの情報が小学校の通告につながっていることやその後の虐待の継続・重篤化の状況を鑑みると、子ども家庭センターと家庭児童相談室がケース対応の主担当機関を決める際に、兄を通じた状況変化の把握や更には兄への心理的ケアの必要性について察知し判断できるよう、連携体制を明確にしておく必要があった。

   国の子ども虐待対応の手引きにおいても、「きょうだい」事例は、虐待の危険度が高いことを踏まえ、積極的な対応を検討することとあり、「きょうだい」の通告ケースには配慮が必要である。

 2 府・市・関係機関との連携のあり方

   保育所から家庭児童相談室への情報提供、小学校から子ども家庭センターへの情報提供があり、複数の関係機関からの情報があったが、ケース会議などで情報共有がされず、要保護児童対策地域協議会の実務者会議におけるケース検討の場が本事案には活用されなかった。

   また、保育所では、本児の「青アザ」などのイラストを作成し、保管はしていたが、そのような具体的な情報が家庭児童相談室には提供されず、活用されなかった。また、平成1911月の2回目以降の「青アザ」について、大きさ、程度などが具体的に保育所から家庭児童相談室に報告されていない。家庭児童相談室からも、「青アザ」の場所や数など具体的な情報提供を求めておらず、本児の詳しい受傷状況が把握できていなかった。家庭児童相談室が「軽度」の虐待相談と判断していたため、結果として保育所が保護者への警告と支援、および子どもの安全確認・リスク評価の両方の役割を担わざるを得なかった。

 3 状況変化への対応

   保育所は援助的に保護者にかかわっていたが、平成19年11月に本児の「青アザ」が2回あり、母親から保育所の担任が援助を拒否されたため、直接、保育所長が支援することになった。その時点で家庭児童相談室がアセスメント(評価)をやり直し、子ども家庭センターへ送致するなど、その対応を切り替えることができなかった。
    
   また、1月になってから本児が登所せず、1ヶ月の空白があった後、2月1日の退所を告げに保護者が保育所を訪れた時に、保育所が本児の顔面の複数の「青アザ」を確認し、家庭児童相談室へも伝えられた。しかし、家庭児童相談室では、子どもの現認ができておらず、アセスメントの変更にいたらなかった。さらに、保育所を退所したことにより、日々の見守りができなくなった時点でも、家庭児童相談室は家庭訪問などの介入的援助の必要性を認識せず、支援の役割意識を持ち続けたため、子ども家庭センターへの送致や家庭への介入、本児の安全確認はできていなかった。

4 要保護児童対策地域協議会の中での情報共有(アセスメント等)と進行管理

   市では虐待防止のネットワークである「要保護児童対策地域協議会」を設置し、家庭児童相談室が事務局機能を担い、2ヶ月に1回の頻度で機関の実務者会議を開催して、新規通告ケースと継続ケースの情報共有や協議を行っている。
    
   家庭児童相談室は平成19年10月の最初のアセスメントで本児を「軽度」の身体的虐待ケースと判断し、その後保育所からきいた状況の変化をアセスメントに反映させていなかったため、12月の要保護児童対策地域協議会の実務者会議では、本児を新規ケースとして提出したが、進行管理が必要な点検ケースとしてはあげなかった。

   一方、子ども家庭センターは本児の怪我は初めてとは考えなかったため「中度」の身体的虐待ケースであるとの認識を持ち、実務者会議の一覧資料には「中度」として提出していた。

   しかし、1回の実務者会議で検討するケースが30件以上にのぼり、本ケースについての両機関の評価の違いの確認が十分にできていなかった。また、本児についての関係機関のケース会議ももたれていなかった。
2ヶ月ごとの関係機関の実務者会議では毎回約25件の新規ケースと5件の継続ケースの状況確認や協議を行っているが、国が示している「概ね3ヶ月に1回の全ケースの進行管理を行うこと」は困難な状況にある。

5 主任児童委員への見守り依頼のあり方

   1月に本児が保育所を休むことになった際、家庭児童相談室は主任児童委員に、家族の見守りを依頼したが、家庭児童相談室から定期的な問合せを実施していなかった。また、主任児童委員の見守りについても、家屋周辺の状況把握程度に止まらざるを得ず、限界があった。2月に本児が保育所を退所した時点で、保育所の日常的な見守りができなくなることを踏まえて、子ども家庭センターへの相談・協議・送致等の検討が必要であった。

6 児童虐待アセスメントツールの活用

   大阪府の「子ども虐待対応の手引き」にある「安全確認チェックシート」については、同じく「大阪府市町村児童家庭相談援助指針」にも掲載しているが、「外傷が残らない暴力」は「軽度」で、「アザや傷跡(タバコ等)ができるような暴力を断続的に受けたことがある」は「中度」である等評価基準などでわかりづらい表現があり、また記入要領が付けられていないため、家庭児童相談室においては十分に活用されていなかった。
    
   評価基準の共有化は重要であり、「安全確認チェックシート」に虐待程度の評価基準をより具体的に記載することや、「大阪府市町村児童家庭相談援助指針」において、「幼児の頭部・顔面・腹部の外傷や殴打」は「重度」と評価することを加筆する等の改訂が必要である。

3 再発防止に向けた取組  具体的な方策

   本事案は、家庭児童相談室が主たる援助機関として進行管理していたケースであるため、再発防止に向けて大阪府が取り組むべき方策および市町村を支援する方策等について以下のとおり整理した。

1 安全確認・アセスメント(評価)のあり方及びケースの進行管理

   大阪府は、平成17年の児童福祉法改正をふまえて、市町村の児童家庭相談が円滑に行われるよう、子ども家庭センターで蓄積されたノウハウや様式等を具体的に記載した「市町村児童家庭相談援助指針」を作成、配布した。また、平成19年度には改訂版を作成したところであるが、下記項目について、市町村に再度指針の内容の徹底を図るとともに、必要な部分について改訂する必要がある。

(1) 市町村における安全確認・アセスメントのあり方
 ・ 虐待通告を受けた後の調査や安全確認は複数対応を基本とし、援助方針も組織として判断し決定する。
 ・ 幼児の頭部・顔面・腹部の外傷や殴打については、リスクが高く、安全確認チェックリストで「重度」であるという意識をもち、子どもの現認とともに、一時
      保護を求めるなど子ども家庭センターへの送致を実施する。
 ・ 通告受理後には、子どもの所属機関から怪我の状況や家族状況等の具体的な詳しい情報を収集し、子どもの受傷状況及び家族状況のアセスメントを行
      う。
 ・ 市町村が安全確認の時期・手法について徹底し、組織として判断及び実行できるよう体制整備を行う。
 ・ きょうだいの通告受理ケースは、ハイリスクケースとして、積極的に対応する。

(2) 状況が変化した場合の市町村の対応
 ・ 母子世帯に内縁男性が同居する等、家族関係や養育状況が変化した時には、原則としてリスクが高まる要注意指標であるという意識をもち、家族状況の
      アセスメント、子どもの現認を実施する。
 ・ 保護者の支援への拒否や子どもの怪我の継続というリスクの変化に対し、随時のアセスメントと迅速な子ども家庭センターへの相談、協議、送致等を行
      う。

(3)市町村と府及び子ども家庭センターとの連携
 ・ 市町村が主担機関(主たる担当機関であり、進行管理の責任をもつ)である場合、どのような場合に子ども家庭センターに相談、協議、送致するかなどを
      取り決め、状況の変化への対応についてもルール化する。
 ・ 見守りの要件(子どもの日々の確認、怪我、帰宅を渋る、家庭状況、保護者が指導に従わない等)が変化した場合は、状況の変化への対応として、市町
      村から子ども家庭センターに相談、協議し、子ども家庭センターは時期を逸することなく、介入や一時保護の判断を行わなければならない。
      また、状況に応じて市町村と子ども家庭センターが協議の上、ケース会議を開催して関係機関間の情報を共有し、役割分担を行う。
 ・ 府は市町村に対し、虐待通告受理後の対応について周知し、支援を行う必要がある。
 ・ 子ども家庭センターは、市町村が保護者と支援関係にあるとき、リスク管理を誤らないように留意点について指示し、対応について協議していく。

(4)要保護児童対策地域協議会の強化
 ・ 要保護児童対策地域協議会において、子どもを守る地域のネットワークが有効に機能するよう市町村と子ども家庭センターがケースの進捗管理とリスクア
      セスメントを徹底する。
 ・ 要保護児童対策地域協議会において、ケース会議の開催の判断について基準を共有化する。
 ・ 虐待の情報が複数回に及ぶ場合や日常的な見守りが困難になった場合など、関係する複数の機関でのケース会議による情報の共有、援助方針の確
      認、主担機関の確認を行う。
 ・ 実務者会議においては、国が示している全ケースの状況把握や進行管理が定期的にできるよう、実務者会議の開催頻度や運営のあり方を検討する。

2 保育所・学校等子どもが所属する機関との連携

 ・ 保育所・学校など、子どもが所属する機関が把握した家族の状況変化等の具体的な情報や変化をスムースに要保護児童対策地域協議会(調整機関)に
      あげ、検討・評価していく必要がある。
 ・ 所属機関に対し、見守りと通告、情報提供の方法について研修などにより徹底する必要がある。
 ・ 所属機関と市町村の役割分担、市町村と子ども家庭センターの役割分担をより明確にしながら、情報の共有化を進める必要がある。

3 見守り(モニタリング)の実効性の確保

   主任児童委員等への具体的な見守り依頼のあり方については、目的や方法、頻度などを明確にして依頼するとともに、定期的な報告や情報提供についての時期・項目を明確に設定し、文書などにより通知しておく必要がある。
 
   また、市町村は、日常的な子どもの現認が困難になった場合やリスクが高まった場合には、モニタリングの前提は崩れたと判断して見守り体制を変更し、子ども家庭センターへの相談・協議・送致を検討する必要がある。

4 市町村児童家庭相談に対する府の支援

   平成17年4月より新たに児童虐待の通告窓口となり、また平成20年4月より通告を受けた子どもの安全確認が義務化された市町村にとって、専門職の配置および養成は喫緊の重要課題である。
 
   平成18年度の府内市町村の虐待相談件数は計4,500件に達している。寝屋川市の場合でも、家庭児童相談室の2人の正職員が約400件のケースの進行管理をしなければならない状況にある。
   
   市町村は「要保護児童対策地域協議会」の調整機能を担うとしても、管内虐待ケースの進行管理台帳の作成やケースを進行管理するための定期的な実務者会議の開催、必要に応じた個別のケース検討会議の開催調整、さらに関係機関や民間団体の代表で構成される代表者会議の開催等、多くの役割を担っている。
 
   市町村のおかれたそれぞれの状況に応じて、児童虐待への対応機能を強化するため、府が行っている市町村職員の専門性を高める研修をさらに実効ある内容に充実するとともに、市町村職員の子ども家庭センターへの短期の受入れ研修の実施など、市町村の人材育成を一層支援する必要がある。

5 市町村支援のための子ども家庭センターの組織体制・機能の強化

   上記4に述べたように、市町村が児童虐待対応において重要な役割を担うことになり、その専門性を高めるには、なお財政的、時間的な制約があることから、当分の間は、それぞれの市町村の実情に応じた形で、要保護児童対策地域協議会の運営の支援や研修の企画等子ども家庭センターによる後方支援体制を充実させる必要があり、そのためには、子ども家庭センターが市町村支援を十分図ることのできるだけの組織体制及び機能の強化を図る必要がある。

6 取組の進捗状況の点検

   本事案について検証する中で導き出された、再発防止に向けての取組みに関して、大阪府は、毎年、その取組みの進捗状況を「点検・検証チーム」に報告し、評価を受ける必要がある。

 第3部 国への提言 体制強化のために

児童虐待防止対策推進のための国への提言

1 市町村の体制確保・府及び市町村への財源措置について

   児童福祉法等の改正により、市町村の役割はますます重要になり、高い専門性が必要になっている。今回の寝屋川市事案のように、市町村の児童家庭相談担当窓口が主に援助し、進行管理する事案はますます増加することになる。しかし、国においては市町村の児童家庭相談窓口の人員配置基準や職員の任用基準が示されておらず、府内の市町村においても状況はさまざまである。市町村の規模や虐待対応相談件数に応じた人員配置基準や職員の任用基準を明確に示す必要がある。
 
   また、市町村においては、交付税措置上、非常勤職員の人件費のみが手当てされている程度であり、児童虐待通告窓口ならびに要保護児童対策地域協議会の調整機関としての機能が保持できるような財源措置の水準でないことは明らかである。 
 
   国においては、都道府県、市町村がその責任を全うできるよう交付税措置等の財源措置を十分確保する必要がある。

2 児童相談所の体制・機能のあり方についての検討

   児童虐待防止法の2回の改正により、児童相談所には、強制的立入調査を含む介入から援助、家族再統合に至るまでの多様な機能が求められるようになった。
具体的には、子どもの一時保護から、対立する保護者との対応、保護者が施設入所に同意しない場合(児童福祉法28条申立)等における家庭裁判所との連携強化、家族再統合への長期にわたる援助、虐待を受けた子どもの心理的ケアや治療、市町村の後方支援まで、多様で複雑かつ高度な判断が求められる取り組みが児童相談所に集中して求められることとなった。
 
   児童相談所に寄せられる虐待相談は年々増加傾向にあり、平成18年度の大阪府、大阪市、堺市を合わせた虐待相談対応件数は4,383件であり、東京都を上回り全国で一番多い件数であった。
 
   このような状況をふまえると、岬町事案のように、受傷原因が不明で事故か虐待かの判断が難しいケースの場合、複数の専門的立場からの意見を反映させることができる仕組み、あるいは、保護者が児童相談所の指導に従わない場合の親指導への家庭裁判所の積極的な関与や親権の一部停止など、外部の専門家や専門機関が児童相談所をサポートする仕組みをさらに強化すべきである。
  
   また、岬町事案を踏まえると、養育状況に問題が認められず骨折等受傷原因が不明のまま乳児を保護した場合、次にどのような状況が確認できれば、児童相談所が子どもの安全が確保できるとして家庭に戻せるのか、そのアセスメントの基準と内容が明確になっていない現状にある。国においても、そのようなアセスメントの基準や内容、保護者への指導手法に関する研究に取り組むなど児童相談所の虐待対応の現場の課題に即応した対策を図られたい。

   さらに、平成16年の児童虐待防止法改正により、新たに児童相談所の役割として付加された家族再統合に向けた保護者への指導について、国においても引き続き虐待の再発防止を目的とした技法(スキル)の研究を進め、全国の児童相談所において、保護者が養育スキルを獲得できるなどの保護者に対する虐待再発防止プログラムをさらに展開できるよう、支援すべきである。

3 社会的養護体制の整備にかかる対策の早急な実施

   虐待により保護が必要な子どもが急増した結果、平成18年度の全国調査では施設入所児童の55.1%が被虐待児童であった。
 
   国においても平成19年度より社会的養護体制の整備のための具体的施策について検討をすすめ、社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会報告書が取りまとめられ、平成20年5月末現在児童福祉法の改正法案が国会で審議されているところであるが、虐待を受けた子どもに必要なケアの質を確保するため、里親家庭や児童福祉施設等社会的養護にかかる資源の量と質の充実は重要で緊急の課題である。
 
   特に、乳児期の親子分離による子どもの心理的発達に与える影響が懸念されることから、国においては、里親家庭及び乳児院等社会的養護におけるケアの充実強化を早急に図られたい。
 
   また、岬町事案のような骨折や「乳幼児揺さぶられ症候群」による硬膜下血腫、火傷など、虐待(疑いを含む)による受傷や疾病により、医療的ケアが継続して必要な乳児が乳児院に一時保護委託また入所措置されることが増えている現状にある。しかし、医療機関が併設されている乳児院は少なく、嘱託医と看護師が配置されている乳児院が多い中で、医療的ケアの必要な乳児の受け入れが困難であるのが実情である。
 
   国においては、併せて、医療的ケアの必要な乳児に対応できる乳児院等の体制強化を図られたい。
 

おわりに

   大阪府では平成16年の岸和田市における児童虐待事件以降、子ども家庭センター等の体制の強化を図るとともに、市町村児童家庭相談援助指針の策定や子ども虐待対応の手引きの改訂を行うなど、虐待への的確な対応を図るためのさまざまな取り組みを推進してきた。

   また、児童虐待の防止等に関する法律および児童福祉法の改正等をふまえて、子ども家庭センターや市町村児童福祉所管課では、虐待から子どもを守り家族を支援するため、相互に連携して日夜努力を重ねてきた。
 
   そのような状況の中で今般、岬町事案、寝屋川市事案が続いて発生し、尊い二人の子どもが亡くなったことは痛恨の極みであり、私たち点検・検証チームは、このような事態を二度と繰り返してはならないとの固い決意をもって、両事案に対して徹底した検証を行った。
 
   岬町事案では、乳児の二度にわたる原因不明の骨折を「最重度」とアセスメントしながら、親子分離が子どもに与える影響に対する懸念や、施設入所措置に向けた保護者への指導の困難性等から児童福祉司指導を決定し、その最中に死亡に至ったものである。子どもの安全確保を最優先課題とする子ども家庭センターとしては、本事案のように低年齢の子どもで虐待かどうかの見極めがむずかしいケースについては、虐待の疑いが完全に否定されない限り、まずは一時保護を行い、その後慎重に家族関係等の状況を把握することが、最悪の結果を回避する最善の手法であると私たち点検・検証チームは考えた。
 
   また、寝屋川市事案は、市が援助の主担当機関として進行管理を行っていたのであるが、当初の「軽度」の虐待相談とした市の方針について、その後様々な状況の変化があったにもかかわらず、見直しが行われることはなかった。要保護児童対策地域協議会での進行管理や子ども家庭センターとの情報共有や役割分担が十分に機能していなかったこととあわせて重要な課題であると私たちは考えた。
 
   二つの事案の検証から、様々な課題が浮かび上がったが、看過できないのは、子ども家庭センターも寝屋川市も膨大なケース数を抱え、多忙を極めていたことである。このことが個々の事例への的確なアセスメントや迅速な対応、円滑な機関連携を阻んでいたことは明らかである。子ども家庭センターおよび市町村における相談支援体制、とりわけ人的体制の強化が喫緊の課題であることを強調しておきたい。
 
   子ども虐待問題はますます複雑・多様化しており、これへの的確な対応を図るには、子ども家庭センターおよび市町村児童福祉所管課はむろんのこと、保健・医療機関や保育所、学校、民生委員児童委員をはじめ地域住民の方々も含め、地域を挙げて見守り、支えあう社会づくりも不可欠である。そのための具体的な取り組みとして何ができるかを児童虐待問題に関わる多くの機関や人たちそれぞれが、「わが事」として真正面から考えていく必要がある。
 
   本報告書は無念の中で亡くなっていった子どもたちの魂の声として、関係者は真摯に耳を傾けていただきたい。特に大阪府においては、本報告書の提言の確実な実現に向け、最大限の努力を払われることを願うものである。また、その他の関係者の方々についても、本報告書をもとにそれぞれの立場で援助のあり方を再検証していただければ幸いである。
 
   なお、寝屋川市においても、事案発生後ただちに要保護児童対策地域協議会に検証委員会を設置され、独自に検証結果をとりまとめられたが、今後の参考に資するものと考えられる。本報告書と併せて活用いただきたい。

 資  料


大阪府岸和田子ども家庭センター関係資料

1 虐待対応課体制

所長 ― 次長兼虐待対応課長(児童福祉司)
       総括主査(児童福祉司)【全地域スーパーバイザー、岸和田市(一部)】
       主査(児童福祉司)  【岸和田市(一部)、高石市、泉大津市】
       主査(保健師)      【岸和田市(一部)、泉佐野市】
       技師(児童心理司)  【心理職として全地域】
       技師(児童福祉司)  【和泉市、忠岡町】
       技師(児童福祉司)  【泉南市、阪南市、熊取町、岬町】
       技師(児童福祉司)  【貝塚市、田尻町】

2 虐待対応の件数等(平成19年度)

(1)対応別件数

対応

件数

児童福祉施設入所

54

里親委託

面接指導

650
(継続指導531、助言指導119

その他

16

児童福祉司指導

合計

728

(2)立入調査・警察への援助要請

対応

件数

立入調査

警察への援助要請


(3)法的対応

28条請求件数     5内承認件数        4
(内更新)        (1)(内更新)        (1)

(4)危機介入援助チーム活動実績

電話相談

面談

家庭・機関訪問

弁護士

医師

弁護士

医師

弁護士

医師

弁護士

医師

30

40

28

98

12

(5)虐待対応相談における一時保護件数

一時保護所

委託一時保護

一時保護計

うち職権保護

57

47

104

59

(6)通告件数
  平成18年度  342件    平成19年度   393件

(7)施設入所児童数  96人(平成20年3月末現在)

 
寝屋川市 児童家庭相談 関係資料

1 児童家庭相談体制

こども室長(事務職)− 課長兼こどもセンター所長(事務職)
               課長代理(社会福祉主事)
               職員(社会福祉主事)
               職員(社会福祉主事)
               非常勤職員(臨床心理士)
               非常勤職員(臨床心理士)
               非常勤職員(臨床心理士)

2 児童家庭相談件数(平成19年度)

対応

件数

相談対応

952

うち虐待対応

519

要保護児童対策地域協議会対応児童数

430

うち市町村主担児童数

244

 
大阪府児童虐待等危機介入援助チーム設置運営要綱

(目  的)
第1 大阪府は、深刻な児童虐待等権利侵害の訴えに対し、必要な調査、相談及び調整を行うとともに、大阪府子ども家庭センター(以下「センター」という。)等関係機関と連携して、子どもの権利を保護する等子どもの最善の利益を図ることを目的として大阪府児童虐待等危機介入援助チーム(以下「チーム」という。)を設置する。

(構  成)
第2 チームの委員は、次の各号に掲げる者で構成する。
(1) 弁護士
(2) 医 師
(3) その他、必要に応じて、児童福祉専門家、子どもの権利保護のためにチームへの参加が必要と認められる機関の職員等を含めるものとする。

(担当区域)
第3 各委員の担当区域は、各センターの所管区域単位とし、大阪府があらかじめ決定するものとする。但し一部委員については、全区域を担当するものとする。

(活動内容)
第4 チームの活動内容は、次に掲げる事項とする。
(1) センター所長の求めに応じて、子どもの人権に関する事案について、専門的な立場から調査を行うとともに、親権者等関係者に対して必要な助言及び指導を行う。
(2) 子どもの人権に関する事案を調査した結果、特に改善等が必要と認められる場合には、健康福祉部児童家庭室(以下「児童家庭室」という。)及びセンター等関係機関に対して、必要な措置を講じるよう助言及び指導を行う。

(報  告)
第5  チームは、第4に規定する活動を行ったときは、速やかにその内容を部会に報告するものとする。

(守秘義務)
第6 チームの委員は、職務上知り得た個人の秘密に関することを、特別の理由がない限り他に漏らしてはならない。また、その職を退いた後も同様とする。なお、委嘱期間中に、この規定に違反した場合は、解嘱するものとする。


(報酬及び費用弁償)
第7 チームの委員に対する報酬及び費用弁償については、大阪府社会福祉審議会条例(平成12年大阪府条例第9号)の委員等の報酬及び費用支弁に関する規定に準じて、その活動実績に応じて支給するものとする。
 
(委嘱期間)
第8 チームの各委員に対する委嘱期間は、委嘱日から、その属する年度の次年度末までとする。なお、委嘱期間中に欠員が生じた場合に新たに委嘱した委員の委嘱期間は、前任者の残任期間とする。

(事務局)
第9 チームの事務局は、児童家庭室におくものとする。
 
附 則
1 この要綱は、平成12年11月21日から施行する。
2 この要綱は、平成13年  5月  8日から施行する。
3   この要綱は、平成14年  4月  1日から施行する。
4 この要綱は、平成18年 3月16日から施行し、平成18年1月1日より適用する。
5 この要綱は、平成19年 3月29日から施行し、平成19年1月1日より適用する。
6 この要綱は、平成20年 2月14日から施行する。
7 この要綱は、平成20年4月1日から施行する。


 
児童措置審査部会開催要領

(1) 目 的
    児童虐待の増加など、児童をめぐる問題の多様化・複雑化を踏まえ、法律、医学等の専門家からなる「児童措置審査部会」を設置し、子ども家庭センターが入所措置等を採るにあたってその意見を聴くとともに、子ども家庭センターにおける業務への助言や死亡事案等重大事件発生時の検証などにより、より一層、子ども家庭センターにおける業務の専門性並びに客観性の向上を図る。

(2) 審査・調査する事項
1   子ども家庭センター所長が施設入所等の措置を採る場合において、児童若しくはその保護者の意向が当該措置と一致しないとき、審査し、答申する。
なお、緊急を要する場合で予め意見を聴くいとまがない場合は、速やかに採った措置を報告するものとする。
2   子ども家庭センター所長が予定している措置と児童又はその保護者の意向は一致しているが、措置または措置解除後の処遇への対応について法律や医学等の観点から専門的知見が必要であると子ども家庭センター所長が認める場合、審査し、答申する。
3   児童虐待の防止等に関する法律第13条の4に規定する事項の報告を受け、必要に応じ助言すること。
4   子ども家庭センター業務について調査し、必要に応じ助言すること。
5   児童虐待による死亡事例(心中を含む)などについて検証し、その結果や再発防止のための提言をまとめ、府に報告すること。
    なお、4、5については、児童措置審査部会内に設置する「点検・検証チーム」が実施することとし、その結果については、児童措置審査部会に報告するものとする。

(3) 審査部会の構成
1    大阪府社会福祉審議会内規第2条第3項の規定により、児童福祉専門分科会に属する委員の一部並びに臨時委員として弁護士、学識経験者により構成するものとする。
2    児童措置審査部会に、審査部会委員の互選による会長1名を置くものとする。

(4) 審査部会等の開催等
1    審査部会は、会長が招集するものとする。
2    審査部会は、委員の過半数が出席しなければ議事を開き、議決を行うことができないものとする。
3    審査部会の議決は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
4    審査部会の決議は、これをもって府社会福祉審議会の決議とする。
5    点検・検証チームは、会長の要請に基づき、(2)4、5を実施するものとする。また、その開催等については、(4)1から4に準じるものとする。

(5) 部会等の公開
1    児童措置審査部会等は、非公開とする。ただし、「児童措置審査部会への弁護士の参加実施要領」に定められた弁護士は参加できるものとする。
2    非公開とする理由
    審査部会等では、児童等の住所、氏名、年齢、生育暦、身体及び精神の状況等個人のプライバシーに関する情報が把握された中で、子ども家庭センターの措置等について、より専門的な見地から助言等意見を聴くこととなるため。

(6) 庶 務
児童措置審査部会等の庶務は、健康福祉部児童家庭室家庭支援課において処理する。

(7) その他
児童措置審査部会等の委員に係る報酬等の取り扱いについては、大阪府社会福祉審議会条例(平成12年3月31日大阪府条例第9号)によるものとする。

附 則
1 この要綱は、平成20年2月27日から施行する。
 

審 議 経 過

平成20年2月27日(第1回会議)
・検証手法について
・岬町乳児死亡事案及び寝屋川市6歳女児死亡事案の概要

平成20年3月17日(第2回会議)
・寝屋川市事案の概要ヒアリング(寝屋川市保健福祉部こども室)
・岬町事案の概要ヒアリング(岸和田子ども家庭センター)

平成20年3月25日(第3回会議)
・大阪府子ども家庭センター「子ども虐待対応の手引き」説明
・岬町事案についての質疑応答

平成20年4月10日(ヒアリング)
・前大阪府児童虐待等危機介入援助チーム委員医師のヒアリング

平成20年4月18日(第4回会議)
・岬町事案について(ヒアリング結果報告、質疑応答)
・寝屋川市事案、岬町事案についての問題点・課題と対応策(素案)

平成20年4月25日(ヒアリング)
・日赤和歌山医療センター小児科医師ヒアリング

平成20年4月28日(第5回会議)
・岬町事案について
(ヒアリング結果報告、時系列に整理した課題・問題点、質疑応答等)

平成20年5月16日(第6回会議)
 ・報告書(案)について

平成20年5月30日(第7回会議)
 ・報告書(案)について
 

大阪府社会福祉審議会 児童福祉専門分科会 児童措置審査部会 点検・検証チーム 委員名簿

  泉  薫     弁護士・淀屋橋法律事務所
  岡本 正子   大阪教育大学教育学部教授
◎ 才村 純     関西学院大学人間福祉学部教授
  田中 文子   社団法人子ども情報研究センター所長
  津崎 哲雄   京都府立大学公共政策学部教授
  納谷 敦夫   前社会福祉法人大阪府障害者福祉事業団理事長

(◎は座長、敬称略50音順)

このページの作成所属
福祉部 子ども室家庭支援課 育成グループ

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