おおさかの環境 2003年(平成15年)

更新日:2020年2月20日

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おおさかの環境 2003年(平成15年)
 
循環型社会をめざした環境都市づくり

おおさかの環境2003年表紙

全体 [PDFファイル/774KB]

目次

  1. ごあいさつ
  2. 計画的に環境施策を推進するために
  3. ごみを減らし資源を活かすために
  4. 地球環境を守る地域社会に
  5. きれいな空気で、静かなまちに
  6. きれいな水、潤いとやすらぎのある水辺に
  7. 公害の苦情やその解決のために
  8. 化学物質を適正に取り扱うために
  9. 豊かな自然との共生や文化が実感できるまちに
  10. すべての主体が積極的に参加し行動する社会に
  11. 環境関連ホームページの紹介
  12. 情報提供窓口

1. ごあいさつ

大阪府知事

 21世紀は環境の世紀と言われるように、環境問題は私たちにとって生命や快適な環境を維持するために大変重要な課題です。
 このため、「大阪21世紀の環境総合計画」に基づき、地域社会を構成する府民、事業者など各主体のパートナーシップによる環境保全活動の促進や環境教育・環境学習の推進、環境に関する幅広い情報の提供など、環境配慮のためのしくみづくりを進めていくこととしております。
 この冊子を通して、大阪の環境の状況と府の取り組みについて、府民のみなさまのご理解を深めていただき、私といっしょになって豊かな環境の保全と創造に向けた取り組みを進めていただきますようお願いします。

大阪府知事 太田 房江

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2. 計画的に環境施策を推進ために

【循環型社会づくりをめざした環境都市づくり】
 
 大阪府では、豊かな環境の保全と創造に向けて、環境基本条例をはじめ各種の条例・規制等を制定し、関係法令とあわせて適正に運用するとともに、「大阪21世紀の環境総合計画」等に基づき、規制・指導や環境影響評価、環境教育・環境学習等の各種の施策を総合的かつ計画的に推進しています。  

豊かな環境を保全・創造する条例の施行

○大阪府環境基本条例
  豊かな環境の保全及び創造に関する基本的理念を掲げています。
○大阪府循環型社会形成推進条例
  循環型社会の形成に向けて、廃棄物の減量化・リサイクルを推進し、不適正処理を撲滅することにより、大阪をきれいな環境都市にします。
○大阪府生活環境の保全等に関する条例
  公害を防止し、府民の生活環境を守ります。
○大阪府自然環境保全条例
  緑や野生生物を守り、育て、府民が自然の恵みを受けられる環境を守ります。
○大阪府景観条例
  府民、事業者並びに市町村との協働による美しい景観づくりを進めます。
○大阪府環境影響評価条例
  大規模な事業について、あらかじめ環境影響を評価し、環境に十分配慮して事業が行われるようにします。 

施策の計画的な推進

○大阪21世紀の環境総合計画
  「循環」、「健康」、「共生・魅力」及び「参加」の4つの基本方向によって施策を展開し、21世紀に残すことになった環境汚染など環境上の「負の遺産」の解決とともに、循環型社会を目指した魅力ある環境都市づくりを進めます。また、この計画の目標達成に向け、効果的かつ継続的な改善ができるよう、進行管理・点検評価を実施していきます。
○みどりの大阪21推進プラン
  みどりあふれる環境の中で心の豊かさを実感できる世界都市の実現を目指します。
○大阪地域公害防止計画
  第7次大阪地域公害防止計画を策定し、諸施策を推進しています。
○大阪府自動車Nox・PM総量削減計画
  平成22年度までに環境基準を達成するため、自動車排出ガス対策を推進しています。


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3. ごみを減らし資源を活かすために

【廃棄物の減量化・リサイクルや適正処理など】
 
 これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会から脱却し、生産・流通・消費・廃棄の各段階において廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用を進めることにより、持続的発展が可能な循環型社会を目指します。また、廃棄物の適正な処理を促すことにより、府民の健康で文化的な生活を確保します。

産業廃棄物

  産業廃棄物の排出量は年々減少傾向にあり、これに対して再生利用(リサイクル)率は上昇傾向にあります。平成12年度の産業廃棄物の排出量1,768万トンのうち、リサイクルや減量化された残りの147万トンが最終処分されています。

産業廃棄物の排出量とリサイクル率の推移

 また、府内では、不法投棄や野積みなどの産業廃棄物の不適正処理が依然として増加の傾向にあり、特に行政の監視が手薄になる夜間や早朝、休日にきわめて短期間に行われるなど、その手口が悪質・巧妙化しています。

産業廃棄物不適正処理件数(苦情件数)

ごみ(一般廃棄物)

 一般廃棄物の排出量は、ここ数年横ばいの傾向にあり、平成13年度の1人1日あたりの排出量は1.33kgとなっています。また、リサイクル率の上昇傾向にありますが、全国に比べると低い状況です。

ごみの排出量の推移     ごみのリサイクル率の推移


ごみのゆくえ

廃棄物の減量化・リサイクルの推進

  循環型社会を形成するため、廃棄物の発生抑制、リサイクル、適正処分のための基本的な方向を示した「大阪府廃棄物処理計画」(平成14年3月策定)に基づき、平成22年度までに廃棄物の最終処分量を概ね半減(平成9年度比)することを目指します。 

○ごみの減量化とリサイクルへの取り組み 
  住民団体、事業者団体、市町村、大阪府等により組織された「大阪府廃棄物減量化・リサイクル推進会議」において策定した「ごみ減量化・リサイクルアクションプログラム」(平成12年6月改訂)に基づき、エコショップ制度の普及、No!!包装キャンペーンの実施、リサイクルフェアの開催など、府民、事業者、行政のパートナーシップのもとにごみの減量化・リサイクルに取り組んでいます。

エコショップ 簡易包装などのごみ減量化やペットボトル、缶・びんの回収などのリサイクルに積極的に取り組んでいる店の愛称で平成14年度末の登録状況は1,783件となっています。 このマークが目印です。

○適正なリサイクルの推進
  建設リサイクル法、家電リサイクル法、容器包装リサイクル法、食品リサイクル法及び自動車リサイクル法などリサイクル関連諸法により廃棄物の適正なリサイクルを推進します。
○大阪エコエリア構想の推進
  廃棄物最終処分場跡地等を活用して、民間事業者を主体としたリサイクル施設の整備や、森林、ビオトープ等の自然とふれあう場(「共生の森」)の創造などをめざした「大阪エコエリア構想」(平成15年3月策定)を推進します。
 

廃棄物の適正な処理の推進

 ○不適正処理の撲滅 
  廃棄物処理法に基づき、産業廃棄物の適正処理、減量化、リサイクルの推進及びマニフェスト交付の徹底など、排出事業者や処理業者を指導・監督しています。
 また、産業廃棄物の適正処理に関する啓発を推進するため、常時行っているパトロールに加え、集中パトロールを実施し、不適正処理の撲滅に努めています。

産業廃棄物不適正処理防止推進強化月間(6月、11月)での「監視パトロール隊」出発式

 マニフェストシステム  廃棄物処理法において、産業廃棄物を排出する事業者は、管理票(マニフェスト)を使用することにより、その処理を委託した廃棄物の運搬から処分までの流れを自ら把握・管理するとともに、当該廃棄物の性状等に関する情報を処理業者に確実に伝達することとされています。平成9年6月の法律改正により、全ての産業廃棄物について義務づけられています。

○ごみ処理広域化計画の推進 
  「ごみ処理広域化計画」(平成11年3月策定)に基づき、ごみ焼却に伴うダイオキシン類の排出削減、ごみ減量化・リサイクルの推進、スケールメリットを活かしたごみ処理施設の整備等を進めます。 
○PCB廃棄物対策 
  PCB廃棄物の適正な保管・処理を推進するため、事業者に適正保管を指導するとともに、環境事業団によるPCB処理施設の整備を促進しています。また、中小企業のPCB処理を支援するための基金に拠出しました。

私たち一人ひとりができること●本当に必要なものかよく考えてから購入しましょう。●「エコショップ」を利用したり、ごみ減量化・リサイクルに配慮した商品や再生資源を使用した商品を購入しましょう。●買い物袋を持参し、包装紙や袋は辞退しましょう。●びん、缶、ペットボトル、牛乳パックやトレー、卵パックなどは捨てずにリサイクルに協力しましょう。


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4. 地球環境を守る地域社会に

 【地球温暖化やヒートアイランド対策など】
 
 現在、地球の温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨など地球的規模の環境問題が進行しています。次代を担う子どもたちに豊かな環境を引き継ぐことはわたしたちの責任です。そのために、わたしたち一人ひとりが身近な環境を守ることが地球環境の保全につながるということを認識し、行動していくことが必要です。

二酸化炭素の排出量

  1999(平成11)年度の府域における二酸化炭素の排出量は、1990(平成2)年度よりも0.8%減少しています。しかし、産業部門からの排出量は減っているものの、運輸、民生部門の排出量は大幅に増えており、大阪府の削減目標(2010(平成22)年度に1990(平成2)年度よりも二酸化炭素排出量を5%削減)達成のためには、これをどのように減らしていくかが大きな課題となっています。

地球温暖化のしくみ   二酸化炭素排出量の推移

地球温暖化対策の推進

  「大阪府地球温暖化対策地域推進計画」に基づき、省エネルギーや新エネルギーの推進、低燃費車の普及促進、ごみの発生抑制・資源化の推進等に取り組むことにより温室効果ガスの排出抑制を図っています。
 また、「大阪府温室効果ガス排出抑制等実行計画」に基づき、府の事務事業においても温室効果ガスの排出抑制に努めています。
さらに、地域での地球温暖化防止活動を進めるため、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づき、114名の地球温暖化防止活動推進員を委嘱し、地球温暖化防止に関する講演会や省エネ実験教室の開催など、府民に対する環境情報の提供や家庭・学校等での啓発活動を実施しています。

環境にやさしい暮らしの率先実行 −省エネはこんなにお得!−

環境に配慮した省エネ・エコエネルギー利用の促進

 ○太陽光発電設備の導入
  平成12年度の村野浄水場に加え、平成13年度には食とみどりの総合技術センターや安威川流域下水道中央処理場に、平成14年度には三島浄水場にも太陽光発電設備を導入しました。
○木質バイオマスの利用促進
  間伐材をペレットに加工し、ボイラーやストーブの熱源となるバイオマスエネルギーとして利用する試みを支援しています。
○民間資金活用型ESCO(Energy Service Company)事業の推進
  民間の資金・ノウハウを活用して、既存の庁舎・病院等の省エネルギー化改修を図り、省エネにより削減された光熱水費の一部で改修費用を償還するとともに、残余を府の経費削減効果とする事業であり、大阪府が全国自治体で初めて事業を開始しました。
 初期投資を行うことなく、省エネによる環境対策や光熱水費削減が図れることに加え、ニュービジネスの育成にもつながります。
  府立母子保健総合医療センターや4府民センタービル(三島・泉南・南河内・北河内)、府立総合医療センター、府立障害者交流促進センター、府教育センター、池田・府市合同庁舎(豊能府民センタービル)で実施しています。また、府立呼吸器・アレルギー医療センター、マイドームおおさか、府立労働センターにおいても実施する予定です。

母子保健総合医療センターの光熱水費の削減状況

オゾン層保護対策の推進

  オゾン層を破壊し、地球温暖化にも影響を及ぼすフロンガスの排出抑制対策を講じるため、「フロン回収破壊法」に基づきフロン類回収業者等の登録を実施するとともに、立入検査の実施等により、フロン類の回収を徹底しています。 

ヒートアイランド現象

  冷暖房や自動車などの人工排熱の増加に加え、緑地や水面の減少、道路舗装・建築物等による蓄熱・輻射熱の増加等により、都市に熱がたまり、気温が郊外に比べて高くなる、いわゆるヒートアイランド現象(都市の高温化)が顕著になっています。

大阪府周辺地域の気温分布(平成14年7月30日午前10時23分)白色は雲がかかっている部分、青色は26.3℃から26.6℃、シアン色は27.5℃、黄色はから29.5℃、オレンジ色はから31.5℃、赤色は31.5℃以上を示します。(大阪府環境情報センター作製)

  人工衛星の観測データをもとに推定した温度分布をみると、都市の高温化は大阪市内にとどまらず、広くその周辺地域にまで及んでいます。 また、大阪市内における熱帯夜(最低気温25℃以上)の年間出現日数をみると、1970年代(10年平均)は27日であったのに対し、1990年代(10年平均)は38日となっています。

○ヒートアイランド対策の推進
  府域のヒートアイランド現象の実態調査を実施し、その結果を踏まえて、総合的かつ計画的に施策を推進します。また、平成16年度を目途に「大阪府ヒートアイランド対策推進計画」を策定し、建築物の屋上緑化、道路の透水性舗装など効果的な対策の具体化を図ります。


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5. きれいな空気で、静かなまちに

【大気環境の保全、騒音対策など】
 きれいな空気で、静かなまちを目指して、新たな手法も取り入れながら、環境保全の取り組みを進めています。特に、私たちの生活に便利な自動車による大気汚染や騒音・振動が社会問題となっており、府民、事業者、民間団体、行政がお互いに協力して、さまざまな対策を進めていくことが求められています。 

大気、騒音の状況

 ○二酸化窒素(No2)
 
 大気中の二酸化窒素の年平均濃度は横ばいまたは緩かな改善傾向にあります。
平成14年度の環境基準の達成率は、一般環境大気測定局で92%、自動車排出ガス測定局で62%でした。

二酸化窒素濃度の現状(平成14年度)

○浮遊粒子状物質(Spm)
  浮遊粒子状物質については、年平均濃度は改善の傾向にありますが、平成14年度の環境基準の達成率は、一般環境大気測定局で45%、自動車排出ガス測定局で27%でした。なお、4月に多量の黄砂が飛来し、環境基準の達成率に影響を及ぼしました。

浮遊粒子状物質濃度(年平均値)の推移二酸化炭素濃度の状況(平成14年度)

○騒音の状況
  環境基準の達成率は、一般地域では64.8%、道路に面する地域では72.4%でした。

騒音に係る環境基準達成状況

自動車排出ガス対策

  府域の自動車保有台数は約378万台と、この10年間で1.09倍に増えています。なお、環境負荷の大きいディーゼル車の割合は、平成8年度をピークに減少しています。
 二酸化窒素や浮遊粒子状物質の環境基準達成に向けて、平成15年7月に「大阪府自動車Nox・PM総量削減計画」を策定し、低公害者等の普及促進やグリーン配送等のディーゼル車対策を推進しています。

自動車保有台数とディーゼル化率の推移

○低公害車等の普及促進
  天然ガス自動車などの低公害車普及のため、民間事業者への助成や府の公用車への率先導入、大阪府の本庁駐車場における低公害車の駐車料金割引制度などに取り組んでいます。
 さらに、京阪神の6つの府県・政令市が共同で市販車の中でも窒素酸化物等の排出量が少ない車を「Lev-6」として指定し、普及促進を図っています。

指定 Lev-6車証

○燃料電池自動車の普及促進
  「究極のエコカー」と言われる燃料電池自動車の普及啓発を図るため、平成15年9月、官民8団体により「おおさかFcv推進会議」を設立し、同年10月には大阪府庁駐車場内に移動式水素ステーションを設置しました。

「移動式水素ステーション」開所式(平成15年10月:大阪府庁)

○グリーン配送の推進
  大阪府が購入する物品の配送にあたって、環境負荷の少ない車の使用を求めていくグリーン配送を全庁で実施しています。

グリーン配送ステッカー

○事業者に対する指導の強化
  自動車Nox・PM法に基づき、30台以上の自動車を使用する事業者に対して、自動車使用管理計画書を提出させ、低公害車の導入や車両走行量の削減への取組みについて指導しています。  

騒音・振動対策

○自動車騒音・振動対策
  低騒音舗装の敷設などの道路構造対策、緩衝空間の確保などの沿道環境対策及び一方通行や最高速度規制などの交通流対策など各種対策を実施しています。
○近隣騒音対策
  深夜におけるカラオケ装置などの音響機器の使用を原則として禁止しているほか、商業宣伝を目的とした拡声機の使用について制限を設けています。また、ピアノや自動車の空ぶかしなどの生活騒音の防止のための啓発等に努めています。

私たち一人ひとりができること●通勤・通学には電車・バスを利用しましょう。(毎月20日は「ノーマイカーデー」です。)●より低公害な自動車に乗り換えましょう。●車の急発進や急加速はやめましょう。●駐車時の不要なアイドリングはやめましょう。●車の空ぶかしは控えましょう。●夜間、早朝のテレビ、ステレオなどの音量はできるだけ小さくしましょう。●ピアノなどの楽器の練習は窓を閉め、時間帯に気をつけましょう。


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6. きれいな水、潤いとやすらぎのある水辺に

【水循環の再生、水環境の保全など】
 
 自然の大きな水循環は、水の汚れを浄化するとともに、豊かな水の栄れを生み出します。水循環の再生や潤いとやすらぎのある水辺環境を保全・創造すめために、水質の改善はもとより、より一層の水源のかん養や水の効率的な利活用などに取り組む必要があります。 

河川の環境

  河川の汚れ具合を示すBod濃度は、改善の傾向がみられ、大阪市内で最も汚いと言われてきた寝屋川に、ギンブナやモツゴが戻ってきたとの報告(大阪市生息状況調査)もあります。平成14年度のBodの環境基準達成率は57.5%でした。

府内主要河川のBod(年平均値)の推移

海の環境

  海(大阪湾)の汚れ具合を示すCod濃度は横ばいの状況であり、水質汚濁が慢性化しています。平成14年度の環境基準の達成率は40.0%でした。汚濁の原因としては、河川などからのCodの流入に加えて、窒素・りんの増加による植物プランクトンの増殖がCodを増加させることが考えられます。

大阪湾のCod(年平均値)の推移

水環境の保全

○生活排水対策
  私たちの台所、風呂、トイレなどから出る生活排水が河川や海を汚す主な原因となっており、平成13年度の生活排水処理率は83.7%でした。このため、新たに「大阪府生活排水処理実施計画」を策定し、下水道の整備や合併処理浄化槽の普及促進などにより、平成22年度までに生活排水100%の適正処理を目指しています。

くらしの汚れはどのくらい?(風呂おけ1杯:300L)

○下水道の整備
  生活排水を適切に処理する主要な対策として、下水道の整備を推進しています。平成14年度末現在の公共下水道普及率(処理人口普及率)は府内全体で88.0%となっています。
○第3回世界水フォーラム
  洪水や渇水、水質汚濁など世界の水に関するあらゆる問題を解決するために、「第3回世界水フォーラム」が平成15年3月に京都・滋賀・大阪で開催され、182の国・地域から24,000人以上の方が参加しました。大阪では、フォーラム分科会「「水循環シンポジウムin大阪」、水問題に対する行政の取組みや民間企業による水に関わる技術・製品等の展示を行なった「水のExpo」などが開催されました。

水環境シンポジウムin大阪

○オアシス整備事業
  地域の貴重な環境資源であるため池を、水と緑豊かなオアシスとして総合的に整備するなど、地域の快適な環境づくりを推進しています。

オアシス整備事業 粟ヶ池地区(富田林市)

水循環の再生

 ○「水の都大阪」の再生
 
 平成14年度末に策定された「水の都大阪の再生構想」に基づき、観光・文化の復興を図るため、「水の回廊」の実現を目指し堂島川・木津川において高水敷整備を実施するとともに、木津川では水辺環境の魅力向上を目指し、モデル的に高木の植樹を行います。さらに安治川では、中央卸売市場と一体となった水辺環境を創出するための調査を実施します。
○寝屋川流域水循環系の再生
  「寝屋川流域水循環系再生構想」(平成15年6月策定)を基に、寝屋川流域の水質・水量の回復を図るための短期的施策として、10年間でBod5mg/lを目標とする「第二期水環境改善緊急行動計画」(清流ルネッサンスIi)を平成15年度にまとめます。
 主な施策内容は、植生浄化、浄化浚渫、他河川からの導水、雨天時の初期汚濁軽減に効果ある流域調節池の整備、下水道高度処理水の導水などです。

私たち一人ひとりができること●使えなくなった油は「流し」に流さないようにし、紙などにしみこませて燃えるごみとして出しましょう。●しょう油などの使いすぎやみそ汁などの食べ残しをしないよう心がけましょう。●「流し」には、細かい目の網を置き、それに調理クズなどを入れましょう。


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7. 公害の苦情やその解決のために

○公害審査会
   公害に関する紛争を迅速かつ適正に解決するため、あっせん、調停、仲裁を行っています。

公害の苦情件数

公害防止に係わる融資


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8. 化学物質を適正に取り扱うために

【自主管理の促進、汚染の調査・対策など】
 私たちのまわりでは、多くの化学物質が使用され、便利な生活を与えてくれる一方、取り扱い方をまちがえると、環境中に大量に放出され、思わぬ環境汚染を引き起こす場合があります。こうしたことにならないよう、排出規制や汚染の調査・対策を進めるとともに、事業者自らも化学物質を適正に管理することで排出を抑制していくことが重要です。

ダイオキシン類対策

  ダイオキシン類対策特別措置法に基づき、工場・事業場の立入検査を実施して、ダイオキシン類の発生防止対策の徹底を指導するとともに、大気、水質等の状況を調査しています。
 平成14年度末における府内でのダイオキシン類の排出量は44.1gで、環境基準の達成率は93.5%でした。

土壌汚染対策

  土壌汚染対策法や同法のしくみを基本に調査対象物質(ダイオキシン類)及び3つの調査の機会を追加し改正した「大阪府生活環境の保全等に関する条例」に基づき、土壌汚染に関する調査や対策が適切に行われるよう指導し、効果的な土壌汚染対策の推進と土壌環境の保全を図っています。

化学物質に係わる自主的管理の改善の促進

  Prtr法に基づき、事業者から化学物質の排出量等の1,640件の届出を受付け、主務大臣へ送付した後、国において集計されたデータに基づく府域の集計結果を公表しています。
 平成13年度における府内の化学物質の排出量は58,648トンで、全国の6.53%を占めていました。
また、事業者に対して、化学物質の排出抑制の啓発等を行っています。

化学物質の府内地域別排出量の内訳     Prtr Prtr(Pollutant Release and Transfer Register)とは、有害性のある化学物質の環境中への排出量などを把握するしくみ。 事業者は自ら化学物質の管理を行うとともに、排出量・移動量を把握して国に届け出る。国は届出データの集計・届出以外の排出量の推計を行い、公表している。


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9. 豊かな自然との共生や文化が実感できるまちに

【都市と自然が共生する魅力ある地域づくりなど】
 自然や歴史・文化、景観は、地域の魅力を決めるバロメーターであり、府民、事業者、民間団体、行政といったすべての主体の協働のもと、これらを守り、育て、都市と自然が共生した個性的で魅力あふれる地域の実現を目指します。

種の多様性の保全

  府域には1万種を超える生物が生息・生育していると予想され、中には、北摂山系に棲む特別天然記念物のオオサンショウウオや淀川のわんどに棲む天然記念物のイタセンパラなどもいます。種の多様性の保全のため、天然記念物アユモドキなどの種の保護・増殖技術の開発や淀川のわんどにおける密漁等に対するパトロールなどの保護活動を行っています。

淀川のわんど

○ビオトープの保全・創出 
  いきものが生息する空間(ビオトープ)を確保し、創造するため、湿地の保全を進めるなどビオトープの保全・回復・創出や、ビオトープの基本的な考え方、適用事例を紹介し、普及・啓発に努めています。 

貴重な自然の保全

  府域に残された貴重な自然環境を有する自然環境保全地域やミドリシジミ類の蝶(通称ゼフィルス)、ラン科植物等の貴重な動植物が生息・生育する緑地環境保全地域について適正な保全・管理を図っています。

森林環境の保全

  府民のレクリエーションの場や、体験的な環境学習フィールドなど森林の公益的な機能が高まってきていることから、保健保安林の指定や生駒山系に樹林帯を形成するグリーンベルトの整備、さらに多様な人々の参加による森づくりを推進するための里山保全活動への取り組みの支援を行っています。

自然公園の整備・管理

  明治の森箕面国定公園、金剛生駒紀泉国定公園などの自然公園における自然景観、生態系の保全や"自然とのふれあいの場"の創出のため、自然公園施設の整備・管理を行っています。

都市の緑化

  市街地の過密化が進み、緑化スペースの確保が困難で緑の少ない都市部の緑化を進めるため、屋上緑化の普及・啓発に努めています。また、平成15年9月から、子どもたちが集めたドングリから苗を育て植樹等を行う「木になる夢銀行事業」を推進しています。

府庁本館の屋上緑化

農空間の保全と活用

  農地や農村など農空間の原風景や自然生態系などを活かしながら、地域の活性化を図っています。

○農空間整備事業 
  府民等との協働により農空間の持ち自然循環、国土環境保全、防災、交流などの多面的な機能の持続的な保全・活用を図るとともに、農業生産基盤、都市・農村交流基盤、農村生活環境基盤などの整備を行うことにより、都市と共生した地域づくりを推進をします。
○大阪エコ農産物認証の推進
  化学農薬や化学肥料の使用を従来の2分の1以下に減らして生産される農産物を「大阪エコ農産物」として認証し、農業の持つ物質循環機能を活かし、農業の環境への負担軽減を図りながら、府民が求める安心な農産物の生産を推進します。

緑豊かなまちづくりの推進

 平成14年度の都市公園面積は4,281haで、府民1人あたりの公園面積は4.9m2と全国平均の8.5m2を下回っています。このため、都市公園の整備、道路の緑化のほか、府営住宅や府有施設を建替えなどにより新たに整備する場合、施設緑化基準に基づき、施設の区分に応じて敷地面積の概ね20%から30%の緑化を進めています。 

美しい景観づくりの推進

 ○美しい景観への関心づくり
 
 府民の積極的な参加のもと、創意と工夫を活かした魅力あるまちづくりを進めるため、まちづくり功労者の表彰等を実施しています。
また、個性あふれる美しい景観づくりを推進するため、「大阪都市景観建築賞(大阪まちなみ賞)」を設け、景観上優れた建築物やまちなみを表彰しています。

「ZEPHYR HILL」(第23回大阪まちなみ賞大阪府知事賞)

○景観づくり活動の展開 
  地域に愛され、大切にされる美しい道路づくり、川づくりを目指し、快適な道路や河川環境を創出するため、大阪府では市町村と協力して、地元自治会や企業等の団体が、自主的に行なう清掃や緑化などのボランティア活動を支援する『アドプト・プログラム』を実施しています。

標準的なアドプト・プログラムのしくみ

歴史的文化的環境の形成

○歴史的文化的遺産の保全と活用
 
 史跡・建造物・美術工芸品等の歴史的遺産を指定し、整備、修理や防災事業に助成しています。また、埋蔵文化財包蔵地内での、開発等で文化財が失われないよう協議・指導を行い、発掘調査等、資料の保存と活用を図っています。
○歴史的文化的遺産にふれる場と機会づくり
 
 豊かな文化的環境の創造に資するため、弥生文化博物館(和泉市)、近つ飛鳥博物館(河南町)、泉北考古資料館(堺市)、日本民家集落博物館(豊中市)で、様々な資料や情報を収集・展示し、講座、体験学習等を多彩に行っています。
 また、狭山池博物館(大阪狭山市)では、狭山池ダム建設工事に伴う調査で発見された「1,400年間の歴史を刻む堤体断面や東樋・木製枠工」等の貴重な土木遺産を展示・紹介しています。

私たち一人ひとりができること●一人一鉢、花や木を育てましょう。●野鳥のエサになる実のなる木を植えましょう。●自然の中で生きている虫や草花などは採らずに観察するだけにしましょう。●山、川、海などにごみを捨てないようにしましょう。●ハイキンをなどで持っていった物はすべて持ち帰りましょう。●家のまわりやまちに緑をふやしましょう。●地域の景観づくり、まちづくりに積極的に参加しましょう。


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10. すべての主体が積極的に参加し行動する社会に

【環境配慮のためのしくみづくり】
 循環型社会の構築には、環境に配慮したライフスタイルや経済社会システムへ変えていかなければなりません。このためには、府民、事業者、民間団体そして行政などすべての主体が環境に配慮した行動を自主的積極的に取り組むとともに、パートナーシップをもって取り組む必要があります。 

パートナーシップによる環境保全活動の推進

○環境情報交流のための施設整備
 
 大阪府環境情報センター内に環境に関する情報提供や交流のための施設として「環境情報プラザ」を整備し、環境NPO等とも協力しながら環境教育講座の開催や自主的な環境保全活動への支援を行っています。

環境情報プラザ(環境情報センター内)

環境教育・環境学習の推進

○環境学習人材の支援
 
 小学生に対する体験的環境学習を実施するとともに、その準備・経験を通じて教員に環境教育のノウハウを習得してもらうため、環境NPO等の専門家を講師として派遣し、実施内容をホームページで紹介しています。
○体験型環境学習のフィールドづくり
 
 「自然環境学習」と「人と自然との共生」をテーマに、府民の里山での生活体験や自然体験等を通じて、自然に対する認識や理解を深めるための拠点的施設として、泉南市内に里山の自然学校「紀泉わいわい村」(表紙)を開設しています。
○「私の水辺」大発表会
  府民の"水辺"への関心を高め、水辺に関わりながら活動している方々の交流を深めていくため、
"水辺"の再発見や"水辺"での活動について小、中、高校生、NPOなどの参加による発表会を開催しています。

「私の水辺」大発表会

環境アセスメントの推進

  事業の実施に際し、適正な環境配慮がなされるよう、環境影響評価法及び大阪府環境影響評価条例に基づき、住民、関係市町村長、学識経験者の意見を聴き、事業者に対して必要な指導や助言を行っています。
 また、事業に先立つ計画や施策策定の段階において環境配慮を行うため、戦略的環境アセスメント制度の導入に向けた調査・検討を行っています。

戦略的環境アセスメント制度 現行の環境影響評価が、原則として事業実施段階を対象にしているのに比べ、意思決定のより早い段階である施策や計画の策定段階から環境影響評価を行うことにより、計画等の策定において環境への十分な配慮を行うためのしくみ

調査研究の推進

  環境情報センターをはじめ大阪府の各試験研究機関では、ダイオキシン類の発生を抑制する塩化ビニル樹脂の実用化技術の開発や大気汚染物質の浄化機能を有する木質空間への間伐材及び建築木材の循環利用など環境汚染の未然防止に向けた研究開発や大気汚染、水質汚濁、騒音、振動など環境に関する測定や検査・分析などに取り組んでいます。

環境情報センターでの検査・分析

環境関連産業振興のための支援

  大阪の抱える環境問題を克服するため、大阪府の関係機関と連携して、環境関連産業に対する研究開発の奨励、技術支援、情報提供など、環境技術に関するコーディネートに取り組んでいます。

府自らの環境配慮への取組

 大阪府自らも事業者、消費者の立場であることから率先して環境配慮へ取り組みを進めていきます。

○「府庁エコアクションプラン」の策定
  「大阪21世紀の環境総合計画」を踏まえ、府民等の模範として府職員が率先して取組む行動計画として、平成15年3月に平成16年度までを計画期間とする新たな「環境配慮の大阪府庁率先行動計画-府庁エコアクションプラン-」を策定し、実践しています。
○ISO14001の取り組みの推進
  平成11年2月に府庁本庁舎、同年8月に村野浄水場、さらに平成14年2月に大阪府環境情報センターにおいて、環境管理の国際規格である「ISO14001」の認証を取得し、自らの事務・事業活動に伴う環境負荷の低減に努めています。
○大阪府グリーン調達方針の推進
  環境負荷の低減に資する物品の調達に関する方針を作成し、大阪府におけるグリーン購入の推進を図っています。平成14年度は対象分野を、紙類、文具類、家電製品、公共工事などの14分野に拡大し、その調達に努めています。

グリーン調達(購入) 商品やサービスを購入する際に、価格・機能・品質等だけでなく「環境」の視点を重視し、環境への負荷ができるだけ少ないものを選んで優先的に調達(購入)することです。     私たち一人ひとりができること●自らの行動スタイルを見つめなおしてみましょう。●買い物や外出は、自転車や公共交通機関を利用しましょう。●水を出しっぱなしにするのはやめましょう。●テレビやあかりなどのつけっぱなしはやめましょう。●エコマーク商品や省エネ型商品などグリーン商品を選びましょう。●冷房温度は28度、暖房温度は20度を目安にしましょう。●環境保全活動に参加してみましょう。


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11. 環境関連ホームページの紹介

エコギャラリー おおさかの環境
 大阪府の環境に関する情報発信の窓口となるホームページで、イベント情報や各種の行政情報のほか、大気汚染の状況や光化学スモッグ注意報などの発令状況に関する情報をリアルタイムで提供し、メールマガジンで配信しています。また、河川など水質調査結果をデータベース化して公開しています。
 
かんきょう交流ルーム
 大阪府の環境について、いつでも自由に意見交換や情報交流をしていただくためのホームページです。情報の提供や意見の書き込みには会員登録(無料)が必要です。現在会員募集中!(ホームページ画面から申し込めます)

大阪府エコデザイン研究会
 大阪府産業デザインセンターが行う、環境に配慮した商品や仕組づくりを支援するための研究会です。研究会では、環境配慮技術やエコデザインについての見識を深め、企業とデザイナーとのマッチングを図りながら、新たなエコ商品の開発を目指します。

大阪府EMSポータル
 環境マネジメントシステムに関する様々な情報を体系的に整理し、分かりやすく解説しています。家庭から出ているCO2 の量が分かるソフト「おんたま君」など、家庭でできるEMSのコーナーもあります


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12. 情報提供窓口

 
(財) 大阪みどりのトラスト協会(外部サイト)
みどりや自然などの情報提供を行っているほか、みどりのボランティアの育成、派遣も行っています。
  • ■電  話 06-6949-5705
  • ■利用時間 午前9時から午後5時45分(休み:土曜日、日曜日、祝日・休日、年末年始)
  • ■所 在 地 大阪市中央区馬場町3-35 大阪府農林会館2階(地下鉄中央線・谷町線谷町四丁目駅9番出口から東へ徒歩5分)

 

花と緑の相談所
花や草や木についての講習会、展示会を開催するほか、花と緑の相談を行っています。
府営服部緑地都市緑化植物園(外部サイト)
  • ■電  話 06-6866-3622
  • ■利用時間 午前10時から午後5時(休み:火曜日(ただし祝日の場合は翌日)、年末年始)
  • ■所 在 地 豊中市寺内1-13-2(北大阪急行緑地公園駅から南西へ徒歩10分)

 

府営大泉緑地(外部サイト)
  • ■電  話 072-252-3651
  • ■利用時間 午前10時から午後5時(休み:火曜日(ただし祝日の場合は翌日)、年末年始)
  • ■所 在 地 堺市北区金岡町128(地下鉄新金岡駅から東へ徒歩15分、JR堺市駅・南海堺東駅から南海バス北支所前下車、東へ徒歩12分)

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このページの作成所属
環境農林水産部 脱炭素・エネルギー政策課 戦略企画グループ

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