測定手法マニュアルの概要

更新日:2009年8月5日

測定手法マニュアルの概要

 温泉水を汲み上げる際に、温泉水中から気泡が発生する場合があります。これは、温泉付随ガスと呼ばれるもので、多くは、メタン(ch4)、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、水蒸気(H2O)であり、その他、微量に含まれるものとしては、硫化水素(H2S)等がありますが、通常、温泉付随ガスには酸素(O2)は含まれていません。温泉付随ガスに含まれるメタン濃度が空気中で5から15%になると、火源に触れた際に、急激に燃え広がります(爆発します)。

 平成19年6月19日に東京都渋谷区の温泉施設において、温泉付随ガスの可燃性天然ガスに起因する爆発事故が発生しました。この事故は、営業開始後の温泉施設において発生した初めての爆発死亡事故となりました。

 そこで、環境省では、温泉法を改正し、温泉の掘削時や採取時における可燃性天然ガス等に対する安全対策を義務づけたところです。改正温泉法は、平成19年11月26日に成立し、11月30日に公布され、本年10月1日から施行されます。

 しかしながら、温泉水の汲み上げに伴って、すべての温泉施設においてメタンを含む温泉付随ガスを湧出するわけではありません。そこで、改正温泉法では、温泉施設における安全対策が必要か否かを判断するために、温泉付随ガスのメタン濃度を測定することとし、一定の基準値以下であれば、安全対策が不要な旨の都道府県知事の確認を受けられることとし、この規定に限り、本年8月1日より施行されることとなっています。

 そのため、主に温泉採取事業者から依頼を受けた測定事業者を対象に、環境省告示に定めるメタン濃度の測定手法をわかりやすく解説することを目的として、このマニュアルを作成しました。この測定手法による結果で一定濃度以下であれば、安全対策を実施する義務がなくなることから、温泉採取施設の安全を確保するために非常に重要な測定手法であり、この測定は正確に行うことが求められます。また、この測定そのものにも災害や測定者の健康被害に関する危険性があることから、安全に測定することも重要になります。

 その他、温泉施設における安全対策のうち、温泉水から可燃性天然ガスを分離するための基準、可燃性天然ガスの排出口の基準を遵守していることを調べるための、環境省告示に定めるメタン濃度の測定手法についても記載しています。

※1 このマニュアルでは、温泉水とともに湧出する可燃性天然ガスのほとんどはメタンであることから、可燃性天然ガスとはメタンのことを指す。

※2 このマニュアルで使用する用語は、温泉法、温泉法施行規則及び環境省告示に使用する用語の例による(温泉井戸は自然ゆう出泉のゆう出口を含む。また、可燃性天然ガス発生設備とは、温泉井戸、ガス分離設備及びこれらの可燃性天然ガスの排出口のことをいう)。

このページの作成所属
健康医療部 生活衛生室環境衛生課 生活衛生グループ

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