高次脳機能障がい支援ハンドブック 第二編 福祉制度や種々のサービスについて

更新日:2023年10月17日

第7章 地域での相談支援

相談支援 
《事例》相談支援事業所の活用で、充実した地域生活を

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相談支援(障害者総合支援法に基づく市町村における相談支援)

 障がいのある人が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう身近な市町村が中心となり、障がい者相談支援事業を実施している。
 障がい者相談支援事業には、本人の望む生活の実現のため、日常の困りごとなどのご相談を伺い、障がい福祉サービス利用についての情報提供や必要なサービスの調整、各種手続きの支援等の役割がある。障がい者の福祉に関する様々な相談ができる窓口である。
 また、本人や家族への相談支援機関として市区町村の窓口のほかに相談支援事業所があり、本人が地域での生活や就労を継続するにあたり、適切な福祉サービス等を受けられるよう支援している。相談内容によっては、相談支援事業所から他の適切な支援機関につなげることもある。
 以下に市町村を中心として実施している相談支援事業について記載するが、地域の実情に応じて柔軟な事業形態をとれることになっているので、詳しくは最寄りの市区町村窓口にお問い合わせください。

1.市町村障がい者相談支援事業
【内容】
 障がいのある方やご家族等からの相談に応じたり、障がい福祉サービスについての必要な情報の提供や利用支援等を行う。
【窓口】
 居住地の福祉事務所又は市区町村障がい福祉担当課
 市町村相談支援事業所(『福祉のてびき』の資料編「相談支援事業所」で「直営」「委託」の欄に○が記載された事業者)

2.基幹相談支援センター
【内容】
 地域の相談支援の拠点として、総合的な相談業務及び成年後見制度利用支援事業、地域移行・地域定着促進の取り組み、地域の相談支援体制強化の取り組み等を総合的に行う。
【窓口】
 居住地の福祉事務所または市区町村障がい福祉担当課
 基幹相談支援センター(『福祉のてびき』の資料編「相談支援事業所」で「基幹」の欄に○が記載された事業所)
 ※設置していない市町村もあります。

3.計画相談支援
 【内容】
 障がい福祉サービスを申請した方に、ご本人やご家族の希望や状況等を確認しながら、利用する障がい福祉サービス等を定めたサービス等利用計画案を作成する。支給決定の後に、サービス事業者等との連絡調整及びサービス担当者会議を行い、サービス等利用計画を作成する。
 その後、一定期間ごとにモニタリングを実施し、計画の見直しを行う。
(『福祉のてびき』の資料編「相談支援事業所」で「特定」の欄に○が記載された指定特定相談支援事業者が実施する。)

<参考資料>
身体障がい・知的障がい・精神障がい・難病等による障がいのある方のための『福祉のてびき』相談員・相談窓口用 大阪府福祉部障がい福祉室相談している絵

相談支援事業所の活用で、充実した地域生活を

50歳代・男性
症状記憶障がい・注意障がい・遂行機能障がい・
社会的行動障がい
その他精神障がい者保健福祉手帳1級

 Nさんは、技術系の専門職として自営で家族を支えてきましたが、心筋梗塞にて救急病院に搬送されました。その後、回復期病院に転院、身体面は回復しましたが、低酸素脳症にて高次脳機能障がいと診断されました。記憶障がい、遂行機能障がい、欲求コントロール低下、感情コントロール低下、意欲・発動性の低下、抑うつなどの症状がみられました。
 入院中、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)(巻末参照)より高次脳機能障がい当事者グループを紹介され、見学体験されましたが、なじめませんでした。委託相談支援事業所(巻末参照)を紹介され、相談支援専門員に宿泊型自立訓練事業(巻末参照)の申し込みを勧められました。発症から4か月後に退院しましたが、家から飛び出す、道に迷う、家族への暴力などが見られ、在宅生活を維持できなくなり、回復期病院の紹介で精神科病院に入院となりました。2か月の入院ののち、退院と同時に宿泊型自立訓練事業を通所と併用しながら、高次脳機能障がいの専門的なリハビリを開始しました。精神障がい者保健福祉手帳1級を取得、家族は自営業の継続を断念しました。自立訓練終了後のNさんの支援として以下の3点を考えました。
(1)日中活動の場:生活リズムの確立、作業意欲と能力の向上、コミュニケーションの場の保障。道に迷う可能性が高いので送迎は必須
(2)外出支援:移動支援を利用し、社会参加による社会復帰支援
(3)経済面への側面的支援:(1)(2)により妻の就労可能性を広げ、また、家族の介護負担の軽減を図る
 発症から10か月後、自立訓練終了後の日中活動の場として、高次脳機能障がいの方の受け入れ経験のある、市内の就労継続支援B型事業所を本人、妻とともに見学、事業について説明を受けました。今後、通所を前提とした体験実習を計画していますが、自立訓練で得たアセスメントや成果、配慮点などを地域の事業所に伝え、役立てていくための調整は重要です。移動支援事業所も含めた関係諸機関によるケア会議を重ねながら、情報共有と役割分担を行い、チームでの支援を行いながら、Nさんが地域で充実した生活を送ることができるよう、お手伝いできればと思っています。


このページの作成所属
福祉部 障がい者自立相談支援センター 身体障がい者支援課

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