高次脳機能障がい支援ハンドブック 第二編 福祉制度や種々のサービスについて

更新日:2023年10月17日

第6章 復学・就学への支援

学校生活支援
  ≪事例≫支援を受けながら学校生活を続けている事例

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学校生活支援

 子ども(小児期発症)の高次脳機能障がいの原因の多くは脳外傷となっている。例えば、自動車事故や転落はもちろんのこと、授業中のスポーツによる事故、虐待なども原因になりえる。また、未就学児の発症者の場合、脳炎・脳腫瘍・低酸素脳症などが原因の場合も少なくない。当然、身体障がいが重複する場合もあり、合わせて対応が求められる。
 復学・就学にあたっては、学校・教育委員会・医療機関等と連携しながら、本人の状況や教育的ニーズを把握し必要な支援等を保護者とともに考えていくことが大切である。本人・保護者の意向を尊重した上で小中学校の支援学級への入級や、支援学校への就学を選ぶことも可能である。また、障がい児向けの福祉サービスを利用することもできる。
 復学した際の問題点としては学習についていけない、疲れやすい、忘れ物が多い、感情のコントロールが難しい等があげられる。そういった認知障がいへの対応と同時に、「変わってしまった自分」「周りと違う自分」といった自分自身の変化への戸惑いに対するケアも重要になる。そして、友人関係にも理解や配慮を求めることが必要な場合もある。障がいの状況等によっては少人数や個別のプログラムを取り入れるなど、本人がスムーズに復学できるよう適切な配慮等を検討する必要がある。
 また、学校という特殊な状況(毎時間授業が変わる、毎年クラス替えがある=環境変化が多い等)に対して、どのようにアプローチするかについても、学校、教育委員会、医療機関、福祉機関などの担当者は留意する必要がある。
 学校生活と同時に、家庭生活をどのように送るのかについて、家族支援を行うことも必要である。そのため、学校訪問やケース会議などを通して、本人・家族・学校を含む支援者で共通した対応が出来るように考えていくことが重要になる。児童期・青年期といった発達段階を考慮に入れることも支援を行う上で忘れてはいけない点である。

<復学・就学の相談先>
・小学校・中学校:市町村教育委員会
・公立高校・支援学校:大阪府教育委員会及び設置市教育委員会 大阪府教育センター「府内の教育委員会等」(外部サイト)

<参考資料>
「病気の児童生徒への特別支援教育『病気の子どもの理解のために』−高次脳機能障害−」全国特別支援学校病弱教育校長会[PDFファイル/933KB](外部サイト)

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支援を受けながら学校生活を続けている事例

 10歳代・男性
 症状注意障がい
 その他易疲労性

 Mさんは小学校高学年の春休み、交通事故(自転車乗車中、自動車と)で高次脳機能障がいとなりました。主として、注意障がい(注意を集中させることや持続させること、切り替えが難しい)、疲れやすさが残っています。
 入院先の医療機関では高次脳機能障がいの診断ができず、紹介された医療機関にて、受診、検査の結果、高次脳機能障がいの診断を受けました。認知面の評価などをもとに、どういう障がい(後遺症)の特徴があるのか、どういうところに配慮が必要かを、医師から本人・家族に助言して貰いました。拠点機関の支援コーディネーター(巻末参照)も定期的に面接を行い、本人がどう学校生活や日常生活を送れば過ごしやすいか、家族はどのような関わりをしたらいいか具体的に助言を続け、家庭で過ごしやすい支援を継続しました。さらに、支援コーディネーターが、学校の先生には、本人の障がい理解を進めるため診察に同席してもらうよう働きかけたり、必要があれば学校に出向き、本人に関わる多くの先生に、本人の障がいの特徴と、どのような点に配慮したらいいかのコツを伝えたりしました。
 学校では担任の先生だけが本人の状態を知っていればいいという訳ではなく、養護教諭や学年主任、校長、教頭の理解が必要です。加えて、中学校にあがれば、すべての科目の担任教師に理解してもらう必要があります。また、年度の引継ぎがきちんとできているかも確認が必要です。小学校から中学校、中学校から高校へと学校がかわる時にはより注意が必要です。Mさんの例では、中学校入学時と高校入学時に医師、家族と相談の上、学校の先生に支援コーディネーターから情報提供を行いました。
手を挙げている絵

このページの作成所属
福祉部 障がい者自立相談支援センター 身体障がい者支援課

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