1.高額療養費制度
2.自立支援医療(精神通院)
3.重度障がい者医療費助成
4.傷病手当金
5.障がい年金
6.労働者災害補償保険(労災保険)
7.自動車保険等
8.自動車事故対策機構による介護料支給
医療費や経済的な支援は?
突然の病気や事故・・・
ご家族は大きなショックを受けると同時に、医療費や経済的な問題に直面します。
ここでは、医療費や経済的支援に関して、利用できる可能性のある制度を紹介します。
なお、各制度には利用要件などがありますので、制度の利用にあたっては下記の図を参考に、病院のケースワーカーや市町村窓口などでご相談ください。
医療費・経済保障制度フローチャート 埼玉県総合リハビリテーションセンター「高次脳機能障害の理解と支援のために」2008より引用
【窓口】
市区町村(国民健康保険、後期高齢者医療)、健康保険組合、協会けんぽ
【概要】
保険適用される診療に対し、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、暦月(月の初めから終わりまで)で一定額(負担の上限額は、年齢や所得区分によって異なる)を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度である(入院時の食費や差額ベッド代等は含まない)。入院や高額となる診療、調剤の予定がある場合、加入の医療保険から「限度額適用認定証」(住民税非課税世帯等の以外の方)又は「限度額適用・標準負担額減額認定証」(住民税非課税世帯等の方)の交付を受け(事前申請が必要)、医療機関に提示すれば、窓口での支払いが限度額までとなる。 ただし、70歳以上で、所得区分が「現役並み3」と「一般」区分の方は、高齢受給者証の負担割合により限度額を適用するので「限度額適用認定証」の交付の申請は不要。
※限度額適用認定証の交付を受けていなくても、後日、上限額を超えて支払った額を払い戻すことは可能。
参考資料 「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 厚生労働省ホームページ(外部サイト)
【窓口】
市区町村
【概要】
自立支援医療は心身の障がいを除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度である。更生医療(身体障がい者手帳の交付を受けた18歳以上)、育成医療(身体障がいを有する児童)、精神通院医療(精神障がい)がある。
自立支援医療(精神通院医療)は精神の病気(精神疾患)で通院・投薬治療の際に、医療費の自己負担を軽減する制度である。自己負担は原則1割となる。ただし、世帯の所得や本人の収入額に応じて1か月あたりの上限額の設定がある。
申請には指定精神通院医療機関の診断書が必要である。申請が認められると「自立支援医療受給者証」が交付される。高次脳機能障がい者も対象になる。対象となる医療機関、医療内容等詳しくは窓口にお問い合わせください。
参考資料 「自立支援医療」 厚生労働省ホームページ(外部サイト)
【窓口】
市区町村
【概要】
重度の障がいのある方が、病気やケガなどで必要とする医療を容易に受けることができるよう医療費の患者負担額から一部自己負担額を控除した額が助成される(食事療養費の標準負担額は除く)。重度障がい者医療費の助成を受けるには、居住地の市町村重度障がい者医療担当課で、重度障がい者医療証の交付手続が必要となる。
なお、他の公費負担医療(更生医療・特定医療費(指定難病)等)の給付が受けられる場合はそちらが優先されます。また所得制限がある。
【一部自己負担額】
一つの医療機関等あたり入院・入院外各500円以内/日
※複数の医療機関等を受診した場合で一部自己負担の合計額が1ヵ月あたり3,000円を超えた場合は、その超えた額が市(区)町村の窓口で償還される。
【対象】
・身体障がい者手帳1,2級所持者
・知的障がいの程度が重度と判定された人
・精神障がい者保健福祉手帳1級所持者
・特定医療費(指定難病)・特定疾患医療受給者証所持者で障がい年金(または特別児童扶養手当)1級該当者
・身体障がい者手帳を所持している中度の知的障がいのある人
【窓口】
健康保険被保険者証(健康保険証)に記載されいている管轄の協会けんぽ支部、会社が加入している組合健保の連絡先、共済組合の担当者。
【概要】
被保険者が、病気やケガのために会社を休み、事業主から報酬が受けられない場合に支給される。健康保険上の保険給付(国民健康保険の場合はなし)。
【受給要件】
傷病手当金は、業務外の事由で被保険者が病気やケガのために働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間(待期)の後、4日目以降の休んだ日に対して支給される。待期には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれるため給与の支払の有無は問われない。
ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されない。
【支給される期間】
支給を開始した日から原則、最長1年6か月。
退職した場合、資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上あり、被保険者資格喪失日の前日に現に傷病手当金を受けているか、受けられる条件を満たしていれば、資格喪失後も引き続き支給を受けることができる。
【支給される金額】
・1日当たりの金額:
〔支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額〕(※)÷30日×(2/3)
(※)支給開始日の以前の期間が12か月に満たない場合は、次のいずれか低い額を使用して計算する。
ア 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
イ 標準報酬月額の平均額
・28万円:支給開始日が平成31年3月31日までの方
・30万円:支給開始日が平成31年4月1日以降の方
・傷病手当金の調整
休んだ期間に給与の支払いがあった場合や、障がい年金・障がい厚生年金・老齢年金を受けている場合、労災保険から休業補償給付を受けている場合、出産手当金を同時に受け取る場合等には、傷病手当金の支給額の一部または全部が調整される。また、傷病手当金を受け取った後に該当していることが判明した場合には、傷病手当金を返却する場合もある。
【相談できる医療・福祉以外の専門家】
社会保険労務士
<参考資料>
病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)全国健康保険協会(外部サイト)
【窓口】
市区町村(障がい基礎年金)、年金事務所(障がい厚生年金)、共済組合(共済年金)
【概要】
障がい認定日(初診日から1年6か月経過した時、またはそれ以前で症状が固定した時)に法令で定める障がいの状態にあるか、または65歳に達するまでの間に障がいの状態になった場合に受給できる。保険料未納期間がある場合など受給できない場合があるので確認が必要である。高次脳機能障がい者も下記の受給要件を満たせば対象になる。
※20歳未満に初診日がある場合は、20歳到達日または障がい認定日のいずれか遅い日に障がい等級に該当すれば、障がい基礎年金が支給される(所得により全額又は半額が支給停止となる場合がある)。
【受給要件】
・原則として、障がいの原因となった傷病の初診日に、国民年金または厚生年金保険の被保険者であること。
・障がい認定日において障がい等級に該当していること。
・次のいずれかの保険料納付要件を満たしていること。
(ア)初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること。
(イ)2026年3月31日までに初診日がある場合は、初診月の前々月までの直近1年間のうちに保険料の未納期間がないこと。
※ただし、初診日が20歳未満の場合は20歳前障がいとして納付要件を満たすものとされる。
【対象】
障がい基礎年金(国民年金)
年金加入者(国民・厚生・共済)が対象で、障がい程度(障がい等級表:1級から2級)に応じて、年金が支給される。
障がい厚生(共済)年金(厚生・共済年金)
厚生・共済年金加入者が対象で、障がいの程度(障がい等級表:1級から3級)で支給される。1級又は2級に該当する障がいの状態になったときは、障がい基礎年金に上乗せして支給され、3級の方には障がい基礎年金は支給されず、障がい厚生(共済)年金のみ支給される。
また、初診日から5年以内に症状が固定し、3級よりやや程度の軽い障がいが残ったときに障がい手当金(一時金)が支給される。
【相談できる医療・福祉以外の専門家】
社会保険労務士、弁護士
【窓口】
会社の労務担当者・労働基準監督署
【概要】
労働者が、業務又は通勤が原因となって発生した負傷や疾病で治療が必要とする場合、休業を必要とする場合、障がいが残った場合等に支給される。その費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれている。
【対象】
すべての労働者(パート・アルバイトも含む)
【労災保険の給付の種類】
療養(補償)給付
業務上や通勤でのけがや病気のためにかかった医療機関での治療費と通院費(一定の要件あり)の全額が支給される。症状固定(治癒)後は支給されない。
休業(補償)給付
業務上や通勤での傷病の療養のために労働することができず賃金を受けられないとき、休業4日目から平均賃金の6割(休業(補償)給付)と2割(休業特別支給金)の合計8割が支給される。
傷病(補償)年金
療養開始後1年6か月経過した日、またはその日以降も傷病が治癒しないで障がいの程度が傷病等級に該当するとき、職権により決定される。決定されると休業(補償)給付は支給されなくなる。症状が固定し、積極的な治療が必要なくなる(治癒)まで療養(補償)給付は支給される。
障がい(補償)給付(障がい(補償)年金・障がい(補償)一時金)
症状固定後に障がい等級に該当する障がいが残った場合、障がいの程度により、障がい等級1から7級は障がい(補償)年金、8から14級は障がい(補償)一時金が支払われる。
その他、等級によって障がい特別支給金、介護(補償)給付やアフターケア(症状固定後の受診に係る給付)などがある。
【相談できる医療・福祉以外の専門家】
社会保険労務士、弁護士
参考資料 「労災保険給付の概要」 厚生労働省ホームページ(外部サイト)
(1)加害者側の保険を利用しての補償
自動車賠償責任保険(自賠責)
【窓口】
加害者加入の各自賠責保険会社
【概要】
交通事故による被害者を救済するため、加害者が負うべき経済的な負担を補填することにより、基本的な対人賠償を確保することを目的としており、法律に基づき原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車に加入が義務付けられている。
【請求方法】 請求方法は2通り
(1)「加害者請求」
加害者(本人あるいは加害者加入の任意自動車保険会社)が加害者加入の自賠責保険会社に対して請求する方法。
その中でも、加害者加入の任意保険会社が請求する方法は、「任意保険の一括請求」「任意一括」※と言われている。
※加害者が自賠責保険の他に任意で自動車保険(対人賠償保険)(◇任意自動車保険(対人賠償保険)による補償)にも加入している場合、加害者本人ではなく、その任意損害保険会社が自賠責保険に対して請求することが多い。この場合被害者は、自賠責保険・任意自動車保険に対してそれぞれ別々に請求することなく任意損害保険会社から一括して保険金を受け取ることになる。
(2)「被害者請求」
被害者が、加害者加入の自賠責保険会社に、直接損害賠償を請求する方法。
【請求期限】
(1)加害者請求:被害者に賠償金を支払ってから3年で時効。
(2)被害者請求:交通事故が起こってから3年、死亡の場合は死亡してから3年で時効。後遺障がいの場合は症状固定から3年で時効。
【補償内容】
・障がいによる損害
支払限度額:被害者1名につき120万円
支払内容:治療関係費:治療費・通院費等・看護料・諸雑費・義肢等の費用・診断書等の費用、文書料、休業損害、慰謝料
※被害者に重大な過失があった場合は減額される。
・後遺障がいによる損害
支払限度額:被害者1名につき4,000万円から75万円
支払内容:身体に残った障がいの程度に応じた等級によって逸失利益及び慰謝料など
※被害者に重大な過失があった場合は減額される。
・死亡による損害
支払限度額:被害者1名につき3,000万円
支払内容:葬儀費、逸失利益、被害者本人の慰謝料及び遺族の慰謝料
【相談できる医療・福祉以外の専門家】
行政書士、弁護士
◇任意自動車保険(対人賠償保険)による補償
【窓口】
加害者加入の各保険会社
【概要】
加害者が任意に加入。
自賠責保険の支払い限度額を超える損害に対して保険金が支払われる。
【相談できる医療・福祉以外の専門家】
弁護士
(2)被害者側の保険を利用しての補償
◇任意保険による補償
【窓口】
各保険会社
【概要】
被害者が任意に加入。
【補償内容】
加入している保険によって異なる。
(例)・自損事故保険・無保険車傷害保険・対物賠償保険
・人身傷害補償保険・搭乗者傷害保険・車両保険など
(3)政府保障事業
ひき逃げ・無保険車(自賠責保険を付けていない自動車)・盗難車などによる交通事故の場合、政府保障事業に請求ができる。
【窓口】
各損害保険会社
【概要】
自賠責保険の対象とならないひき逃げや無保険車または盗難車などによる交通事故被害者に対し、健康保険や労災保険等の他の社会保険の給付(他法令給付)や本来の損害賠償責任者の支払によっても、なお被害者に損害が残る場合に、最終的な救済措置として、法定限度額の範囲内で、政府(国土交通省)がその損害をてん補する制度。
【支払限度額】
自賠責保険と同じ。
自賠責保険との違い
・被害者請求のみ
・健康保険、労災保険などの社会保険よる給付が受けられる場合は、その金額は差し引かれて支払われる。
・政府は保証事業として被害者に支払った金額について加害者に求償する。
【請求権者】
傷害・後遺障がい:被害者(自賠責保険へのような加害者請求はできない。)
死亡:法定相続人及び遺族慰謝料請求権者(被害者の配偶者、子及び父母)
【請求可能な期間】
傷害:治療を終えた日から。事故発生日から3年で時効。
後遺障がい:症状固定日から。症状固定日から3年で時効。
死亡:死亡日から。死亡日から3年で時効。
【対象とならないケース】
(1)被害者と加害者の間で人身事故に関する示談が成立し、当該示談の条項どおりにその内容が履行され、損害賠償金が被害者に支払われている場合
(2)自損事故で受傷された場合(交通事故証明書が「車両単独・転倒」事故となっている場合など他車の存在または他車との因果関係が認められない場合)
(3)被害者の一方的な過失による場合(被害者の100%過失による事故の場合)
(4)健康保険や労災保険等の他法令給付額及び損害賠償責任者支払額の合計額が、法定限度額(自賠責保険と同じ)を超えている場合
(5)被害者の重大な過失による減額、他法令給付額及び損害賠償責任者支払額の合計額が、総損害額を超えている場合
(6)後遺障がいが残った場合でも、自動車損害賠償保障法に定める等級に達しない又は該当しない場合
(7)時効により、政府保障事業に対する被害者の請求権が既に消滅している場合
(8)被害車両の同乗者で被害車両にも過失がある場合等自賠責保険に請求できる場合
(9)複数の自動車事故で、そのうちのいずれかの自動車の自賠責保険に請求できる場合
(10)加害車両が自賠責保険の対象外車種である農耕作業用小型特殊自動車(小型耕運機等)や軽車両(自転車等)の場合
【窓口】
独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)大阪主管支所 電話06-6942-2804
【概要】
自動車事故を原因として「脳」、「脊髄」または「胸腹部臓器」に重度の後遺障がいが残り、日常生活において「常時」または「随時」の介護が必要な方に、「独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)」から介護料が支給される。
【対象者】
(1)自賠責保険等において後遺障害等級が認定されている方
自賠責施行令の後遺障害等級(平成14年4月1日以降の事故の場合)別表第1(第1級1号又は2号、第2級1号又は2号)など
(2)自損事故等により自賠責保険等による後遺障害等級の認定を受けていない方(後遺障害認定通知書を紛失された方を含む)であって、次の要件をすべて満たす方
1)自賠責保険等の後遺障害等級と同程度の障がいを受けたと認められる方
2)事故後18ヵ月以上が経過し症状が固定したと認められる方
※ただし、支給制限があります。詳しくは窓口まで。
【対象費用】
(1)訪問看護等在宅介護サービス
(2)介護用品の購入等(修理も含む)
(3)消耗品の購入
(4)短期入院・入所費用の助成((1)から(3))とは別に支給
<参考資料>独立行政法人自動車事故対策機構HP(外部サイトを別ウインドウで開きます)
このページの作成所属
福祉部 障がい者自立相談支援センター 身体障がい者支援課
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