高次脳機能障がい支援ハンドブック 第一編 高次脳機能障がいについての理解

更新日:平成31年4月2日

第1章 高次脳機能障がいとは

 脳の機能を大きく二つに分けて、生命維持に関わる基礎的な生理学的機能(血液の流れの速度、呼吸や体温の調整、覚醒(巻末参照)リズム、運動調整等)と、注意・感情・記憶・行動などの高度な脳の働きとされる高次の脳機能として考えることもある。高次脳機能障がいと呼ばれる障がいは、高次の脳機能を司る部位が主に損傷されることによって生じるとされる。

 1.主な原因
 2.脳の各部位のはたらき
 3.診断基準
 4.主な症状

 【コラム】代償手段(外的補助手段)の代表例

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1.主な原因

脳血管起因のもの(脳血管障害)

  脳梗塞:脳の血管が詰まり、血流が途絶えた結果、酸素や栄養が届かず脳が壊死に至る。
  脳出血:頭蓋内に出血を起こし脳の機能を損なう。

外傷(交通事故など)によるもの

  交通事故、転落などの不慮の事故、スポーツ事故などにより、頭部に急激な外力がはたらき、脳が損傷する。

  びまん性軸索損傷:外傷による脳損傷のうち、明らかな局所の巣症状(巻末参照)()ないものの、高次の脳機能が損傷されたときに表に表れる症状を示すもの。
  神経軸索が損傷していると考えられるが、通常の画像診断では変化が描出されない場合が少なくない。

その他の疾患によるもの

  脳炎などの感染症や脳腫瘍、低酸素脳症やアルコールなどの中毒等による脳の損傷もある。

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2.脳の各部位のはたらき

 脳はその部位によりそれぞれ異なった機能を分担しているため、脳損傷に際しては、損傷を受けた部位のもつ特定の機能が損なわれやすい。このため、損傷部位の確認によって症状を推測したり、症状によって損傷部位を推測することが可能な場合がある。
 しかしまた、特定の機能を持つ部位と異なった部位の損傷でも、その特定部位と同じような障がいを呈することもある。脳の各部位は相互に複雑につながっていることが多く、一か所に生じた損傷がこのネットワークを介して、他部位にも影響を及ぼすことがあるためと考えられている。

脳の各部位のはたらき

脳の各部位のはたらき大阪府『高次脳機能障害の理解のために 事故や病気の後でこんな症状はありませんか』2007より引用

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3.診断基準

 「高次脳機能障がい」という用語は、学術的には脳損傷に起因する神経心理学的症状全般を指し、認知障がいのほか失語・失行・失認など単独の巣症状(巻末参照)も含まれた概念である。平成13年度に開始された国の高次脳機能障がい支援モデル事業では、記憶障がい・注意障がい・遂行機能障がい・社会的行動障がいなどの認知障がいを主たる要因として日常生活及び社会生活への適応が困難な人が少なくないことが確認された。
 これらの人の福祉サービスの利用や支援施策を推進するために、このような人々の持つ認知障がいを指して、行政的に「高次脳機能障がい」と呼ばれるようになったが、医療関係者と円滑な連携を行うためにも、両者を区別して理解しておく必要がある。


高次脳機能障がいの診断基準

【1主要症状等】
(1)脳の器質的病変(巻末参照)の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。
(2)現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障がい、注意障がい、遂行機能障がい、社会的行動障がいなどの認知障がいである。

【2検査所見】
MRI、CT、脳波などにより認知障がいの原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。

【3除外項目】
(1)脳の器質的病変に基づく認知障がいのうち身体障がいとして認定可能である症状を有するが上記主要症状(1−(2))を欠く者は除外する。
(2)診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。
(3)先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障がい、進行性疾患を原因とするものは除外する。

【4診断】
(1)1から3をすべて満たした場合に高次脳機能障がいと診断する。
(2)高次脳機能障がいの診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。
(3)神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。


なお、診断基準の1と3を満たす一方で、2の検査所見で脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、慎重な評価により高次脳機能障がい者として診断されることがあり得る。また、この診断については今後の医学・医療の発展を踏まえ、適時、見直しを行うことが適当である。

 厚生労働省社会・援護局保健福祉部 国立障害者リハビリテーションセンター『高次脳機能障害者支援の手引き(改訂第2版)』2008より引用 

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4.主な症状

記憶障害

新しい情報を覚え、それを保持し、必要な時に引き出せなくなることをいう。事故や病気以降に経験した出来事の記憶や、新しいことの学習が難しくなることが多い。しかし、事故や病気以前の記憶の喪失、特にエピソードや体験に関する記憶が障がいされる場合もある。


【症 状】
・人の名前や顔が覚えられない。
・その日の予定を思い出せない。
・道を覚えられず迷う。
・人との約束を守れない。
・同じことを何度も聞いたり話したりする。
・時間がたつと忘れやすくなるが、数秒前など直前の記憶は比較的保たれていることが多い。
・時間が少し空いたり、注意がそれた後は、思い出すことが難しくなる。
・暗記するよりも、経験した記憶の方が保たれやすい。
・記憶の方法(聞いて覚える、見て覚える)によって、記憶のしやすさが異なる場合がある。
・記憶の欠落部分を無意識に補おうとして、事実とは異なる事柄を話す場合がある(作話)。

【対 応】
・スケジュール管理に、外的補助手段(携帯電話・カレンダー・メモ等)を活用する(コラム「代償手段(外的補助手段)の代表例」参照)。
・その日にあった出来事、重要な事柄を、記録しておく。
・繰り返し同じ経験を積めるようにする。
・繰り返し同じ情報を伝えるようにする。
・一回に伝える情報は、少なく(短く)、わかりやすいものにする。
・記憶の方法(聞いて覚える、見て覚える)のうち、どちらが記憶しやすいのかを把握し、その方法を用いて情報を伝えるようにする。

注意障がい

物や人に注意を向け、集中し、それを維持することができなくなることをいう。注意は意識状態(=覚醒(巻末参照))や易疲労性、意欲・発動性と深く関連しており影響を受けやすい。

後述の神経心理ピラミッド(『7.神経心理ピラミッド』参照)より、注意はピラミッドの土台部分との関連性が深く、上段を積み上げる上で重要な役割(基礎)を担っているといえる。

【症 状】
・気が散りやすく、注意散漫になる。
・ぼんやりしていて、反応が鈍い。
・集中力に欠け、集中力を持続できない。
・作業を行うスピードが遅く、時間がかかる。
・ミスをしやすく、自分でミスしたことに気づきにくい。
・一つの物事に固執してしまい、他のことにとりかかれない。
・同時に二つ以上のことができない(話をしながら作業をする等)。

【対 応】
・まわりの環境の刺激を減らす(なるべく静かな環境にする)。
・集中できる時間内に作業を終え、休息をとるようにする。 
・ミスがないかどうか、確認することを習慣づけする。
・一度に二つ以上の作業を行わないようにする(一つ一つ作業を行う)。
・一回に伝える情報は、少なく(短く)、わかりやすいものにする。

遂行機能障がい

物事を計画し、それを実際の行動に移す過程の障がいである。論理的に考えることや、問題を解決すること、推察することが難しくなる。

【症 状】
・見通しを立てられず、一つ一つ指示しなければ行動できない。
・自ら行動を開始できない。
・予期せぬ出来事が起きると、混乱してしまい、行動が止まってしまう。
・物事の優先順位が決められない。
・要点を絞り込むことが難しい。
・物事を段取りよく進めることができない(柔軟性が乏しく、効率よく対応できない)。
・必要に応じて誤りを修正し、計画を変更することができない。

【対 応】
・あいまいな指示は避け、具体的でわかりやすく伝える。
・見通しを明確に伝える(いつ・どこで・誰が・何を・どのように行うか)。
・作業を一つずつ書き出してリストにまとめ、一つ終えてから次にとりかかれるようにする。
・頻繁に立ち止まり、その都度確認してもらう。
・混乱して修正しづらくなったら、作業を中断し、他者の助けを求めるよう伝える。


コラム「代償手段(外的補助手段)の代表例」

 

メモリーノート

 障がいを補うツール(代償手段)はさまざまあるが、記憶障がい(予定や出来事を忘れてしまう)や遂行機能障がい(効率よくものごとをこなせない、手順がわからなくなる)を補うもののひとつとしてノートなどの紙媒体の利用があげられる。代表的なものとしては予定を記入するためのスケジュール帳(月ごと・週ごと・日ごとのスケジュール)や記録メモ(実際におこなった事柄の記録)、そして自由メモ(内容は様々考えられるが、スケジュール以外の忘れてはいけない重要な事柄など)などがあげられる。その内容を見てわかるように、何か特別なものがあるわけではなく、一般に日々の生活管理に利用されるようなツールである。そして、支援者と情報共有できるということでも大きな意味を持つ。高次脳機能障がいがあると、それらを適切に利用することが難しいため、各自に適した様式を作成・選択したり、記入・参照するための訓練を行ったりすることが必要となる。
 このように高次脳機能障がいの代償手段として利用されるノート全般を「メモリーノート」と呼ぶ(資料『メモリーノート様式例』参照)。導入や訓練、使い続けるための工夫、ノートの様式の選定などについては画一的に行うのではなく“その人にあった”形で行うことが重要である。

IT機器

 メモリーノートは紙のノートの利用を想定するが、携帯電話やスマートフォン、タブレット型パソコンなどのIT機器を代償手段として利用することもできる。IT機器でも予定や記録、メモとしての機能が想定されるが、IT機器ならではの使い方として、予定管理のためのアラームの利用や記憶を補うためのボイスメモ・カメラなどの利用が考えられる。

掲示型のツールなど

 ツールを常に携帯する意味では、メモリーノートやIT機器の利用が望ましいものの、「ホワイトボード」「カレンダー」といった掲示型のツールも日常生活においては利用がしやすいと言える。また、「付箋」「地図」「手順書」など、必要に応じて、さまざまな形でのツールを考え、利用することが生活のしやすさにつながる。

 

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社会的行動障がい

 社会的行動障がいに関しては、さまざまな症状があり、ひとくくりにはできないが、社会参加の阻害要因になりやすい、対人場面でトラブルにつながりやすい、特定の検査で検出することが難しく元々の性格として誤解されやすいといった特徴がある。また、他の認知障がい(記憶障がいや注意障がい、遂行機能障がいなど)や周囲の環境が要因となって社会的行動障がいとして現れることもある(例:注意障がいのため、周囲の物音が気になり、イライラ感が増して怒ってしまうなど)。そこで、対応にあたっては行動の観察・記録・分析を行い、要因を特定することが重要である。その上で、対応を含めた支援法の検討を行う。
 また、対応の基本として、「安心できる環境を設定する」「一貫した支援態度を示す」「適応的な考え方や行動を習得できるように働きかける」といったことがあげられる。また、“各症状は本人の努力不足や性格に起因しているわけではなく、脳損傷の結果生じているものである”ことを理解し、本人の現在の状態を受け止め、サポートする気持ちが非常に重要である。

【症 状】
・すぐ他人を頼るようなそぶりを示したり、年齢よりも幼い態度を取ったりする(依存性・退行)。
・自身の欲求に従って行動する(例えば、食べたいと思ったら目の前にあるものすべて食べてしまうなど)(欲求コントロール低下)。
・感情をうまく抑制することができず、些細な出来事に対して急に怒りだす(感情コントロール低下)。
・状況を理解したり、相手の考えていることを察したり共感したりすることが難しくなる(対人技能拙劣)。
・一つのものごとにこだわって、簡単に気持ちを切り替えられない(固執性)。
・周囲に無関心で、他者に指示されないと動けず、自発的な行動が見られない(意欲・発動性の低下)。
・些細なことで泣いたり、笑ったりして止まらなくなることがある(感情失禁)。

【対 応】
・「らしさ」(「大人らしさ」など)がどういったものかを伝える。
・ルール化する。
・他のことに目が向くような対応をする。
・怒りを落ち着かせるため、話題や場所を切り替える。
・「怒ったら損である」ことをあらかじめ伝える。
・状況を理解できるように、具体的に伝える。
・こだわりの範囲をルール化したり、約束事を決めておいたりする。
・意欲を持てるようなきっかけを作ったり、関わりを持ったりする。
・周囲はむやみに反応せず、冷静に対応する。

コミュニケーション障がい

失語症

 言語を習得した後に、脳の中の「言葉をつかさどる部分」が病気や事故のために損傷されることによって起こる言語障がいである。「聞く、話す、読む、書く」の全てが障がいされる。また、重症度によりその症状は様々である。

【症 状】
・言いたいことは頭の中にあるのに言葉が出てこない。
・言い間違いをする。
・言われたことの内容が理解できない。
・文字が理解できない。
・文字が書けない。

【対 応】
・できるだけ静かな場所で、一対一で話す。
・短い文章で、ゆっくり、はっきり話す。
・具体的な言葉や実物を見せながら、または内容を文字に書いて見せながら話す。
・仮名文字より漢字のほうが理解しやすい場合が多いため、文字を書いて見せるときには漢字を使う。
・聞き返しが多い場合でも、言葉が理解しにくいためであり、聴力が低下しているわけではないことを理解する。
・一つ一つの内容を確認しながら話をすすめる。
・話を途中で遮ったり、急かしたりせずにゆっくり時間をかけて聞く。

高次脳機能障がいに伴うコミュニケーション障がい

 失語症のような明らかな言語機能の障がいを認めないにも関わらず、高次脳機能障がいの症状により、社会的な関わりの中で以下のようなコミュニケーションの問題が生じることがある。

【症 状】
・指示語が多いため具体的に伝わらず、発話量の割に内容が伝わりにくい。
・抑制がきかず、自分の関心のままに一方的に話し続けてしまう。
・やりとりの中で話が逸れてしまい、何の話をしていたかわからなくなってしまう。
・要点をまとめて伝えることができない。
・相手の細かい言い回しを気にする。
・自己判断で勝手な解釈をし、偏った受け取り方をするため誤解が生じる。

【対 応】
・聞き手側が一つ一つ内容を確認しながら聞く。
・本人の話にまとまりがなくなったら、話を戻すようにする。
・聞き手側が理解できたことを書いて見せながら、話題の整理をする。
・抽象的な話は理解しにくいため、具体的に伝える。

失 行

 身体に麻痺などの運動障がいがないにも関わらず、いつもできていた行動がうまくできなくなることをいう。

【症 状】
・フォークを逆さまに持ち食べる。
・着替える方法がわからず混乱してしまう。
・歯ブラシの使用方法がわからず、唇をブラッシングする。

【対 応】
・歯を磨く等の日常的な事が困難な場合、介助者が手を添える等で誘導し、正しい動作を繰り返し行い、再獲得できるように関わる。
・物の置く位置をわかりやすくしたり、物を簡単に使える様に(ズボンの前後がわかるように目印を付ける等)工夫し、環境を整える。
・本人の混乱や自信喪失を防ぐために、介助者は本人の状況を慮り、間違いを過度に指摘し修正するのでなく、できた事を褒めゆっくりと関わる。

失 認

(1)見たり、聞いたり、触ったりというそれぞれの感覚で、それが何であるかがわからない、
(2)自分の体の部位がわからなくなる、等がある。

【症 状】
・ハサミを見てもそれが何であるかわからないが、触るとハサミとわかる。
・麻痺のある手足が自分の体の一部であるという認識が薄い、あるいは他人の手足と主張する。

【対 応】
・障がいされていない感覚を用いて、それが何であるかを確認する様に関わる。例えば目で見てわからない場合、手で触って動かしてみると何かがわかることがある。
・体を認識できるよう、本人自身で体を見たり触れたり、体を動かし使用する機会を作る。

半側空間無視

 見えているはずなのに、片側(損傷した脳半球の反対側)の空間に対して、気がつかない状態をいう。右脳半球損傷により、左側に起きることが多い。

【症 状】
・気づきやすい側のみに、首が向いている(右側を向いていることが多い)。
・食卓の片側にある皿に気づかず、食べようとしない。
・車椅子をこぐ際、片側の物や壁にぶつかる。
・体の片側を洗い残す。
・片側の袖を、きちんと通せていないことに気づかない。

【対 応】
・反応しやすい側から、話しかけるようにする。
・テレビ等の生活用品は、気づきやすい側に置くようにする。
・気づきやすくするために、目印をつけたりする。
・気づかないことに対して、自覚を促し、注意を向けてもらう。

その他の症状

病識欠如(自己認識の低下)

 自身に障がいがあることに気付かなかったり、症状を十分に理解ができていなかったりする状態を言う。高次脳機能障がいは周囲からだけでなく、自身からも障がいが見えにくい・理解しにくいと言われている。
 病識が欠如したり、自己認識が低下したりしていると、本来必要な支援や訓練を受けることが難しくなり、同じ失敗を繰り返してしまうなど、さまざまな問題が生じる可能性がある。そのため、体験的に自身の状況を理解できるような場を設定したり、直接フィードバックをしたりして、本人に障がいがあることに気づいてもらうことが重要になる。また、他の当事者の状況を参考にしてもらいやすいグループ訓練への参加も有効である。一方で、自身の障がいに気付くということは、本人がショックを受けたり、ストレスフルな状況に陥ったりすることにもつながる。そこで、気づきを促す際には、本人の傷ついた気持ちを受け止めると同時に、「出来なくなった部分をどう補うか」といった具体的な対処法を考えたり、本人の得意な能力やいいところを伝える“ポジティブな行動支援”を行ったりすることも大切である。

易疲労性(疲れやすさ)

 脳損傷後は脳の疲労を起こしやすくなっており、認知的・精神的・身体的にも疲れやすくなることが多く、これを易疲労性と呼ぶ。そして、脳が疲れると、例えば集中が続きにくくなる、覚えにくくなる、イライラしやすくなるといった症状が見られる。こういった疲れについては本人が気づかないことも多いため、周囲が疲れのサインを指摘することも必要になる。そして、こまめに休憩を取ったり、あらかじめ疲れに配慮した活動のスケジュールを立てたりといったことで対応していく。また、周囲からは「やる気がない」など意欲の問題や努力不足と勘違いされることも多いため、周囲が理解することも重要と言える。

抑うつなど

 脳損傷後、気持ちが落ち込んだり、何もやる気がおこらなくなったりするなどの抑うつ状態になる人は多いと言われている。脳損傷後の失敗体験・自身の変化を受け入れられないことが原因になったり、サポートの少なさ・人間関係が上手くいかない事などの社会的要因が関連していたりするという報告もある。状態によっては精神科などで薬物療法や心理療法を受けることが必要になる。また、社会的要因が問題となっている場合、支援者は社会的なサポートを調整することも求められる。その他、不安障がいや睡眠障がいなどの症状が出ることもあるため、抑うつと同様、状態像に応じて精神科などで専門的支援を受けることを要する。


TBI−31(資料『TBI−31「脳外傷者の認知−行動障がい尺度」質問用紙』参照
(神奈川県総合リハビリテーションセンター・吉備国際大学臨床心理学研究科)
脳外傷者の生活を観察することで、生活での不適応行動の程度(疲労・健忘性・情動コントロール等)を評価する。対象者の日常の様子をよく知っている人が質問用紙に回答するが、さらに本人も質問用紙に回答することで、病識等を探ることもできる。

ダウンロードはこちらから 神奈川県総合リハビリテーションセンター(外部サイト)


 高次脳機能障害の各症状は独立したものではなく、相互に影響しあっている。神経心理ピラミッド(第2章『7.神経心理ピラミッド』参照)を参考にすると理解しやすい。
たとえば、基礎レベルに位置する注意障がいは高次レベルに位置する記憶障がいや遂行機能障がいに影響を与えやすい。

第1章終わりの挿絵

このページの作成所属
福祉部 障がい者自立相談支援センター 身体障がい者支援課

ここまで本文です。