集団生活ではルールが大切だね <仲間とともに育ち合う>

更新日:2012年7月12日

(3)集団生活ではルールが大切だね <仲間とともに育ち合う>

単元名
  ○「なにをしているの」(人権教育読本小学校低学年用『ひと いのち』)
  ○「ころころ ころころ」〈紙芝居〉(道徳『未来を切り拓く心を育てるために(低学年用)』府教育委員会、平成14年3月)
観 点
  ◎規範意識、 ○共に生きる ○自己肯定感、○善悪の判断 ○コミュニケーション力
ねらい
  ○ 日常生活における身近な出来事を取り上げ、集団生活をするためにはルールが必要なこと、それによってお互いが安心して生活できることに気づく。こうして、きまりを大切にして生活しようとする習慣や態度を養う。
  ○ 友だちとトラブルが起きる背景には、自分の思いを表現したり相手の思いを受け入れることがうまくできないことが多い。仲間と一緒に協力して取り組むことをじっくり積み重ねていくことで、お互いの存在を大切にすることや集団のルールを作り出し、それを大切にすることを身につける。
  ○ 展開例1では絵を、展開例2では紙芝居を使って、日々の生活の中で自分の行動をふり返りながら、よいこと・悪いことを判断する力や、約束やきまりを大切にする態度を育てる。

展開例1
「なにをしているの」

学習活動指導者の働きかけ・留意点予想される反応
1 『なにをしているの』を見て、気づいたことについて話し合う。
○「なにをしているところか、お話をしてください。」
○「いいのかなと思うことは、ありますか。」
○まちの中には、さまざまな人がいることに気づかせることもできる。
○いいのかなと思う箇所に、マークをつけさせ、グループで話し合う。
○どうしてなのかについても、聞いていく。
○よいと思うことについては、整理した上で出す。
○まちの中には、みんなが安心して暮らせるためにきまりがあることを気づくようにする。
・車いすに乗っている人がいる。
・道路で遊ぶのは、危ない。
・ゴミを捨てている。
・屋上で遊んでる。
・信号をわたるのを手伝っている。
2家庭や学校のきまりについて考え、自分の生活を振り返って、行動につなげる。
○「家庭や学校には、どんなきまりがありますか。」
○「きまりを守ってよかったこと、きまりを守れなくて困ったことはありませんか。」
○「もっとこうしたらいいということはないですか。」
○きまりがなかったら、どうなるのかを考えさせる。
○これからの生活に生かせるように助言する。
○生活の中で困っていることを出し合い、自分たちでルールを作っていく。
○困っている子のきもちを知り、みんなで解決しながら、お互いが気持ちよく集団生活を送れるためにルールを自分たちで作ったり変えたりすることを経験していく。
・道路でキックボードしたことある。危ない。
・パパはタバコを吸う時、袋を持って行って入れて捨てたよ。
・ドッジボールをいつもAちゃんが持っていくから、ジャンケンで決めたらいいと思う。

<指導上の工夫>
○ 家庭のきまりを出し合うにあたっては、事前に家庭にあるきまりについて、聞き取らせておくとよい。
○ 発表の際には、拡大した絵を準備して、掲示しておくと、発表しやすい。
○ 自分の生活を振り返るにあたっては、関連した作文や日記を取り上げるのもよい。
○ 絵の中の一場面について、指導者と子ども、子どもどうしのロールプレイを取り入れることもできる。

展開例2
「ころころ ころころ」
学習活動指導者の働きかけ・留意点予想される反応
1紙芝居の登場人物の紹介○ぽんちゃん(たぬき)・こんちゃん(きつね)どんちゃん(くま)の絵を提示する。
○困った顔のどんちゃんに気づかせ、話の内容への関心を高める。
 
2紙芝居『ころころ ころころ』
(1)から(4)をきく
○3人の住んでいる所を黒板に板書する。  
3ぽんちゃん・こんちゃんの行動について考える○何気ない気持ちで空きビンを蹴った2人の気持ちに気づかせる。
○空き缶を蹴った経験があるか尋ねる。
・おもしろそう
・何も考えていない
・じゃまだなあ
4紙芝居(5) 空き瓶や空き缶がどうなるのか予想する
○ふもとに転がっていく空き瓶は、どんちゃんの所へ行くことを予想させる。
・下に転がっていく
・どんちゃんに当たるかも……
5紙芝居(6)(7) 3人の気持ちを考える 
 (7)の続きをかいてみる
○3人の顔の表情に注目させ、どんちゃんの気持ちを考える。
○どんちゃんの立場になって考える。
 トラブルになる場合→イヤなことはきちんと言うこと
○「自分だったら、ちゃんと言えるかな。」
・いやだな
・ぼくは捨ててないのに……
・なんでこんなことするん!
絵:(ケンカになる)
(あやまる)
6紙芝居(8) 3人が話したことを考える
 ワークシート(9)に登場人物になって考えたことを書かせる
 解決方法を発表する
○(7)→(8)の表情の違いから3人がどのような解決方法を見つけたのか考える。
○ぽんちゃん・こんちゃんの気づいたことや思ったことを考えさせる。
○解決方法だけを取り上げるのではなく、その解決方法だとなぜよいのか、みんなはどんな気持ちになるのかをていねいに考えさせる。
・こんなになるとは、どんちゃんごめんね
・ごみをみんなで片づけよう
・道にごみを落とさないようにしよう
・山を掃除しよう
7みんなの生活で似たようなことはないか考える
   



取組例(小学校)

「ころころころころ」 
仲良くなってよかった
<子どもの反応より>

「どんちゃんに怒られて2人は寂しかったと思うけど、最後はみんなでゴミを片づけて家がきれいになってよかったと思います。みんな仲良くなってよかった。」

「なにをしているの」
ふだんからの話し合いが大切!
○ 子どもたちのお話で盛り上がり、グループで話し合う時間が少なくなった。
○ グループ活動では、掲示した拡大した絵だけで話し合ったので、意見が出にくかった。本を見ながらの方がいい。
○ 前に来て、見ながら自由に話し合っていたが、障害者のことに話がつながっていった。
○ グループで話し合ったことを出やすくするには、日頃からクラスで話し合う経験が必要だと感じた。
確認できた、「いじめはイヤ」
<子どもの反応より>

 「男の子がつねっている。いじめてる。ケンカとは思えない。」という意見があり「いじめはケンカとどう違うの」と聞いてみた。すると「いじめは何もしていないのに何かする。一人が暴力をふるっている。」「ケンカはどっちもするが、いじめはどっちかだけ」と。
 いじめに対する意識は敏感で、だれもがいじめのないクラスにしたいと願っているのが確認できた。

取組例(幼稚園)
サッカー遊びを通してルールの大切さを
 4歳児はボール遊びや体を動かす楽しさを味わう、5歳児は友だちと協力してルールを守って遊びを進めていく楽しさを味わうということをねらいに取り組んでいる。
 「○○くんズルいで、横入りして。ぼくが一番やで!」「後ろ並びや!」など時々先頭の取り合いをするが、周りの友だちも中に入り、解決しようとしている。みんなで試合を進めていく上でルールがあり守ることが必要だと体で会得してきた。
 ボールをこわがってなかなかけれないA児に対しては、ゲーム中に必ず1回はボールを回して、けるまで待ってあげるというルールをみんなでつくった。
 終わった後は、自分の使ったゼッケンをたたんで直しながら「しんどかったけど今日勝ってよかったわ」と振り返っている。また、試合に負けた時悔しくて涙した感情体験が、逆に友だちが同じ思いをしている時、その気持ちに気づき励ましの言葉をかけてあげられる心の育成につながってきている。

『かっちゃんワニになる』の絵本から
 “仲間はずれにされたかっちゃんが段ボールのワニを作りみんなを食べてしまい、その遊びが面白くて仲直りをする”、というスリルとユーモアのあるお話である。“みんながワニに食べられビリッと破れて出てくる”場面が面白く、息を止めて見入り、みんなで「ビリッ」と言いながらゲラゲラ笑っていた姿が、少しずつ変容してきた。
 かっちゃんがみんなに「あかん、入れたれへん」と言われると、「かわいそう」とつぶやく声。「そんなんしたらあかんやんなあ」と横の子どもにそっと同意を求める子。お話の中に入り、自分のことのように感じている。
 遊びの一コマにも、「入れてって言わなあかん」「仲間はずれはあかん」「みんな一緒やねんで」とお話の世界が拡がり、子どもの生活にも浸透していることがうかがえた。(4歳児)

取組例(幼稚園)
パネルシアターで考えた、きまりや約束事!
○「生きる力を育てる」をテーマに話し合ったが、生活リズムが乱れ、きまりを守れずけじめのない子が多くなっている、ということで、基本的生活習慣の確立が園生活で一番大切では、となった。
手作り教材 パネルシアターで訴えよう。
 3歳児:トイレの使い方、4歳児:片づけの仕方、5歳児:集団の中でのきまりや約束事を知る。
『ケロケロようちえんのお友だち』
 5歳児は、1学期、「自分が先に……」という姿が目立ち、トラブルもよく起きていた。ここでは、スベリ台・ボール遊び・ブランコをとりあげた。
子どもたちの声
 「あぶないなあ」「順番かわってないで」「そんなことしたらあかん」などの声が上がった。
「そんなことしたらガマちゃんと一緒やで」
 (※ガマちゃんはパネルシアターの登場人物)
 数日後スベリ台で遊んでいる時に通せんぼをした子がいた。それを見ていた子の一言にみんな「ほんまやなぁ」とにっこり。また仲良く遊びだした。子どもたちの心のどこかに感動や思いが残っていて表現されたのだろう。
生活や遊びの中で経験を積み重ねて
 一過性のもので終わるのではなく、積み重ねの中で自然と身につき、それが確かな自信や次への原動力となり、内面も豊かに育つようになれば、と願っている。

忍者ごっこのとりくみを通して
<仲間と共に育ち合う子をめざして>
1.子どもの実態が“忍者”を生んだ!
 子どもたちは、殴る蹴る泣く等のけんかが多く、遊びに対してもじっくりと遊び込めない実態があった。その背景には「自分の思いを素直に表現できない」「相手の思いを受け入れられない」「友だちと共通のイメージがもてない」「言葉のやりとりの弱さ」等の課題が横たわっていた。その裏には「自分の思いを受けとめてもらえた」という経験が少なく、自分自身への自信のなさがあった。
 子どもたちの意欲を引き出すためにどうすればいいか?そう悩んでいたある日、忍者体操を行った。「忍者歩き」「忍法○○の術」と声をかけると忍者になりきって身体を動かす姿が見られた。修行を積んだ人並みはずれた能力をもつ忍者はあこがれの存在だった。ここから「忍者ごっこ」のドラマが始まった。
2.「忍者ごっこ」4つの視点
 (1)チャレンジする意欲を育てる
 (2)仲間と一緒にチャレンジする
 (3)長期にわたって継続的なものにする
 (4)地域の人との出会いをつくる
3.“巻物”に込められた願い
 忍者から次々に届く巻物には、忍者になるための修行が書かれてある。
 ・保育所の子と一緒に手をつないで遠くの神社まで歩く修行
 ・ケナフのクッキーづくりの修行
 ・ケナフの紙を作り、それで自分の巻物を作る修行
 幼稚園では、栽培したケナフで紙やクッキーを作っている地域の障害者の人たちと日常的に交流をしている。子どもたちは忍者修行の中でそれらを教えてもらい、さらに交流を深めた。
 巻物にはつねに次のような言葉がある。これらはすべて指導者の願いでもある。
 ・仲間を大切にする
 ・いろんなことに挑戦すること
 ・仲間と力を合わせること
 ・朝ごはんをしっかり食べること
 ・友だちとよく遊び、本もたくさん見ること
 ・できなくても「やってみよう」とすること
4.親と子をつなぐ自分の“巻物”
 最後に子どもたちは自分で巻物を作ることになった。「私の得意技」と称して、さまざまなことにチャレンジして出来るようになった技も書き込んだ。そんな子どもたちの1年間の成長に対して保護者からもメッセージを書き込んでもらった。

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このページの作成所属
教育庁 人権教育企画課 人権教育グループ

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