No | 展開例 (タイトル) | 教材名 | 9つの観点 | ||||||||
自 己 肯 定 感 | 生 命 の 尊 重 | 善 悪 の 判 断 | 思 い や り | コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 力 | 共 に 生 き る | 規 範 意 識 | 権 利 と 責 任 | 社 会 貢 献 | |||
1 | 自分が好き から生まれてきてよかった | (1)友だちのいいところさがし (2)こんなに大きくなったよ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ||||
2 | 高齢者への思いやり から自分たちにできること | (1)「おばあちゃんがいるといいのにな」 (2)自分たちにできることをしよう | ○ | ○ | ◎ | ○ | ○ | ◎ | |||
3 | 集団生活ではルールが大切だね から仲間とともに育ち合う | (1)「なにをしているの」 (2)「ころころ ころころ」 | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ||||
4 | 家族の一員として自分に気づく から自分でするってきもちいい | (1)家での仕事を体験する (2)こうしたい・こうしよう(権利と責任) | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ||||
5 | 気持ちをわかることで から正しいことがきちんと言える | (1)どうしよう? (2)「とりあいジャンケン」 | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
6 | 自信をもってコミュニケーション から気持ち、わかる・言える | (1)牧場の動物からこんなとき何て言う? (2)町のコマーシャルづくり | ○ | ○ | ◎ | ○ |
(1)自分が好き<生まれてきてよかった>
単元名
○友だちのいいところさがし(特別活動、生活科)
○こんなに大きくなったよ(同)
観 点
◎自己肯定感 ○思いやり ◎生命の尊重 ○共に生きる ○コミュニケーション力
ねらい
○ 友だちと一緒にいることの心地よさを十分に味わう。子どもたちは、周りの大人や友だちから「誉められること」や「認められること」よりも「叱られること」「否定されること」の方が多くなりがちである。
そこで、展開例1では、積極的に自分のよさに気づいたり友だちのよさを見いだしたりする学習活動により、自己肯定感を高め、共に生きるための素地を培う。
○ 展開例2では、かけがえのない命に気づき、自分とともに他者や生きる者すべてに生命があることを知り、生命を大切に思うきもちを育てる。
展開例1
友だちのいいところさがし
学 習 活 動 | 指導者の働きかけ・留意点 | 予想される反応 |
1友だちの書いた「せんせいあのね」を紹介する。 ○「Aさんは、Bさんのどんなところがいいなあと思ったのでしょう。」 ○「言われたBさんの気持ちを聞いて見ましょう。」 ○「はっけんしたAさんの気持ちを聞いてみましょう。」 | ※「せんせいあのね」など生活日記を綴ることを、絵日記からはじめ、文字の学習の進行状況に合わせながら、継続的に位置づける。 ※「せんせいあのね」の内容は基本的には自由であるが、この学習につなげるために、事前に「友だち」という課題で書くように指示しておいてもいい。 ○自分が気づかない「自分のよさ」を、友だちが見つけてくれていたことが嬉しいことに気づかせる。 ○友だちの良さを見つけた自分自身にもよさがあることに気づくようにする。 | ・びっくりしたよ。 ・うれしい。ありがとう。 ・もっとがんばろうと思う。 ・私も友だちのよいところを教えたくなるよ。 ・Bさんが喜んでくれてうれしい。 ・私もいい気持ちになるよ。 |
2「いいなあはっけん」カードを班で発表する 今度はカードに自分で書く (「自分から自分へ」) | ※あらかじめお家の人に「いいなあはっけん」カードを書いてもらえるようにしておく。(家の人や先生が書いた「いいなあはっけん」カードを渡す。) | ・お母さんは私のことそんなふうに思ってくれてたんだね。 ・私の好きなことかくってうれしいね。 |
3「友だちはっけんクイズ」 「わたしはだれでしょう」 | ○グループを編成し、「いいなあはっけん」カードをもとに自分の特徴を発表し合い、互いのよさを知る。 ○自分のよいところを「いいなあはっけん」カードに書き、教室のコーナーに掲示する。 | ・私のことを当ててくれてドキドキしたけど、うれしかったよ。 ・はってもらってクラスにいるとホッとするね |
学習活動 | 指導者の働きかけ・留意点 | 予想される反応 |
1「こんなに大きくなったよ」、保護者や家族の人に聞いたことを発表する 「生まれた時」、小さいころのことを発表する *参観日にして、保護者にエピソードを言ってもらってもいい。 | ※あらかじめ保護者に「こんなに大きくなったよ」カードを書いてもらえるようにする。 ○それぞれの項目ごと(名前の由来、生まれるまで、等)に発表してもらう。 ○生まれたこと、命を大切にしたいという気持ちを育てる。 ○一人ひとりの名前、自分と友だちを大切にしようね、と語りかける。 ○みんなが発表を楽しめるようにする。 | ・名前のような子になりたいな。 ・つけてくれてありがとう。大事にするね ・お母さんはすごい大変な思いで生んでくれたんだね。 ・みんな私が生まれたことを喜んでくれてたんだ。 |
2「私のたから物」「家族との思い出」を書く | ○思い出せるように、話を聞く。 *(⇒図工で「たから物」を描いてもいい) | ・私を大切にしてくれてたんだね。 ・誕生日にもらったものを大事にしてるよ。 |
3 家に帰って、もっと話してみる | *⇒幼いころのアルバムやビデオを見直したり、まわりの人(祖父母にも)聞くようにすすめる。 | ・よくめんどうをみてもらっていたおばあちゃんにも聞いてみるね。 |
いいなあはっけん <おうちの人から> いいところ ここが好き できるようになったね <自分で> 好きなこと (○○を見るのが好き、聞く、味、におい、触る) わたしのきもち(感情) (うれしい時、悲しい時ホッとする時) たからもの |
こんなに大きくなったよ 写真 <おうちの人から> 名前をつけたわけ 生まれるまで 生まれた時のエピソード 赤ちゃんのころ 保育所・幼稚園のころ <自分で>私のたから物 かぞくとの思い出 |
取組例(小学校)
「こんなに大きくなったよ」
<参観後の保護者の感想>
○一人ひとりの名前の由来や、生まれた時のお話を伺いながら、みんながそれぞれの家族にとって大切なかけがえのない存在なんだなあ、と感激しました。
○今晩、家ではお風呂に入った後、赤ちゃんの頃のアルバムを出してきてお姉ちゃんとなつかしそうに見ていました。
○久しぶりに昔を思い出し、子育ての初心に戻していただきました。少し日頃の態度を反省しましたがすぐ忘れてしまいます。根本的には子どもを「愛している」という気持ちはあるのですが……。
「ただ生きてほしい、願いはそれだけなんです」に感動!
(オリジナル紙芝居「あかちゃんはどこからきたの」を見て、命の始まりのしくみを知った後、お母さんたちの話を聞いた。)
生まれながらに心臓に大きなハンディを背負い、何度もの大手術を乗り越えてきたAのことを、お母さんが子どもたちの前に立って話してくれた。
医師から心臓のことを告げられた時のショックや心配、何度もの手術を家族で乗り越えてきたこと、「おばちゃんは、勉強ができる子に育ってほしい、とかそんなんないんです。ただ生きてほしいって、願いはそれだけなんです。」というお母さんの言葉に、その場にいた教職員や保護者はもちろんのこと、子どもたち(1年生)も真剣な表情で聞き入っていた。
そしてAのことを通して、命(存在)そのものの大切さ、かけがえのなさを感じとってくれたようだった。このことをきっかけに、Aの体を常に気遣い、いたわり、思いやることのできるやさしい心を持った子どもたちに育っていることを、その後多くの場面を通して実感する。
Bさんもみんなもともに伸びていく
Bさんはとても明るい性格の子である。下肢に麻痺があり、生活する中で支援が必要であり、トイレや体育の時には教員が付き添っている。自分の思いを人に伝える時には、短く声を出したり、指をさしたりして表現するが、まわりの子どもはBさんの言うことがよくわかっている。
週2回のクラス遊びの時間は、もちろんみんなと一緒である。キックベースボールをしたとき、Bさんがちょこっと蹴ると、Cさんが手をつないで走る。その間にDさんがササッと一塁へ走って、つまり代走をしてセーフ。そんなことも、ともに生活する中で子どもたちが自然に考えて行動していった。子どもたちの柔軟さに感心した。
子どもも大人も自然に工夫して、それが楽しさにつながっていく。Bさんが友だちに抱きつくことで、Bさんも友だちもお互いが温かい気持ちになれる。そんな、Bさんもみんなもともに伸びていく関係を大事にしたい。
取組例(幼稚園)
おじいちゃん・おばあちゃん、いつまでも元気でね
高齢者福祉施設で劇遊び公演をしました。
初めて挑戦した演歌「ずんどこぶし(替え歌)」では、♪やさしいばあちゃん、いつまでも……げんきなじいちゃん、いつまでも……長生きしてねから♪と歌う子どもたちの可憐な姿に、笑顔いっぱいだったおばあちゃん達も次から次と目頭を押さえ、涙をぬぐったり……と、涙と喝采の感動シーンの連続でした。
障害のある人との交流 「いろんな人がいていいんだよ」
知的障害者の施設との交流は今年で3年目を迎えます。紅葉に囲まれた秋真っ盛りの学園の芝生広場で一緒に遊んだり落ち葉拾いや土手すべり……と、一日たっぷり遊びました。子どもたちの姿を見るや否やフェンス越しに大きく手を振り、笑顔いっぱいで迎え入れてくれ、それぞれに用意してくれたプレゼントをそっと子どもたちに手渡してくれたり、と大歓迎を受けました。
学園長さんは、子どもたちに「学園」の方々のことを、いつも自分に正直に一生懸命生きているし、とても優しくとてもきれいな心を持っている人達なんだよ」「世の中にはいろんな人がいていいんだよ」と優しい口調で話して下さいました。交流で、学園の方々の優しさ、偏見なしに一緒に遊ぶ子どもたちのすなおな心に教えられました。
集団の中で育ち合う子どもたち
良さを見つけ、気持ちを理解することで
入園当初、遊びを転々としていたE児は、三輪車なら長く遊び続けることができるようになったが、同じ色にこだわりがあり、よくトラブルが起こった。「Eちゃん、緑色しかイヤやねんて」とE児に代わり思いを代弁したり、E児には順番の大切さを知らせたりしながら、丁寧に言葉がけをしていった。
充実して遊ぶことから、かかわりが深まる
その年の後半には、E児は運動遊びで自分の力を発揮するようになり、長縄跳びは得意だった。順番を待っていた園児たちと一緒に「Eちゃん、すごい」と声をかけて認め合った。Eは友だちから認められ、一緒にする喜びから、友だちとのかかわりが自然に深まっていった。
認め合うことから、ともに生きる関係に
年長になったある日、E児が「片づけ、きらい」と言って、自分が出した遊具を放りっぱなしにして、一緒にしようと誘っても、一向にしようとしなかった。クラスのみんなでこのことを話し合ったが、E児がその気になるまでにはいかなかった。「どうしたらEちゃんが片づけをしようと思う気になるか、みんなで考えてみようね」と、解決を急がずに課題を投げかけた。すると翌日、E児と2人の園児が「私と一緒やったら、Eちゃん、片づけするって」と報告してくれた。「なあ、Eちゃん」と呼びかけられて、嬉しそうにうなずくE児だった。
自分に関心を示し、一緒にしようと言ってくれたことが嬉しく心地よかったので、気持ちを切り替えられたのだろう。友だちの言葉を何度も聞いてE児自身が一つひとつ納得して前に進もうとするのを、焦らず待つ姿勢が大切だと感じた。また、解決を急がなかったことで、周りの子どもの主体性や温かい関係にもつながったと思う。
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教育庁 人権教育企画課 人権教育グループ
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