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更新日:2009年7月10日

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教育委員会における取組

第3節 教育委員会及び学校における研修等の取組

学校における人権教育を推進・充実させていくに当たっては、これまで述べてきたように、学校としての組織的な取組や指導内容・方法の工夫等が必要になるが、こうした活動をより実のあるものにしていくためにも、教職員の研修や学校等に対する情報の発信・普及などの取組が重要となる。こうした取組が効果的になされることによって、教職員一人一人の実践や各学校の組織的な取組も、より力強いものになる。
教育委員会・学校・教職員は、これらの研修等の取組が、ひとえに児童生徒のためにあることを強く意識する必要がある。教職員においては、教育委員会や学校が実施する研修を積極的な態度で受講するとともに、教育委員会においては、学校におけるこれらの活動を支援するため、教育の実情を常に考慮した研修等の施策の実施に、総合的・計画的に取り組んでいく必要がある。

1.教育委員会における取組

各教育委員会は、人権教育・啓発推進法第5条に定める地方公共団体の責務を受け、学校等における人権教育を充実させていく上での重要な役割を担うこととなる。
各教育委員会においては、この法律や、この法律に基づき定められた国の基本計画等を踏まえつつ、人権教育の施策に関する基本的な方針や推進計画の策定、効果的な研修の実施、地域の実態に応じた優れた実践事例の紹介、人権教育の充実を通じ学校全体の改善につながった事例等についての情報提供、カリキュラムの作成等に関する実践的な研究とその成果の普及、家庭・地域、関係機関との連携や校種間の連携を推進する体制づくりなどの施策を総合的に推進することが求められる。また、これらの諸施策の実施状況や効果については、十分な検証等を行い、その改善を進めることが大切である。

(1)総合的かつ計画的な施策の推進と推進体制の整備

ア.施策の推進方針・計画の策定と推進体制の整備

各教育委員会は、施策推進の基本的な方針を策定し、それに基づき推進計画等をとりまとめることが肝要である。
基本的な方針の策定に当たっては、人権教育・啓発推進法や国の基本計画等を踏まえるとともに、全ての教育活動が、人権尊重の立場から着実に推進されるようにすること、一人一人が自分自身の課題として、人権尊重の理念について理解を深め、行動できるようにすることを、基本的な方向として示す必要がある。
また、推進計画の作成に当たっては、学習プログラムの開発、教材・資料の整備、効果的な教職員研修プログラムの策定等、推進すべき施策の内容・方法等に関する基本的な事項を定め、これを明示することが重要である。
さらに、人権教育の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育委員会内の関係各課及び知事・市町村長部局の関係各課との緊密な連携の下に、年度ごとの施策の重点を定めるとともに、各学校への支援や地域の関係機関等との連携のための仕組みを整備し、その推進体制の確立を図ることが大切である。

【参考】推進方針の視点
  1. 「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」に則り、「世界人権宣言」をはじめ、諸条約等を踏まえた推進の基本理念を示す。
  2. 一人一人が、人権尊重の理念について理解を深め、これを体得し、実践していくことができるよう、積極的かつ継続的な施策の方向性を示す。
  3. 「法の下の平等」、「個人の尊重」といった人権一般の普遍的な視点と各個別の人権課題の視点から内容等を示す。
  4. 域内における取組の進捗状況を的確に把握し、実態に応じた推進施策の策定に当たる。
  5. 家庭・地域社会、関係機関等との連携、校種間の連携を視野に入れる。
  6. 教育の中立性の確保に配慮する。
【参考】教育委員会が確立する推進体制の視点
  • 「地域等との連携」
    学校教育機関及び公民館等の社会教育機関、法務局・地方法務局、人権擁護委員等の人権擁護機関と連携を図り、地域社会の実態を踏まえた取組を推進する。
  • 「校種間の連携」
    各校区において、異なる学校種の学校が合同による研究協議会等を実施するなど、取組等の方針について共通理解を図りつつ、域内の人権教育を推進する。
  • 「各個別の人権課題への対応」
    各個別の人権課題に関係する知事・市町村長部局内の関係各課と連携を密にし、各人権課題の解決に向け、具体的施策の推進を図る。

イ.推進状況調査等の実施

各教育委員会が人権教育の推進に当たっての課題を明らかにし、適切な施策を講じていくため、また、各学校において人権教育の組織的・計画的な推進を図っていくためにも、各学校等における取組の進捗状況や効果について、的確に把握することが必要である。教育委員会においては、地域の実態に応じつつ、例えば、各学校等を対象にした推進状況調査などを実施することが望ましい。
推進状況調査等については、その取組を通じ、調査対象等となる各学校においても自らの活動の検証がなされ、次年度の計画立案へとつなげていけるようにすることが重要である。調査等の実施に当たっては、年度途中や年度末などの適切な時期を選んで行うとともに、全体結果がとりまとめられた後には、速やかにこれを周知し、各学校等における人権教育の充実に役立てることが求められる。

(2)人権教育に関する情報発信・普及

人権教育の活動を広め、充実させていく上で、教育委員会による情報の発信は大きな意味を持つ。その際、教育委員会からの一方的な発信ではなく、双方向の情報交流を進めていくことが重要である。教育委員会においては、学校や家庭、地域の意見等を幅広く聴き、その内容等を適切に評価した上で施策に反映させ、十分な説明を行っていくことが求められる。
なお、情報提供に当たり、個人情報やプライバシーの取扱いには細心の注意が必要である。

ア.学校への発信・普及

児童生徒への人権教育に直接携わる各学校に対し、教育委員会から積極的に情報を発信していくことは特に重要である。
学校等における優れた取組等を集め、事例集や指導資料として編集し、紙媒体やインターネットを通じて提供したり、教育センター等において人権をテーマとした研究やプログラムの開発等に取り組み、それらの成果を各学校に普及していくことなどが考えられる。また、文部科学省の指定による人権教育研究指定校及び人権教育総合推進地域等のほかに、各教育委員会においても地域の実態により即した形で研究指定を行い、それらの成果を研修等に活かしていくことも有効である。
なお、財団法人人権教育啓発推進センターでは、現在、人権教育・啓発のナショナルセンターとして、各地方公共団体等で作成した各種人権教育資料などを集積し、関係者において有効活用できるよう整備を進めている。各教育委員会において、フィールドワーク等の研修を実施したり、新たな人権教育資料を作成したりする際には、これらの情報を積極的に活用していくことも有効である。

【参考】学校への発信・普及の例
  1. 例えば個別的な人権課題や地域の特色を踏まえた学習課題等について、具体的な研究テーマを設定し、先進的な取組を推進している学校に委嘱して、カリキュラムや教材等の開発を行うとともに、その成果を域内の他校に普及する。
  2. 教員等によるグループ研究等を推奨し、特色ある実践等を進めている教員等のグループに研究(プロジェクト)を委嘱して、その成果を域内の学校に普及する
  3. 優れた実践例や指導案等を集め、実践事例集や学習プログラム集として編集・発刊し、各学校に配付して、その有効な活用を求める。
  4. 教育委員会が主催した研修会の内容や、視察訪問した先進的な学校の取組等に関する情報が広く教職員の間で共有されるよう、域内の各学校に情報提供する。

イ.家庭・地域への発信・普及

人権教育の取組を広めていくためには、各学校や教職員に向けた発信に止まらず、家庭・地域への情報発信を進めていくことも大切である。
特に、家庭や地域との双方向的な情報交流を進めつつ、効果的な発信を行っていけるよう、家庭や地域との多様な関わりに配慮することが必要であり、保護者や地域住民、関係機関等と連携した取組を継続的に維持していくことが、まず重要な鍵となる。
その上で、広報誌やパンフレットへの記事の掲載、各種イベント等における取組の紹介などを通じ、広く家庭・地域に向けた発信を行っていくことが望まれる。
また、家庭教育の担い手となる保護者等に対しては、様々な子育て支援策の中で、人権啓発の視点を含めつつ、積極的な発信を行っていくことも大切であり、例えば、幼児教育段階の子どもを持つ保護者向けには、命の大切さ、豊かな心情、道徳性の芽生え等、人権尊重の精神の芽生えを大切に育んでいくことをねらいとした資料などを、義務教育段階の保護者向けには、親子で共に人権について学ぶ内容を盛り込んだ資料などを作成・配付することも考えられる。

【参考】家庭・地域への発信・普及の例
  1. 広報誌等を発行するとともに、地域・家庭と情報の交換が行えるよう工夫する。例えば、広報誌に「人権コーナー」を設けたり、「人権教育通信」等の刊行物を定期的に発行し、各学校や地域の取組を紹介する。また、人権教育カレンダーの作成も考えられる。
  2. 例えば発達段階に即した「家庭教育の手引き」などの子育て支援に関する資料に人権に関わる内容を盛り込むなど、保護者向け資料を作成するとともに、その活用に当たっての留意点を示す。保護者会や市民講座等の機会においても、その資料の活用を図る。

(3)教職員を対象とした研修の実施

人権教育の推進のためには、効果的な研修が不可欠である。教育委員会においては、各学校における研修の充実に資するよう、学校訪問等を通じ日常的な支援を行うとともに、各種研修会を自ら主催するなどにより、教職員の人権意識と指導力の向上に努めていくことが求められる。

ア.研修における教育委員会の役割

現在、管理職研修、年次研修、人権教育担当者の研修、指導者の養成研修などの様々な研修の場において、人権教育に関わる研修が実施されている。
とりわけ、都道府県教育委員会においては、都道府県内全域において人権教育の一層の改善・充実が図られるようにする観点から、教職員自身が人権尊重の理念を正しく理解し、自らの人権意識の高揚を図れるような研修を企画・立案、運営することが大切である。
また、市町村教育委員会においては、都道府県教育委員会が主催する研修等の内容を踏まえ、市町村単位で人権教育担当者等を召集し、人権教育に視点を当てた授業研究を行うなど、地域の実態や特色により即した研修会を企画・立案、運営することが大切である。
さらに、管理職研修をはじめとした職種別の研修や、初任者研修をはじめとした年次研修など教育委員会が主催する各種研修の中にも、人権教育の視点が明確に位置付けられる必要がある。
こうした様々な研修の場を通じて、人権教育の基本的な考え方を学ぶための講座や、人権感覚を高めるためのワークショップなど、教職員の多様なニーズに応える研修機会が提供されることが望まれる。また、各学校や市町村・都道府県レベルの連携・分担も図りつつ、必要な研修機会を整備していく上では、教育委員会が、ライフステージに応じた教職員研修の総合的な計画を立て、主催の研修会等を実施していくことも有効である。
なお、人権教育に携わる教職員による自主的な研修・研究が行われている場合には、その趣旨や内容等について十分考慮し、人権教育の推進のために有意義であると判断できる場合には、これらの活動への支援を検討することも考えられる。

イ.人権尊重の理念の理解と研修を通じて身に付けたい資質や能力

学校における人権教育を進めていく上では、まず、教職員が人権尊重の理念について十分理解し、児童生徒が自らの大切さを認められていることを実感できるような環境づくりに努める必要がある。
もとより、教職員は、児童生徒に直接ふれあいながら指導を行うことで、その心身の成長発達を促進し、支援するという役割を担っている。「教師が変われば子どもも変わる」と言われるように、教職員の言動は、日々の教育活動の中で児童生徒の心身の発達や人間形成に大きな影響を及ぼし、豊かな人間性を育成する上でもきわめて重要な意味を持つ。
また、とりわけ人権教育においては、個々の児童生徒の大切さを強く自覚し、一人の人間として接するという教職員の姿勢そのものが、指導の重要要素となる。教職員の人権尊重の態度によって、児童生徒に安心感や自信を生むことにもなる。
だからこそ、教職員にあっては、児童生徒との相互の信頼関係の上に、愛情に満ちた人間関係を築くよう求められる。教職員が、仮にも自らの言動により児童生徒の人権を侵害することのないよう、常に意識して行動すべきことは当然である。
同時に、教職員同士の間でも、互いを尊重する態度は大切である。例えば、指導上の課題について相互に話し合い、共通理解を図ることができるような環境づくりに努めることが求められる。
これらを踏まえ、教職員においては、児童生徒の心の痛みに気付き、互いの人権が尊重されているかを判断できる確かな人権感覚を身に付けるよう、常に自己研鑽を積まなければならない。教育活動や日常の生活場面の中で、言動に潜む決めつけや偏見がないか、一人一人を大切にしているかを繰り返し点検し、自らの人権意識を絶えず見つめ直す必要がある。また、人権尊重の精神を基盤に、人間関係能力、コミュニケーション能力などを高めること、児童生徒理解を深め、理解に基づく適切な支援を実施できるよう、カウンセリングの技法など子どもへの働きかけを有効に行うための技法を身に付けることも期待される。
このほか、情報化の進展に伴う新たな人権課題の実態について知ること、IT関連の知識・技能を習得することなど、時代の変化への対応等のために必要となる能力を兼ね備えることも重要である。

ウ.効果的な研修の取組

以上を踏まえ、各教育委員は、人権教育に関する研修の機会の整備と内容の充実に努めていく必要がある。教育委員会における研修をより効果的に進めていくためには、次のような観点から取組の充実を図ることが望まれる。

(ア)内容別・目的別の研修
a.人権尊重の理念の基礎・基本の理解を図る研修

人権教育の視点から原点に立ち返り、子ども達の最も近くにいる大人の一人として、「教師」に求められる基本的な知識や態度、技能について、全ての教職員が繰り返し確認を行い、確実にこれを身に付けることが必要である。
例えば、子どもと接する態度、子どもへの共感的な理解や背景理解、集団づくりへの支援、学校での組織的な課題解決の手法、保護者や地域の人々と接する姿勢等については、人権尊重の理念を学校教育の中で実現するための基礎・基本として、習得を図ることが必要である。
教育委員会においては、このような観点から研修の充実を図るよう、例えば、各地方公共団体が作成した教職員向けの指導資料等を活用し、必要な研修機会を設けること等が考えられる。基本的な知識や態度、技能の理解・確認等が中心となるこれらの研修については、2から3時間をひとまとまりの講座ととらえる研修方法のほか、1回の内容を15分程度にまとめ、複数回にわたって行う連続講座として設定するなど、受講者の研修意欲を高めるための工夫を図ることも大切である。

b.人権尊重の理念の知的理解のための研修

知識的側面に焦点を当てた研修を実施する際には、人権に関する知識を増すことのみを目的とするのでなく、教職員の実際の指導において活かすことができ、また、児童生徒の実生活にも役立つような、実践的な知識を提供することに主眼を置く必要がある。
例えば、法教育や人権関連の法規等について学ぶ場合においても、その知識が、現実の社会の中でどのような意味を持つのかを深く学ばせ、生きた知識となるよう、内容の工夫が求められる。
また、知識として得た内容が、実際の教育活動の中で積極的に活用されるようにするためには、当該内容に関する研修の方法についても、講演を聴く・受けるという「受動的」な研修から、自分で調べる、聞き取る、まとめるという「能動的」な研修へと発展させていくことが大切である。その際、受講者に具体的な人権課題の中から興味のあるものを選択させ、自分の担当する人権課題について研究を進めさせるといった方法等も考えられる。

c.人権尊重の理念の体得のための研修

人権尊重の理念をさらに確実に身に付けるためには、「参加体験型の実技研修会」等が有効である。
人権尊重の理念を、[自分の大切さとともに他の人の大切さを認めること]として、単に理解するだけに止まらず、そのことが態度や行動に現れるようにする研修を、教職員自らが体験することが重要である。また、その際には、教職員が意欲的、主体的に指導に当たれるようになるよう、研修内容・方法の工夫が必要である。
そのような研修の一例として、ファシリテータ(学習促進者)としての指導の技術を体験的に学ぶファシリテーション実技の研修が挙げられる。この実技研修は、まず、体験的な学習における指導力・実践力の向上を目的とした講義(「人権教育と参加体験型学習について」など)等を実施した後に、いくつかのグループに分かれ、参加者一人一人がファシリテーションの実技を行い、これを見ていたグループのメンバーとともに、振り返り、評価を行う等の手順で進められる。

【参考】グループ研修の内容例(ファシリテーション研修の進め方)
  1. 話し合い・学び合いの場づくり
    • 自己紹介、アイスブレーキング、アクティビティ体験
  2. ファシリテーション実技の準備
    • グループごとにアクティビティを選択、グループ別準備・検討(ねらいの理解、役割分担、道具や資料の準備)
  3. ファシリテーション実技
    • 各グループでの実演、振り返り、評価
  4. まとめ
    • ファシリテータのスキルや役割・一般化や応用を引き出すための手法や問い、対象に応じたアクティビティのアレンジの視点等について確認
(イ)対象者に視点を当てた研修
a.ライフステージに応じた研修

各教育委員会では、初任者研修、10年経験者研修のほか、例えば5年次研修や20年次研修など、年次別の研修機会を設けている。また、管理職となった教員に対しては、新任教頭研修、新任校長研修などの研修も行われている。
上記(ア)a)に見たような人権教育の基礎・基本に関する研修内容については、人格の完成を目指す教育の目的そのものの実現にも関わるものとして、教職経験の各々の節目に位置付け、繰り返し確認していくことが必要である。
特に、初任者や2、3年次の経験の浅い教員に対しては、具体的で身近な実践事例をもとに研修を進めることが大切である。例えば、「人権感覚を高めるワークショップ」でのアクティビティ等、参加体験型の研修を企画し、活動そのものの楽しさを体感させるとともに、具体的な経験の中から、人権尊重の理念の重要性を体感させ、人権教育に対する意欲を高める等の方法も有効と考えられる。
また、管理職については、各学校で、教職員一丸となって人権教育に取り組むよう、リーダーシップの発揮を求められるところであり、こうした役割を踏まえ、管理職の人権及び人権教育への識見が高められるよう、研修の機会の確保とその充実が求められる。

b.人権教育担当者(指導者)研修

人権教育担当者(指導者)は、各学校の人権教育を牽引し、研究の推進体制の確立を図る役割を担う重要な存在である。人権教育担当者の研修内容としては、例えば、「人権教育行政の重点事項」、「学年・学級経営の視点に立った人権教育の充実」、「個別の人権課題に関する理解と対応」などのテーマが考えられる。
教育委員会においては、人権教育担当者に対し、教育センター等が主催する人権教育の指導者養成研修などに参加するよう促すとともに、これにより得られた成果をもとに、各学校や地域で伝達研修会を開催するなど、人権教育担当者が、各校区における人権教育の質的向上のためにも能力を発揮するよう、働きかけることも重要である。
その際、各学校、地域、児童生徒の実態に合わせて活用できるよう、研修内容を工夫することが大切である。

【参考】人権教育担当者向けの研修例
  内容 ねらい・留意点
前期
  • 児童生徒の現状と学校の役割について
  • 集団づくりについて
  • 人権教育の課題と具体的取組について
  • 個別人権課題等について
  • 各種研究発表会の参観と意見交換
  • 人権フィールドワーク
  • → 本年度の取組に活かせるようにする
  • → 各学校・地域の実態に合わせて内容を決定する
  • → 他の多数の取組に学ぶ
  • → 体験、聞き取りを大切にする
中期
  • 各学校における人権教育の課題と取組の交流
  • 公開授業・報告会の参観
  • → 自校の課題を整理する
  • → 課題を明確にして参観する
後期
  • 集団づくりの実際の取組についての研究協議
  • 各学校における人権教育の総括についての情報交換

→ 来年度の計画に活かせるようにする

c.学校と地域等が一体となった研修

人権教育は、学校、家庭、地域社会の連携があってこそ、大きな成果を挙げることができる。人権教育の推進に当たり、保護者や地域の人々の参加や協力を促すよう、教育委員会において、協力体制づくりや広報活動(保護者用の資料配付、講演会、啓発だより等)などの具体的な取組を進めていくことも大切である。
その際、社会教育機関(公民館等)、公的機関(児童相談所、人権擁護委員、民生・児童委員等)や福祉施設、ボランティア団体、NPO等との柔軟かつ幅広いネットワークの構築を考慮する必要がある。
例えば、教職員がファシリテータとなって地域における研修を実施したり、人権週間に連動して学校と地域が一体となった研修会を開催したりすることも有効である。また、年次に応じて、学校、家庭、地域のそれぞれの関係者の参加を求めながら、研修内容を深めていくような、継続的・発展的な研修を企画するなど、研修体制の工夫を行うことも考えられる。

【参考】学校と地域等が一体となった研修の例

3年間を1つの計画期間とし、保護者や地域関係者を対象に、総合的な研修計画を立てて研修を行う。

  • 1年次は、PTAと協力し、児童生徒の生活の場である家庭での教育の担い手たる保護者を対象とした研修会を実施する。
  • 2年次は、1年次の成果をもとに、研修会の対象を青少年対策協議会や民生・児童委員へと広げる。
  • さらに、3年次は、学校が主体となった研修会・発表会を行い、積極的に情報を発信する。

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