第44回大阪府在日外国人施策有識者会議 議事録概要

更新日:2018年6月27日

(と き)平成30年2月22日木曜日 午前10時から12時
(ところ)大阪府庁 新別館南館8階 大研修室

(議事)
1.大阪府の在日外国人施策について
2.基調報告「『グローバル人材育成』と多文化共生」
報告者 関西大学文学部教授 山ノ内 裕子 委員

(出席委員)8名
河合 大輔(公益財団法人箕面市国際交流協会 事業課長)
佐藤 潤一(大阪産業大学国際学部教授)
斎藤 ネリーサ(フィリピンコミュニティ連絡会 アドバイザー)
野中 モニカ(天理大学国際学部准教授・ポルトガル語通訳案内士)
朴 君愛(一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター 上席研究員)
ペエ 薫(弁護士)*ペエは、亠に裴の亠を取る
彭 飛(京都外国語大学外国語学部教授)
山ノ内 裕子(関西大学文学部教授)

(欠席委員)2名
トラン ティ アン ホン(ベトナム語通訳)
中井 伊都子(甲南大学法学部教授)

(配付資料)
資料1-1「大阪府在日外国人施策有識者会議設置要綱」 [Wordファイル/30KB]
資料1-2「大阪府在日外国人施策有識者会議の委員名簿」 [Excelファイル/29KB]
資料2-1「大阪府在日外国人施策の実施状況(平成29年度版)」
 ・表紙 [Wordファイル/30KB]
 ・目次 [Wordファイル/48KB]
 ・関連施策一覧 [Wordファイル/166KB]
 ・資料1「大阪府の国籍別在留外国人数」 [Excelファイル/18KB]
 ・資料2「大阪府の市町村別在留外国人数」 [Excelファイル/15KB]
 ・資料3「大阪府の国籍別在留外国人数の推移」 [Excelファイル/21KB]
 ・資料4「全国の国籍別在留外国人数及び割合」、資料5「全国の国籍別在留外国人数の推移」 [Excelファイル/27KB]
 ・資料6「大阪府外国人相談コーナー実績集計」 [Excelファイル/14KB]
資料2-2「大阪府における在日外国人施策の体系」 [Excelファイル/46KB]
資料2-3-1「朴委員からの質問及び回答(1)」 [Wordファイル/22KB]
資料2-3-2「朴委員からの質問及び回答(2)」 [Wordファイル/21KB]
資料2-3-3「朴委員からの質問及び回答(3)」 [Wordファイル/21KB]
資料3「『グローバル人材育成』と多文化共生」 [PDFファイル/925KB]
参考資料「庁内出席所属一覧」 [Wordファイル/17KB]

(会議概要)
1.開会
2.人権局長挨拶
3.議事
(1)大阪府の在日外国人施策について
【主な発言内容】<●…委員(座長含む)、○…大阪府(事務局及び関係所属)>
○ 大阪府における在日外国人施策の体系について説明(資料2-2のとおり)
● 朴委員から質問の趣旨について説明(資料2-3-1のとおり)
○ 教育庁人権教育企画課及び人権局から回答(同上)
● 朴委員から質問の趣旨について説明(資料2-3-2のとおり)
○ 教育庁教職員室教職員人事課から回答(同上)
● 朴委員から質問の趣旨について説明(資料2-3-3のとおり)
○ 教育庁市町村教育室小中学校課から回答(同上)

●府教育庁では「在日外国人教育のための資料集(DVD)」の活用促進を図っているとあるが、これは在日外国人のためだけの教育ではない。マジョリティーの子ども達が、在日外国人に対する差別を許さないという気持ちにならなければ差別は解消しない。マジョリティーが関わってこそマイノリティの人権が守られる。すべての子どもたちのための教育であると思う。言わずもがなかもしれないが申し上げたい。
 大阪府在日外国人研究協議会が昨年作成した『ちがいドキドキ多文化共生ナビ』は、様々な反響があり、さすが大阪の教育だなと見せていただいた。ただ、ネットで蔵書検索する限り、所蔵しているのは国立国会図書館だけで、府や市町村の図書館にはまだどこも所蔵されていない。このような先生方の自主的な教材も、教員だけではなくいい形で広められたらよいのではないか。
 日本の教育を受け、日本の大学で日本の教員免許をとったにも関わらず、外国籍教員は管理職になれない。確かに制度や国の方針の難しさはあるが、法律制度が全て人権の感覚において正しいわけではない。人権の視点に立ってどのようにしたらいいのか、地方行政からの声として粘り強くあげていただきたい。
●昔は日本社会における同化圧力が強く、本名を名乗ると、いろいろな差別に遭うという状況があったため、圧倒的に通名を名乗る人たちがいたが、最近はK−POPや平昌オリンピック等の影響もあり、そのような外国人がいることを素直に受け入れるような社会環境になっている。それと全く同じような現象で、学校の先生に外国籍の人がいるのは、子ども達に非常に大きな影響を与えるはず。法によるいろいろな壁はあるだろうが、ここがどのように変化しているかが改善状況の1つのメルクマールになる。外国籍教員の採用人数は実際にどのように推移しているのか。 
○採用の推移については以下のとおり。
   H29年度 8名
  H28年度 11名
  H27年度 10名
  H26年度 9名
  H25年度 7名
●小中学校の児童生徒の本名使用率の状況と比べると、大学で本名を使う中国籍の学生が多いという現象が起こっている。なぜ大学になると本名を使うのか非常に不思議なことであるが、小中学校で差別されたことと関係があるからではないか。義務教育における人権教育が非常に大事だと思う。
 ある市の小学校では半分以上が外国籍の子どもと聞く。外国籍の子どもの多い学校を多文化共生指定校のモデル校にして、従来のやり方とは違うユニークな試みも、今後必要なのではないか。
●学校現場で子どもたちがDVDをいろいろ見ているとの話があった。フィリピンのコミュニティのイベントでは子どもたちだけではなく、保護者もいるところでいじめやヘイトスピーチなどのDVDを見ることがある。共にDVDを見ることで、知識を共有することができ、人権教育に大きな影響を与えるのではないか。
●DVDの教材は、日本語のみでの作成だと思うが、多言語での作成を通して、日本人だけではなく、さまざまなコミュニティでの使用も考えられるのではないか。
●「在日外国人教育のための資料集」(DVD)は、教員向けなのか。保護者等が閲覧することが、どのような形で可能なのか。
○教員向けに作成したもので、保護者が見るということはなかなかない。学校に1部ずつ配布している状況。
●外国人の保護者の方々は、いろいろな文化背景の違いから、日本の学校について分からないことが多いという中で、不安に思っていることが一般的に多いと思う。学校で、子どもたちのルーツや文化の違いについてどのように取り組んでいるかを保護者と共有していくことは、そのような不安を緩和し、保護者が協力して一緒に学校を作っていくことにもつながるため、そのようなことも検討していただきたい。
○渡日の子どもたちが多い状況があるため、そのような子どもに対して学校がどのような対応をするのかを示した教員向けの「ようこそOSAKAへ」という冊子を作っている。保護者向けに対しては、高校入学等の心配も予想されるため、ホームページに多言語版の資料も用意している。
●法務省が「ヘイトスピーチを許さない」というポスターを作成し、啓発に取り組んでいるが、このような形で国や自治体がはっきりとこれは許されないと示していく活動はぜひ継続していただきたい。
 北朝鮮のミサイル問題についての報道をめぐり、学校現場での子どもたちへのいじめにつながっていないかどうかが非常に気になる。外国にルーツのある子どもたちが不安に感じていないかどうか、学校現場で気をつけて取り組んでいただきたい。
●ヘイトスピーチは近年の問題だ、最近の問題だみたいな形がポスターにあって、気になっている。ヘイトスピーチは過去の戦後処理からの長い歴史のある問題であって、最近突然に生じてきた問題ではない。大阪府はいろいろな教材を作成するとき、どのような形でヘイトスピーチの問題について説明をしているのか。
○平成21年の京都朝鮮学園の事象あたりから、ヘイトスピーチが大きな問題として取り上げられてきたことも含めて書いている。国際的にはというところで、人種差別撤廃条約から資料に掲載している。
 北朝鮮のミサイル報道等によって子どもたちへの悪影響が出てくる可能性があるという通知は、大きく報道等が取り上げられた際には、私学を含め小中高に必ずしている。このような報道によって子どもたちが被害に遭うことのないように、また、そのようなことがあれば、すぐに教育庁に報告をするよう対応している。
●公立学校におけるいわゆる講師として採用されている非常勤の方が何人いるのか。外国籍教員に対するフォローアップの体制については、校長が担うということだが、例えば、外国籍教員が一堂に会しての研修とか、各現場での悩みを共有できる機会はあるのか。
○外国籍教員の人数については、今年度は114名(韓国籍101名、中国籍11名、朝鮮籍1名、ベトナム籍1名)、昨年度は107名(韓国籍94名、中国籍11名、朝鮮籍1名、ベトナム籍1名)。
●第2外国語開設校は非常にたくさんあるが、母語が学べる学校がどこにあるのかといった情報がエンドユーザーまで届いていない。そのような情報はどのように保護者に届いているのか。
○府立高校では、海外から帰国した生徒や外国籍生徒のうち、日本語の指導が必要な生徒に対して7校で特別枠を設け選抜を実施している。7校に限らず、母語指導が必要な生徒については、特別非常勤講師又はNPOとの連携で対応している。
●この7校は、海外からの留学生も受け入れているのか。
○留学生というよりは、高校に入学する生徒ということで、既に大阪の中で居住している生徒になる。渡日した時期によって日本語の能力がまだまだ不十分なところがあるため、一般の入試と同じ入試を行った時に不利益を被ることがないよう、この7校には日本語指導の必要な生徒に対して門戸を開き、特別枠で他の生徒とは少し違った入試を受けることができる制度がある。特に、この母語という指定はしていないので生徒が入学後、NPOとも連携をしながら母語保障をしている。
 ここの学校に行けばこの言語が保障されるといったものではなく、生徒の実態に合わせて、さまざまな配慮をしながら保障をしている。
 韓国語、朝鮮語、中国語等については、第2外国語という意味合いで、講座を開いている学校が多数ある。しかし、選択科目となるため、希望者が一定数以上いないと開設できないため、必ずその学校に行けばその言語が毎年受けられるとは明確には言えない状況。

(2)基調報告「『グローバル人材育成』と多文化共生」
報告者 関西大学文学部教授 山ノ内 裕子 委員
・「教育のグローバル化」の話をすると大体、英語教育改革や新自由主義的な学力問題の話になってしまう。日本社会はグローバル化しているのに、移民や外国にルーツのある子どもたちは、「グローバル化と教育」のトピックから完全に外されている状況にある。
・また、最近は経済界から「グローバル人材育成」が非常に要請されているが、「グローバル人材」とはどのような人を指すのか。「人材育成」は、「教育」とはどう違うのか。このまま新自由主義的な「グローバル化と教育」の議論に乗っかっていいのか。
・「グローバル化」とは、地球が全体で1つにつながっていくような状況を指す語であって、「国際化」とも「英語化」とも違う。経済学においては、海外直接投資や資本の移動の増加、金融市場が均一化し、地球規模化していく様子を指すが、文化人類学や社会学では、人々の生活や文化が地球規模で均一化していくことをグローバル化と言う。
・21世紀は国際移民の時代で、世界では30人から40人に1人が移民と言われている。移民の総人口に占める比率は、世界全体で3.2%、先進国では10%。国連では1年以上海外に住む人を移民と定義するため、留学生も含まれる。
・1998年に川崎市が外国人教育基本方針の中で、国籍や民族を豊かさとして生かし、全ての人が互いに認め合い、人権が尊重され、自立した市民として共に暮らすことができる多文化共生社会の実現を目指した。その後、2005年、全国に先駆けて「多文化共生社会推進指針」を策定した。これを受けて、2006年に総務省が「多文化共生の推進に関する研究会最終報告書」を出したことをきっかけに、多くの自治体が多文化共生指針や多文化共生推進計画を策定するようになった。
・川崎市が初めて使った「多文化共生教育」は、全ての子どもの学習権を保障し、社会における少数の立場の人、マイノリティーの文化を尊重するとともに、自立と相互理解が図られる教育である。
・今、日本社会はグローバル化しているが、厚生労働省「人口動態統計」によると、2014年に日本で生まれた乳児のうち4.3%が両親の双方または片方が外国籍。また、日本で結婚するカップルのうち20組に1組が国際結婚であり、外国籍のみならず、日本国籍の子どもたちの中にも「外国にルーツを持つ子どもたち」が増えている。
・ハーフという言葉は当事者にとってあまりいいものではなく、当事者たちはダブルや、ミックスルーツという言葉を使っている。日本人は日本国籍で日本語を話して、肌の色が黄色というイメージがあるが、日本人そのものも非常に多様化している。
・2015年ミスユニバースの日本代表の宮本エリアナさんや、リオ五輪銀メダリストのケンブリッジ飛鳥さんはともに、外国にルーツがある日本人だが、メディアなどでは非常にバッシングを受けた。
・日本語指導が必要な外国籍の児童生徒は34,335人で、日本国籍の児童生徒は9,612人(2016年5月現在)。
・日本の学校では、1990年以降に急速にグローバル化が進んでいるため、日本人(=国民)を形成する教育ではなく、すべての子どもたちを市民として教育することが必要。グローバルな市民を形成するための教育としてはグローバル教育、開発教育、市民性教育、多文化共生教育が必要だが、教育が「グローバル化」の文脈で論じられる際は「学力」「英語力」に向きがち。
・「グローバル人材」を英語に訳すと、文部科学省の「global human resources」より、「global competent human resources」や「globally minded human resources」のほうがいい。
・産業界が求めるグローバル人材は必ずしも英語力ではなく、海外との社会、文化、価値観の差に興味・関心を持って柔軟に対応できる、既成概念にとらわれずチャレンジ精神を持ち続ける、外国語によるコミュニケーション能力が求められる。
・企業は大学に対して、日本人学生の留学や、入試改革、外国人留学生の受入れ拡大を期待している。また、カリキュラム改革として、学生が主体的・能動的学びを促す双方向型授業や、企業の経営幹部・実務者からグローバルビジネスの実態を学ぶ講義を望んでいる。
・国が想定する「グローバル人材」の3要素は、(1)語学力、(2)主体性、チャレンジ精神、協調性、責任感、(3)異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティーである。
・経済界からの「グローバル人材育成」の要請を受けて、文部科学省は「人材力強化のための教育戦略−日本人としてのアイデンティティーを持ちつつ、高付加価値を創造し、国内外で活躍、貢献できる人材の育成に向けて−」という教育改革を開始。2020年から完全実施の英語教育改革と、学力向上による国際競争力強化の大きく2つの改革を行っている。
・このように国は、小学校から大学に向けて「グローバル人材育成」を行っているが、グローバル人材になぜ日本人としてのアイデンティティーが必要なのか理解しがたい。
・国が想定する「グローバル人材」は、ただ英語に堪能であるのではなく、日本人としてのアイデンティティーを強く持つ帰国子女や海外留学経験者と、日本の大学で学び、高学歴・高技術を身につけ、同質性の高い日本社会に適応した外国人留学生(高度外国人材)の2つ。
・外国にルーツのある子どもたちはこうした「グローバル人材」からは完全に外れており、ごく一部の、両親または片方の親が英語を話す子どものみが対象であり、英語を話せない南米や東アジア出身の子どもたちの多くは、人権・共生の立場から語られるだけ。
・外国にルーツのある子どもたちは教育権も十分に保障されておらず、学校における日本語指導や母語教育、卒業以降の進路保障について自治体によって差がある。また、外国人学校の教育格差や不就学・年齢超過の問題等が残る。
・大阪府の特別選抜は、中国等から帰国した者又は外国籍を有する者で、原則として小学校第4学年以上に編入した者が対象となる。学力検査は数学と英語、作文で、日本人の生徒が必要とする調査書や自己申告書は要しない。作文については日本語以外の使用を認めており、学力検査においてもルビをつけた問題を配布、キーワードに外国語が併記、英語以外の辞書2冊まで持込み可、試験時間1.3倍等、他の都道府県と比較すると、日本語指導が必要な生徒たちに対して手厚い措置をしていると言える。
・また、海外から帰国した生徒の入学者選抜もあり、原則として、外国に2年以上いた者、帰国後2年以内の者が対象であるが、英語に力を入れている、相対的に難易度の高い高校である。
・ニューカマー生徒のための特別枠が設定されている高校の多くは、難易度は相対的に高くなく、定員を割り込むこともしばしば起こりうる学校である。一方、いわゆる「帰国生」の場合は、「海外から帰国した生徒の入学者選抜」制度によって、英語学科や国際科などのコースへ進学できる。(府立高校に進学しなくても、国立や私立の進学校の多くは、府立高校と同様に、帰国生枠を設けている。)「グローバル人材」になりうる生徒を養成する国際系の学科を、特別枠で受験できるのは、帰国生のみである。ニューカマーの生徒は救済の対象であって、グローバル化の対象にはなっていない。
・大阪府は手厚い高校入試制度があるが、他都道府県においても、日本語指導の必要な生徒の高校進学を保障するためには、外国人生徒のための多数の受け皿、受検資格の緩和、試験課題の配慮が必要。外国にルーツのある子どもたちは、日本人としてのアイデンティティーは全くないが、異文化に柔軟に働くことができるグローバル人材になりうる。日本国内の多様な背景を持つ子どもたちの存在を認め、多様な進路を保障するという多文化共生教育を行うことが、教育のグローバル化の課題ではないか。

【意見交換等】<●…委員(座長含む)、○…大阪府(事務局及び関係所属)>
●国際結婚で生まれた子どもたち、外国にルーツを持つ子どもたち、両方の言語を生かす人材が本当のグローバル人材である。
●多様な文化・歴史を持った人達と一緒に暮らしていくこと、世界が多様であるということが大事であると思うが、それが英語ということになると、開かれる幅が「英語」という狭いイメージに止まってしまうことを懸念している。全国的に英語教育の強化が進められているが、そのなかで小学生が「外国人といえば英語」という先入観にとらわれることに気を付ける必要がある。
 地域に暮らしている、外国から来られた方々に学校で授業していただき、子どもたちに色々な文化の違いがあって、色々な言葉があるということを体感してもらうような取り組みを増やしていきたい。
 大阪府の、在留外国人数も全国3位であり、外国にルーツを持つ方々が歴史的にも住んでいることが、世界の多様性に開かれていくことにつながる。そのことを生かした大阪らしい取組みを考え、進めていってほしい。
●通訳士の現場では、日本語を大事にしていない日本語話者が非常に多かったり、日本人でありながら日本のことをあまり知らないケースがよく見受けられる。グローバル人材という前に、日本語や母語文化をしっかり教えてほしい。アイデンティティーとは別に、日本のことをもう少し知ってもらうのも大事であると思う。
●「日本人」のアイデンティティーと一言で簡単に言うが、絶対一色では語れないはず。この乱暴といえる日本人を一色でみることの裏返しは、他の国の人たちもすべて国籍毎に一色にみてしまうことになると思います。日本国籍を取得した外国籍ルーツの教員や、国際結婚の間に生まれた教員もたくさんいる。私たちの想像以上に、多様化した背景を持った方が教員や生徒の中にいるということを丁寧に見なくてはいけない。
●外国人が増え、日本人との交流が増えてくると、自然に差別問題、ヘイトスピーチの問題も含めて減るのではないか。大阪府の試みとして、旧正月を在日のアジアの、あるいは外国人との交流の日、人権啓発の日に定めてはどうか。
●国の法律でわずかながら、何の定義もなく、突然、日本人が出てくる法律がある。日常会話ではなく、法律、条例の用語として「日本人」を使うときには、少し敏感に使ってほしい。明確にどのようなことを指すのかきちんと定義付けしないと、対象者が曖昧になり、施策実行の段階でもマイナスの効果をもたらしてしまうこともあり得るかと思う。
●企業がグローバル人材を求めているのは事実で、価値あることだと思う。ただ、多文化共生の人権という観点から考えるべき問題もあるということを忘れずに、両方とも社会的な必要性があるというスタンスでやっていただきたい。
●今は、innovationの時代になったので、global leadersというよりも、global innovatorsを広めていってはどうか。

以上

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権擁護課 人権・同和企画グループ

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