大阪府人権教育推進計画 参考資料

更新日:平成27年3月27日

大阪府人権尊重の社会づくり条例(平成10年大阪府条例第42号)

 すべての人間が固有の尊厳を有し、かつ、基本的人権を享有することは、人類普遍の原理であり、世界人権宣言及び日本国憲法の理念とするところである。
 かかる理念を社会において実現することは、私たちすべての願いであり、また責務でもある。
 しかしながら、この地球上においては、今日もなお、社会的身分、人種、民族、信条、性別、障害があること等に起因する人権侵害が存在しており、また、我が国においても人権に関する諸課題が存在している。
 さらに、私たち一人ひとりが人権を行使するに当たっては、社会の構成員としての責任を自覚し、かつ、他者の人権の尊重を念頭に置くべきであるという道理を、より一層浸透させていかなければならないという課題も存在している。
 人権尊重の機運が国際的にも高まる中で、大阪が世界都市として発展していくためにも、私たち一人ひとりが命の尊さや人間の尊厳を認識し、すべての人の人権が尊重される豊かな社会を実現することが、今こそ必要とされている。
 私たち一人ひとりが、こうした人権尊重の社会づくりを進めるために、たゆまぬ努力を傾けることを決意し、この条例を制定する。

(目的)
第1条 この条例は、人権尊重の社会づくりに関する府の責務を明らかにするとともに、府民の人権意識の高揚を図るための施策及び人権擁護に資する施策(以下「人権施策」という。)の推進の基本となる事項を定め、これに基づき人権施策を実施し、もってすべての人の人権が尊重される豊かな社会の実現を図ることを目的とする。

(府の責務)
第2条 府は、前条の目的を達成するため、施策を実施するに当たって人権尊重の社会づくりに資するよう努めるとともに、人権施策を積極的に推進するものとする。
2 府は、人権施策の推進に当たっては、国及び市町村との連絡調整を緊密に行うとともに、市町村、事業者及び府民との協働により、人権尊重の社会づくりを積極的に推進するための体制を整備するものとする。

(基本方針の策定)
第3条 知事は、人権施策を総合的に推進するために必要な事項を定めた基本方針を策定しなければならない。
2 知事は、前項の基本方針を策定し、又は変更するときは、あらかじめ大阪府人権施策推進審議会(以下「審議会」という。)に諮問の上、その答申を添えて府議会の意見を聴かなければならない。
3 知事は、前項の意見を勘案した上で、第1項の基本方針を策定し、又は変更しなければならない。

(審議会への諮問等)
第4条 審議会は、人権施策の推進に関し、知事の諮問に応じ、意見を述べることができる。
2 審議会の会議は、原則として公開とする。

附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成10年11月1日から施行する。

(大阪府附属機関条例の一部改正)
2 大阪府附属機関条例(昭和27年大阪府条例第39号)の一部を次のように改正する。
大阪府個人情報保護審議会の項の次に次のように加える。

大阪府人権施策推進審議会大阪府人権尊重の社会づくり条例(平成10年大阪府条例第42号)第3条第2項及び第4条第1項に規定する事項についての調査審議に関する事務


 附帯決議
 真にすべての人の人権が尊重される社会の実現のため、「大阪府人権尊重の社会づくり条例」の運用にあたっては、知事をはじめとする執行機関は、次の諸点について格段の努力をすべきである。
1 大阪府人権施策推進審議会の運営に関しては、公正中立性及び透明性を確保すること。
2 審議会の学識経験者としての委員については、偏ることなく、幅広く選任すること。
3 本条例により、過剰な財政的な負担が生じないようにすること。
4 市町村、事業者及び府民と連携するに当たってはその自主性を損なわないようにすること。

大阪府人権施策推進基本方針(平成13年3月)抄

 大阪府では、一定の場合を除き「痴呆」という用語を「認知症」へ、「障害」という用語を「障がい」へ改めることとしていますが、この基本方針は平成13年3月に策定されたものであるため、修正を行わずそのまま記載しています。

1 大阪府における人権をめぐる状況

(1)国内外の人権尊重の潮流
 国際連合において昭和23(1948)年に採択された世界人権宣言には、「すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」とうたわれています。
 その後、国際連合では、この基本的精神を具体化する国際人権規約(注1)や、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」、「児童の権利に関する条約」などを通じて、国家の枠組みを越えた国際的な人権保障の確立に努めてきました。それを一層促進させるものとして、平成6(1994)年には第49回国連総会において、平成7(1995)年から平成16(2004)年までを「人権教育のための国連10年」とする決議を採択し、総会の要請に基づいて、国連事務総長が「人権教育のための国連10年行動計画」を報告したところです。
 わが国においては、「基本的人権の尊重」を基本理念に掲げた日本国憲法が制定されるとともに、国際人権規約をはじめ、前記の人権関連条約が次々と批准されてきました。また、「人権教育のための国連10年」の国連決議を受け、国、地方自治体においても人権保障のための積極的な取り組みが進められています。さらに、平成9(1997)年に施行された「人権擁護施策推進法」に基づき、人権擁護推進審議会が設置され、人権擁護施策のあり方についての議論が進められています。平成11 (1999) 年7月には、「人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項について」と題する答申が出され、国、地方公共団体等が取り組むべき施策の方向性が示されるとともに、平成12(2000)年12月には、「人権教育及び人権啓発に関する法律」が施行されました。

(2)大阪府におけるこれまでの取り組み
 大阪は、古くから内外との交流を通じ、歴史と文化をはぐくみ、懐の深い、開かれた都市として繁栄してきました。同時に、同和問題・在日外国人問題をはじめとするさまざまな人権問題に対する府民の活発な取り組みが展開され、大阪府においても、大阪府同和行政基本方針や大阪府同和行政推進プランを策定し、同和問題の解決に取り組むなど、人権問題を重要な行政課題と位置づけ、他の自治体に先駆けて取り組んできました。
 とりわけ、人権意識の高揚については、同和問題の解決へ向けた啓発活動をはじめとして、さまざまな分野で差別意識の解消や府民一人ひとりの人権意識の高揚をめざした啓発に取り組んできました。現在では、「人権教育のための国連10年大阪府行動計画」を策定し、「人権という普遍的文化(注2)」を構築するという目標を掲げ、府民が人権問題について深く理解し、人権尊重の精神を身につけて、日常生活や職場等で実践できるよう、人権教育の推進に努めています。
 また、平成10(1998)年に「人権施策の総合的な企画調整及び人権教育・啓発を推進する」ことを目的に、企画調整部に「人権室」を創設するとともに、全部局に同室の兼務職員を置き、全庁あげて人権問題に取り組む体制を整備しました。同年10月には、すべての人の人権が尊重される社会の実現をめざして、「大阪府人権尊重の社会づくり条例」を制定しました。さらに、これらの動きと並行して、人権室を中心とした横断的な庁内推進体制のもとに、同和問題、女性、障害者、高齢者、子ども、外国人など、個々の課題については、それぞれの関係部局において施策推進に努めています。(注3)
 こうした同和問題をはじめとする人権問題の解決に向けたこれまでの取り組みの理念と成果を、今後の人権施策の推進に役立てる必要があります。

(3)取り組むべき主要課題
 以上のように、大阪府においては、人権問題に対するさまざまな取り組みを行ってきましたが、依然として、人権が侵害される事例も多く生じており、その態様は私人間で発生する人権侵害のほか公権力やマスメディアによるものもあります。このような中で、取り組むべき主要な課題としては以下のようなものがあります。

・ 同和問題については、依然として、教育や就労の面をはじめとした課題が残されており、また、結婚問題を中心とした差別意識が根強く残るなどの状況にあります。さらに、平成12(2000)年に総合的な実態調査を実施したところであり、その結果を踏まえる必要があります。また、近年においても、調査業者が「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」に違反し、部落差別調査を行っていたことが明らかになっています。(注4)

・ 女性に関する課題としては、社会制度や慣行の中には、固定的な性別役割分担や女性に対する差別が再生産される仕組みが今なお存在し、就労における差別や夫・恋人からの暴力をはじめとする女性に対する暴力なども存在しています。

・ 障害者に関する課題としては、施設や病院等における不当な処遇など人権侵害にかかわる事例の発生のほか、障害及び障害者に対する理解と認識の不足から、就労における差別や入居拒否などの問題が依然として存在しています。
 また、社会福祉施設等の設置に際し、いわゆる施設コンフリクト(注5)が発生するなどの問題も存在します。

・ 高齢者に関する課題としては、高齢化が急速に進む中、一人暮らしの高齢者や痴呆性高齢者、障害や疾病を有する高齢者を中心に、日常生活において財産や金銭を詐取されたり、暴力やいじめにあうといった問題があります。

・ 子どもに関する課題としては、学校での教師による体罰や生徒間での言葉や暴力による「いじめ」問題が依然、深刻な状況にあります。また、不登校の生徒数はここ数年、著しく増加しています。家庭における児童虐待の深刻化や、施設における児童虐待の存在などの問題もあり、虐待による子どもの死亡事例も少なくありません。また、さまざまな要因から非行に走る子どもたちも一向に減少していません。

・ 外国人に関する課題としては、国際化が急速に進む一方で、言語、習慣、価値観等の相互理解が不十分であることなどから、就労における差別や入居差別などの問題があります。大阪府には、歴史的経緯から韓国・朝鮮人が多く居住していますが、在日韓国・朝鮮人の中には、差別を回避するため、その意に反して本名ではなく日本名(通名)で生活せざるをえない人もいるといった問題も存在しています。

・ HIV感染者等に関する課題としては、HIV(注6)は感染力が弱く、感染経路も限られていることから、正しい予防知識を身につけていれば日常生活で感染することはないにもかかわらず、依然として偏見や差別が存在しています。

・ 犯罪被害者やその家族は、犯罪行為によって受ける直接的な被害だけでなく、その後の捜査や裁判の過程での精神的負担や時間的・経済的負担、さらには、マスコミの取材・報道によるプライバシー侵害など、いわゆる二次被害を受けており、犯罪被害者の人権をめぐる問題も社会問題化しています。

・ 労働に関する課題については、就労におけるさまざまな差別、職業や就労形態による差別のほか、職場におけるセクシュアル・ハラスメントなどの問題があります。

・ 情報化社会の進展が、私たちの生活に多くの利便と豊かさをもたらす一方で、さまざまな問題も発生しています。
  まず、個人情報をめぐる課題としては、情報管理上の不備等による個人情報の大量流出が深刻化するとともに、インターネット上で特定個人を誹謗中傷するといった名誉毀損や私生活に関する事柄を暴露されるといったプライバシー侵害にかかわる問題が発生しています。
  また、同和地区住民や外国人等に対するインターネットを悪用した差別表現の流布などといった問題も発生しています。

 その他にも、野宿生活者、性的マイノリティとされる人々(注7)、アイヌの人々、刑期を終えて出所した人などにかかわるさまざまな人権問題が存在しています。また、遺伝子工学の急激な進展に伴う新たな人権問題の発生も懸念されます。


2 基本理念

 大阪府人権尊重の社会づくり条例は、その前文で、「すべての人間が固有の尊厳を有し、かつ、基本的人権を享有することは、人類普遍の原理であり、世界人権宣言及び日本国憲法の理念とするところである。かかる理念を社会において実現することは、私たちすべての願いであり、また責務でもある。」「人権尊重の機運が国際的にも高まる中で、大阪が世界都市として発展していくためにも、私たち一人ひとりが命の尊さや人間の尊厳を認識し、すべての人の人権が尊重される豊かな社会を実現することが、今こそ必要とされている。」とうたっています。
 こうした条例のめざす人権尊重の社会を実現するため、今後の府政推進の基本理念として
○一人ひとりがかけがえのない存在として尊重される差別のない社会の実現
○誰もが個性や能力をいかして自己実現を図ることのできる豊かな人権文化の創造
を掲げます。

 人権とは、人々が生存と自由を確保し、それぞれの幸福を追及する権利です。すべての人は、人間として皆同じ人権を有しており、一人ひとりがかけがえのない存在であるということを認識し、それぞれの個性や価値観、生き方等の違いを認め合い、多様性を尊重することが必要です。
 このため、一人ひとりが自分の権利のみならず他人の権利についても深く理解するとともに、権利の行使に伴う責任を自覚し、人権を相互に尊重し合うことが重要です。

 現在、世界的に人権の尊重を共通の行動基準とし、人権が保障される国際社会をめざした取り組みが進められており、大阪が世界都市として発展していくためにも、施策を通じて人権の普遍性が府民に理解されるよう努めるとともに、人権侵害の予防・救済など、府民の人権の尊重を基礎に据えた取り組みを行い、差別のない社会の実現に努めることが重要です。

 人権という普遍的文化の創造とは、すべての人が人権尊重の精神を当然のこととして身につけ、日常生活の中で実践することであり、またそのような生き方を可能にする社会的な環境や条件を整備することです。
 たとえば、障害者の人権問題に取り組む際に、障害者に対する偏見など、意識のバリア(障壁)を取り除くとともに、物理的、制度的なバリアをなくすために、道路等に段差のないまちづくりや障害者の社会参加を推進するための制度を整備する必要があります。障害者にとってバリアを感じさせないまちは、すべての人にとって住みやすいまちとなり、社会の人権文化はそれだけ豊かになるのです。

 社会の人権文化を豊かにするためには、二つのことが必要です。ひとつは、性別、障害の有無、社会的出身、あるいは人種や民族など、本人が選ぶことのできない事柄によって、生き方の可能性が不当に制約される状況をなくしていくことです。もうひとつは、すべての人が自分らしさを輝かせ、さまざまな異なりをもった他者との出会いを通じて世界を広げ、社会参加を実現することによって、個の主体性や多様性にもとづく新たな社会的活力を創り出すことです。

 これまで、人権にかかわる施策は、施設などのいわゆるハコモノづくりと啓発活動などの取り組みを中心に展開されてきましたが、今後はそればかりでなく、すべての人が情報や市民活動の成果などを活用することのできる環境を整備するとともに、行政が府民による主体的取り組みとの有機的連携を図ることによって、地域全体の人権文化を豊かなものにしていくことが大切です。
 大阪には、進取の気風を尊び、民衆の力で地域文化を創造しようとする伝統がありますが、このような大阪の人権文化の歴史的、社会的特徴を踏まえるとともに、これからは、府民、地域団体をはじめとするNPO(注8)、企業、市町村などのさまざまな主体との協働により、地域コミュニティやまちづくりの観点から豊かな人権文化の創造に取り組むことが重要です。

 従来、人権にかかわる施策は、個別課題ごとに推進され、それぞれに相当の成果が蓄積されてきましたが、それらが他の行政分野で十分に活用されてこなかった面があります。このため、全体としての取り組みに不均衡が生じたり、また、複数の要因が絡み合って発生した複雑な人権問題に対し、ともすれば総合的な視点が欠落し、効果的な対応がなされないといった状況も見られました。
 したがって、大阪府では、条例のめざす人権尊重の社会をつくるために、すべての行政分野において前記の基本理念を踏まえ、総合的な施策の推進に努めていきます。


3 人権施策の基本方向

 大阪府人権尊重の社会づくり条例に示されている「人権施策」、すなわち、「人権意識の高揚を図るための施策」及び「人権擁護に資する施策」について、それぞれの概念、内容を明確にし、推進する必要があります。
 前述した「基本理念」を踏まえて行うべき個別の人権に関わる施策の多くは、それぞれの人権課題に応じて、まとまった行政領域として、それぞれ個別法や個別の諮問機関の答申等を踏まえて、実施されています。
 したがって、これらの課題に共通する人権意識の高揚を図るための施策を積極的に推進するとともに、各課題ごとの取組み、とりわけ府民の自立や社会参加を促進するための施策や人権救済・保護のための制度や施策を充実・活用していくことを基本に、人権問題についての実態の把握に努めながら、総合的な人権施策を構築していきます。

(1)人権意識の高揚を図るための施策
 府民一人ひとりが人権の意義や価値についての理解を深め、すべての人の人権を尊重する態度や行動を身に付けるための人権教育(注9)を行うとともに、府民の主体的な活動を促進します。

〔視点〕
・府民が主体的に社会生活を送る上で身に付けておくべき基本的な社会ルールとして、互いの尊厳と権利を尊重することの大切さを理解すること。
・府民が、日本国憲法や人権関連諸条約上の人権の理念や内容を深く理解し、自らの生活や活動の中で具体的に生かす態度や問題解決能力を身に付けること。
・異なる文化・価値観を持った人々との出会いや交流を通じ、豊かな人間関係を結ぶことにより、偏見や無理解をなくし、多様性を認め合う価値観を身に付けること。
・人権意識の高揚を図るための施策は、府民一人ひとりの心のあり方に密接に関わることから、府民の自主的・自発的な取組を促すことを基本になされるべきであること。
・地域社会やNPO等が主体的に自己実現を目指す個人の活動の場となり、また、それらの活動が人権意識の高揚に役立つこと。
・府民が、身に付けた人権尊重の態度を日常生活や職場等の活動の場において実践できること。

〔施策の方向〕
1.人権教育の推進
 人権教育は、家庭、学校、職場、地域等あらゆる場や機会を捉えて推進する必要があります。中でも、人権問題を的確に捉える感性や人権を重視する姿勢を育むことが重要です。
 したがって、幼少期から生命の尊さや人の人たる道(人間として基本的に守らなければならないルール)に気付かせ、豊かな情操や思いやりを育み、お互いを大切にする態度と人格の育成を目指す人権基礎教育に取り組むことは、その後の成長に応じた人権教育を実効的なものとする上で大きな役割を果たすと考えられます。
 このため、人権啓発や同和教育の成果を発展させ、人権に関する学習の機会を学校、職場、地域等で一層充実させるとともに、従来の知識習得型の学習から、人権に関する知識が態度や行動に結び付くような実践的な学習へと転換を図ります。
 さらに、人権が尊重される社会の実現に深く関わる立場にある者が、常に人権尊重の意識や態度を持って職務の遂行に臨むことが重要であり。大阪府職員を始めとする公務員や教職員、警察官、医療関係者、福祉関係者等に対する人権教育を充実します。

2.人権教育に取り組む指導者の養成
 府民が日頃から人権問題について考え、自主的・自発的にその解決に取り組むことが重要であることから、府民の身近なところで人権教育に取り組む指導者の養成や、人権教育を効果的に推進するために重要な役割を果たす専門的な指導者の養成を図ります。また、そのために、人権教育に関する諸機関との連携や支援に努めます。

3.府民の主体的な人権教育に関する活動の促進
 多様な文化や価値観を大切にし合う豊かな人権文化を創造するためには、府民の自主的・主体的な取組みを促すとともに、地域において様々な人々が触れ合い、交流する場を増やし、相互理解を促進することが重要です。このため、NPOや企業等による人権教育や府民の交流・相互理解のための自主的・主体的な活動を促す環境を整備します。

4.人権教育に関する情報収集・提供機能の充実
 人権教育は、大阪府のみならず、NPO・企業・学校・市町村等様々な主体により、対象者やニーズに応じて様々な機会を通じて実施されることにより、より効果を高めるものです。このため、人権教育の各実施主体に対して、必要に応じて人権教育についての知識・手法や講師・教材、あるいは活動事例等についての情報等が適切に提供できるよう、人権教育に関する情報収集・提供機能の充実を図ります。

《略》

4 推進にあたって
  
 以上に提示した、人権尊重の基本理念を基礎に据えた行政施策を展開するとともに、前述の基本方向に沿った人権施策を着実に推進するため、具体的な推進計画を策定し、適切な進捗管理を行います。
 また、社会情勢や価値観の変化に伴い、新たな人権問題が生起するものであり、これに的確に対応するため、必要に応じて、基本方針の見直しを行うこととします。

(1)庁内の推進体制
 本基本方針に基づき、総合的な見地から整合性のある施策を推進するため、知事をトップとする人権施策の推進本部体制を確立します。
 また、人権室のコーディネート機能を一層強化し、現在、各部局に配置されている人権室兼務職員と一体となって、人権問題の実情を踏まえ、施策の企画・調整・点検を行うとともに、人権施策の実施状況を人権白書としてとりまとめるなど、効果的な施策の推進に努めます。
 また、大阪府職員に対する人権研修を徹底するため、各部局において業務の実態に応じた研修が推進できるような体制を整備します。

(2)市町村との連携
 府内市町村においては、地域の実情に応じて、それぞれに人権問題についての取組みが進められています。大阪府の人権施策を効果的に推進するためには、こうした府民に最も身近な市町村が実施する諸施策との連携が不可欠であり、大阪府と市町村との連携をより強化します。
 また、市町村単位では実施が困難な事業で府域全体で取り組むことが望ましい事業や、情報提供などにより市町村の施策を支援する事業などについては、大阪府が積極的に推進します。

(3)企業、NPO等との連携
 これまで、府内では企業やNPOなどの諸団体が人権問題の解決のための様々な取組みを行ってきました。人権施策を効果的に推進していくため、これらの活動とより一層連携を深め、協働関係の構築を図ります。


(注1)国際人権規約
 ここでは、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)」と「市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)」及びB規約についての2つの選択議定書を総称して、国際人権規約という。

(注2)「人権という普遍的文化」
 Universal culture of human rightsの訳語。国連の「人権教育のための国連10年行動計画」において、「人権教育とは、知識と技能の伝達及び態度の形成を通じ、人権という普遍的文化を構築するために行う研修・普及及び広報努力」という定義の中で使われている。

(注3)大阪府においては、各課題ごとに指針や計画を策定し、施策の推進に努めている。
 主要なものを例にあげると、女性施策は「新 女と男のジャンプ・プラン(男女協働社会の実現をめざす大阪府第3期行動計画(改定)」、障害者施策は「ふれあいおおさか障害者計画後期行動計画(新大阪府障害者計画後期行動計画改訂版)」、高齢者施策は「新ふれあいおおさか高齢者計画(大阪府高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画)」、子どもに係る施策は「第2次大阪府青少年育成計画」、「大阪府子ども総合ビジョン」、外国人に係る施策については「大阪府国際化推進基本指針」などがある。

(注4)「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」違反事件
 平成10(1998)年7月、調査業者2社が企業から依頼された採用調査に関して、部落差別事象を行っていたことが判明した。なお、当該調査業者は採用調査に際し、条例違反の部落差別調査だけでなく、思想、家族の状況等、本人の適性・能力にかかわりのない事項についても情報収集し、企業に提供していたことも明らかになっている。
 また、企業等の中には、当該調査業者から一方的に応募者の人権を侵害するおそれのある情報が報告されても、何らの問題意識もなく受け取っていたケースなど、十分な人権意識を持っていないところもあった。

(注5)施設コンフリクト
 障害者等の自立を進めるための基盤となる福祉施設等の設置に際し、その設置をめぐり地域住民との間で生じる摩擦を施設コンフリクトというが、これによって福祉施設等の整備が進まないことは、障害者等の自立と社会参加を阻む重大な問題である。
*コンフリクト 英語で衝突、対立という意味

(注6)HIV
 HIVはヒト免疫不全ウイルスのことであり、HIVへの感染によっておこる病気をエイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)という。性行為、母子感染、血液感染(注射器の共用等)がHIVの感染経路である。

(注7)性的マイノリティとされる人々
 社会において、異性愛を自明のこととし同性愛者をマイノリティとする見方が支配的であり、また、性同一性障害者、インターセックス(先天的に身体上の性別が不明瞭であること)の人々を含む総称として用いる。

(注8)NPO
 Nonprofit Organization(非営利組織)の略で、一般的には「営利を目的としない民間組織」の総称。法人格を持つ組織(公益法人、特定非営利活動法人など)と、法人格を持たない組織(ボランティアグループなどの任意団体)がある。政府(行政)、営利組織(企業)と並ぶ第三のセクターと呼ばれている。

(注9)人権教育
 「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」においては、人権教育を「人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動」、人権啓発を「国民の間に人権尊重の理念を普及させ、及びそれに対する国民の理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動(人権教育を除く。)」と定義されている。
 また、国連の「人権教育のための国連10年行動計画」では、人権教育を「知識と技術の伝達及び態度の形成を通じ、人権という普遍的文化を構築するために行う研修、普及及び広報努力である」と定義されている。
 ここでは、「人権教育のための国連10年」の定義と同じく、人権教育に人権啓発を含めて用いている。

人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成12年法律第147号)

(目的)
第1条 この法律は、人権の尊重の緊要性に関する認識の高まり、社会的身分、門地、人種、信条又は性別による不当な差別の発生等の人権侵害の現状その他人権の擁護に関する内外の情勢にかんがみ、人権教育及び人権啓発に関する施策の推進について、国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに、必要な措置を定め、もって人権の擁護に資することを目的とする。

(定義)
第2条 この法律において、人権教育とは、人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動をいい、人権啓発とは、国民の間に人権尊重の理念を普及させ、及びそれに対する国民の理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動(人権教育を除く。)をいう。

(基本理念)
第3条 国及び地方公共団体が行う人権教育及び人権啓発は、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて、国民が、その発達段階に応じ、人権尊重の理念に対する理解を深め、これを体得することができるよう、多様な機会の提供、効果的な手法の採用、国民の自主性の尊重及び実施機関の中立性の確保を旨として行わなければならない。

(国の責務)
第4条 国は、前条に定める人権教育及び人権啓発の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)
第5条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(国民の責務)
第6条 国民は、人権尊重の精神の涵養に努めるとともに、人権が尊重される社会の実現に寄与するよう努めなければならない。

(基本計画の策定)
第7条 国は、人権教育及び人権啓発に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、人権教育及び人権啓発に関する基本的な計画を策定しなければならない。

(年次報告)
第8条 政府は、毎年、国会に、政府が講じた人権教育及び人権啓発に関する施策についての報告を提出しなければならない。

(財政上の措置)
第9条 国は、人権教育及び人権啓発に関する施策を実施する地方公共団体に対し、当該施策に係る事業の委託その他の方法により、財政上の措置を講ずることができる。

附 則
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第8条の規定は、この法律の施行の日の属する年度の翌年度以後に講じる人権教育及び人権啓発に関する施策について適用する。

(見直し)
第2条 この法律は、この法律の施行の日から3年以内に、人権擁護施策推進法(平成8年法律第120号)第3条第2項に基づく人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策の充実に関する基本的事項についての人権擁護推進審議会の調査審議の結果をも踏まえて、見直しを行うものとする。

人権擁護施策推進法(平成8年法律第120号)

(目的)
第1条 この法律は、人権の尊重の緊要性に関する認識の高まり、社会的身分、門地、人種、信条又は性別による不当な差別の発生等の人権侵害の現状その他人権の擁護に関する内外の情勢にかんがみ、人権の擁護に関する施策の推進について、国の責務を明らかにするとともに、必要な体制を整備し、もって人権の擁護に資することを目的とする。

(国の責務)
第2条 国は、すべての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策並びに人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策を推進する責務を有する。

(人権擁護推進審議会の設置)
第3条 法務省に、人権擁護推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、法務大臣、文部大臣、総務庁長官又は関係各大臣の諮問に応じ、人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項を、法務大臣の諮問に応じ、人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策の充実に関する基本的事項を調査審議する。
3 審議会は、前項に規定する事項に関し、内閣総理大臣、法務大臣、文部大臣、総務庁長官又は関係各大臣に意見を述べることができる。

(人権擁護推進審議会の組織等)
第4条 審議会は、委員20人以内で組織する。
2 委員は、学識経験のある者のうちから、法務大臣が任命する。
3 委員は、非常勤とする。
4 審議会に、会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
5 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
6 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
7 審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
8 前各項に定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、政令で定める。

附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(この法律の失効)
2 この法律は、前項の政令で定める日から起算して5年を経過した日【平14.3.25】にその効力を失う。



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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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