大阪府人権教育推進計画 2 これまでの取組と評価

更新日:平成27年3月30日

2 これまでの取組と評価

 大阪府では、国連や国の動向を踏まえ、平成9(1997)年に「人権教育のための国連10年大阪府行動計画」(平成13(2001)年3月に「後期行動計画」に改訂)を全国に先駆けて策定し、「あらゆる人々が、あらゆる機会・場において実施される人権教育を通じて、人権尊重の精神を当然のこととして身に付け、日常生活において実践し、人権という普遍的文化の創造をめざす」ことを基本理念に、人権教育の取組を進めてきたところです。
 中でも、平成10(1998)年に、人権尊重の社会づくりに関する府の施策を明らかにするとともに、人権施策(注)の推進の基本となる事項を定める等、今後の府政推進の基本となるものとして、「大阪府人権尊重の社会づくり条例」を施行し、平成13(2001)年3月には、この条例に基づき、府政推進の基本理念を定め、人権施策の概念、内容等を明確にした「大阪府人権施策推進基本方針」(以下「基本方針」といいます。)を定めました。
 そして平成17(2005)年3月に、「人権教育のための国連10年大阪府(後期)行動計画」の成果と課題を継承しつつ、基本方針が示した基本方向に沿った「人権意識の高揚を図るための施策」を着実に推進するため、その具体的な推進計画として、「大阪府人権教育推進計画」(以下「推進計画」といいます。)を策定し、総合的な推進を図ってきたところです。

(注) 条例では、「府民の人権意識の高揚を図るための施策及び人権擁護に資する施策」を「人権施策」と定義しています。

 推進計画では、「人権が尊重される社会基盤の構築」「人権教育の推進」と、大きく二つの取組の方向性を示しています。この間の取組とその評価は、おおむね次のとおりです。

(人権が尊重される社会基盤の構築)
 学校や職場、地域で人権問題についての学習経験がある人の割合は7割を超えていますが(平成22(2010)年実施 人権問題に関する府民意識調査)、子どもの貧困等様々な人権問題が新たに生起したり、インターネット上の差別表現やヘイトスピーチ等、人権尊重社会の実現に向けた取組と逆行する動きが大きくなっています。
 効果的な人権情報の発信や人権教育の内容の充実が引き続き必要です。内容的には、これまでの女性、子ども、高齢者、障がい者等の人権問題のほか、いじめ、ニート、引きこもり等、近年人権課題と意識されるようになった事象を取り上げることも必要です。
(人権教育の推進)
 人権尊重社会の実現に深い関わりを有している公務員、教職員、警察職員等に対する研修については、さらに充実を図る必要があります。
 人権教育を担う人材の養成については、養成講座の受講は進んでいますが、地域・職場で講師やリーダーとして実際に活動したり、学校とも連携するという点ではまだ十分ではありません。
 教材については、基本的なテキストや参加・体験型学習を進めるためのテキストを作成してきましたが、その活用を進めることが課題となっています。
 人権情報の提供については、情報誌だけでなく、インターネット等今日的・多様な媒体を活用し、効果的でタイムリーな情報提供に努める必要があります。

 また、人権教育・啓発をより効果的に進めるためには府民の人権に関する意識を正しく把握することが必要との認識の下、「人権問題に関する府民意識調査」を実施しています。
 直近(平成22(2010)年)の調査では、見えてきた府民意識の現状や人権教育・啓発の課題を踏まえ、今後の取組のポイントを整理しました。
 
 一方、この間の人権をめぐる状況については、特徴として次のようなことが言えます。
○人権問題が複合的に発生
 様々な人権問題が複雑に絡み合い、当事者がさらに困難な状況に置かれるといった事象だけではなく、子どもへの虐待の背景に両親間のDV(ドメスティック・バイオレンス)がある等、人権問題が複合的に発生しています。
○人権問題が背景となった生活困窮が進行
 社会的に不利な立場にある人が、急激な不況の中で、自殺や貧困等の社会的排除(経済面、人間関係、心理面)を受けています。
○情報化や技術の発展による差別や人権侵害の拡大が進行
 インターネットやSNSの発展により、インターネット上の差別表現がエスカレートし、ヘイトスピーチの拡大にもつながっています。
 また、安全かつ適正に取り扱われるべき個人情報が十分保護されず、時には犯罪に悪用されることがあります。
○人権尊重の取組が前進
 世界では、「人権教育のための国連10年」(1995〜2004)に続く取組として、「人権教育のための世界計画」行動計画が第1フェーズ(2005〜2009)、第2フェーズ(2010〜2014)と、切れ目なく策定・推進されるほか、障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)、ISO26000(注) の制定等がありました。
 国内では、平成12(2000)年公布・施行の「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」に基づき、施策の総合的かつ計画的な推進が図られるとともに、条約批准に向けた国内法の整備(障害者基本法の改正、障がいを理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)の制定)やJISZ26000(注)の制定のほか、「いじめ防止対策推進法」や「子どもの貧困対策の推進に関する法律」の制定等、新たに生起した人権問題に対し立法措置が講じられるようになっています。


(注) 国際標準化機構(ISO)が平成22(2010)年に発行した社会的責任に関する国際規約で、企業に限らずあらゆる組織が「一市民」として社会的責任(Social Responsibility)を果たしながら社会で活動していくための指針と言えます。7つの原則・7つの中核主題のいずれにも「人権(の尊重)」が挙げられています。

(注) ISO26000を基に、技術的内容及び構成を変更することなく作成された日本工業規格です。



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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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