大阪府人権教育推進計画 全文

更新日:平成21年8月5日

1.はじめに

 1−1.計画策定の意義
  【1】 人権教育にかかる国連及び国、大阪府等の動き  
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 国際連合は、平成6(1994)年の総会において、平成7(1995)年から平成16(2004)年までの10年間を「人権教育のための国連10年」と宣言する決議と行動計画を採択しました。
 その中で、国連は、「人権教育とは、あらゆる発達段階の人々、あらゆる社会層の人々が、他の人々の尊厳について学び、また、その尊厳をあらゆる社会で確立するための方法と手段について学ぶための生涯にわたる総合的な過程である」として、

(A)人権と基本的自由の尊重の強化、
(B)人格及び人格の尊厳に対する感覚の十分な発達、
(C)全ての国家、先住民、及び人種的、民族的、種族的、宗教的及び言語的集団の間の理解、寛容、ジェンダーの平等並びに友好の促進、
(D)全ての人が自由な社会に効果的に参加できるようにすること、
(E)平和を維持するための国連の活動の促進

 をめざした取組みを進めてきました。
 「人権教育のための国連10年」は、平成16(2004)年末で終了を迎えましたが、国連は、平成16(2004)年12月の総会で、世界各地で引き続き人権教育を積極的に推進していくことを目的に、「人権教育のための世界プログラム」を2005年1月から開始することを採択しました。
 この世界プログラムでは、第一段階(2005年から2007年)として初等・中等学校制度における人権教育に重点を置くことにしており、今後、世界プログラムを踏まえた取組みを進める必要があります。
 その他の国連の動きとしては、平成13年(2001)年の総会で、平成15(2003)年から平成24(2012)までを「国連識字の10年」とすることを採択しています。
 さらに、平成14(2002)年の総会においては、「国連持続可能な開発のための教育の10年」を採択しています。持続可能な社会を実現するために必要な教育への取組みを各国が積極的に行い、また、そのための国際協力を推進するよう国連を通して各国政府に働きかけるというもので、平成17(2005年)1月から開始されています。
 わが国においても、こうした国連の動きや平成8年(1996年)の地域改善対策協議会意見具申で述べられた「今や、人権の尊重が平和の基礎であるということが世界の共通認識になりつつある。…世界の平和を願うわが国が、世界各国との連携・協力の下に、全ての人の人権が尊重され、あらゆる差別の解消を目指す国際社会の重要な一員として、その役割を積極的に果たしていくことは、『人権の世紀』である21世紀に向けたわが国の枢要な責務というべきである」との考えのもとに、平成9(1997)年に、「憲法の定める基本的人権の尊重の原則及び世界人権宣言などの人権関係国際文書の趣旨に基づき、人権の概念及び価値が広く理解され、わが国において人権という普遍的文化を構築すること」を目的に「人権教育のための国連10年に関する国内行動計画」が策定され、人権教育の取組みが進められてきました。

 この間、国においては、人権教育・啓発のより一層の推進を図るため、平成12(2000)年に、人権教育・啓発の理念、国・地方公共団体・国民の責務を明らかにした基本計画の策定や年次報告等の内容を盛り込んだ「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」を施行し、平成14(2002)年には、この法律に基づく「人権教育・啓発に関する基本計画」を、平成15(2003)年には、人権教育・啓発白書として年次報告を行うなど、施策の推進が図られてきたところです。
 また、「男女共同参画社会基本法」や「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」、「児童虐待の防止等に関する法律」、「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」など、個別の人権関係法の整備が進むとともに、人権救済機関の整備に向けた法整備の動きや議論も活発化してきています。

 大阪府においても、平成9(1997)年に「人権教育のための国連10年大阪府行動計画(策定後の状況変化等を踏まえ、平成13(2001)年3月に見直しを行い、「人権教育のための国連10年大阪府後期行動計画」として改訂。)」を全国に先駆けて策定し、「あらゆる人々が、あらゆる機会・場において実施される人権教育を通じて、人権尊重の精神を当然のこととして身につけ、日常生活において実践し、人権という普遍的文化の創造をめざす」ことを基本理念に、人権教育の取組みを進めてきたところです。なかでも、平成10(1998)年に施行した「大阪府人権尊重の社会づくり条例」は、人権尊重の社会づくりに関する府の責務を明らかにするとともに、府民の人権意識の高揚を図るための施策及び人権擁護に資する施策の推進の基本となる事項を定めるなど、今後の府政推進の基本となるものであり、この条例に基づき、平成13(2001)年3月には、「大阪府人権施策推進基本方針」を定めるなど、人権施策を総合的に推進してきたところです。
 また、府内の市町村においても、全市町村で「人権教育のための国連10年」を推進するための横断的組織が設置されるとともに、人権教育のための国連10年を推進するための行動計画等の策定が進むなど、人権教育の取組みは広がってきています。
 さらに、民間団体においても、人権教育のための国連10年に係る取組みが展開されてきています。

 こうした国、府、府内市町村及び民間団体における取組みにより、人権教育の重要性に対する認識は高まり、「人権文化の創造」をめざした人権教育を総合的・計画的に推進していくことが可能になったものと考えています。

  【2】 人権の現状  目次に戻る
 これまでの取組みにも関わらず、今日においても、同和問題をはじめ、女性、障害者、高齢者、子ども、外国人などにかかる様々な人権問題が存在しています。また、人権侵害の状況についても、内閣府が実施した「人権擁護に関する世論調査」からは依然として、厳しい状況にあることがうかがえます。

平成15(2003)年の内閣府「人権擁護に関する世論調査」から、平成5年7月から平成15年2月にかけての人権侵害に対する意識をみると、「あまり変わらない」が43.8%から39.5%に、「少なくなってきた」が16.0%から12.3%にそれぞれ減少していますが、「多くなってきた」が30.2%から36.2%に、「わからない」が10.0%から11.9%にそれぞれ増加しています。

(同和問題)
 同和問題は、人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する重大な問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる深刻かつ重要な課題であるという認識のもと、その解決は、国の責務であり、同時に国民的課題とされ取組まれてきました。しかしながら、「同和問題解決に向けた実態等調査」(平成12(2000)年大阪府)からは、進学率、中退問題など教育の課題、失業率の高さ、不安定就労など労働の課題等が残されているとともに、府民の差別意識の解消も十分に進んでおらず、部落差別事象も跡を絶たない状況にあります。

平成12(2000)年度の大阪府府民意識調査「同和問題解決に向けた実態等調査」では、同和問題の存在認識は、「知っている」が86.5%で、「知らない」が11.8%となっています。この「知っている」と回答した人のうち、結婚差別の現状認識(同和地区の人たちが、結婚する際に同和地区出身であることを理由に反対されることがあると思うか)は、「しばしば反対されることがある」が34%、「たまに反対されることがある」が44%、「反対されることはない」が6%、「わからない」が15%、「無回答」が1%となっています。また同じく「知っている」と回答した人のうち、同和地区に対する忌避的態度(家を購入したりするとき同和地区を避けることがあるか)は、「避けると思う」が38%、「家やマンションの条件が合えばこだわらない」が23%、「こだわらない」が13%、「わからない」が24%、「無回答」が2%となっています。


(女性の人権問題)
 平成11(1999)年6月、男女共同参画社会基本法が施行され、男女共同参画社会の実現がわが国社会を決定する最重要課題と位置づけられ、取組みが進められてきました。しかしながら、固定的な性別役割分担意識による決め付けが、社会の様々な制度の中に組み込まれ、人々の意識の中に依然として残っています。
 また、政策・方針決定過程への女性の参画率の低さや、労働分野などにおいて男女格差がいまだ残っている現状があります。
 夫・恋人等からの暴力や、セクシュアル・ハラスメントなど、女性に対する暴力は、個人の尊厳を脅かすだけではなく、被害女性の身体や心に一生かかっても拭い去れないような危害をおよぼすこともあります。さらには、結婚や離婚、未婚に対する固定的な価値観や先入観から、母子家庭への偏見や差別も見られます。

平成16(2004)年の大阪府「男女共同参画に関する府民意識」では、男は仕事、女は家庭という考え方について、男性では、「そのとおりだと思う」が11.9%、「どちらかと言えばそう思う」が41.3%、「どちらかと言えばそう思わない」が19.6%、「そう思わない」が26.6%、「無回答」が0.6%となっています。女性では、「そのとおりだと思う」が4.4%、「どちらかと言えばそう思う」が39.2%、「どちらかと言えばそう思わない」が21.7%、「そう思わない」が33.7%、「無回答」が1.0%となっています。

平成16(2004)年度の内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」では、男女の地位の平等感について、「男性の方が非常に優遇されている」が12%、「どちらかと言えば男性の方が優遇されている」が34%、「平等」が39%、「どちらかと言えば女性の方が優遇されている」が4%、「女性の方が非常に 優遇されている」が1%、「わからない」が10%となっています。


(障害者の人権問題)
 障害及び障害者に対する理解と認識の不足から、物理的なバリアのみならず、情報や心の面などにおいてもバリアが存在し、障害者がかけがえのない一人の人間として当たり前に生きて行くことを制約する状況にあります。
 障害者の自立を図る基盤となる福祉施設等の設置に際して、地域住民との摩擦(いわゆる施設コンフリクト)が生じたり、障害者への入居・入店拒否、就職に際しての差別などの問題も生じています。また、学校や施設、病院等における人権侵害も生起しています。

平成15(2003)年の内閣府「人権擁護に関する世論調査」では、障害者に関しどのような人権問題が起きているかについて、「悪徳商法の被害者が多いこと」が13.9%、「スポーツ・文化活動・地域活動に気軽に参加できないこと」が17.2%、「結婚問題で周囲が反対すること」が29.4%、「じろじろ見られたり、避けられたりすること」が34.7%、「アパートなどの住宅への入居が困難なこと」が35.6%、「差別的な言動をすること」が36.8%、「就職・職場で不利な扱いをすること」が50.7%、「人々の障害者に対する理解が足りないこと」が55.3%となっています。


(高齢者の人権問題)

 高齢者に対する深刻な人権侵害として、日常生活における財産や金銭の詐取、介護の放棄や暴力、暴言といった虐待事例が見受けられます。そして、施設内における身体拘束の解消や高齢者のプライバシー保護についても、確実に実現していかなければならない人権上の課題です。
 また、介護サービスの利用に当たっては、説明不足等により高齢者に不利益が生じないようにするなど、高齢者が自ら必要なサービスを選択し、安心して利用できる体制づくりが必要です。
 さらには、高齢であることを理由に就労の場から、意欲と能力のある高齢者が排除されない社会にすることも必要です。

平成15(2003)年の内閣府「人権擁護に関する世論調査」では、高齢者に関する人権上の問題点について、「家庭内での看護や介護において嫌がらせや虐待をすること」が28.4%、「病院での看護や養護施設において劣悪な処遇や虐待をすること」が31.3%、「高齢者の意見や行動を尊重しないこと」が31.4%、「経済的に自立が困難なこと」が36.9%、「悪徳商法の被害者が多いこと」が43.3%、「高齢者を邪魔者扱いし、つまはじきにすること」が43.8%、「働ける能力を発揮する機会が少ないこと」が47.5%となっています。

(子どもの人権問題)
 ことばや暴力によるいじめ、家庭における児童虐待、学校・施設における体罰、セクシュアル・ハラスメントなど、子どもの人権が侵害される事例は跡を絶たない状況にあります。とりわけ、児童虐待は、子どもを守るべき親により、家庭の密室の中で引き起こされており、子どもの身体や心に計り知れないダメージを与えるのみならず、乳幼児の命が奪われる事案が発生するなど極めて、深刻な状況にあります。

平成10年度から平成15年度にかけての子どもの虐待相談件数(大阪府子ども家庭センター処理件数)でみると、身体的虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待のいずれもが増加しており、特に身体的虐待が約5倍、ネグレクトが約4倍に増加しています。

(外国人の人権問題)
 言語や習慣、価値観等の相互理解が不十分であることなどから、国籍・民族等の違いを理由とした民間企業への採用拒否や賃貸住宅への入居拒否の事例が見られるなど、歴史的な経緯を有する在日韓国・朝鮮人をはじめとした外国人に対する偏見や差別等があります。また、府内では、在日外国人学校の児童・生徒への嫌がらせや暴言・暴行などの事象が発生しています。また、就職に際し、日本名(通名)の使用を求められるなどの事例や外国人への差別落書きなどの事例も報告されています。
 さらには、外国人労働者が、賃金や労働時間の点で日本人に比べて相対的に不利な立場に置かれたり、賃金未払いや長時間労働等の問題も発生しています。

平成15(2003)年の内閣府「人権擁護に関する世論調査」では、外国人の人権擁護についての考え方について、「日本国籍を持たない人でも、日本人と同じように人権は守るべきだ」が54%、「日本国籍を持たない人は、日本人と同じような権利を持っていなくても仕方がない」が21.8%、「どちらともいえない」が15.7%、「わからない」が8.5%となっています。

(HIV感染者、ハンセン病回復者等の人権問題)
 医学的に見て不正確な知識や思い込みなどによる過度の危機意識の結果、感染症患者に対する偏見や差別が生じ、就職や賃貸住宅への入居に際し、あるいは、医療機関、施設において様々な人権侵害が見られます。
 とりわけ、ハンセン病回復者については、「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給に関する法律」が制定され、名誉回復等を図ることとされましたが、依然として残る偏見のため、安心して社会復帰、帰郷ができない状況にあります。

(犯罪被害者やその家族の人権問題)
 犯罪被害者やその家族は、犯罪行為によって受ける直接的な被害のほか、マスメディアによる行き過ぎた取材・報道による深刻なストレスや近隣の人の無責任な噂話等に傷つき、あるいは経済的基盤を失うといった2次的被害をも被っています。

(ホームレスの人権問題)
 経済、雇用情勢等の変化を背景に、ホームレスとなることを余儀なくされている人々がいます。その中には、都市公園や河川敷、道路、駅舎等においてテント、小屋掛け等での生活が長期化し、勤労意欲を持ちながら、居住地を持たないことや健康を損なったこと等により、自立ができない状況においこまれている人々が多数存在しています。さらには、地域住民とのあつれきやホームレスの人に対する襲撃事件なども生じています。

(様々な人権問題)
 上記の分野以外にも、セクシュアル・マイノリティの人々(注1)、婚外子(非嫡出子)、アイヌの人々、刑を終えて出所した人々、北朝鮮に拉致された人々とその家族の方々、中国から帰国した人々などに関る、それぞれに重要な人権問題が存在していることにも留意しなければなりません。
 さらには、インターネットを利用した差別表現の流布や大量の個人情報の漏洩事件の発生、医療における生命倫理をめぐる問題など、新たな人権問題が生じています。一方で、人と人との繋がりの希薄化による社会からの孤立、多重債務や家庭崩壊による心身の障害などの様々な問題が隠れて進行する中で、自殺に追い込まれるといった生命を軽んじる事件も度々報道されています。
 また、世界を見ても、経済のグローバル化等に伴い、貧富の格差が拡大するとともに、人種、民族、宗教間の対立等を原因とする地域紛争が各地で多発し、約2300万人の難民が存在するといわれるなど、人権の現状は楽観するような現状にはありません。

(注1)セクシュアル・マイノリティの人々
 同性愛、性同一性障害、インターセックス(先天的に身体上の性別が不明瞭であること)であることにより、社会的に様々な不利益を被っている人々の総称として用います。

  【3】 今後の人権教育の意義  目次に戻る
 人権とは、「日本国憲法」をはじめ、「国際人権規約」、「人種差別撤廃条約」などに示された具体的な規準であり、人権が尊重された平和な社会の実現は、現在においても、また、将来においても、すべての人の変わることのない願いとして、最も優先度の高い政策指標です。
 人権を取り巻く内外の深刻な状況を直視したとき、人権の尊重とその確立は、人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する基本的な問題であり、その確立なしに、真に実りある世界平和を達成することができないことを改めて認識する必要があります。
 21世紀を『人権の世紀』としていくためには、国際連合や国の取組みのみならず、地方自治体、企業、市民が同じ目的に向かって、それぞれの役割を適切に果たしていくことが不可欠です。
 このため、大阪府では、引き続き、すべての人の人権が尊重される豊かな社会づくりに向けた施策を積極的に推進することにより、人権文化が社会に浸透し、人権の視点が社会の仕組みに根づくことを目的とした人権教育を推進することとしています。
 人権教育の推進に当たっては、人権および人権問題にかかる知識を深めるだけではなく、人権を学ぶ過程で、府民一人ひとりの「なぜ?どうして?」という疑問に丁寧に応え、人権侵害や差別を生み出すおそれのある慣習や人と人との間に生じる権力関係への”気づき”を促すとともに、現実に起こっている人権問題の解決に資する”技能と態度”を身につけることをめざした取組みでなければなりません。
 また、豊かな人権意識を育む観点からは、学習者自身が人権を守られ、慈しまれることによって、自らも人を愛し、信頼することを学んでいく共存の理念を大切にした学びの場が確保されていることも重要です。
 さらには、一人ひとりの価値観や生き方が多様化する中で、多くの人が伝統的な社会慣習や家族のあり方に寄せる心情にも配慮しつつ、個人がいかなる生き方を選んでも、社会的に不利益とならないような取組みも求められています。
 こうした意味で、人権教育とは、信頼関係のある学びの場の中で、府民一人ひとりがかけがえのない生命の尊さや痛み、あるいは人間の尊厳に思いを致し、「人権」を自らの課題として学ぶことを通して、差別のない、一人ひとりの人権が確立された社会の構築に向けた取組みであるといえます。
 このような取組みは、行政だけで進められるものではありません。すべての府民が主体となった社会全体の取組みが重要です。とりわけ、社会に大きな影響力を持つマスメディアに従事する関係者の取組みは不可欠です。
 府職員をはじめとする公務員については、自らの職務が、人権尊重社会の実現を願う府民から負託されたものであることを自覚し、それぞれの業務の立案や事務執行、府民との応接等において、単に人権を守るだけでなく、人権の視点を重視し、人権が確立された社会の実現に努めることが厳しく求められています。
 さらには、議会・行政委員会の関係者に対しても、人権にかかる情報の提供に努め、教材や講師を紹介するなど、それらの取組みに協力していくことが不可欠です。

 1−2.計画の位置づけ  目次に戻る
 「大阪府人権教育推進計画」は、「人権教育のための国連10年大阪府後期行動計画」の成果と課題を継承し、国連等における人権教育の動向を踏まえるとともに、「大阪府人権施策推進基本方針」に基づく人権意識の高揚を図るための施策の推進計画として策定します。また、人権教育に関し、府の様々な施策計画に対する上位計画としての性格を有するものです。「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」第5条で、地方公共団体は、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、実施する責務を有するとされており、この計画をもって大阪府の基本計画として位置づけるものです。

 1−3.計画期間  目次に戻る
 平成17(2005)年度から平成26(2014)年度までの10年間とし、国連等の動向、府民のニーズや社会情勢の変化、法令・制度の変更などに対応するため、必要に応じて計画内容の見直しを行います。


2.基本理念  目次に戻る

 豊かな人権文化を育む21世紀のまちづくり
 社会の仕組みに多様性を認めあい共に生きる視点が組み込まれ、一人ひとりが人権尊重の精神を当然のこととして主体的に社会に参画し、身近な地域で自分らしい生き方を決定、選択できる「人権のまちづくり」を推進することにより、人権が重視され、豊かな人権文化を育む都市(まち)「おおさか」の実現をめざします。


3.基本的な考え方  目次に戻る

 【多様性を認め合う人権教育を推進】
 性別や障害の有無、社会的出身や国籍、人種や民族などによって、あるいは、制度や慣行などを理由として、差別的な取扱いを受けることのないよう、一人ひとりの個性と文化を尊重し、多様性を認め合う人権教育を推進します。

 【実践的な人権教育を推進】
 一人ひとりが自らの人権を守るだけではなく、デマや噂、偏見に同調・傍観せず、さらには他者の生命や人格、様々な価値観にも思いを致すなど、人権尊重の精神を当然のこととし、行動に結びつけることができる実践的な人権教育を推進します。

 【自立とエンパワメントを支援する人権教育を推進】
 誰もが生まれながらに持つかけがえのない可能性を制約されることなく社会に参画し、すべての人が個性や能力を活かして自己実現を図ることができる社会の構築をめざして、一人ひとりの「自立」と「エンパワメント」(注2)を支援する人権教育を推進します。

(注2)エンパワメント
 差別など社会的抑圧等により弱者の立場に立たされてきた個々人が、その内在する能力、行動力、自己決定力を取り戻すことです。子どもの場合であれば、自分らしく主体的に生きる力を高めることにより、いじめ、虐待等から、自らを守る力をひきだすことです。


4.施策の推進方向

 4−1.人権が重視される社会基盤の構築  目次に戻る
 差別のない社会、個人としての尊厳が重んぜられた社会、個性や能力を発揮し自己実現の機会が確保された社会を実現するためには、人権の視点が社会の隅々にまで根づいたものにすることが必要です。
 このためには、まず、一人ひとりが人権尊重社会の実現に向けて、主体的な取組みを行うことが求められています。
 同時に、具体的な人権上のニーズや問題を抱えた当事者の自立、エンパワメントを支援し、自己選択・自己決定できる環境を整備することが不可欠です。

 二つめには、家庭や学校、地域等あらゆる機会や場をとらえて人権教育の取組みに対する支援を行う必要があります。また、家庭や学校、地域等の中で、一人ひとりがかけがえのない存在として尊重され、人権尊重の理念が実践されていることが重要です。
 家庭は、人間関係を形成するための基礎的な力や社会規範・倫理観、豊かな感性を育むために重要な役割を担っており、その機能が適切に発揮されるよう、適切な支援が行われることが必要です。
 また、学校教育においては、すべての教育活動を子どもの人権尊重の観点から実施することが求められており、「日本国憲法」や「国際人権規約」をはじめ、「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」、人権に関する法律・条例等の趣旨、内容を適切に踏まえて、子どもに対する指導が行われなければなりません。

 三つめには、府民一人ひとりが、主体的に社会に参画するためには、自らの可能性を信じ、自己実現する力を養う「学び」の場が提供されていることが重要です。
 また、メディアが大きな役割を果たす社会において、メディアを使って表現していく能力、様々な情報を主体的・批判的に読み解く能力、いわゆる、メディア・リテラシーを高めることが、人権教育を進める上で重要です。
 さらに、情報化が進展する中、個人情報の保護等についても、理解を深めることが求められています。

 四つめには、現実に起こっている人権問題に対し、人権教育等に携わる者が具体的・実践的な対応力を持つことが重要です。些細な出来事を見逃さず、適切な対応が図られるよう、一つひとつの事例から人権の課題を明らかにするとともに、人権教育に活かすための調査・研究の取組みが図られなければなりません。

 五つめには、グローバル化の進展により、地域の中で暮らす外国人は増加し、文化や価値観の多様化が進む中、大阪がすべての人にとって快適な都市として発展していくためには、すべての人の人権が尊重されるとともに、言葉や文化、習慣の違いを認め合う社会を実現していくことが重要です。

  【1】 人権を知ること、考えること、行動することを支援する環境の構築  目次に戻る
 すべての府民が主体となった人権尊重社会を築くためには、日本国憲法や国際人権諸条約、人権に関する法律・条例などの具体的な人権関係規程の趣旨・内容や個別・具体的な人権問題の解決に際して利用することができる行政サービス・方策などについて、知ることができ、自らが最良の選択を行うことができる社会づくりが不可欠です。

 このため、一人ひとりの具体的なニーズに応え、問題の発見から解決のための方策・手順等について、知ること、考えること、そして、行動することを支援する環境づくりを推進します。


【人権を知ること、考えること、行動することを支援する環境イメージ図】

府民が具体的な人権の内容、利用できる行政サービス、対人関係等の悩みを解決するヒントなどを知ることができるよう、大阪府、市町村、民間団体、関係団体による、人権教育のためのネットワークづくりを推進するといったものです。実行目標は、人権問題を早期に発見し、人権侵害を未然に防止するため、誰もが人権に関する基本的な事柄について、身近なところで学べるよう人権教育のためのネットワークづくりを推進します。


  【2】 家庭、学校、地域、職域等における人権教育の取組みに対する支援  目次に戻る
 人権教育については、人権及び人権問題にかかる知識を深めるだけではなく、人権侵害を生み出すおそれのある慣習等への気づきを促すとともに、人権問題の解決に資する技能と態度を身につける取組みを推進することが求められており、家庭や学校、地域、職域等あらゆる機会や場をとらえて人権教育の取組みに対する支援を行います。

 人権教育の支援に当たっては、自己を肯定し、誇りをもって社会に関わろうとする自尊感情や、他者の立場や痛みを理解し、その権利を尊重することを学び身につけることが、社会生活を営む上での基礎となるものであること、さらには、幼少期から、生命の尊さや人の人たる道(人間として基本的に守らなければならないルール)に気づかせ、豊かな情操や思いやりを育み、お互いを大切にする態度と人格を培うことはその後の成長に応じた人権教育を実効的なものとする上で、大きな役割を果たすものであることを踏まえた取組みが必要です。

 また、府民一人ひとりが、それぞれの違いを認め合いながら他の人とつながり支え合う関係を培うことも、人権尊重社会の実現に向けては重要であり、人と人との豊かな関係づくりに向けた取組みを支援します。


【人と人との豊かな関係づくりにかかる事業の推進イメージ】

地域(市町村)では、府民が参加する自治会・子ども会、職場・職域、自主学習グループに対し、人と対立したときにどうすればよいかや、自分を理解し、自尊感情を高める方法などを内容とする、豊かな関係づくり講座を開催するといったものです。また、大阪府では、地域(市町村)において講座を開催予定の団体の職員や自ら講座を開催予定の民間団体のスタッフなどを参加者とし、豊かな関係づくり講座の体験や講座の企画・運営などを内容とするプレ講座を開催するといったものです。実行目標は、人と人との豊かな関係づくりの基礎となるコミュニケーション能力や自尊感情を高める技術の習得を内容とする参加体験型の学習会が、各市町村において実施されるよう、取組みを促進します。

  【3】 教育の機会均等の確保と「学び」の場の充実   目次に戻る
 府民一人ひとりが、個性や能力を活かして、自己実現を図ることができる社会を構築するためには、学校、地域、職域といった身近な場所において、「学び」の場が提供されていることが重要です。

 すべての人々が社会に主体的に参加できるようにするために、すべての子どもに、それぞれの状況に即して教育の機会均等の実現を図るとともに、興味・関心から学習への意欲を育成し学ぶ喜びを実感させ、自己選択に基づく学習と進路の保障を図ることなどを通して、生涯学習の基礎となる力を育むことが必要です。学校教育は、このような人権としての教育を保障し、「学び」に欠くことのできない大きな役割を担っており、今後とも、その充実に向けた取組みを推進します。 さらには、学校がすべての子どもにとって、安心して安全に学ぶことができ、同時に、一人ひとりの違いを認め合う感性、集団生活を通して自らの権利と義務を自覚する態度を育成する場所となるような取組みを進めます。

 また、府民一人ひとりが、社会生活を営むために必要な知識や技能を身につけ、生涯にわたり自分らしい生き方を選択できるよう、自立とエンパワメントを支援する様々な学習活動の機会や場の充実を進めます。

  【4】 現実に起こっている人権問題を踏まえた課題の共有・教材化  目次に戻る
 今なお、差別事象が発生するなど、人権侵害が跡を絶たない状況の中で、その未然防止に向けた取組みを強化、充実していくことが求められています。

 とりわけ、人権学習については、その内容が学ぶ者にとって、知識を深めるだけではなく、自らに関わる事柄として認識を深め、人権問題の解決に資する技能と態度を身につけていけるものとすることが求められています。

 このため、人権相談事例等を通して明らかになった人権の現状や課題について、その背景や要因等を分析、整理するとともに、その結果を共有・教材化することにより、人権教育・啓発に活かしていく取組みを進めます。


【現実に起こっている人権問題を踏まえた人権教育施策の展開イメージ】

非合理な慣習などや偏見、他者への無関心などから発生した人権問題について、行政機関、相談機関、教育機関が連携して問題の把握と分析を行い、これを共有・教材化して、人権教育や啓発に役立てる仕組みを作っていくといったものです。実行目標は、人権相談事例などから見えてきた課題を分析、整理し、これを共有・教材化することにより、人権を自らに関わる事柄として認識を深め、人権問題の解決に資する技能と態度を身につけていけるものとする人権教育の取組み(人権侵害などの未然防止)に活かしていきます。


  【5】 調査・研究機能の強化、充実に向けた取組み支援  目次に戻る
 インターネットを利用した差別表現の流布や生命倫理をめぐる問題など、新たな人権問題が生起する中、大学や民間機関において、メディア・リテラシーや生命科学の展開と人権尊重のあり方など様々な研究、アプローチが行われており、これらの成果を有効に活用し、人権教育にかかる新たな教材の作成など効果的な施策に結びつけていくことが必要です。

 このため、人権教育にかかる研究者等との研修交流会や調査・研究事業の共同実施など、連携を深めていきます。

  【6】 多様な文化や価値観を持つすべての人々が共生できる人権教育の推進  目次に戻る
 大阪府には、これまでから歴史的な経緯を有する多くの在日韓国・朝鮮人が居住し、また、近年では、中国、ブラジル、フィリピンなどから、様々な文化的背景を持つ人々も増加するなど、多様な文化や価値観等を認めあい、ともに暮らすことのできる共生社会の実現は不可欠なものとなっています。

 また、国際交流の取組みも重要です。異なる文化や価値観に対する理解を深めることを通して、共に生きることの大切さを学ぶ機会となるものであり、こうした取組みを通じ、人権意識の高揚を図っていくことが必要です。

 このため、あらゆる機会を通じて、異なる文化や価値観等に対する理解を促進するための教育・啓発の取組みを進めます。

 4−2.人権教育の推進
  【1】 人権研修の推進  
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 誰もが人権尊重の精神を当然のこととして身につけ、人権という普遍的文化の創造をめざすためには、あらゆる機会、場を通じて人権教育を推進することが求められています。

 とりわけ、人権尊重社会の実現に深い関わりを有している公務員をはじめ、教職員、警察職員等に対する人権研修の取組みは不可欠です。

 研修については、研修参加者の具体的なニーズやレベル、業務内容に応じた多様な研修が行えるよう検討を進めると同時に、参加者の気づきを促し、技能と態度を培うことを目的とした「参加を重視した人権研修」やマイノリティの立場に置かれている当事者の体験や考え方に直接触れ、人権問題を「自らのことと受け止めることができる人権研修」の取組みを推進します。

    (1)公務員に対する人権研修の推進
 公務員は、業務の遂行に当たって、府民一人ひとりの人権を侵害することがないよう、十分留意するとともに、人権を擁護する職責意識を持つことが不可欠であり、人権保障の歩みや人権についての考え方をはじめ、様々な人権問題について理解を深め、人権問題の解決を自らの課題として取り組むことが求められています。

 このため、公務員に対する人権研修については、様々な人権問題の背景や現状、課題について知的理解を図るだけではなく、豊かな人権感覚を身につけ、人権問題を的確に捉える能力、感性を適正に育むことを目的に、職員採用時から計画的な取組みを進めます。

 また、研修に当たっては、研修参加者の職階ごとの育成目標や研修内容、手 法等について定めた研修カリキュラムを策定することにより、参加者の具体的なニーズやレベル、業務内容に応じた多様な取組みを進めます。また、その効果の検証に努め、さらなる改善に結びつけるなど、研修の充実を図ります。併せて、人権尊重の視点が府民との応対や業務執行等において、きめ細かく取り入れられた職場づくりを進めるための検討を行います。


【公務員に対する人権研修のイメージ(大阪府:センター研修、部局・職場研修)】

1.センター研修 全員を対象とする階層別研修として、まず主事・技師級では、採用時に新規採用職員研修と主事・技師級研修1、2年目に主事・技師級研修2、3年目に主事・技師級研修3、次に主査級では1年目に新任主査級研修、次に課長補佐級では、1年目に人権問題基本研修、2年目に人権問題応用研修、そして課長級では1年目に新任課長級研修を行うといったものです。また、選択した職員を対象とする階層別研修として、主事・技師級では中堅職員特別研修、主査級では1年目に選択研修(福祉体験研修)といったものです。階層別研修の目標(カリキュラムイメージ)として、新規採用職員には国際人権諸条約や人権問題の歴史・背景、法令・府条例の理解、2年目の職員には気づきを促進するもの、3年目の職員には行動に結びつけるもの、4年目以降の職員には新たな人権課題や人権状況を認識するもの、主査級1年目の職員には様々な人権課題を深化させて学習するもの、課長補佐級1年目の職員には人権問題への認識の深化を図り人権に関する指導能力を醸成するもの、2年目の職員には人権に関する指導能力をさらに醸成し研修の推進役としての能力を習得するもの、そして課長級1年目の職員には職場研修を総括する能力の習得と施策に反映させるといった、ステップアップしていくようなものです。専門・特別研修として、主事・技師級では手話入門研修、点字入門研修、福祉体験研修、人権問題講座、主査級以上では人権研修指導者養成研修といったものです。2.部局・職場研修 配属時研修、中堅職員研修、参加体験研修といったものです。実行目標は、豊かな人権感覚を身につけ、人権問題を的確に捉える能力、感性を適正に育むことを目的に、計画的な人権研修を推進します。また、研修に当たっては、育成目標や研修内容、手法などについて定めた研修カリキュラムを策定します。


    (2)教職員に対する人権研修の推進
 学校における児童・生徒に対する教育指導に当たっては、教職員が人権について十分な認識を持つだけではなく、人権教育に関する知識や技能の修得が必要です。

 このため、あらゆる教育活動が豊かな人権意識、人権感覚をもって展開できるよう、「人権教育基本方針・人権教育推進プラン」に基づき、人権教育を推進するとともに、学校において、今なお、人権侵害が生じている現状を踏まえ、教職員研修の工夫・改善、それぞれの学校に即した研修の充実など、一層の取組みを推進します。

 なお、教職員に対する研修についても、その研修カリキュラム等について検討を進めるとともに、その効果の検証に努め、さらなる改善に結びつけるなど、充実を図ります。

    (3)警察職員に対する人権研修の推進
 警察活動については、警察法第2条第1項において「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当たることをもってその責務とする」と定められ、第2項において「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであって、その責務の遂行に当たっては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない」と定められており、犯罪被害者、被疑者、被留置者等の人権に配慮した適正な職務執行が求められています。

 このため、採用・昇任時、あるいは専門教養のための警察学校及び職場におけるあらゆる機会を捉え、「警察職員の職務倫理及び服務に関する規則(平成12年国家公安委員会規則第1号)」に定める基本的人権の尊重を柱とする「職務倫理の基本」に基づき、各種の職務倫理教養の一層の充実を図ります。

 また、従来から実施している人権尊重に配慮した府民応接活動、被害者への適切な対応、被疑者・被留置者の適正な処遇等についての人権研修を引き続き実施します。

    (4)福祉・医療関係者に対する人権研修の促進
 社会福祉施設の職員等の福祉関係者は、子ども、障害者、高齢者等に対する処遇や介護に直接当たるなど、人権の保障に密接な関わりを持っており、人権について高い識見が求められています。

 また、医療関係者についても、インフォームド・コンセント(注3)の確立やプライバシーの保護、病歴等医療情報の秘密の保持など、患者一人ひとりの人権を尊重する医療の実現が不可欠です。

 これまで、福祉・医療関係者に対する人権研修については、それぞれの関係者が所属する法人や当該法人を構成員とする各実施主体等により、幅広く実施されてきましたが、こうした取組みをさらに促進するため、関係団体との連携を図りながら、研修の充実に努めていきます。

 また、研修については、福祉や医療など、それぞれの職務内容に応じた研修が行われるよう、その内容の充実に向けた取組みを促進するとともに、事例から学ぶ実践的な研修が行われるよう支援を行います。

(注3)インフォームド・コンセント
 医療において、医師が患者に診断の結果や治療の必要性を説明するなど、十分な情報提供を行うことにより、患者が納得し、同意してから治療することを言います。

    (5)民間団体、企業等における人権研修の促進
 人権問題は、本人の適性や能力に関係のない事柄や非合理的な制度や慣行等を背景に職場等の中で生起しており、人権が尊重された社会づくりを行うためには、社会の構成員として重要な役割を担う民間団体、企業等が果たす役割には大きいものがあることから、その主体的な取組みは不可欠です。

 このため、それぞれの民間団体、企業等において、人権研修が効果的かつ総合的に推進されるよう働きかけを行うとともに、各人権課題・分野等に即して、より柔軟かつ幅広い取組みがなされるよう、内容・手法等について支援します。

 また、企業活動については、人権や環境等にかかる社会的責任を積極的・主体的に遂行していくことが強く期待されており、人権に関する法令が企業等の活動の隅々にまで活かされる「コンプライアンスの取組み」(注4)の促進を図ります。

(注4)コンプライアンスの取組み
 法令の趣旨、内容を理解するだけでなく、法令遵守はもとより、法令が実現しようとする社会的な利益を増進する行動、もしくは事業活動を企業に求めるものです。

  【2】 人権教育を担う人材の養成と活用  目次に戻る
 地域の隅々まで人権文化を広く普及していくためには、地域や職域など生活に身近なところで、人権教育が行われることが必要です。

 こうした人権に関する学習は、人権及び人権問題にかかる知識を深めるだけではなく、気づきを促し、技能と態度の会得をめざして行われることが求められています。このため、同和問題をはじめ、女性・障害者・外国人等の人権にかかる様々な課題について府民の理解を促し、学習意欲を刺激できる人材を養成することが不可欠です。また、こうした人に対し、幅広い識見や専門的な見地から指導を行い、人権教育を先頭に立って進める者の養成を進めることも求められています。

 また、様々な所で人材養成がなされていますが、これらのネットワークづくりなど連携を進めることにより、養成した人材が自律的に活動できる機会や場の提供など、その活用を図ることも必要です。

    (1)地域、職域等において人権教育を担う人材の養成
 地域、職域等において、身近な指導者として人権研修を担うとともに、人権教育にかかる事業を企画、推進する人材の養成を計画的に進めます。

 また、人材の養成に当たっては、育成レベルや学習内容を明確にした人材養成プログラムを作成することにより、学習水準の確保に努めます。


【人材の養成と活用】

地域、職域等において、身近な指導者として人権研修を担うとともに、人権教育にかかる事業を企画、推進する人材の養成を計画的に進めます。また、人材の養成に当たっては、育成レベルや学習内容を明確にした人材養成プログラムを作成することにより、学習水準の確保に努めます。

  実行目標
  ○ 計画期間内に600名(1名/人口1万人当たり)の人材を養成します。
  ○ 人材養成プログラムのイメージ
     講座1(人権の現状と課題、人権思想等)…10時間程度
     講座2(指導者としてのスキルの養成) …25時間程度

    (2)専門的知識を持った人材の養成
 人権尊重社会を確固たるものにするためには、生起する様々な人権問題について、専門的な調査・研究を行い、その成果を人権が重視された社会づくりに活かしていく取組みが重要です。

 とりわけ、人権について高度な専門性と豊富な経験を有する人材は、個々の人権問題の原因・背景を分析し、人権教育の方法や教材、研修カリキュラムの開発などを通して研究の成果を社会に還元することが求められています。また、身近なところで人権教育を担う人材の養成など、人権教育を先頭に立って進めることが期待されており、その養成に向けて、社会全体の取組み方策について検討を進めるとともに、機運の醸成を図ります。


【専門的知識を持った人材の養成イメージ】

人権尊重社会の実現に向けた課題として、新たな人権課題への対応、地域や職域などにおいて人権意識の高揚を図る人材の育成、人権教育手法の検討があります。こういった課題に対応するため、人権課題の分析・研究、人権教育を担う指導者の養成、人権教育の手法や教材、カリキュラム開発を行うことのできる、専門的知識を持った人材を養成していくといったものです。実行目標は、人権についての専門的知識を持ち、人権教育を先頭に立って進める人材を養成するため、「国際人権大学院大学(夜間)の実現をめざす大阪府民会議」の一員として、プレ講座の開催など機運の醸成を図ります。
 

    (3)人材の活用
 養成した人材の活用を図るとともに、人権を学ぶ者の具体的なニーズに応じた指導者の派遣等を適切に行うため、人権教育にかかる人材バンクのあり方について、民間における指導者派遣等の取組み状況を踏まえつつ検討を進めます。

 また、府民が主体となった学習グループの形成や場づくりに成功したモデル事例を収集し、人材活用の観点から事例の検討を進めるとともに、検討の結果を人権教育の場づくりに活かしていきます。


【人材バンクのイメージ】

学識経験者、実務経験者、研修受講修了者などからなる人材バンクを設け、人権に関する講師として登録、紹介、提案したり、学習会の内容や進め方など、場づくりの支援・提案を行うといった機能をもたせます。大阪府・市町村などによる人権研修や府民向け人権講座の開催、地域・学校などによるまちづくり交流会や自主学習会の開催、企業・NPOなどによる人権研修の開催などに際しての、主催者からの講師紹介依頼に対し、催事の目的や内容に応じた企画の提案や講師の紹介などを行うといったものです。実行目標は、地域や職域において、人権教育を進める人材の紹介や、人権を学ぶ場づくりについて支援、提案を行うことを目的とした人材バンクのあり方に関する検討を進めます。

  【3】 人権教育教材の開発  目次に戻る
 人権教育を効果的に実施するためには、人権を学ぶ者の意欲、関心を呼び起こし、気づきを促す教材とすることが不可欠です。

 そのためには、あらゆる人々が人権問題について理解を深め、社会の構成員として豊かな人間関係づくりに積極的に取組む意欲、関心を引き出すような内容にすることが必要であることから、教材は、人権を学ぶ者のニーズ、レベルにきめ細かく対応したものでなければなりません。

 また、すべての人々に人権侵害に立ち向かう力を養い、一人ひとりの自立とエンパワメントを支援する観点も必要です。

    (1)効果的、実践的人権教育教材の開発・整備
 人権教育教材については、国際人権諸条約をはじめ、人権に関する法律、条例などの具体的な権利について理解を深めるものや、人権救済・相談から見えてきた課題を学びに活かすため事例化したもの、自尊感情の大切さに気づかせるものなど、実践的な教材の整備を推進します。

 また、教材の開発にあたっては、人権を学ぶ者のニーズ、レベルを踏まえ、きめ細かく作成することが必要であることから、人権関係機関との連携を深め、その内容の充実を図ります。

    (2)人権教育情報の収集と提供
 市町村等が実施する人権教育や民間団体、府民自らが行う学習活動等を支援するため、人権教育を目的としたビデオや書籍、先進事例等の情報収集を図るとともに、広く情報を提供します。

  【4】 NPO等民間団体と連携した取組みの推進  目次に戻る
 NPO等の民間団体(注5)は、自らの創造性を働かせて、多様化する府民ニーズに対応したサービスをきめ細かく提供できることから、社会を支える主体の一つとして期待されています。

 NPO等の民間団体の中には、人権尊重社会の理念を広める活動や人権侵害に対する支援活動を行う団体もあり、こうした活動の広がりを糸口に連携や協働関係の構築を図り、人権文化を社会の隅々にまで根づかせる取組みを進めていくことが重要です。

(注5)人権に関する活動を行うNPO等民間団体
 NPO法人以外に、福祉、保健・医療、教育・子育て、まちづくり、法曹等の様々な活動分野で人権相談、教育啓発等の人権に関する活動を行う団体、その他、人権に関する研究団体や、企業等の協議会組織も含みます。

    (1)NPO等民間団体の活動に対する支援
 人権にかかるNPO等の民間団体の活動の多くは、ボランタリズムに支えられながら、自主的・自立的に活動されており、団体の主体性に配慮しつつ、その取組みを促進するための環境づくりが必要です。

 このため、それぞれの活動事例にかかる研究発表・交流会等の機会と場の提供や活動内容の府情報誌への掲載など、その活動を支援することにより、行政をはじめ、府民、NPO等の民間団体、企業など、様々な主体がつながりを深め、活動の幅を広げていく取組みを推進します。

    (2)連携・協働体制の構築
 人権にかかるNPO等の民間団体が、機動性や自立性といった特長を活かしながら、行政と対等な協力関係の下で事業が実施できるよう、十分な意見交換を通じて、連携・協働体制の構築を図ります。

  【5】人権意識の高揚につながる情報の提供  目次に戻る
 人権文化に溢れた、豊かな人権尊重社会を築くためには、すべての府民に人権意識の高揚につながる様々な情報を継続的に提供することが重要であり、府広報誌をはじめ、インターネットの積極的な活用など、あらゆる媒体を利用した積極的な情報発信を行います。

 また、情報発信にあたっては、人権相談等の施策と連携して、必要とされる情報を適切に提供するとともに、啓発媒体や手法、緊急性等について、絶えず点検を行い、効率的、効果的な施策推進を図ります。

 さらに国連をはじめとした国際社会に対し、人権教育に関する情報の積極的な発信を行います。

 4−3.計画の推進体制の整備  目次に戻る
 この計画に基づく施策を効率的・効果的に展開するため、大阪府人権施策推進本部のもと、横断的・計画的な取組みを推進します。

 人権教育の推進に当たっては、地域に密着した基礎自治体である市町村と広域自治体である府が、それぞれの役割を果たしつつ、互いに連携する関係を構築することが必要であることから、大阪人権行政推進協議会等における情報交換等を通じ、効率的・効果的な施策の推進に努めます。また、この計画に基づく取組み等に関して府民の意見を幅広く聴く場を設置するとともに、人権啓発推進大阪協議会をはじめとする民間団体や市町村を通じた地域人権協会との連携を進め、先導的・先駆的な人権教育施策の普及、促進を図ります。


 

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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