人権問題に関する府民意識調査報告書(分析編) 2.2-3同和地区住民の姿勢や生活への非難

更新日:2023年5月24日

人権問題に関する府民意識調査検討会委員
大阪府立大学人間社会学部准教授 西田芳正

2.「逆差別」意識の構造と背景

2-3同和地区住民の姿勢や生活への非難

■贅沢な暮らしとルール違反

 特別な優遇措置を受けている同和地区、という認識とセットになるものだが、地区住民の生活に対する非難のコメントが9ケース見られた。贅沢な暮しをしている、ルールが守られていない、などについての言及がある。

○ 差別はしてはいけない事ですが、行政は税金で同和、障害者の支援をするのですから、本当に必要なケースのみに使って欲しいです。障害者が大変な事は事実ですが、家庭が裕福で行政の支援が必要のない人でも、本当に支援が必要な人にも同じように税金を使うのは反対です。同和にも、本当に本人が努力しているにもかかわらず、差別で困っている人たちばかりなのでしょうか。行政の支援を食い物にして、仕事もしないで薬物まみれの人たちもたくさんいるようです。そんな人に税金を使うのはどうでしょう。よく調査してからにして欲しいと思います。〔50歳代女性〕
○ その地域の道路は、そこらじゅうに車を駐車している。なぜ、駐禁にしないのかと思うほどひどい状態です。〔40歳代女性〕
○ 家も税金を払わないだけキレイな大きな家がある。〔40歳代女性〕

 ■強引な要求・圧力と不当な利益について

 優遇措置について、地区住民が行政に対して強引に要求、圧力をかけることで不当な利益を得てきた、といった見方をしている人も少なくない(12ケース)。
 また、これとは別に、「えせ同和行為は許せない」とする記述が14ケースあった。

○ 同和地区を利用している人もいるようだ。〔70歳以上男性〕
○ 同和問題を理由に不当な利益を得る人々が多いことが納得できない。〔40歳代男性〕
○ えせ同和行為に対し行政は弱腰のようではがゆいです。マスコミの力を借りてやっと動いているように見えます。怖がらず頑張ってください。〔70歳以上女性〕
○ 心のこもった同和対策が必要。同和の名をかりた欲ばりな方が実際におられます。〔40歳代男性〕
○ 同和団体と議員(府、市、国)が公共事業落札業者に圧力をかけ、同和団体の親族経営等、関係会社が下請契約を受け、その謝礼が議員にいっている。〔40歳代男性〕
○ 昔あったような差別より、変な利権がらみの話がよく耳に入ります。〔40歳代女性〕
○ えせ同和行為をやっている人をきびしく取り締まってほしい。〔年齢性別不明〕

■差別反対運動が問題

 差別反対の運動を展開することが逆に差別を生む、といった指摘もある(6ケース)。

○ 同和地区の人の集まり(集会)を聞くと、周りの人たちと自分達でへだたりをつくってるような気になる。〔30歳代男性〕
○ 今の子供達に差別の意識は非常に少ないと感じる。大人や同和地区に住んでいる人々が、少し騒ぎ過ぎではと思うところが大いにある。〔30歳代男性〕
○ 大規模な差別反対運動は逆効果になると思う。〔30歳代女性〕

 ■被害者意識

 地区住民の側の被害者意識についての言及も6例見られた。こうした受け止め方は、次に検討する「部落差別は過去のこと」という意識と重なるものと言えるだろう。

○ 同和者は被害意識が多すぎる面もある。〔70歳以上男性〕
○【同和問題に関心があったが、実際地区に住んで逆差別を感じた。以来関心はない】差別は悪いことですが、何かにつけて「ウチが同和だから…」と逆ギレされるとこちらはその様なつもりは無いのに腹立たしく思います。〔40歳代女性〕
○ 難しい問題であるとは思うが、差別された等言う前に、本人達の意識もかえる必要があるのでは。税金等良い思いをしている事はだまって見すごし、悪いことのみ表に出しすぎでは。〔40歳代女性〕
○ 差別されているという方が差別をつくっていると思います。差別されていると云っている方がまず思わないで下さったら、その方が良い方向に行くと思います。市のマンションに入居されているのをみても、すごくぜいたくされている様にみえます。〔年齢性別不明〕


 

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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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