人権問題に関する府民意識調査報告書(分析編) 「逆差別」意識の構造と教育・啓発の課題 2.「逆差別」意識の構造と背景 2-1「逆差別」意識とその典型例

更新日:平成24年3月28日

人権問題に関する府民意識調査検討会委員
大阪府立大学人間社会学部准教授 西田芳正

2.「逆差別」意識の構造と背景

 265ケースの記述の中で多く用いられた言葉の一つが「逆差別」であった。この言葉に込められた意味はどのようなものだろうか。最新版の『広辞苑』にも記載されておらず、日本語として定着した言葉とは言えない。以下に、「逆差別」が使われた19ケースのうちいくつかを引用しよう。
 なお、引用の際、明らかな誤字・脱字を修正した他、【 】の中に文意を補う注記を加えた。文中の( )は、記述の中に用いられているものである。複数の内容が書き込まれている場合、見出しに対応する記述のみを掲載したもの、一部を要約し【 】内に示したものもある。また、引用の末尾に年齢と性別を付記した。

2-1「逆差別」意識とその典型例

○ 同和問題、はれものにさわる様な手厚い援助はやめてください。現在は逆差別そのものです。〔60歳代女性〕
○ 同和であることをたてに取って得をしてる人が多いです。逆差別の人たくさんいますね。誰が見てもおかしい同和対策が多いです。〔60歳代女性〕
○ 逆差別を受けている様な気になる。〔40歳代男性〕
○ 同和問題については逆差別だと思う。例えば、住宅の家賃についても同和の方々が住まわれている団地は非常に安く、普通の府営住宅の十分の一程度の値段であったり、道交法も甘いのが常である。〔30歳代男性〕

 これらの「逆差別」という言葉の用法からは、同和地区とその住民に対する特別な優遇がなされ、それを行ってきた行政の対応と、対策を要求してきた地区住民の姿勢と生活がともに問題とされ、さらには同和地区以外の住民の方が逆に差別されているという意識を抱いていることを読み取ることができる。
 なお、同和問題の解決に向けた施策について、大阪府は次のように説明している。

 「大阪府では、財政上の特別措置を講じるための法律が失効した2002年(平成14年)からは2001年(平成13年)に出された大阪府同和対策審議会の答申に基づき、部落差別を解消し、すべての人の人権が尊重される豊かな社会の実現をめざして、周辺地域と一体となったコミュニティの形成を図ることを基本目標とし、一般施策を活用して、同和問題の解決に取り組むとともに、2008年(平成20年)の大阪府同和問題解決推進審議会の提言を踏まえ、府民の信頼と理解のもとで、同和問題解決に向けた効果的な取組みを推進しているところです。」(人権情報ガイド『ゆまにてなにわvol25』)

 特別措置としての同和対策事業は終了し、残された課題について一般施策を活用した取組みをしてきたのであり、「同和地区への優遇」や「行政による特別扱い」が今日なお継続しているという認識は誤解、ということになるのだが、その誤解の内容と誤解が広がっている背景について詳細に検討することが必要である。
 以下では、「逆差別」という言葉は用いられていないが同様の内容を書き記したコメントを合わせて検討し、「逆差別」意識の構造と背景を検討していく。


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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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