第3 意見

更新日:平成29年10月17日

経済のグローバル化やIT化の進展など急速に進む社会状況の変化を背景とした府民ニーズの複雑・多様化の下で、これまで以上に行政サービスの充実・向上が求められている。一方、行政は限られた財源・人員で、これら多様な課題に迅速・的確に対応することが必要となっている。                                                                                こうした中で、府政執行の重要な担い手である職員には、府民のためにより一層職務に精励し、その職責を果たすことが求められている。任命権者においては、職員がその使命と職責を全うし、安心して職務に専念できるよう、府民の理解を得つつ、職員の給与その他の勤務条件を適切に整備すべき責務がある。                                                                    また現在、少子・高齢化という社会構造の変化の中、長時間労働の是正を含めたワーク・ライフ・バランスの推進などの働き方改革が、社会全体で取り組むべき重要な課題となっており、公務の場においても早急な取組みが必要とされている。
本委員会は、人事行政に関する中立的な専門機関として、職員の給与等の勤務条件が社会一般の情勢に適応するよう、これまでも様々な観点から意見を申し述べてきたところであるが、上記の課題に適切に対応していく観点から、以下のとおり意見を申し述べるものである。

1 給与制度のあり方

(1) 給与勧告について

人事委員制度は、地方公務員について、憲法で保障された労働基本権の制約に係る合憲性の根拠となる代償措置として位置づけられるものであり、とりわけ給与勧告は、職員給与を社会一般の情勢に適応させるべく行うものであることから、職員の生活を維持するための措置として、最も重要な制度である。かかる代償措置の実効性は、人事行政に関する中立的な専門機関である人事委員会が職員の給与に関する勧告を行い、任命権者と議会がこれを最大限に尊重するというプロセスにより担保されている。このため、当該地方公共団体の長はこれを尊重すべき立場にあるとされている。
本府における人事委員会の給与に関する勧告の取扱いについて見ると、平成26年10月の給与に関する勧告においては、本委員会が求めた給与制度の総合的見直しに伴う経過措置が実施されず、また、平成27年10月の給与に関する勧告においては、民間との給与較差に基づく給料表等の引上げ改定の勧告が実施されなかった。さらに、昨年の給与に関する勧告においては、実施時期に関する勧告に反して給料表の減額改定の実施時期の早めて実施された。
こうした近年の対応を見ても、本府職員の給与については、本来あるべき社会一般の情勢に適応したものとは言い難い状況に置かれてきた経過があると言わざるを得ない。
職員の生計を支える職員給与は、義務的経費であり、危機的な状況にない限り、厳しい財政状況下においても、予算上適切に措置される必要がある。真にやむを得ない極めて異例の措置の範囲を超えて給与の抑制措置を行うことは、現行制度上容認されないことを改めて指摘しておく。

(2) 再任用職員の給与

再任用職員には、定年前と同等の能力発揮等が期待されるほか、これまで培ったノウハウを組織内に継承していくことが求められており、職務・職責に相応しい給与水準のあり方は重要な検討課題である。
平成29年の「民調」において、60歳の再雇用者の4月分の給与額を調査したところ、民間企業の再雇用者の係員級の月例給は23.2万円であり、本府ではの主事級の再任用職員の月例給が24,1万円であることから、民間を上回っている状況も見られた。                                                                                       しかしながら、民間企業の再雇用者の給与額のデータ数が限られていることなどを勘案し、本府の再任用職員の給与月額については、これまでどおり、再任用職員以外の職員の給与月額の改定の考え方に準じて改定を行うこととし、その結果、本年においては20歳台後半以降の職員の給与改定に準じ給料月額の改定を行わないこととした。                                                                                                                                               再任用職員給与のあり方については、本年の人事院勧告において「民間企業の再任用者の給与の動向、各府省における再任用制度の運用状況等を踏まえつつ、定年の引上げに向けた具体的な検討と整合性にも留意しながら、引き続き、必要な検討を行っていくこととする」とされたところであり、本委員会においても、引き続き、国の動向を注視するとともに、民間企業における状況、本府における実情等も考慮し、検討を行っていくこととする。

(3) 55歳を超える職員の昇給抑制

国においては、民間企業の状況を踏まえ、平成26年1月から、50歳台後半層における給与水準の上昇をより抑制する昇給制度の見直しが実施されており、他の都道府県においても国の見直しの趣旨を踏まえ、順次、制度見直しが実施されている。
本府においては、人事評価結果における下位区分の職員の昇給号給数を一定抑制しつつ、「良好(標準)」以上の区分の昇給幅を一律にするという、国とは異なる独自の制度を運用しているところであるが、今後、本府の実情、国や他の都道府県及び民間の動向等も踏まえつつ、昇給抑制を含めた高齢層職員の給与のあり方について、引き続き、検討を行っていく必要がある。

(4) 管理職給与の減額措置について

 管理職手当について、本府では、平成9年度から減額が続けられている。こうした給与の減額はやむを得ず実施されるとしても、緊急避難的な特例措置でなければならない。減額の取扱いが長期にわたり続けられている現状については、あるべき適正な給与制度からすれば、適切な措置とは言い難く、早急に再考される必要がある。


2 職員の意欲・能力向上につながる人事制度

(1) 有為な人材の確保 

複雑・多様化する行政課題や行政需要に的確に対応できる有為な人材を、将来にわたり安定的、継続的に確保することは極めて重要である。                                                                                                                                     近年の職員採用を取り巻く環境は、受験年齢人口の減少、景気動向の影響などから人材獲得競争が激化しており、受験者数の確保自体が容易ではない状況にある。特に一部の技術職種において競争倍率が低く、その傾向が顕著となっている。                                                                                                                             こうした中で、より多くの受験者を確保するためには、まず何より、職員が仕事にやりがいや生きがいを感じることのできる魅力のある職場であること、適正な勤務条件や勤務環境が整っていることが必要であり、その上で、本府における仕事の魅力等を積極的・効果的に発信することが有用と考えるものである。                                                                                採用試験について、本府では、平成23年度から民間企業志望の大学生や転職希望の社会人にもチャレンジしやすい人物重視の試験を実施してきた。さらに平成27年度からは、一部の採用試験において、民間企業の採用試験でも広く利用されている総合能力試験を1次試験で実施するとともに、論文試験においては従来の見識分野の出題に加え、法律・経済分野も選択可能にすることで、専門知識を有する受験者層の受験拡大を図るなど、制度改革を行ってきた。
今後の課題は、こうした採用試験のより採用された職員が、職務上必要な能力や適性を有し期待される成果を挙げているか否かを検証することにある。本委員会としては、任命権者と協力して検証の仕組みを構築するなどの取組みを行うこととしている。

(2) 人材育成のあり方

職員は、府政執行の重要な担い手である。本府が複雑・多様化した府民ニーズに応え、府民サービスの充実・向上を図っていくためには、一人ひとりの職員が行政のプロフェッショナルとしての資質・能力を備え、かつ高いモチベーションを保持して日々の仕事に取り組むことが必要である。こうした職員を確保していくためには、有為な人材を採用するとともに、採用後における職員の人材育成が重要な課題である。                                                                                                人材育成のあり方については、職員自身がやる気・やりがいを持って自己研鑽に努めることが基本であり、外形的な制度整備に留まらず、真に職員の自主的・意欲的な能力開発の支援となる取組みが必要と考えるところである。このような観点から、研修や昇任、昇格、人事評価のあり方のほか、意思決定プロセスなど組織運営面でのあり方も視野に置いた総合的な検討が求められる。                                                                                                            なお、人材育成は、その効果が現れるまでに時間を要するものであることから、早急な取組みが必要であることを指摘しておく。
 

(3) 人事評価制度

 地方公務員法の改正により、平成28年度から定期的な人事評価の実施と人事評価結果を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用することが任命権者に義務づけられた。                                                                                                                                                                     本府においては、それに先立ち、職員基本条例に基づく相対評価による人事評価制度が平成25年度から本格実施され、以降、制度の検証と運用改善が図られつつ現在に至っている。                                                                                                                                                                                     本府の人事評価制度は、絶対評価を行った上で相対評価を行うものであるが、これまでの人事評価制度に関する職員アンケート調査等による検証結果によると、絶対評価結果について「納得できた」と回答した者の割合は概ね7割、相対評価結果について「納得できた」と回答した者の割合は概ね6割で推移している。                                                                                                                                                                                         一方、平成28年度実施の人事評価制度の検証結果(平成29年9月)によると、昨年の検証結果同様、平成29年7月に行われた職員アンケート調査(以下「アンケート調査」という。)での回答者の約22%に相当する1,500人近くの職員が人事評価制度によって執務意欲を低下させている状況が見られるなど、職員基本条例が人事評価の目的として掲げる職員の資質、能力及び執務意欲の向上が達成できているとは言い難い状況が続いている。                                                                                                       例えば、平成28年度実施の人事評価では、絶対評価(二次評価)結果「B」の職員のうち約20%に当たる1,185人の職員が、下位の相対評価区分(第四、第五区分)に分布することとなるなど、相対評価における評価区分の分布割合が職員基本条例に基づいて固定的に運用される結果、相対評価結果と個々の職員の絶対評価(二次評価)による評価結果とで大きな乖離が生じることとなり、このことが制度運用上の主要な問題点と認識されている。                                                                                  本委員会としては、まず、職員の人事評価制度については絶対評価が基本であると考えるが、相対評価を前提にするとしても評価区分の分布割合を柔軟化する運用や制度設計の見直しが検討されるべきであると考えるものである。もっとも、基礎となる絶対評価が適切に実施されることは不可欠なことであり、これまでの絶対評価結果の分布状況も見ながら、信頼性が担保されるよう適正な運用に努めるべきであることは言うまでもない。                                                                                       なお、アンケート調査結果によると、評価者は面談を通じて職員の育成を図るべき立場にあるにも関わらず、回答した評価者のうち約60%の者が相対評価結果について十分説明できなかったとしている。人事評価制度は、人材育成の大きな柱ともなる制度であり、人事評価にあたっては、評価者が面談等を通じて、部下の能力向上や改善に向けた助言・指導を行うことが重要であり、評価者が評価結果を十分に説明できないという状況については、早急に改善されるべきである。                                                                           また、人事評価結果の給与反映に関しても、全回答者の約65%の者が何らかの改善を求めているなどの課題も見られるところであり、昇給の長期的影響、昇任や昇格における給与反映のあり方等も考慮しつつ、改善に向けて検討を進めることが必要と考える。                                                                                                    本来、人事評価制度は、職員それぞれの実績や能力を公正に評価し、これを任用や給与等の人事管理の基礎として活用するとともに、上司と部下職員との面談を通して、職員の気づきを促すなどにより、職員の資質、能力、執務意欲の向上を図ることを目的とするものである。その目的に適うよう、人事評価制度及び運用のあり方について、さらなる検討が求められる。

3 働きやすい勤務環境に向けて−ワーク・ライフ・バランス、働き方改革の推進−

少子・高齢化社会、男女共同参画型社会の中で、子育てや介護に携わる機会の増加やライフスタイルの変化、また、持続的な成長という観点からも女性や高齢者の力をより一層いかしていくことが必要とされており、これまでの仕事を最優先するような働き方は見直されるべきとされている。                                                                                       働き方改革は、長時間労働の是正を図ることに加え、こうした社会的要請の中で仕事のやり方や職場環境を改革し、仕事と生活の調和を実現するとともに、あらゆる働き手がその力を発揮できる社会をめざす総合的な取組みである。                                                                                              本府においても、働き方改革の推進が課題であり、こうした観点から、以下意見を述べる。

(1) 長時間労働の是正

 長時間労働は心身の健康に悪影響を与えるだけでなく、仕事の能率を低下させるほか、仕事と家庭の両立を困難にし、女性のキャリア形成や男性の育児参加を阻む原因の一つとなっている。職員の働く意欲を高め、執務に対するパフォーマンスを最大限に引き出す上で、長時間労働の是正は大きな課題である。                                                                                    厚生労働省は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月)において、使用者に労働時間を適切に管理する責務があることなどを明確にしたところである。                                                                                                                            本府の一般行政部門における時間外勤務実績については、1人1月当たり平均で、平成27年度が11.9時間、平成28年度は11.7時間であり、また本府における上限規制である年間360時間を超える職員数については、平成27年度が726人、平成28年度は685人であった。このほか、いわゆる「過労死ライン」とされている月80時間を超える時間外勤務を行った職員数は、平成27年度が延べ671人、平成28年度は延べ395人であった。                                                                  本府では、ゆとり週間や定時退庁日の設定のほか、時間外勤務命令の上限規制の導入など、時間外勤務の縮減に向けたこれまでの様々な取組みに加え、「大阪府庁版『働き方改革』(第1弾)」(平成28年11月)において、時間外勤務の見える化、グループ内での定時退庁の取組み、過重労働ゼロに向けた改善措置及び時間外勤務実績に着目した人員配置等が盛り込まれ、順次実施されてきたところであり、上記のように、昨年度と比べ改善傾向が見られることは、これらの取組みが一定の効果を挙げたことを示していると考えられる。
 しかしながら、1人1月当たりの時間外勤務実績については、平成27年度から増加している部局があることや、「過労死ライン」を超える時間外勤務者がなお相当数存在する状況は看過し難いと言わざるを得ず、さらなる改善に向けた取組みが急務である。                                                                                                                                                                                       ところで、長時間労働の是正のためには、その要因を踏まえた的確な対応が必要である。長時間労働の要因は一様ではないが、例えば、上司を含めた職員の意識や習熟度に起因するもの、業務の繁閑の差や災害発生等による時期的あるいは突発的な要因によるもの、業務量と人員配置の関係に起因するもの等が考えられる。                                                                                                                                                          職員の意識や習熟度に起因するもの、時期的な要因によるものについては、これまでも意識改革の推進や業務の効率化、時間管理の徹底等様々な取組みが行われてきたところであり、引き続き取組みの強化が求められる。                                                                                                           こうした様々な取組みや工夫によっても、なお時間外勤務の縮減が図られないような場合には、府民サービスの水準確保や職員の健康管理等のため、業務量に応じた適正な人員配置を基本に、全庁的な視点で柔軟な職員配置も含め適正な職員数の確保に努めることが必要である。併せて、人的コストが限られている中では、配置された職員数において適切に仕事が行い得るよう、業務の見直しも含めた徹底したマネジメントが求められる。                                                                                                                            平成29年9月に「大阪府庁版『働き方改革』(第2弾)」が取りまとめられ、時間外勤務の適正な把握・管理や時間外勤務の縮減に向けた上司のマネジメント力の発揮等が盛り込まれたところであるが、今後上記の観点にも十分留意しつつ組織を挙げての取組み強化を求めるものである。

(2) 柔軟な働き方の推進

ワーク・ライフ・バランスの確立のためには、職員一人ひとりがその重要性を自覚するとともに、職員の執務意欲を高め、パフォーマンスを最大限発揮し得る働きやすい環境整備を図っていくことが求められるところであり、柔軟な勤務時間の設定やITの活用による場所にとらわれない働き方ができる仕組みづくりなども必要である。                                                                                                                                               国においては、「働き方改革実行計画」(平成29年3月働き方改革実現会議決定)を策定したところであり、本府でも、「大阪府庁版『働き方改革』(第1弾)」を策定し、業務に応じた柔軟な勤務時間の設定やサテライトオフィスの試行実施等を順次行っているほか、「大阪府庁版『働き方改革』(第2弾)」においては、テレワーク(在宅勤務)の試行実施やサテライトオフィスの利用拡大等の実施が盛り込まれている。                                                                                         今後、これらの取組み項目を着実に実行するとともに、その実効性を検証しつつ、より一層働き方改革を推進していくことが求められる。

(3) 女性職員の活躍推進

 本府においては、かねてから女性の視点を施策にいかすとともに庁内の活性化を図る観点から、働きやすい職場環境づくりや幅広い分野への任用等、女性職員の活躍推進の取組みがなされている。また、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき「大阪府特定事業主行動計画」が策定され、具体的な数値目標を掲げた取組みが進められているところである。                                                                                                                                                  こうした中、近年、新規採用者の約半数を女性が占め、将来の職員構成においては女性職員の割合が上昇していくことが見込まれる一方、行政職における主査級昇任考査においては、女性職員の受験率は男性職員の受験率を大きく下回る状態が続いている。このような状況のまま推移すれば、将来、本府の組織がその機能を十分に発揮し得なくなることも懸念される。                                                                                                                                                        任命権者が平成27年度に行った昇任意欲に関する職員意識調査によると、昇任を望まない理由について、特に女性職員は、「仕事とプライベートの両立が困難」「育児」「介護」といった家庭環境に関する回答が少なくない。                                                                                                                       今後、全ての職員の昇任意欲を醸成することと併せて、女性職員がその能力を十分に発揮し、管理職等責任ある立場においてより一層活躍できるよう、男女が共に働きやすい職場環境づくりを進めていくことが必要である。                                                                                                                           また、採用環境が厳しい今日、結婚、出産、育児等の理由で中途退職した職員を再び採用できる制度を整備することなども、女性活躍推進の観点から有効と考えられる。

(4) 子育て、介護支援

少子・高齢化の進展や女性活躍の推進が図られる中で、男女を問わず育児や介護に携わる機会が増大してきている。今後、育児や介護に携わる職員がその事情に合わせて仕事と家庭を両立できる勤務環境を整備していくことがますます重要な課題となっている。国の「働き方改革実行計画」でも、仕事と家庭の両立を一層支援する施策が盛り込まれるなど、仕事と育児や介護の両立支援は社会的な要請である。                                                                                                                                       本府では、地方公務員の育児休業等に関する法律等の改正に基づき、平成29年1月から育児休業等の対象となる子の範囲の拡大や介護時間の創設等が行われた。さらに平成29年4月からは、介護休暇について、取得期間の制限が緩和されている。                                                                                                                                                                                                                     これらも含めた諸制度のもと、一般行政部門における平成28年度の男性の育児参加休暇取得率は60.3%となっており、「大阪府特定事業主行動計画」において当面の目標としていた取得率50%を達成している。                                                                                一方、一般行政部門における平成28年度の育児休業取得率は、女性職員が86.0%であるのに対し、男性職員は4.0%となっており、男性職員の取得率が極めて低い状況にある。この状況は平成27年度の男性職員の取得率1.6%からは改善されているものの、今後、男性の育児休業の取得を促進することなどにより、仕事と家庭の両立ができる環境をさらに整備していくことが必要である。                                                                                               任命権者においては、男性の育児参加に対する意識啓発をはじめとした上記行動計画における目標達成に向けた取組みを着実に進めるとともに、介護休暇等の制度について、より一層周知を行うことなどにより、仕事と育児や介護の両立支援を一層推進していくことを期待するものである。

(5) 健康管理・メンタルヘルス

労働安全衛生法は、快適な職場環境の実現を通じて職場における労働者の安全と健康を確保することを、事業者の責務と位置づけている。職員の健康状態を把握し、適切な健康管理を行うことは、職員の公務能率を維持・向上させるための前提であり、管理・監督者は、日常的に職員の心身両面の健康状態に留意し、職員が安全な環境で健康に就業できるよう対策を講ずることが求められている。                                                                                                         本府においては、健康診断、専門医や心理相談員によるストレス相談等の実施、職場復帰支援プログラムの整備など様々な対策が進められている。加えて、平成27年12月からいわゆるストレスチェックの実施が事業者に義務づけられたことにより、本府においても、ストレスチェック及びその結果に基づく面接指導が実施されているところである。                                                                                                                                                                                            こうした取組みがされているものの、本府の一般行政部門における休業者数(7日以上、延べ人数)の職員数に占める割合は5%台で、このうち精神疾患(疾病分類:精神及び行動の障害)を要因とする休業者数の割合が約4割の水準で推移しているところであり、職場のストレス要因に対する対応が重要な課題というべきである。                                                                                                                                                  ストレスチェックの狙いは、定期的に労働者のストレス状況を検査し、本人のストレス状況に関する気づきを促すことにより、ストレスの低減に努めさせるとともに、管理・監督者においては、職場のストレス要因を評価したうえ、職場環境の改善につなげることにある。任命権者においては、かかるストレスチェックを十分活用するとともに、日常的に良好な職場環境の保持に努めるなど、職員が健康で働きやすい職場づくりに向けた持続的な取組みが求められる。

(6)ハラスメント防止

ハラスメントは、職員の人格や尊厳を不当に傷つけ、その能力発揮を妨げるとともに、公務能率の低下を招き、組織に対する府民の信頼をも損ないかねないものである。このため、本委員会としては、これまでハラスメントのない職場環境づくりに向けて積極的な取組みを求めてきた。                                                                                                           本府においては、これまでもハラスメント防止に向け、知事、教育長からのメッセージの発出、「職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止及び対応に関する指針」、「職場におけるパワー・ハラスメントの防止及び対応に関する指針」等の策定や職員研修など、様々な取組みが行われているところである。また、新たに「職場における妊娠・出産・育児・介護に関するハラスメントの防止及び対応に関する指針」を策定するなどの対応が図られたところである。                                                                                                                                                            こうした取組みがなされているとはいえ、本委員会が設置する職員総合相談センターに寄せられる相談のうち、ハラスメントに関する相談は、平成27年度の12人延べ28件から平成28年度には23人延べ67件と急増しており、また総相談件数に占める割合も平成28年度は22.6%と少なくない状況にある。                                                                                              ハラスメントのない職場づくりに向けては、所属長等のリーダーシップのもと、全ての職員がハラスメントを許さないという価値観を共有する職場風土の確立が強く求められる。                                                                                                                                                              任命権者においては、これまでのハラスメント防止の取組みが所期の効果を得られているか十分検証を行うとともに、ハラスメントを許さない職場風土づくりに向け、職員へのさらなる啓発をはじめ、より実効性のある職場のハラスメント防止対策を講ずるなど、引き続き積極的な取組みを求めるものである。

 

4 公務員制度をめぐるその他の諸課題

(1) 教職員を取り巻く諸情勢

 教員が子どもたちと向き合い、良質な教育に取り組むことができる職務環境を整備することは極めて重要であり、ワーク・ライフ・バランスの確保、とりわけ長時間労働の是正は重要な課題である。                                                                                                                                                  教員は、通常の授業以外にも、課外授業、部活動、修学旅行等の校外行事のほか、授業準備、学習評価、生徒指導、保護者対応、各種事務等多岐にわたる業務を担っており、またこれらの業務が在校中に限らず校外や帰宅後にも及んでいることに留意する必要がある。                                                                                                                                                                  教員の長時間労働の実情の把握は容易でないが、このうち在校中の長時間労働の実態については、近時明らかになってきている。府立学校における教員の時間外在校時間については、平成28年度実績で28.1時間となっている(各月平均値)。全体として見ると、平成27年度の29.2時間から減少しているところであるが、校種別に見ると支援学校で減少しているものの、その他の府立学校では増加している。さらに1人当たり時間外在校時間が年間800時間以上1,000時間未満の者が4.2%、1,000時間以上の者が1.9%存在している。府立学校における教員の時間外在校時間の実態は依然として深刻であると言わざるを得ない。                                                                                                                         府立学校においては、全校一斉退庁日及びノークラブデー(部活動休養日)を実施するとともに、平均時間外在校時間が月80時間を超える教員に対して、学校長を通じた指導等を行うなど、長時間労働を是正するための取組みが実施されているところであるが、上記の実情は看過し難い状況であり、引き続き、実効性ある取組みを強力に進めていく必要がある。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 とりわけ、教育委員会においては、学校現場との真摯な意思疎通を図り、長時間労働の実情把握に努めることが重要と考えるところである。                                            ところで、文部科学省においては、学校の部活動に関して、平成29年1月に休養日の設定等を通じた運動部活動の適切な運営について通知を行い、併せて同年4月に部活動指導員制度を導入するなどの取組みを行っている。さらに、中央教育審議会は、同年8月に、学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること、業務改善を強く推進していくこと等を求める緊急提言を行っている。                                                                                                             教育委員会においても、長時間労働の是正に関して、国の動向を踏まえ、現行の制度下で取組みが可能なものは、早急に取組みを進めていくべきである。                                                                                                                                                                                                                                            具体的な取組みとして、まず重要なことは、教員の業務量の縮減を図ることである。そのためには、「教職員の業務負担軽減に関する報告書」(平成25年3月)に盛り込まれた取組みを着実に推進するとともに、中央教育審議会の緊急提言に示された項目についても、検討を行っていく必要がある。                                                                                                                            府立学校において、時間外在校時間が年間1,000時間以上の教員の約76%が部活動指導に従事している(平成26年度実績)など、府立学校では部活動指導が長時間労働の主な要因となっている実態が窺えることから、部活動指導の軽減が急務であり、部活動指導員制度の導入に向けた検討を早急に進めることが必要である。また、休日等に一定時間以上部活動の指導に従事した場合等に支給される教員特殊業務手当について、平成30年1月より義務教育費国庫負担金が引き上げられる中で、長時間労働是正の観点や短時間の部活動の指導に従事する教員のモチベーションにも配慮しつつ、再検討することが必要である。                                                                                                                                                    なお、学校現場においては、産前産後休暇や育児休業等を取得した教員の代替として、臨時的任用あるいは非常勤の講師等が配置されている。突発的な病気休暇への対応等により欠員が生じることはやむを得ないものの、代替の講師等の配置が遅れ欠員状態が続く場合には、他の教員の業務負担が増えるなど勤務環境が悪化することも懸念される。講師等の配置については学校長が一義的に責任を持って対応することとされているが、教育委員会として、欠員が長期化しないよう、引き続き必要な支援に取り組まれることを望むものである。

(2) 非常勤職員の処遇

地方公務員の非常勤職員については、様々な行政分野で活用されており、事務執行の重要な担い手となっている中、適正な処遇の確保と任用に関する要件や手続の明確化を図ることが求められている。                                                                                                                                                                 任命権者においては、これまでも勤務条件の整備に取り組んできたところであり、平成28年4月には、従来地方公務員法に定める特別職に位置づけてきた非常勤職員のうち、職務の内容が補助的・定型的であったり、勤務管理や業務の実態から労働者性の高い職にあっては、原則として、一般職へとその位置づけを変更する等必要な見直しが行われたところである。また、平成32年4月1日に施行される地方公務員法の改正により、一般職の会計年度任用職員制度が創設されるとともに、特別職非常勤職員等の任用要件の厳格化が図られたことから、現在、会計年度任用職員制度の導入等に向けて、必要な準備・検討が進められているところである。                                                                                     社会全体の非常勤職員に係る動向をも踏まえつつ、より一層効率的・効果的な行政サービスを提供する観点から、非常勤職員がその仕事ぶりや能力を適正に評価され、意欲を持って働くことができるよう取組みを進めることが必要であり、常勤職員と非常勤職員が共に組織を支える一員としてその能力を最大限に発揮することが求められている。                                                                                                                                       非常勤職員が高い意欲を持って勤務することができるよう、国の非常勤職員の運用等にも留意しながら、引き続き適正な勤務条件・勤務環境の整備に努めることが必要である。

(3)高齢期職員の雇用

高齢者の雇用は、雇用と年金の接続への対応に加え、労働力人口が減少している中で、国全体の成長力を確保していくためにも重要な課題となっている。                                                                                             これまで任命権者においては、高齢期職員が培ってきた知識、経験をいかし活躍できるよう、再任用制度や人材バンク制度などにより、退職後の雇用を促進しているほか、再任用にあたっては、平成29年度から、一般行政部門において、管理職に任用するなど、高齢期職員の職域拡大が図られている。                                                                                                                                                                                                                      国においては、定年延長に向けた検討が行われているところであるが、任命権者においては、こうした議論にも留意しつつ、高齢期職員の知識、経験のより一層の活用及び組織活力の維持・向上の観点から、再任用職員を任用する職階の拡充や、ポストの職責に応じた職階への任用等、引き続き積極的に取り組まれるよう求めるものである。

5 今後の人事行政のあり方について

本府においては、厳しい財政状況を背景に、「大阪府の人的資源マネジメント」や「組織戦略」の策定等を行い、組織のスリム化を進めるとともに、人事評価制度の導入や職務給の原則を徹底した給与制度の構築など、人事制度改革に取り組んできたところである。トップマネジメントの下で取り組まれたこうした諸改革は、行政運営の効率化や組織力の向上等の面で、一定の成果を挙げ得たものと考えられる。                                                                                                                                                          一方で、これを支える職員に着目すると、やる気・やりがいの向上、自律性の発揮に資する仕組みづくりという点では、未だ道半ばの状況にあると言わざるを得ない。                                                                                           現在、本府では地域の活性化に向けた諸施策に取り組んでいるところであるが、これらを含めた府民ニーズに、より一層適切に対応していくにあたっては、 府民サービスの充実・向上に資する有能な職員集団の形成が必要であり、従来にも増して職員のやる気・やりがいの喚起が求められるところである。                                                                                                                                                                                                    そのためには、職員一人ひとりが当事者意識をもって自律的に課題を捉え、その解決や目標達成に向け、創意工夫・切磋琢磨しながら果敢に挑戦し、斬新な政策提言を生み出す職員全員参加型の組織構築が不可欠であり、任命権者においては、このことを府政執行にあたっての重要な基本理念の一つとすべきである。                                                                                                                                                                                                          また、本府の職員の構成について見れば、10年後の一般行政部門の職員構成は、現在職員数の約3割を占めている40歳台の中堅層職員が約2割程度にまで減少し、女性職員の比率は、現在の約3割から4割弱まで増加していくことが想定される。こうした職員構成の変化は、組織運営や人材育成のあり方等に少なからず影響を及ぼすものと考えられる。                                                                                            今後の人事行政のあり方を考えていくにあたっては、前述の基本理念のもと、将来の職員構成上の課題をも踏まえながら、全庁的な議論が積み重ねられていくことを期待するものである。

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人事委員会事務局 人事委員会事務局給与課 給与グループ

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