その他の特別管理産業廃棄物等のQ&A(FAQ)

更新日:2021年5月20日

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Q116 特別管理産業廃棄物である「引火性廃油」にはアルコール類も含まれるのか?

A116
 特別管理産業廃棄物の「引火性廃油」について、施行令では「廃油(燃焼しにくいものとして環境省令で定めるものを除く。)」と定義され(施行令第2条の4第1号)、施行規則では、燃焼しにくいものとして「タールピッチ類」と「揮発油類、灯油類及び軽油類を除く廃油」が規定されている(施行規則第1条の2)ことから、法令上は、揮発油類、灯油類及び軽油類が特別管理産業廃棄物の廃油に該当し、アルコール類は該当しません。
 しかし、実務的には、法の趣旨に鑑み、引火点概ね70℃未満の液状を呈する廃油(廃溶剤を含む)を特別管理産業廃棄物の「引火性廃油」として取り扱っています。具体的には、メタノール等の引火点概ね70℃未満のアルコール類も特別管理産業廃棄物に準じて取り扱うことが必要です。
 なお、「引火性廃油」をその他の廃油と混合することによって引火点概ね70℃以上として「廃油」として処理することは、特別管理産業廃棄物の処理基準(焼却、蒸留再生等)に適合しませんので認められません。

Q117 鉛、六価クロム等の有害重金属を含む合成樹脂塗膜は、特別管理産業廃棄物か?

A117
 合成樹脂塗膜は、廃プラスチック類に該当しますが、法令上は、鉛、六価クロム等の有害重金属を含んでいても特別管理産業廃棄物には該当しません。

 (注) 
 特別管理産業廃棄物の中の特定有害産業廃棄物の一種には、有害物質(鉛、六価クロム等の有害重金属、有機塩素化合物等)を含む産業廃棄物がありますが、産業廃棄物の種類は、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、燃え殻、ばいじん、鉱さいに限られており、判定基準を超えて有害物質を含むものが該当します。(鉱さい以外は、特定の業種・施設から排出されるものに限られます。)
 しかし、埋立処分の基準として、「埋立地からの浸出液による公共の水域及び地下水の汚染を防止するために必要な設備の設置その他の措置を講じること(ただし、公共の水域及び地下水を汚染するおそれのないものとして定める場合はこの限りでない)」と定められているため、有害重金属が溶出するおそれのある合成樹脂塗膜を、これらの措置が講じられていない安定型処分場で埋立処分することは適当ではありません。
 また、有害重金属の溶出量が、「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令」で定める値を超える産業廃棄物については、特定有害産業廃棄物に該当しない場合であっても、しゃ断型処分場で埋立処分するなど特定有害産業廃棄物に準じて処理することが望まれます。

Q118 学校から排出される石綿含有金網や機械部品に使われていた石綿含有パッキンは、特別管理産業廃棄物又は石綿含有産業廃棄物か?

A118
 法令上は、特別管理産業廃棄物の廃石綿等及び石綿含有産業廃棄物のいずれにも該当しませんが、その性状に応じて、飛散性のものは、特別管理産業廃棄物の廃石綿等に準じて、非飛散性のものは、石綿含有産業廃棄物に準じて処理することが望まれます。
 
(注)
廃石綿等(特別管理産業廃棄物)の定義
 1 石綿建材除去事業において除去された吹き付け石綿
 2 石綿建材除去事業において除去された石綿を含むもので次に掲げるもの
  (1)石綿保温材 (2)けいそう土保温材 (3)パーライト保温材 
  (4)(1)から(3)と同等以上に石綿の飛散のおそれのある保温材、断熱材、耐火被覆材 
 3 石綿建材除去事業において用いられ、廃棄されたプラスチックシート、防じんマスク、作業衣等で石綿が付着しているおそれのあるもの
 4 大気汚染防止法の特定粉じん発生施設が設置されている事業場において生じた石綿であって、集じん装置によって集められたもの
 5 大気汚染防止法の特定粉じん発生施設又は集じん施設を設置する工場、事業場で用いられ、廃棄された防じんマスク、集じんフィルタ
  ー等であって石綿が付着しているおそれのあるもの

石綿含有産業廃棄物の定義
 工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた産業廃棄物であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するものをいいます。産業廃棄物の種類としては、「がれき類」(石綿スレート板等)、「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」(石綿石膏ボード等)、「廃プラスチック類」(石綿含有Pタイル等)等に該当します。

Q119 PFOS含有産業廃棄物は特別管理産業廃棄物か?

A119
 PFOS含有産業廃棄物は特別管理産業廃棄物ではありません。
 PFOS又はその塩は、平成22年4月に化学物質審査規制法の第1種特定化学物質に指定されましたが、現在、特別管理産業廃棄物(特定有害産業廃棄物)となる有害物質とはされておりません。
 PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸、通称「ピーフォス」)は、有機フッ素化合物の一種で、直鎖状に並んだ8個の炭素原子すべてにフッ素原子が結合しており、末端にスルホン酸基が結合しています。水にも油にも溶けやすく、耐熱性、耐薬品性、光透過性、イオン透過性、界面活性という優れた特性を有し、界面活性剤、撥水剤、泡消火剤、半導体・金属メッキの表面処理剤、業務用写真フィルム等として広く用いられてきました。しかし、非常に安定な化合物であるため、環境中で分解されにくく、野生生物や環境中に広範囲に存在していることが報告されています。PFOSの毒性としては、ペルオキシソーム増殖作用を持っており、この作用を通じて活性酸素の生成、発ガン作用、コレステロール代謝の撹乱などの影響が現れると考えられています。また、生体内で胆汁と誤認され、薬物の代謝などにみられる腸肝循環を起こしていると言われています。
 PFOSは2009年(平成21年)5月に開催された残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(通称「POPs条約」)第4回締約国会議において新たに条約付属書への追加が採択され同条約の廃絶・制限の対象物質とすることが決定されました。これを受けて日本では平成22年4月にPFOS又はその塩を化学物質審査規制法(化審法)の第1種特定化学物質に指定し、PCBなどと同様に製造及び輸入の許可制、使用の制限等の措置が講じられています。
 PFOS含有産業廃棄物は、現在、特別管理産業廃棄物とはされておりませんが、環境省が平成22年9月に定めた「PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」(平成23年3月改定)に基づき処理することが必要です。PFOS含有産業廃棄物は、この技術的留意事項に基づき分解処理されるべきであって脱水等の分解処理を行わない性状で埋立処分することはPOPs条約に照らし不適切です。
 
技術的留意事項のうち分解処理方法の概要は次のとおりです。
 ・分解率 99.999%(5ナイン)以上であること。
 ・排水、残渣中のPFOS濃度 排水 2μg/L以下、残渣 3mg/kg以下
 ・フッ化水素濃度 排ガス 5mg/Nm3以下
            排水 8mg/L以下(海域以外の公共用水域)
               15mg/L以下(海域)
 
 現時点では焼却処理(約850℃以上)は、これらの要件に該当すると考えられますが、この場合であっても、燃焼ガスの十分な滞留時間を確保する必要があることに留意する必要があります。
 泡消火設備・消火器等の点検、補修、実災害に伴い排出された泡消火薬剤は汚泥又は廃酸・廃アルカリとして、業務用写真フィルムに用いられた廃フィルムは廃プラスチック類として、現像廃液は廃アルカリ・定着廃液は廃酸として、エッチング剤は廃酸・廃アルカリとして、半導体用レジストに用いられた廃レジスト液等は廃プラスチック類、廃現像液・剥離工程廃液は廃酸・廃アルカリとして、それぞれを許可の事業の範囲に含む産業廃棄物処理業者であって、技術的留意事項に基づいて適正に処理することができる業者に委託してください。

 参考:PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項(外部サイト)

Q120 食料品製造業で発生するフグの有毒部位は特別管理産業廃棄物か?

A120
 フグ毒のテトロドトキシンを含む産業廃棄物(動植物性残渣)は、特別管理産業廃棄物ではありません。
 フグ毒として知られるテトロドトキシンのLD50(半数致死量)は、
0.0085mg/kgであり、青酸カリ(10mg/kg)の1,000倍以上の急性毒性がありますが、現在、特別管理産業廃棄物(特定有害産業廃棄物)となる有害物質とはされておりません。しかし、その強い毒性に鑑み、適切に管理して焼却処理することが望まれます。
 なお、店舗から発生するフグの有毒部位は、事業系一般廃棄物に当たりますが、「大阪府ふぐ処理業等の規制に関する条例」の規定に則り、適切に処理する必要があります。

Q121 水銀が含まれるものはすべて水銀使用製品産業廃棄物になりますか?

A121 
 水銀使用製品産業廃棄物は、水銀使用製品が産業廃棄物となったもので、対象となる製品は以下(区分((1)〜(3))のとおりです。これらに該当しないものは、たとえ水銀が含まれていたとしても水銀使用製品産業廃棄物にはなりません。詳しくは、環境省水銀廃棄物関係ホームページ(環境省リーフレット、水銀廃棄物ガイドラインなど)をご覧ください。

区分(1):水銀使用製品のうち表に掲げるもの
区分(2):(1)の製品の組込製品(表に×印のあるものに係るものを除く)
区分(3):水銀又はその化合物の使用に関する表示がされている製品

  水銀使用製品産業廃棄物となる対象
 ※No.19「顔料」は、塗布されるものに限り×印に該当


Q122 水銀使用製品産業廃棄物に関する必要な措置は?

A122 

平成29101日から「水銀使用製品産業廃棄物」に関して、以下の措置が必要になりました。詳しくは、環境省水銀廃棄物関係ホームページ(環境省リーフレット、水銀廃棄物ガイドラインなど)をご覧ください。

◇保管について

・保管場所の掲示板について、産業廃棄物の種類欄に「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれることを明記すること
・他の物と混合するおそれのないように仕切りを設ける等の措置をとること

◇処理の委託について

・「水銀使用製品産業廃棄物」の収集運搬又は処分の許可を受けた者に委託すること
・水銀回収が義務づけられているもの(注)の処理を委託する場合は、水銀回収が可能な事業者に委託すること
・委託契約書について、委託する廃棄物の種類に「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれることを明記すること 注)平成29年10月1日以前に、契約締結している委託契約書については、新たに契約変更等をする必要はありません。

◇マニフェストについて

産業廃棄物の種類欄に「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれること、また、その数量を記載すること

◇収集・運搬について

破砕することのないよう、また、他の物と混合するおそれのないように区分して収集・運搬すること

◇処分・再生について

・水銀又はその化合物が大気中に飛散しないように必要な措置をとること
・水銀回収の対象となる水銀使用製品産業廃棄物については、ばい焼設備によるばい焼、又は水銀の大気飛散防止措置をとった上で、水銀を分離する方法により、水銀を回収すること
・安定型最終処分場への埋立は行わないこと

◇帳簿について

「水銀使用製品産業廃棄物」に係るものを明らかにすること 

(注)水銀使用製品産業廃棄物のうち、水銀の回収が義務付けられているもの

 水銀回収義務付け水銀使用製品産業廃棄物

※  リンク先
環境省水銀廃棄物関係ホームページ
https://www.env.go.jp/recycle/waste/mercury-disposal/

環境省リーフレット
https://www.env.go.jp/recycle/waste/mercury-disposal/H2906_setsumei_01.pdf

水銀廃棄物ガイドライン第3版(令和3年3月)
https://www.env.go.jp/recycle/waste/mercury-disposal/guideline3.pdf

このページの作成所属
環境農林水産部 循環型社会推進室産業廃棄物指導課 排出者指導グループ

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