居宅介護事業所の事業運営における留意点について

更新日:2011年4月7日

大阪府では、概ね3年に一度の割合で、事業所への実地指導を行っておりまが、近年、介護給付費の不正請求により指定取消処分を受ける事業所が多く発生しています。
管理者は、法令を遵守し、適切な指揮命令に努めて下さい。従業員に任せ切りにしていたために、知らないうちに不適正なサービスが行われ、結果として不正請求につながり、「こんなはずではなかった。」「事業所運営が立ち行かなくなった。」と後悔することとなります。

法令を遵守した適切な指揮命令のもと、事業所の適正な運営を行っていただくため、最近発生した不適正な事業所運営の事例を記しておきますので、参考にして再点検をお願いします。

最近の事業所の杜撰な運営の事例

次の事例については、実地指導、監査により判明した事例で、法人の利益優先になってしまった結果、法人代表者や管理者が事業運営を従業者に任せ、「知らない、わからない」うちに発生した不適切事案です。
法人代表者や事業所の管理者におかれましては、普段から法令を遵守した事業所運営に努めるとともに、従業員に適宣適切な指揮命令を行っていただくようお願いします。

シフト表(月間のヘルパー派遣予定表)どおりの請求事例

国民健康保険団体連合会へ電子請求を行う時に、何を根拠にサービス提供時間等を入力していますか。ヘルパーから日々の提供記録がなかなか事業所に提出されないため、困ったあげくシフト表の(予定)をそのまま入力していませんか。実際のサービス提供に当たっては、キャンセルやサービス提供時間の変更等が生じることもありますから、ヘルパーが記入する日々の提供記録などの実績を確認したうえで、介護報酬の請求事務を適切に行ってください。

サービス提供を行っていないのに、月の支給決定上限時間数を請求している事例

実績記録内訳票は、日付順に記入されているのが普通でありますが、月の末日以降に書き忘れたかのように追記されている事例があります。これは、月末に支給決定の利用時間数が余ったため、実績のないサービス提供を行ったものとして、介護報酬を水増し請求した事例です。
提供していない介護給付費の請求は許されることではありません。
ヘルパーには、日々サービス提供記録を記録し、利用者に確認を得るよう指導するとともに、実績に基づいて適正に介護報酬を請求して下さい。

事業所と利用者が共謀し、不正に得た介護報酬の一部(現金)を利用者に渡した事例

利用者と事業所が結託して、居宅介護計画に基づかないサービス提供を事業所が行い、その見返りとして支給決定上限時間数の介護報酬を請求のうえ、契約利用者に介護報酬の一部をキックバックしている事例がありました。
介護給付費の不正請求を行うことは、犯罪行為であり、事業所の指定取り消し処分だけでなく、詐欺行為として、事業者・利用者とも刑事告発の対象となります。

法人代表者と従業者が共謀し、事業所として不正に介護報酬を得た事例

法人代表者と従業者が結託し、サービス提供実績のない架空の提供記録を作成し、一旦ヘルパーに給与を支払った上、その後、ヘルパーに支払った給与が事業所の口座に戻されている事例がありました。
介護給付費の不正請求を行うことは、犯罪行為であり、事業所の指定取り消し処分だけでなく、詐欺行為として、関係者も刑事告発の対象となります。

ヘルパーと契約利用者が同棲同居しながら、不正に介護報酬を得た事例

最初は別居であったヘルパーが、サービス提供を行っているうちに契約利用者と親しくなり、同棲同居して身内として介護していた行為を、ヘルパーの業務を行ったものとして介護報酬を請求している事例がありました。
他人であっても、同居していれば家族とみなされ、同居家族へのサービス提供は、運営に関する基準により禁止されています。
また、別居の家族によるサービス提供についても、別居の家族が身内の契約利用者のみにサービス提供している事例がありました。契約利用者への援助が、障がい福祉サービスなのか身内としての介護なのかが区別できるようにしておく必要があります。できる限り複数のヘルパーがサービス提供できるようシフトを組むようお願いします。

サービスを提供していないのに、通院等介助のサービス提供をしたこととしている事例

体の調子が良く医療機関に行かなかった場合など、月に利用可能な使用する支給決定時間が余る場合がありますが、「支給決定の時間数を使い切らないと、支給決定の時間数が少なくなる」と誤った解釈をして、支給決定されていない別の内容のサービス提供をしたり、通院等介助を行っていないのに行ったこととして提供記録を作成し介護報酬を不正に請求した事例がありました。実地指導で疑義がある場合、市町村と連携し、利用者からのサービス提供内容の聞き取り等を行うなど、事実確認を行いますので、適正なサービス提供を行ってください。

利用者からのキャンセルによりサービス提供を行っていないのに、介護報酬の請求をしていた事例

ヘルパーがサービス提供を実施した日々の提供記録が書かれていないのに、サービス提供実績記録内訳票はシフト表(サービス予定)どおり作成し、介護報酬を請求している事例がありました。
また、当日の急なキャンセルであってヘルパーが訪問しているので、介護報酬の請求ができると誤った解釈をされている従業者もあります。
当然ですが、キャンセルの場合は介護報酬の請求はできません。(重要事項説明書にキャンセル料の説明があれば、契約利用者からキャンセル料を徴収することは可能です。)
サービス提供責任者は、日々のサービス提供記録の内容を確認し、キャンセル等でサービス提供がされなかったり、サービス提供時間の変更があった場合は、その事実をサービス提供実績記録内訳票に記載があるか確認してください。

法人代表者または管理者において、不適切な事案が発生していないか、定期的に確認してください。

適正な事業運営のためのチェック項目 [Wordファイル/45KB]

 

このページの作成所属
福祉部 障がい福祉室生活基盤推進課 指定・指導グループ

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