○大阪府障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例

平成二十八年三月二十九日

大阪府条例第三号

大阪府障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例を公布する。

大阪府障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例

(目的)

第一条 この条例は、障害を理由とする差別の解消の推進に関し、基本理念を定め、府、府民及び事業者の責務を明らかにするとともに、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号。以下「法」という。)第十四条に規定する相談及び紛争の防止又は解決のための体制の整備(以下「体制整備」という。)並びに法第十五条に規定する啓発活動(以下「啓発活動」という。)の実施に関し必要な事項等を定めることにより、障害を理由とする差別を解消し、もって障害の有無にかかわらず、全ての府民が暮らしやすい共生する社会(以下「共生社会」という。)の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例の用語の意義は、法の定めるところによる。

2 前項に定めるもののほか、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 相談事案 法第八条第一項及びこの条例第七条に規定する事項に係る障害者及びその家族その他の支援者(以下「障害者等」という。)並びに事業者からの相談の事案をいう。

 相談機関 相談事案に対応する市町村の機関(市町村から当該相談事案の対応を委託されている機関を含む。)をいう。

(令二条例八一・一部改正)

(基本理念)

第三条 障害を理由とする差別の解消は、全ての府民が共に社会の一員として解決すべき社会全体の課題であるとの認識の下、行わなければならない。

2 障害を理由とする差別に関する相談及び紛争の防止又は解決に当たっては、相談事案の当事者が互いを理解し合い対等の立場で話し合うことで、当該相談及び紛争の防止又は解決のための手段及び方法を考えることを基本として行わなければならない。

3 啓発活動の実施に当たっては、障害及び障害者に対する理解を深めることが障害を理由とする差別を解消し、共生社会を実現するための基礎的な取組であることを旨として行わなければならない。

(府の責務)

第四条 府は、市町村との適切な役割分担のもとで、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、体制整備を実施する責務を有する。

2 府は、基本理念にのっとり、障害を理由とする差別の解消について、府民の関心と理解を深め、府民が適切に行動するための指針を作成し、その普及に努めるとともに、必要な啓発活動を行う責務を有する。

(府民及び事業者の責務)

第五条 府民及び事業者は、基本理念にのっとり、障害及び障害者に対する関心と理解を深め、自己啓発に努めるとともに、府が実施する障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(市町村との連携)

第六条 府は、体制整備及び啓発活動に当たっては、市町村と連携してこれらを実施するよう努めるものとする。

2 府は、市町村が体制整備及び啓発活動を実施しようとするときは、市町村に対し、情報の提供、技術的な助言その他の必要な支援を行うものとする。

(事業者による必要かつ合理的な配慮)

第七条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者からの現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(当該障害者がその意思を表明することが困難な場合にあっては、その家族その他の支援者が当該障害者を補佐して行う意思の表明)があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

(令二条例八一・追加)

(広域支援相談員)

第八条 府に広域支援相談員を置く。

2 広域支援相談員は、障害を理由とする差別の解消に関する知識経験を有する者のうちから、知事が任命する。

3 広域支援相談員は、次に掲げる職務を行うものとする。

 相談機関における相談事案の解決を支援するため、必要な助言、調査及び相談事案に関する関係者間の調整を行うこと。

 障害者等及び事業者からの相談に応じ、相談機関と連携して、必要な助言、調査及び相談事案に関する関係者間の調整を行うこと。

 相談機関相互の連携の促進を図り、並びに相談事案に係る情報の収集及び分析を行うこと。

4 広域支援相談員は、中立かつ公正に、前項各号に掲げる職務を行わなければならない。

(令二条例八一・旧第七条繰下)

(協議会への諮問等)

第九条 知事は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する事項について、必要があると認めるときは、大阪府障害者差別解消協議会(以下「協議会」という。)に諮問し、その意見を聴かなければならない。

2 協議会の委員は、障害者、障害者の自立と社会参加に関する事業に従事する者、学識経験のある者、事業者を代表する者その他適当と認める者のうちから、知事が任命する。

3 協議会に、専門の事項を調査審議させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。

4 専門委員は、学識経験のある者その他適当と認める者のうちから、知事が任命する。

5 協議会は、委員及び専門委員のうちから協議会が指名する者をもって構成する合議体(以下「合議体」という。)で、次に掲げる事項を取り扱う。

 法第八条第一項及びこの条例第七条に規定する事項に係る紛争の事案(以下「紛争事案」という。)を解決するためのあっせん

 広域支援相談員が行う職務に関する助言

6 協議会は、法第十七条に規定する障害者差別解消支援地域協議会の機能を併せ有する。

7 委員及び専門委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(令二条例八一・旧第八条繰下・一部改正)

(あっせんの求め)

第十条 相談事案に係る障害者等は、法第八条第一項又はこの条例第七条の規定に違反する取扱いを受けたと認める場合で、第八条第三項の規定により広域支援相談員が対応してもなおその解決が見込めないときは、知事に対し、紛争事案の解決のため、あっせんを求めることができる。ただし、当該あっせんの求めをすることが当該障害者の意に反することが明らかであると認められるときは、この限りでない。

2 前項の規定によるあっせんの求めは、障害を理由とする差別の解消が、行政庁の処分により解決されるものであるときは、することができない。

(令二条例八一・旧第九条繰下・一部改正)

(あっせん)

第十一条 知事は、前条第一項の規定によるあっせんの求めがあったときは、合議体にあっせんを行わせるものとする。

2 合議体は、前条第一項の規定によるあっせんの求めがあったときは、当該あっせんの求めに係る紛争事案が法第八条第一項又はこの条例第七条の規定に違反する取扱いに係るものでないと認めるときその他あっせんを行うことが適当でないと認めるときを除き、あっせんを行うものとする。

3 合議体は、あっせんを行うために必要があると認めるときは、紛争事案の関係者に対し、あっせんを行うために必要な限度において、必要な資料の提出及び説明を求めることその他の必要な調査を行うことができる。

4 合議体は、紛争事案の解決のため必要なあっせん案を作成し、これを紛争事案の当事者に提示することができる。

5 あっせんは、次のいずれかに該当したときは、終了する。

 あっせんにより紛争事案が解決したとき。

 あっせんによっては紛争事案の解決の見込みがないと認めるとき。

6 合議体は、第二項の規定によりあっせんを行わないこととしたとき又は前項の規定によりあっせんを終了したときは、その旨を知事に報告するものとする。

(令二条例八一・旧第十条繰下・一部改正)

(勧告)

第十二条 協議会は、次のいずれかに該当する者に対して、当該あっせんに係る紛争事案を放置することが著しく公益に反すると認めるときは、知事に対し、必要な措置を講ずべきことを勧告するよう求めることができる。

 前条第二項の規定によりあっせんを行った場合において、正当な理由なく、あっせん案を受諾せず、又は受諾したあっせん案に従わない者

 正当な理由なく、前条第三項の調査を拒み、妨げ、又は忌避した紛争事案の関係者

 前条第三項の調査に対して虚偽の資料の提出又は説明を行った紛争事案の関係者

2 前項の規定による勧告の求めがあった場合において、知事は、必要があると認めるときは、当該勧告の求めに係る者に対して、必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

(令二条例八一・旧第十一条繰下)

(公表)

第十三条 知事は、前条第二項の規定による勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。

2 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、当該公表に係る者に対し、あらかじめ、その旨を通知し、その者又は代理人の出席を求め、釈明及び資料の提出の機会を与えるため、意見の聴取を行わなければならない。

3 知事は、第一項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ協議会の意見を聴かなければならない。

(令二条例八一・旧第十二条繰下)

(規則への委任)

第十四条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(令二条例八一・旧第十三条繰下)

(罰則)

第十五条 第九条第七項の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(令二条例八一・旧第十四条繰下・一部改正)

(施行期日)

1 この条例は、平成二十八年四月一日から施行する。

(この条例の見直し)

2 知事は、この条例の施行後三年を目途として、この条例の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。

3 前項の検討に当たっては、法第八条第二項に規定する配慮の実施状況について特に留意するとともに、必要があると認めるときは、この条例の施行後三年以内においても速やかに当該配慮の義務付けの在り方も含めた見直しを検討するものとする。

(大阪府附属機関条例の一部改正)

4 大阪府附属機関条例(昭和二十七年大阪府条例第三十九号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(令和二年条例第八一号)

(施行期日)

1 この条例は、令和三年四月一日から施行する。

(大阪府附属機関条例の一部改正)

2 大阪府附属機関条例(昭和二十七年大阪府条例第三十九号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

大阪府障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例

平成28年3月29日 条例第3号

(令和3年4月1日施行)