○大阪府婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例
平成二十四年十一月一日
大阪府条例第百二十号
大阪府婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例を公布する。
大阪府婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例
(趣旨)
第一条 この条例は、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号。以下「法」という。)第六十五条第一項の規定に基づき、婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定めるものとする。
(定義)
第二条 この条例の用語の意義は、法及び売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)の定めるところによる。
(基本方針)
第三条 この条例で定める基準は最低のものであるから、婦人保護施設は、当該基準を超えて、常に、その設備及び運営を向上させるよう努めなければならない。
2 婦人保護施設は、入所者に対し、健全な環境の下で、社会福祉事業に関する熱意及び能力を有する職員により、社会において自立した生活を送るための支援を含め、適切な処遇を行うよう努めなければならない。
(構造設備)
第四条 婦人保護施設の配置、構造及び設備は、換気、採光、照明等の入所者の保健衛生に関する事項、入所者に対する危害の防止及び防災について十分考慮されたものでなければならない。
(非常災害対策)
第五条 婦人保護施設は、非常災害に備え、消火設備その他の災害対策に必要な設備を設けるとともに、災害対策に関する具体的な計画を作成しなければならない。
2 婦人保護施設は、非常災害に備えるため、定期的に避難、救助等の訓練を行わなければならない。
(苦情への対応)
第六条 婦人保護施設は、その行った処遇に関する入所者からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。
2 婦人保護施設は、その行った処遇に関し、婦人相談所から指導又は助言を受けた場合には、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
3 婦人保護施設は、運営適正化委員会が行う法第八十五条第一項の規定による調査にできる限り協力しなければならない。
(台帳等の整備)
第七条 婦人保護施設は、設備、職員、会計及び入所者の処遇の状況に関する台帳等を整備しておかなければならない。
(職員)
第八条 婦人保護施設には、次に掲げる職員を置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する婦人保護施設にあっては、第三号に掲げる調理員を置かないことができる。
一 婦人保護施設の長(以下「施設長」という。)
二 入所者を指導する職員
三 調理員
四 前三号に掲げるもののほか、婦人保護施設の職務を行うために必要な職員
2 婦人保護施設の職員は、専ら当該婦人保護施設の職務に従事する者でなければならない。ただし、入所者等の処遇に支障がない場合は、この限りでない。
(施設長の資格要件)
第九条 施設長は、婦人保護施設を運営する能力と熱意を有する者であって、次に掲げる要件を満たすものでなければならない。
一 社会福祉主事の資格を有する者又は社会福祉事業若しくは更生保護事業に三年以上従事した者であること。
二 罰金以上の刑に処せられた者でないこと。
三 心身ともに健全な者であること。
(平二七条例一二三・一部改正)
一 スプリンクラー設備の設置、天井等の内装材等への難燃性を有する材料の使用、調理室等の火災が発生するおそれがある箇所における防火区画の設置等により、火災の初期の段階における消火及び延焼の抑制に配慮した構造であること。
二 非常警報設備の設置等による火災の早期発見及び通報の体制が整備されており、円滑な消火活動が可能なものであること。
三 避難口の増設、搬送を容易に行うために十分な幅員を有する避難路の確保等により、円滑な避難が可能な構造であり、かつ、避難訓練を頻繁に実施すること、配置する人員を増員すること等により、火災の際の円滑な避難が可能なものであること。
3 婦人保護施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。
一 居室
二 相談室
三 医務室
四 食堂
五 調理室
六 事務室
七 宿直室
八 集会室兼談話室
九 静養室
十 作業室
十一 洗面所
十二 浴室
十三 便所
十四 洗濯室
十五 消火設備その他の非常災害に際して必要な設備
一 居室 次に掲げる基準
イ 入所者一人当たりの床面積(収納設備等に係る部分の床面積を除く。)は、おおむね四・九五平方メートル以上とすること。
ロ 主要な出入口は、避難上有効な空地、共用の廊下又は広間に面して設けること。
ハ 寝具を収納するための押し入れその他の設備のほか、各人の身の回り品を収納することができる設備を設けること。ただし、寝台を設けている場合においては、寝具を収納するための設備は、設けることを要しないこと。
二 相談室 秘密の保持のため、間仕切り等を設けること。
三 医務室 入所者を診療するために必要な医薬品、衛生材料及び医療機器を備えること。
四 食堂及び調理室 食器、調理器具等の消毒その他食堂及び調理室を常に清潔を保持するために必要な措置を講じなければならないこと。
五 その他の設備 次に掲げる基準
イ 廊下、便所その他必要な場所に、夜間において常時点灯させる照明設備を設けること。
ロ 火気を使用する部分は、不燃材料(建築基準法第二条第九号に規定する不燃材料をいう。)を用いること。
(居室の入所人員)
第十一条 一の居室に入所させる人員は、原則として四人以下とする。
(自立の支援等)
第十二条 婦人保護施設は、入所者の自立を支援するため、入所者の就労及び生活に関する指導及び援助を行わなければならない。
2 前項の指導及び援助は、入所者の私生活を尊重して行わなければならない。
3 婦人保護施設は、入所者の起床、就寝、食事、入浴その他の日常生活に関する事項についての規程を定めなければならない。
4 婦人保護施設は、入所者ごとに、入所者の自立を促進するための計画を作成しなければならない。
(給食)
第十三条 給食は、食品の種類及び調理方法について栄養並びに入所者の身体の状況及び嗜好を考慮したものでなければならない。
2 調理は、あらかじめ作成された献立に従って行わなければならない。
3 栄養士を置かない婦人保護施設にあっては、献立の内容、栄養成分量の算定及び調理の方法について保健所等の指導を受けなければならない。
(保健衛生)
第十四条 婦人保護施設は、入所者に対して、毎年二回以上定期に健康診断を行わなければならない。
2 婦人保護施設は、居室その他の入所者が常時使用する設備について、常に清潔にしなければならない。
3 婦人保護施設は、入所者の使用する設備、食器、飲用水等について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講ずるとともに、医薬品、衛生材料及び医療機器の管理を適正に行わなければならない。
4 婦人保護施設は、当該婦人保護施設において感染症等が発生し、又はまん延しないように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(給付金として支払を受けた金銭の管理)
第十五条 婦人保護施設は、当該婦人保護施設の設置者が入所者に係る婦人保護施設の設備及び運営に関する基準(平成十四年厚生労働省令第四十九号)第十四条の二に規定する厚生労働大臣が定める給付金(以下この条において「給付金」という。)の支給を受けたときは、給付金として支払を受けた金銭及びこれに準ずるもの(これらの運用により生じた収益を含む。以下この条において「入所者に係る金銭」という。)を次に掲げるところにより管理しなければならない。
一 入所者に係る金銭を当該入所者のその他の財産と区分すること。
二 入所者に係る金銭を給付金の支給の趣旨に従って用いること。
三 入所者に係る金銭の収支の状況を明らかにする帳簿を整備すること。
四 当該入所者が退所した場合には、速やかに、入所者に係る金銭の残余の額を当該入所者に交付すること。
(関係機関との連携)
第十六条 婦人保護施設は、婦人相談所、福祉事務所(法に規定する福祉に関する事務所をいう。)、都道府県警察、母子・父子福祉団体(母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)第六条第六項に規定する母子・父子福祉団体をいう。)、公共職業安定所、職業訓練施設(職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)に規定する職業訓練施設をいう。)その他関係機関及び婦人相談員、母子・父子自立支援員(母子及び父子並びに寡婦福祉法第八条に規定する母子・父子自立支援員をいう。)、民生委員、児童委員、保護司その他関係者と密接に連携しなければならない。
(平二六条例一五三・一部改正)
(電磁的記録)
第十七条 婦人保護施設及びその職員は、作成、保存その他これらに類するもののうち、この条例の規定において書面(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この条において同じ。)で行うことが規定されている又は想定されるものについては、書面に代えて、当該書面に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)により行うことができる。
(令三条例四四・追加)
附則
この条例は、平成二十五年四月一日から施行する。
附則(平成二六年条例第一五三号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成二七年条例第一二三号)
この条例は、平成二十八年一月一日から施行する。
附則(令和三年条例第四四号)抄
この条例は、令和三年七月一日から施行する。