○大阪府保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例
平成二十四年十一月一日
大阪府条例第百二号
大阪府保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例を公布する。
大阪府保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例
目次
第一章 総則(第一条―第十条)
第二章 救護施設(第十一条―第二十条)
第三章 更生施設(第二十一条―第二十六条)
第四章 医療保護施設(第二十七条)
第五章 授産施設(第二十八条―第三十三条)
第六章 宿所提供施設(第三十四条―第三十九条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この条例は、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号。以下「法」という。)第三十九条第一項の規定に基づき、保護施設の設備及び運営に関する基準を定めるものとする。
(定義)
第二条 この条例の用語の意義は、法の定めるところによる。
(基本方針)
第三条 救護施設、更生施設、授産施設及び宿所提供施設(以下「救護施設等」という。)は、利用者に対し、健全な環境の下で、社会福祉事業に関する熱意及び能力を有する職員による適切な処遇を行うよう努めなければならない。
(構造設備の一般原則)
第四条 救護施設等の配置、構造及び設備は、換気、採光、照明等の利用者の保健衛生に関する事項及び防災について十分考慮されたものでなければならない。
(設備の専用)
第五条 救護施設等の設備は、専ら当該救護施設等の用に供するものでなければならない。ただし、利用者の処遇に支障がない場合は、この限りでない。
(職員の資格要件)
第六条 救護施設等の長は、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第十九条第一項各号のいずれかに該当する者若しくは社会福祉事業に二年以上従事した者又はこれらと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。
2 生活指導員は、社会福祉法第十九条第一項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。
(職員の専従)
第七条 救護施設等の職員は、専ら当該施設の職務に従事することができる者でなければならない。ただし、利用者の処遇に支障がない場合は、この限りでない。
(苦情への対応)
第八条 救護施設等は、その行った処遇に関する入所者からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。
2 救護施設等は、その行った処遇に関し、生活保護法第十九条第四項に規定する保護の実施機関から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
3 救護施設等は、社会福祉法第八十三条に規定する運営適正化委員会が行う同法第八十五条第一項の規定による調査にできる限り協力しなければならない。
(非常災害対策)
第九条 救護施設等は、非常災害に備え、消火設備その他の知事が定める設備を設けるとともに、災害対策に関する具体的な計画を立てておかなければならない。
2 救護施設等は、非常災害に備えるため、定期的に避難、救助等の訓練を行わなければならない。
(台帳等の整備)
第十条 救護施設等は、設備、職員、会計及び利用者の処遇の状況に関する台帳等を整備しておかなければならない。
第二章 救護施設
(規模)
第十一条 救護施設は、三十人以上の入所者が入所することができる規模を有するものでなければならない。
2 救護施設は、当該救護施設と一体的に管理運営を行い、日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて生活扶助を行うことを目的とする施設であって入所者が二十人以下のもの(以下この章において「サテライト型施設」という。)を設置する場合は、五人以上の入所者が入所することができる規模を有するものとしなければならない。
3 救護施設は、被保護者の数が当該救護施設における入所者の総数に占める割合をおおむね八十パーセント以上としなければならない。
一 スプリンクラー設備の設置、天井等の内装材等への難燃性を有する材料の使用、調理室等の火災が発生するおそれがある箇所における防火区画の設置等により、火災の初期の段階における消火及び延焼の抑制に配慮した構造であること。
二 非常警報設備の設置等による火災の早期発見及び通報の体制が整備されており、円滑な消火活動が可能なものであること。
三 避難口の増設、搬送を容易に行うために十分な幅員を有する避難路の確保等により、円滑な避難が可能な構造であり、かつ、避難訓練を頻繁に実施すること、配置する人員を増員すること等により、火災の際の円滑な避難が可能なものであること。
3 救護施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより当該救護施設の効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の処遇に支障がないときは、これらの設備の一部を設けないことができる。
一 居室
二 静養室(その心身の状況により、居室で静養することが一時的に困難となった入所者を静養させるための設備をいう。以下同じ。)
三 食堂
四 集会室
五 浴室
六 洗面所
七 便所
八 医務室
九 調理室
十 事務室
十一 宿直室
十二 介護職員室
十三 面接室
十四 洗濯室又は洗濯場
十五 汚物処理室
十六 霊安室
4 前項第一号に掲げる居室については、必要に応じ、入所者のうち常時の介護を必要とする者に利用させる居室(以下「特別居室」という。)を設けるものとする。
一 居室 次に掲げる基準
イ 地階に設けてはならないこと。
ロ 入所者一人当たりの床面積(収納設備等に係る部分の床面積を除く。)は、三・三平方メートル以上とすること。
ハ 一以上の出入口は、避難上有効な空地、廊下又は広間に直接面して設けること。
ニ 入所者の寝具及び身の回り品を各人別に収納することができる設備を設けること。
ホ 特別居室は、原則として一階に設けるとともに、寝台又はこれに代わる設備を備えること。
二 静養室 次に掲げる基準
イ 医務室又は介護職員室に近接して設けること。
三 洗面所 居室のある階ごとに設けること。
四 便所 居室のある階ごとに、男子用と女子用とを区別して設けること。
五 医務室 入所者を診療するために必要な医薬品、衛生材料及び医療機器を備えるほか、必要に応じて臨床検査設備を設けること。
六 調理室 火気を使用する部分は、不燃材料(建築基準法第二条第九号に規定する不燃材料をいう。以下同じ。)を用いること。
七 介護職員室 居室のある階ごとに、居室に近接して設けること。
6 前各項に規定するもののほか、救護施設の設備の基準は、次のとおりとする。
一 廊下の幅は、一・三五メートル以上とすること。ただし、両側に居室等の設備がある廊下にあっては、一・八メートル以上とすること。
二 廊下、便所その他必要な場所に、夜間において常時点灯させる照明設備を設けること。
三 階段の傾斜は、緩やかにすること。
(サテライト型施設の設備の基準)
第十三条 前条の規定は、サテライト型施設の設備の基準について準用する。
(職員の配置の基準)
第十四条 救護施設には、次に掲げる職員を置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する救護施設にあっては、第七号に掲げる調理員を置かないことができる。
一 救護施設の長
二 医師
三 生活指導員
四 介護職員
五 看護師又は准看護師
六 栄養士
七 調理員
(居室の入所人員)
第十五条 一の居室に入所させる人員は、原則として四人以下とする。
(給食)
第十六条 給食の調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うこととし、その献立は、栄養並びに入所者の身体の状況及び嗜好を考慮したものでなければならない。
(健康管理)
第十七条 入所者については、その入所時及び毎年二回以上定期に健康診断を行わなければならない。
(衛生管理等)
第十八条 救護施設は、入所者の使用する設備、食器等又は飲用水については、衛生的な管理に努め、又は知事が定める措置を講ずるとともに、医薬品、衛生材料及び医療機器の管理を適正に行わなければならない。
2 救護施設は、当該救護施設において感染症が発生し、又はまん延しないように、知事が定める措置を講ずるよう努めなければならない。
(生活指導等)
第十九条 救護施設は、入所者に対し、生活の向上及び更生のための指導を受ける機会を与えなければならない。
2 救護施設は、入所者に対し、心身の状況に応じ、その機能を回復し、又は機能の低下を防止するための訓練又は作業に参加する機会を与えなければならない。
3 救護施設は、入所者が日常生活を行う場所には、必要に応じ、暖房を設置する等の措置を講じなければならない。
4 救護施設は、一週間に二回以上、入所者を入浴させ、又は清しきしなければならない。
5 救護施設は、教養設備、娯楽設備等を備えるほか、適宜入所者のためのレクリエーション活動を実施しなければならない。
一 入所者に係る金銭を当該入所者のその他の財産と区分すること。
二 入所者に係る金銭を給付金の支給の趣旨に従って用いること。
三 入所者に係る金銭の収支の状況を明らかにする記録を整備すること。
四 当該入所者が退所した場合には、速やかに、入所者に係る金銭の残余の額を当該入所者に交付すること。
第三章 更生施設
(規模)
第二十一条 更生施設は、三十人以上の入所者が入所することができる規模を有するものでなければならない。
2 更生施設は、被保護者の数が当該更生施設における入所者の総数に占める割合をおおむね八十パーセント以上としなければならない。
(設備の基準)
第二十二条 更生施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより当該更生施設の効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の処遇に支障がないときは、これらの設備の一部を設けないことができる。
一 居室
二 静養室
三 集会室
四 食堂
五 浴室
六 洗面所
七 便所
八 医務室
九 作業室又は作業場
十 調理室
十一 事務室
十二 宿直室
十三 面接室
十四 洗濯室又は洗濯場
2 前項第九号に掲げる作業室又は作業場には、作業に従事する者の安全を確保するための設備を設けなければならない。
(職員の配置の基準)
第二十三条 更生施設には、次に掲げる職員を置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する更生施設にあっては、第七号に掲げる調理員を置かないことができる。
一 更生施設の長
二 医師
三 生活指導員
四 作業指導員
五 看護師又は准看護師
六 栄養士
七 調理員
(生活指導等)
第二十四条 更生施設は、入所者の勤労意欲を高めるとともに、入所者が退所後に健全な社会生活を営むことができるよう入所者各人の心身の状況に適合する更生計画を作成し、これに基づく指導をしなければならない。
(作業指導)
第二十五条 更生施設は、入所者に対し、前条第一項の更生計画に従って、入所者が退所後に自立するために必要な技能を修得させなければならない。
2 更生施設は、作業指導の内容を決定するに当たっては、地域の実情及び入所者の職歴を考慮しなければならない。
第四章 医療保護施設
(運営)
第二十七条 医療保護施設は、医療法その他の医療に関する法令に基づき適切に運営されなければならない。
第五章 授産施設
(規模)
第二十八条 授産施設は、二十人以上の利用者が利用することができる規模を有するものでなければならない。
2 授産施設は、被保護者の数が当該授産施設における利用者の総数に占める割合をおおむね五十パーセント以上としなければならない。
(設備の基準)
第二十九条 授産施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより施設の効果的な運営を期待することができる場合であって、利用者の処遇に支障がないときは、これらの設備の一部を設けないことができる。
一 作業室
二 作業設備
三 食堂
四 洗面所
五 便所
六 事務室
一 作業室 次に掲げる基準
イ 必要に応じて作業による危害の防止のための設備を設け、又は保護具を備えること。
ロ 一以上の出入口は、避難上有効な空地、廊下又は広間に直接面して設けること。
二 便所 男子用と女子用とを区別して設けること。
(職員の配置の基準)
第三十条 授産施設には、次に掲げる職員を置かなければならない。
一 授産施設の長
二 作業指導員
(工賃の支払)
第三十一条 授産施設の利用者には、事業の収入の額から、事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならない。
(自立指導)
第三十二条 授産施設は、利用者に対し、作業を通じて自立のために必要な指導を行わなければならない。
(準用)
第三十三条 第十八条の規定(医薬品、衛生材料及び医療機器の管理に係る部分を除く。)は、授産施設について準用する。
第六章 宿所提供施設
(規模)
第三十四条 宿所提供施設は、三十人以上の利用者が利用することができる規模を有するものでなければならない。
2 宿所提供施設は、被保護者の数が当該宿所提供施設における入所者の総数に占める割合をおおむね五十パーセント以上としなければならない。
(設備の基準)
第三十五条 宿所提供施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより施設の効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の処遇に支障がないときは、これらの設備の一部を設けないことができる。
一 居室
二 炊事設備
三 便所
四 面接室
五 事務室
2 前項第二号に掲げる炊事設備の火器を使用する部分は、不燃材料を用いなければならない。
3 前項に規定するもののほか、宿所提供施設の設備の基準については、第十二条第五項第一号(ホを除く。)並びに第六項第一号及び第二号の規定を準用する。
(職員の配置の基準)
第三十六条 宿所提供施設には、当該宿所提供施設の長を置かなければならない。
(居室の利用世帯)
第三十七条 一の居室は、やむを得ない理由がある場合を除き、二以上の世帯に利用させてはならない。
(生活相談)
第三十八条 宿所提供施設は、生活の相談に応ずる等利用者の生活の向上を図ることに努めなければならない。
(準用)
第三十九条 第十八条の規定(医薬品、衛生材料及び医療機器の管理に係る部分を除く。)は、宿所提供施設について準用する。
附 則
この条例は、平成二十五年四月一日から施行する。