○大阪府子どもを虐待から守る条例

平成二十二年十二月二十二日

大阪府条例第百五号

大阪府子どもを虐待から守る条例を公布する。

大阪府子どもを虐待から守る条例

未来を担う子どもが心豊かに育つためにも、家庭や学校、地域が連携し一体となって、子どもを虐待から守る環境づくりに努めなければならない。すべての子どもの健やかな発育を保障することは、社会全体の責任である。

しかしながら、貧困が広がり、地域のつながりが希薄になるもとで、子どもへの虐待は後を絶たず、子どもの身体と心に大きな傷を残し、死に至らしめる事件も少なからず発生している。

子どもへの虐待は、理由の如何に関わらず許されないことであり、子どもに対する著しい人権侵害であることを自覚しなければならない。

私たちは、未来を担う子どもを虐待から守り、心豊かに育つ環境づくりのために地域の力を結集することをめざし、この条例を制定する。

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、子どもを虐待から守ることについて、基本理念を定め、府の責務を明らかにするとともに、子どもを虐待から守ることに関する施策の基本となる事項を定めることにより、市町村や府民、保護者等とともに、当該施策を総合的かつ計画的に推進し、もって子どもの人権が尊重され、かつ、子どもが健やかに成長することができる社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 子ども 児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号。以下「法」という。)第二条に規定する児童をいう。

 保護者 法第二条に規定する保護者をいう。

 虐待 法第二条に規定する児童虐待及び経済的虐待(保護者がその管理に属しない子どもの財産を不当に処分することをいう。以下同じ。)をいう。

 関係機関等 学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者をいう。

(基本理念)

第三条 虐待は、子どもに対する著しい人権の侵害であり、何人も、虐待を決して許してはならない。

2 子どもを虐待から守るに当たっては、子どもの利益を最大限に配慮しなければならない。

3 府民全体として、子どもの尊厳を守り、子どもが健やかに成長することができる社会の実現に向けて取り組まなければならない。

(府の責務)

第四条 府は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、子どもを虐待から守ることに関する施策(以下「虐待防止施策」という。)を策定し、これを実施しなければならない。

2 府は、子どもを虐待から守るために、子ども家庭センターの体制を毎年検証し、きめ細かな対応ができる体制及び施設の整備をしなければならない。

3 府は、子どもを虐待から守るために、医師、弁護士等専門的な知識を有する者と協力し、府が常に必要な助言又は援助を受けることができる体制の整備に努めなければならない。

4 府は、虐待防止施策を実施するに当たっては、市町村及び関係機関等と連携し、並びに府民及び虐待の防止に取り組む地域の団体の協力を得るものとする。

5 府は、市町村(大阪市及び堺市を除く。以下同じ。)が実施する子どもを虐待から守ることに関する施策(以下「市町村の施策」という。)を支援するよう努めなければならない。

(府民との協働)

第五条 府は、府民に対して子どもを虐待から守ることに関する理解の促進に努め、府民は、虐待防止施策、市町村の施策及び関係機関等の取組に協力するよう努めるものとする。

(保護者との協働)

第六条 府は、保護者に対して自らが子育てについての第一義的責任を有することの認識を深めさせ、保護者は、子どもの心身の健全な成長及び発達に努めるものとする。

(関係機関等との協働)

第七条 府は、市町村と連携し、関係機関等が行う子どもを虐待から守ることに関する取組(以下「関係機関等の取組」という。)について必要な支援を行うものとする。

2 府は、関係機関等に対し、府が実施する子どもを虐待から守るための施策又は事業について協力を求めるものとする。

(基本計画)

第八条 知事は、虐待防止施策を総合的かつ計画的に推進するため、大阪府子ども条例(平成十九年大阪府条例第五号)第十条第一項に基づき策定する計画に、次に掲げる事項を盛り込まなければならない。

 子どもを虐待から守ることに関する目標及び虐待防止施策についての基本的な方針

 前号に掲げるもののほか、虐待防止施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

(年次報告)

第九条 知事は、毎年、虐待防止施策及び市町村の施策の実施状況について、報告書を作成し、公表しなければならない。

2 知事は、前項の報告書を作成するに当たっては、市町村及び関係機関等に対して必要な報告を求めるものとする。

(啓発活動)

第十条 府は、子どもを虐待から守ることに関する府民の理解を深めるために必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。

第二章 予防

第十一条 府は、虐待を未然に防止するため、市町村及び関係機関等と連携して子育てに関する支援を行うよう努めるものとする。

2 府は、虐待を未然に防止するため、市町村と連携し、子どもの虐待を防止するための人権教育の推進に努めなければならない。

3 府は、虐待を未然に防止するため、市町村及び関係機関等が行う子育てに関する情報の提供又は相談に係る業務について、専門的な知識及び技術の提供その他必要な支援を行うものとする。

第三章 早期発見及び早期対応

(早期発見)

第十二条 府は、子どもに対する虐待が早期に発見できるよう、市町村及び関係機関等との連携を十分図るとともに、子育てを見守る地域社会で、虐待の早期発見と防止のネットワークを確立できるよう必要な支援を行うものとする。

(通告等に係る対応)

第十三条 子ども家庭センター所長は、虐待(経済的虐待を除く。以下この項において同じ。)を受けた子ども(虐待を受けたおそれのある子どもを含む。以下この章において同じ。)を発見した者からの通告があった場合には、直ちに当該虐待に係る調査を行い、必要があると認めるときは、通告を受けてから少なくとも四十八時間以内に当該子どもを直接目視することを基本として、面会、面談等の方法により、当該子どもの安全を確認しなければならない。家庭その他から虐待を受けた子どもに係る相談があった場合についても、同様とする。

2 前項の虐待を受けた子どもの保護者及び保護者以外の同居人は、同項の規定による安全の確認に協力しなければならない。

3 府は必要に応じ、近隣住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員、住宅を管理する者その他児童の安全確認のために必要な者に対し、協力を求めるものとする。

4 前項により、府から協力を求められた者は、安全確認に協力するよう努めるものとする。

(通告等に係る体制の整備等)

第十四条 府は、市町村及び関係機関等との連携及び協力を図り、虐待を受けた子どもを発見した者からの通告を常時受け、及び虐待を受けた子どもに係る家庭その他からの相談に常時応ずることができる体制の整備に努めなければならない。

2 府は、前項の通告を行った者又は相談を行った者に不利益が生じないよう必要な措置を講ずるとともに、通告しやすく、かつ、相談しやすい環境づくりに努めなければならない。

(安全の確保のための協力)

第十五条 子ども家庭センター所長は、法第九条第一項の規定による立入り及び調査若しくは質問、法第九条の三第一項の規定による臨検若しくは捜索及び同条第二項の規定による調査若しくは質問又は児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十三条第一項若しくは第二項の規定による一時保護を行うに際し、必要があると認めるときは、警察及び市町村に対し、子どもの安全の確認及び確保のための協力を求めるものとする。

(情報の共有)

第十六条 府は、子どもの安全の確保のために必要があると認めるときは、市町村及び関係機関等と通告に係る子ども及びその家庭に関わる情報を共有し、活用することができる。

第四章 保護及び支援

(虐待を受けた子どもに対する保護及び支援)

第十七条 府は、市町村及び関係機関等と連携し、虐待を受けた子どもに対し、当該子どもの心身の健全な発達を促進するためのケアプランの作成その他の方法により適切な保護及び支援を行うよう努めなければならない。

(虐待を行った保護者への援助等)

第十八条 府は、市町村及び関係機関等と連携し、虐待を行った保護者に対し、その虐待を受けた子どもとの良好な関係を再構築するための援助の徹底等に努めなければならない。

(子ども自身による安全確保への支援)

第十九条 府は、子どもが虐待から自らの心身の安全を確保できるようにするため、市町村及び関係機関等と連携し、子どもに対し、情報の提供その他の必要な事業を実施するよう努めるものとする。

第五章 人材等の育成

(人材等の育成)

第二十条 府は、市町村及び関係機関等における人材の育成を図るため、専門的な知識及び技術の修得に関する研修等を実施するものとする。

2 府は、地域における子どもと家庭を支える活動を促進するため、市町村及び関係機関等と連携し、子育てに関する支援及び虐待の防止に取り組む地域の団体等の育成に努めるものとする。

(要保護児童対策地域協議会への支援)

第二十一条 府は、市町村が設置する要保護児童対策地域協議会(児童福祉法第二十五条の二第一項に規定する要保護児童対策地域協議会をいう。)の運営の充実を図るため、必要な支援を行うものとする。

附 則

(施行期日)

1 この条例は、平成二十三年二月一日から施行する。

(大阪府附属機関条例の一部改正)

2 大阪府附属機関条例(昭和二十七年大阪府条例第三十九号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

大阪府子どもを虐待から守る条例

平成22年12月22日 条例第105号

(平成23年2月1日施行)