○大阪府被保護者等に対する住居・生活サービス等提供事業の規制に関する条例

平成二十二年十一月四日

大阪府条例第六十一号

大阪府被保護者等に対する住居・生活サービス等提供事業の規制に関する条例をここに公布する。

大阪府被保護者等に対する住居・生活サービス等提供事業の規制に関する条例

健康で文化的な最低限度の生活を営むことは、全ての人に保障された権利である。

その理念に基づき、生活に困窮する者の保護について、府をはじめ、それらの者の保護を行うべき実施機関や関係する医療機関、介護機関等は、様々な課題を十分認識し、それぞれの責務や役割を自覚し、共に協力していくことが必要である。

大阪では、保護を受ける者が住居や生活に関するサービスを提供する事業者との間で自己に不利な契約を締結することを余儀なくされ、結果としてこれらの者の自立が害されるという事態が生じている。

このような事態の重大性に鑑み、保護を受ける者と事業者との間における公正な取引ルールを定め、保護を受ける者に不当に不利となる事業活動を規制することにより、これらの課題を解決することを目指して、この条例を制定する。

(平二四条例二三・一部改正)

(目的)

第一条 この条例は、被保護者等住居・生活サービス等提供事業に対し必要な規制を行うことにより、その事業を行う者の被保護者等の処遇についての不当な行為を防止し、もって被保護者等の生活の安定及び自立の助長を図り、福祉の増進に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において「被保護者等」とは、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第一項に規定する被保護者及び同条第二項に規定する要保護者であって同法第二十四条第一項の規定による保護の開始の申請をしているものをいう。

2 この条例において「被保護者等住居・生活サービス等提供事業」とは、次に掲げる事業(国又は地方公共団体が行う事業を除く。)をいう。ただし、法令により、その開始につき行政庁の許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等をいう。以下同じ。)又は行政庁への届出(同条第七号に規定する届出をいう。以下同じ。)を要するものとされている事業、その設置につき行政庁の許認可等又は行政庁への届出を要するものとされている施設に係る事業及びその実施につき行政庁の許認可等を受け、又は行政庁への届出をすることができるものとされている事業であって規則で定めるものを除く。

 二人以上の被保護者等に対し、住宅又は宿泊所その他の居住の用に供する施設(以下「住居等」という。)を提供するとともに、被服、寝具その他生活必需品、食事又は洗濯、掃除その他役務の提供その他の日常生活上必要なサービスであって一月を超えて継続的に提供されるもの(以下「生活サービス」という。)を提供し、又は生活保護法の規定により保護として給与し、若しくは貸与される金銭若しくは当該金銭が払い込まれる預金若しくは貯金の口座に係る預金通帳等(当該預金若しくは貯金の口座に係る通帳若しくは引出用のカード又は当該預金若しくは貯金の引出し若しくは払込みに必要な情報その他当該預金又は貯金の引出し又は払込みに必要なものとして規則で定めるものをいう。)(以下「金銭等」という。)の管理を行うサービス(以下「金銭等管理サービス」という。)を提供する事業

 二人以上の被保護者等に対し、住居等を提供するとともに、自己の指定する者に生活サービス又は金銭等管理サービスを提供させる事業

 二人以上の被保護者等に対し、生活サービス又は金銭等管理サービスを提供するとともに、自己の指定する者に住居等を提供させる事業

 前二号の指定を受け、これらの号に規定する生活サービス若しくは金銭等管理サービス又は住居等を提供する事業

3 この条例において「住居等に関する契約」とは、被保護者等住居・生活サービス等提供事業を営む者(以下「事業者」という。)と被保護者等との間で締結される被保護者等住居・生活サービス等提供事業に係る契約であって、当該事業者が有償で住居等を提供することを約するものをいう。

4 この条例において「生活サービスに関する契約」とは、事業者と被保護者等との間で締結される被保護者等住居・生活サービス等提供事業に係る契約であって、当該事業者が有償で生活サービスを提供することを約するものをいう。

5 この条例において「金銭等管理サービスに関する契約」とは、事業者と被保護者等との間で締結される被保護者等住居・生活サービス等提供事業に係る契約であって、当該事業者が金銭等管理サービスを提供することを約するものをいう。

(平二四条例二三・平二六条例二八・一部改正)

(届出)

第三条 被保護者等住居・生活サービス等提供事業(前条第二項第四号に規定するものを除く。)を営もうとする者は、あらかじめ、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。

 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 営もうとする事業の種別(住居等の提供又は生活サービスの提供若しくは金銭等管理サービスの提供の別をいう。)

 住居等を提供する事業者にあっては、当該住居等の建物の名称及び所在地

 前三号に掲げるもののほか、規則で定める事項

 前条第二項第二号及び第三号に掲げる事業に係る事業者にあっては、自己の指定する事業者についての前各号に掲げる事項

2 前項の規定による届出をした事業者は、同項各号に掲げる事項に変更を生じたとき、又はその事業を廃止し、若しくは休止したときは、その日から一月以内に、その旨を知事に届け出なければならない。

(被保護者等住居・生活サービス等提供事業に係る契約の解除に係る規制)

第四条 事業者は、住居等に関する契約又は生活サービスに関する契約若しくは金銭等管理サービスに関する契約の締結に際しては、次に掲げる事項の定めをしなければならない。

 被保護者等が住居等に関する契約を解除する場合について、予告をしたときは、一月以内で当該契約を解除することができること。

 事業者が正当な事由があると認められる場合に住居等に関する契約又は生活サービスに関する契約若しくは金銭等管理サービスに関する契約を解除するときは、少なくとも六月前にその予告をしなければならないこと。

 被保護者等が生活サービスに関する契約又は金銭等管理サービスに関する契約の解除の申入れをしたときは、直ちに当該申入れに係る契約を解除することができること。

2 事業者は、住居等に関する契約又は生活サービスに関する契約若しくは金銭等管理サービスに関する契約の締結に際しては、次に掲げる事項の定めをしてはならない。

 被保護者等が生活サービスに関する契約又は金銭等管理サービスに関する契約を解除することを理由として、事業者が住居等に関する契約を解除すること。

 被保護者等が住居等に関する契約又は生活サービスに関する契約若しくは金銭等管理サービスに関する契約を解除した場合について、被保護者等が当該契約の解除に伴う違約金を支払うこと。

(被保護者等住居・生活サービス等提供事業に係る契約締結前の重要事項の説明等)

第五条 事業者は、住居等に関する契約又は生活サービスに関する契約若しくは金銭等管理サービスに関する契約を締結しようとするときは、当該契約を締結するまでに、その相手方である被保護者等に対し、次の各号に掲げる契約の区分に応じ、当該各号に定める事項を明らかにし、当該契約の内容を説明する書面を交付して説明しなければならない。

 住居等に関する契約 次に掲げる事項

 事業者の氏名又は名称及び住所

 住居等の提供期間

 建物の名称及び所在地並びに居室の室番号及び床面積

 居室の賃料、敷金、共益費、管理費その他の住居等に関して被保護者等が支払うこととなる金銭の額

 契約の解除に関する事項

 生活サービスに関する契約 次に掲げる事項

 事業者の氏名又は名称及び住所

 生活サービスの提供期間

 提供する生活サービスの内容及びその対価

 契約の解除に関する事項

 金銭等管理サービスに関する契約 次に掲げる事項

 事業者の氏名又は名称及び住所

 金銭等管理サービスの提供期間

 有償で提供する場合にあっては、その対価

 金銭等の管理の方法

 被保護者等への報告の方法及び時期

 契約の解除に関する事項

2 事業者は、前項の説明をした者をして、同項の書面に署名又は記名押印をさせなければならない。

(被保護者等住居・生活サービス等提供事業に係る契約締結時の書面の交付)

第六条 事業者は、住居等に関する契約又は生活サービスに関する契約若しくは金銭等管理サービスに関する契約を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項についてその契約の内容を明らかにする書面を作成して署名し、又は記名押印し、その相手方である被保護者等に交付しなければならない。当該書面に記載した事項のうち、重要なものとして規則で定めるものを変更したときも、同様とする。

 前条各号に掲げる事項

 契約年月日

(報告の徴収)

第七条 知事は、事業者が前二条の規定に違反する疑いがあると認めるときは、当該事業者に対し、必要な事項の報告又は資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該報告又は資料の提出をしないときは、当該事業者はこれらの条の規定に違反したものとみなす。

2 前項に定めるもののほか、知事は、この条例の施行に必要な限度において、事業者その他関係者に対し、必要な事項の報告又は資料の提出を求めることができる。

(勧告及び命令)

第八条 知事は、事業者が第四条から第六条までの規定に違反したとき、又は次に掲げる行為をした場合において、被保護者等の生活の安定及び自立の助長を害するおそれがあると認めるときは、当該事業者に対し、住居等に関する契約又は生活サービスに関する契約若しくは金銭等管理サービスに関する契約に関する書面の作成又は交付その他の必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

 住居等に関する契約において、予告をしたときは、一月以内で当該契約を解除することができる定めをし、かつ、被保護者等が当該定めに基づいて契約の解除の申入れをしたにもかかわらず、当該契約を解除しないこと。

 正当な事由がなくて、又は六月前までに予告することなしに住居等に関する契約又は生活サービスに関する契約若しくは金銭等管理サービスに関する契約を解除し、又は契約の解除の申入れをすること。

 被保護者等が生活サービスに関する契約又は金銭等管理サービスに関する契約の解除の申入れをしたにもかかわらず、当該申入れに係る契約を解除しないこと。

 被保護者等が生活サービスに関する契約又は金銭等管理サービスに関する契約を解除したことを理由として、被保護者等に対し住居等の明渡しを求めること。

 被保護者等が住居等に関する契約又は生活サービスに関する契約若しくは金銭等管理サービスに関する契約を解除した場合について、被保護者等に当該契約の解除に伴う違約金の支払を請求すること。

2 知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その勧告に従うべきことを命ずることができる。

(公表)

第九条 知事は、前条第二項の規定による命令を受けた者が正当な理由なく当該命令に違反したときは、当該命令に違反した者の氏名又は名称、住所及び当該命令の内容を公表することができる。

2 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、当該公表に係る者に、あらかじめ、その旨を通知し、その者又はその代理人の出席を求め、釈明及び証拠の提出の機会を与えるため、意見の聴取の手続を行わなければならない。

(保護の実施機関との連携)

第十条 知事は、事業者に関する情報その他の必要な情報を、生活保護法第十九条第四項に規定する保護の実施機関(以下「保護の実施機関」という。)に提供するものとする。

2 知事は、事業者が第四条から第六条までの規定に違反する疑いがあるとき、又は第八条第一項各号に掲げる行為をしたと認めるときは、保護の実施機関に対し、事業者に関する情報の提供その他の必要な協力を求めることができる。

3 保護の実施機関は、事業者が第四条から第六条までの規定に違反する疑いがあると認めるとき、又は第八条第一項各号に掲げる行為をしたと認めるときは、知事に対し、必要な措置を講ずべきことを求めることができる。

(規則への委任)

第十一条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(平二四条例二三・追加、平二六条例二八・一部改正)

(罰則)

第十二条 第八条第二項の規定による命令に違反した者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

(平二四条例二三・旧第十一条繰下)

(両罰規定)

第十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同条の罰金刑を科する。

(平二四条例二三・旧第十二条繰下)

(施行期日)

1 この条例は、平成二十三年二月一日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に被保護者等住居・生活サービス等提供事業を営んでいる者に関する第三条第一項の規定の適用については、同項中「あらかじめ」とあるのは、「平成二十三年八月一日までに」とする。

3 第四条から第六条までの規定は、この条例の施行前に締結された住居等に関する契約又は生活サービスに関する契約若しくは金銭等管理サービスに関する契約については、適用しない。

(平成二四年条例第二三号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成二六年条例第二八号)

この条例は、平成二十六年七月一日から施行する。

大阪府被保護者等に対する住居・生活サービス等提供事業の規制に関する条例

平成22年11月4日 条例第61号

(平成26年7月1日施行)